いちごの時期

寒い冬を越えて春の訪れが感じられる頃、自然の恵みとして最も楽しみたいのがいちご狩りです。赤く熟したいちごは見た目にも美しく、甘酸っぱい香りが食欲をそそります。そのため、食べ頃を見極めるベストシーズンを知ることは、美味しさを最大限に楽しむための重要なポイントと言えます。この記事では、いちごのベストシーズンについて解説し、各地の魅力的ないちごも紹介していきます。

いちごの最も美味しい季節

いちごが店頭に並ぶのは、通常12月末から2月頃までですが、それは本来の旬とは異なっています。実際、いちごの本来の旬は「春から初夏」にかけてです。冬の寒さの中で休眠状態にあるいちごは、気温が上がると共に目を覚まし、春に花を咲かせ、夏に実を結ぶとされています。

今では冬に収穫が可能に

いちごの旬は本来春ですが、現在は農家によって品種が改良され、ハウス栽培技術の進化により、12月後半からも楽しめるようになりました。これにより、クリスマスシーズンにも美味しいいちごが市場に出回ることが可能になったのです。今では「冬から初夏」にかけて、多くの人々が旬のいちごを堪能できるようになっています。

国内産のいちごが市場に姿を現す季節

11月中旬になると、いちごが店頭に並び始めます。そして、クリスマスが迫る12月には、ほぼすべての店舗でいちごが見られるようになります。いちごの供給が最も豊富な時期は2月から4月です。地域差はありますが、5月までは店頭で購入が可能です。しかし、6月になると出荷がストップし、国産いちごは11月下旬まで市場に出回らなくなります。

国産のいちごが手に入りにくい時期、どう対応していますか?

6月から11月にかけての季節は国産いちごの収穫が少ないため、この時期にはアメリカなどからの輸入いちごが市場に出回っています。しかし、これらのいちごは日常的なスーパーで見かけることは少なく、主に製菓業界などで業務用として利用されているのが現状です。

夏から秋にかけて収穫される品種も存在

日本国内では、夏から秋にかけて収穫される特別な品種のいちごがあります。「夏秋いちご」として知られるこれらのいちごは、名前のとおり夏が食べごろであり、この時期に市場に出回ることが少ない珍しい存在です。6月から11月の期間、ほとんどの国産いちごが市場に出ないため、輸入品に代わる選択肢として注目を浴びています。「サマープリンス」や「なつあかり」などの品種は、北海道や東北地方、長野県の涼しい気候を生かして栽培されています。

いちごが最も美味しい季節

実は、12月から1月にかけて、いちごは最もおいしい季節を迎えます。いちごの味やサイズは季節によって変化しますが、寒い時期には特に甘みが増します。冬の寒さの中でじっくりと成長したいちごは、糖分をたくさん蓄えることができ、その結果、より甘く濃厚な味わいが生まれます。一方で、気温が上がると成長が早くなり、酸味が増すと言われています。

品種ごとの違い

・とちおとめ 栃木県発祥の品種でありながら、その人気と生産量の高さから、日本全国で栽培され販売されている有名ないちごです。収穫のピークは2月から4月で、この時期が最も美味しいとされています。サイズはやや小振りですが、甘さと酸味のバランスが良く、ジューシーな果汁が口の中で広がる点が魅力です。

・あまおう その名の通り、甘さ、丸さ、大きさ、美味しさの四拍子が揃った魅力のある品種です。収穫期間は11月から5月に及びますが、最も旬を迎えるのは3月から4月とされています。このいちごは一粒一粒が非常に大きく、食べ応えがあります。2014年には、このいちごが「世界で最も重いいちご」としてギネス記録に認定されるなど、その実力は世界的にも認められています。

・紅ほっぺ 静岡県独自のいちご品種「紅ほっぺ」は、果肉も果皮も紅色に染まり、その名の由来は「ほっぺたが落ちるほどの美味しさ」です。このいちごは、深い甘さとほどよい酸味との絶妙なバランスが特徴で、豊かな風味を楽しめます。大粒で食べごたえがあり、満足感が高いことから人気を博しています。特に3月は出荷の最盛期で、甘さが際立ち、食べ頃となります。

・サマープリンセス 「夏芳」と「麗紅」を親に持つ「女峰」との交配で生み出された品種であり、長野県で2003年に登録されました。この品種は、夏から秋にかけて収穫される希少なものです。果実の内部は白く、しっかりとした質感が特徴です。酸味がやや強いため、ショートケーキのような甘いデザートに最適な風味を持っています。

・なつおとめ 2005年に栃木県で誕生し、夏から秋にかけて収穫できるいちごで、「サマープリンセス」と並んで栃木県を代表します。また、「とちおとめ」や「スカイベリー」と共に、一年を通して栃木県産いちごの供給を可能にしています。このいちごは、外側も内側も赤く色づき、空洞ができにくいのが特徴です。酸味と甘味のバランスが良く、しっかりとした甘さが楽しめます。

・ゆめのか 2月から4月にかけて最盛期となる愛知県独自の品種で、2007年に正式登録されました。"久留米55号"と"系531"の交配によって誕生したこのいちごは、形が崩れにくいしっかりとした果肉が持ち味です。主にフルーツサンドやケーキの材料として用いられています。また、約20gの大きさで円錐形をしており、甘さと酸味が絶妙に調和した味わいが際立っています。

・よつぼし 2017年に品種登録された日本初の "種子繁殖型品種" です。切るとろうそくの炎のような形状が特徴的です。光沢のある外観と、甘酸っぱい味わいが魅力です。収穫は早ければ11月下旬から始まり、出荷は12月から行われます。その美味しさが四つ星級と評されたことから「よつぼし」と名付けられました。

・あまりん 埼玉県で2016年に初めて誕生した新品種で、旬は12月から4月です。特徴的なのはその高い糖度。甘さは豊かで酸味は少ないため、そのままでの試食も楽しめる風味を持っています。目を引く鮮やかな赤色も魅力の一つです。また、埼玉県秩父市出身の落語家、林家たい平氏がその名前を命名したことでも注目されています。

鮮やかな緑色で大ぶりなものを選ぼう

鮮度を見極める際は、ヘタの色合いと形が指標になります。ピンとした緑色のヘタは、新鮮さを示しています。栄養が豊富な場合、ヘタが大きくなることもあります。3月以降は収穫期を過ぎていちごが小さくなりがちなので、小さいながらも反り返っているヘタを見つけるのがポイントです。

美しい形状と輝く光沢のあるものを選択する

いちごは、糖度が高いほど実が大きく育ちます。選ぶ際には、大きくて形の整ったものが最適です。形が不揃いないちごは、受粉が不完全で糖分が行き渡っていないことがあります。さらに、光沢があると質が良い証拠です。いちごの表面もチェックしてみてくださいね。

表面のつぶつぶに注目する

いちごの"果実"とは、実際には表面のつぶつぶの部分を指します。選ぶ際は、いちご部分が飛び出していない、つぶつぶの多いものを選ぶと良いでしょう。つぶつぶが埋もれているというのは、果肉がしっかりとしている証です。水分と栄養が行き届いており、糖度が高いことが分かります。

ヘタ付近の果皮の色は赤が理想的

いちごの色が濃いからといって、必ずしも味が良いわけではありません。ただし、ヘタの周りが完全に赤くなっているかどうかは大切なポイントです。ヘタの根元まで赤く色づいたいちごは、熟している証拠であり、味が良いことを示していますので、注意して確認してみてください。

いちごを賢く選び、おいしく味わおう

いちごの本来の収穫期は春ですが、技術の革新により現在では冬から初夏まで収穫できるようになりました。最近は夏から秋にかけても収穫可能な品種が開発されています。店頭でいちごを見かけた際は、この記事でご紹介したポイントを参考に、おいしいいちごを選んでみてはいかがでしょうか。

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