いちご生産量日本一はどこ? 最新データから見る産地別ランキングと人気品種
甘酸っぱくて美味しいいちごは、冬から春にかけてが旬。スーパーには様々な品種が並び、どれを選ぼうか迷ってしまいますよね。実は、いちごの生産量には地域差があり、各産地がしのぎを削って品質向上に励んでいます。農林水産省の最新データによると、いちご生産量日本一は「栃木県」。次いで「福岡県」、「熊本県」と続きます。本記事では、最新データに基づき、気になるいちご生産量ランキングを徹底解説!各産地の人気品種や、それぞれの成功戦略についても深掘りしていきます。あなたのお気に入りのいちごを見つけて、旬の味覚を堪能しましょう。

データで見る!日本のイチゴ生産量と主要産地

日本のイチゴ生産量(収穫量)は、各都道府県の気候条件、栽培技術、品種開発など、様々な要因によって大きく左右されます。ここでは、農林水産省が公表した2022年産野菜生産出荷統計の作況調査をもとに、全国都道府県別のイチゴ生産量ランキングを上位から詳しく紹介します。このランキングは、各都道府県のイチゴ栽培への取り組みとその成果を示しており、上位10県で全体の約7割を占めています。さらに、収穫量が1万トンを超える6県が全体の52%を占めており、特定の地域に生産が集中していることがわかります。イチゴの生産は、作付面積だけでなく、栽培技術の進歩や気候、土壌といった地域の特性も大きく影響し、それが収穫量に直結します。そのため、ランキングは各産地の農業戦略や取り組みを反映していると言えるでしょう。この情報を通じて、日本のイチゴ生産の現状と各主要産地の位置づけを明確に理解することができます。まずは、収穫量トップ5の産地について、具体的な生産状況と戦略を見ていきましょう。

イチゴ生産の効率性を測る指標:作付面積と10a当たり収量

イチゴの生産状況をより深く理解するためには、最終的な収穫量だけでなく、「作付面積(ha)」、「10a当たり収量(kg)」、そして「出荷量」といった詳細な指標に着目することが重要です。作付面積は、イチゴが栽培されている土地の広さを示すもので、生産規模を把握する上で基本となります。これは、その地域がどれだけの農業資源をイチゴ栽培に投入しているかを示す数値です。一方、10a当たり収量(10アールあたりの収量)は、単位面積からどれだけのイチゴが収穫されたかを示す指標であり、その地域の栽培技術や生産効率の高さを示す重要な要素となります。効率的な栽培システムや優れた品種、適切な病害虫対策などが、高い10a当たり収量に繋がります。また、出荷量は、市場に供給されるイチゴの量を示し、物流や消費動向と深く関わっています。これらの指標を総合的に分析することで、各都道府県のイチゴ生産における強みや課題が見えてきます。
作付面積が広いからといって、必ずしも収穫量が多いとは限りません。イチゴの生産は、生産地の環境、日照時間、気温、土壌の質、異常気象や病害虫の発生といった自然条件に大きく左右されるため、「10a当たり収量(kg)」は地域や年によって大きく変動する可能性があります。例えば、作付面積が全国で5位の長崎県は、2位の福岡県よりも栽培面積は小さいものの、10a当たり収量が非常に高いという特徴があります。これは、長崎県が限られた土地資源を最大限に活用するために、先進的な栽培技術や品種改良、施設園芸の導入など、効率的な生産体制を確立していることを示唆しています。こうした取り組みが、面積当たりの高い生産性を実現し、結果として収穫量全体の増加に貢献しているのです。このことから、イチゴ生産においては、単なる広さだけでなく、いかに効率よく高品質なイチゴを栽培するかが重要な競争要因であることが分かります。この後の詳細データでは、作付面積が広い順に都道府県を紹介しますが、これらの指標を比較することで、各県の特性がより明確になります。
なお、農林水産省が公表するデータには、一部において統計上の注意点があります。具体的には、直近7年間のうち3年分の10a当たり収量のデータが不足している都道府県については、正確な10a当たり平均収量が作成されていない場合があります。これは、データの信頼性と正確性を保つための措置であり、特定の地域や状況下でのデータ収集の難しさを示しています。したがって、公開されているデータを分析する際には、このような背景も考慮に入れることで、より適切にイチゴ生産の実態を把握することが可能となります。情報源を正しく理解し、多角的な視点からイチゴ生産の現状を考察することが重要です。

【イチゴ生産量:第1位】 栃木県:揺るぎない「いちご王国」

2022年産イチゴの生産量第1位に輝いた栃木県は、1968年産以降55年連続で収穫量1位を維持し、作付面積でも2001年産以降22年連続で1位を守り続けている、まさに「いちご王国」です。栃木県は、単に生産量が多いだけでなく、積極的なプロモーション活動でも全国をリードしています。例えば、毎年1月15日を「いちご王国・栃木の日」と定め、キャラクターやアンバサダーを起用した大規模なPR活動を展開しています。県内ではすべての市町でイチゴが生産されており、特に県の中南部、具体的には真岡市、栃木市、鹿沼市、壬生町、宇都宮市などが作付面積の大きい主要な産地として知られています。また、栃木県では品種改良も活発で、数多くのオリジナル品種が育成されてきました。全国No.1のシェアを誇る主力品種「とちおとめ」をはじめ、食味と形状の良さで期待される新品種「とちあいか」、大粒で高級感のある「スカイベリー」、珍しい白いイチゴ「ミルキーベリー」、そして夏に収穫できる「なつおとめ」など、多岐にわたる品種が栽培されています。これらの品種は、消費者の多様なニーズに応えるとともに、栃木県のイチゴ産業の競争力を高める重要な要素となっています。

【イチゴ生産量:第2位】 福岡県:「博多あまおう」による差別化戦略

全国屈指のイチゴ生産量を誇る福岡県は、作付面積においても全国上位に位置し、その規模は他県を大きく引き離しています。しかし、10アール当たりの収穫量を見ると、全国平均をやや下回る水準です。それでもなお、福岡県がこれほどの生産量を維持できる背景には、独自の戦略が存在します。それは、福岡県が誇るオリジナル品種「あまおう」の存在です。「あかい・まるい・おおきい・うまい」の頭文字を取って名付けられた「あまおう」は、大粒イチゴブームの火付け役とも言えるでしょう。現在では、様々な大粒品種が出回っていますが、「あまおう」はその先駆け的存在として、確固たる地位を築いています。さらに福岡県では、「あまおう」を「博多あまおう」という特別なブランド名で展開することで、他県産との差別化を図っています。育成地としての優位性を前面に押し出し、ブランドイメージを強化しているのです。2023年には、「博多あまおう」誕生20周年を記念した大規模なキャンペーンを実施し、福岡県や関係団体が一体となって、さらなるブランド価値の向上に力を注ぎました。八女市、久留米市、広川町などを中心に、県内各地で高品質な「博多あまおう」が丹精込めて栽培されています。

【イチゴ生産量:第3位】 熊本県:革新的品種と地域ブランドの育成

熊本県は、全国第3位のイチゴ生産量を誇り、新進気鋭の品種導入と地域ブランドの育成に力を入れています。その代表格が、2015年に華々しくデビューしたオリジナル品種「ゆうべに」です。その名前は、イチゴの「15」と、熊本の「熊」をかけたもの。「ゆうべに」は、見た目の美しさはもちろん、食味の良さにも定評があり、果肉の中まで鮮やかな赤色をしています。熊本県産のイチゴを代表する品種として、県を代表するキャラクター「くまモン」もPR活動を積極的にサポートしています。また、芳醇な香りと奥深い味わいが特徴の「恋みのり」や、希少価値の高い白いイチゴ「淡雪」なども栽培されています。「淡雪」は鹿児島県発祥の品種ですが、熊本県でも多くの農家が栽培に取り組んでいます。玉名市、宇城市、阿蘇市、八代市など、県内各地でイチゴ栽培が盛んに行われており、その地形も平野部から山間部まで多岐にわたります。熊本県では、それぞれの地域の特性を活かし、最適な栽培方法と品種を選定することで、高品質なイチゴ生産を実現しています。

【イチゴ生産量:第4位】 愛知県:温暖な気候と独自のブランド戦略

温暖な気候に恵まれた愛知県は、全国第4位のイチゴ生産量を誇ります。作付面積は、同じ東海地方の静岡県よりも少ないものの、その高い生産効率と独自の品種戦略によって、全国トップクラスの収穫量を実現しています。特に、冬場の日照時間が長く、厳しい寒さの中でも糖度の高いイチゴを栽培できることが、愛知県の大きな強みとなっています。愛知県で主に栽培されているのは、甘みと酸味のバランスが絶妙な「ゆめのか」や、細長い形状で酸味が少なく食べやすい「章姫」などです。中でも「ゆめのか」は、愛知県生まれのオリジナル品種で、ジューシーで大粒な果肉が特徴です。さらに、2022年には、「ゆめのか」以来15年ぶりとなる待望の新品種「愛きらり」が誕生。「愛知県いちご新品種ブランド化推進協議会」を中心に、PR活動や需要拡大に向けた取り組みが積極的に展開されています。愛知県産のイチゴは、その品質の高さから、ホテルや菓子業界からも高く評価されており、過去には名古屋プリンスホテル スカイタワーで、愛知県産のイチゴを贅沢に使ったスイーツフェアが開催されるなど、積極的なプロモーション活動も行われています。愛西市、豊橋市、西尾市、豊川市、蒲郡市、岡崎市など、県内各地でイチゴ栽培が盛んに行われています。

【イチゴ生産量:第5位】 静岡県:歴史と革新が育む紅ほっぺときらぴ香

静岡県は、作付面積、収穫量ともに安定しており、全国第5位のイチゴ生産量を維持しています。温暖な気候と豊かな降水量に恵まれ、イチゴ栽培に最適な環境が整っています。主な産地としては、伊豆の国市、函南町、三島市、裾野市などが挙げられます。静岡県のイチゴ栽培は長い歴史を持ち、1951年の「マーシャル」から始まり、「ダナー」、「春の香」、「宝交早生」、「アイベリー」、「女峰」、「章姫」と、時代と共に栽培品種が変化してきました。2003年以降は、静岡県農林技術研究所が開発したオリジナル品種「紅ほっぺ」が主流となり、その甘みと酸味の絶妙なバランスが、多くの消費者を魅了しています。さらに、2012年からは、同じく県が育成した期待の新品種「きらぴ香」の試験栽培がスタートし、2023年時点での栽培面積は約5ヘクタールに達しています。「きらぴ香」は、その名の通り、きらきらと輝くようなツヤと、芳醇な香りが特徴で、今後の静岡県を代表する主力品種として期待されています。このように静岡県は、歴史の中で培われた技術と、 끊임없는品種改良によって、高品質なイチゴの安定供給とブランド価値の向上に努めています。

まとめ

世界的に見ると、日本のいちごは品質の高さで知られていますが、生産量では世界で11位、シェアはわずか1.7%にとどまっています。輸送の難しさやマーケティング戦略における課題が存在する一方で、国内では「夏秋いちご」の品種開発が進み、業務用の安定した需要に応えることで収益性を向上させています。日本のいちご産業がさらに発展するためには、品質向上に加えて、栃木県が取り組んでいる「とちあいか」への品種転換による生産性向上、SNSを活用した積極的なプロモーション、そして農業大学校での「いちご学科」新設に代表される後継者育成といった、地域全体での包括的な戦略が不可欠です。各産地の創造的な工夫と競争が、日本のいちご産業をさらに進化させ、国内消費の拡大と国際市場への進出を促進していくでしょう。

いちごの生産量が多い都道府県トップ3はどこですか?

2022年のデータによると、いちごの生産量が多い都道府県トップ3は、1位が栃木県、2位が福岡県、3位が熊本県です。これらの県は、長年にわたり日本のいちご生産を先導しています。

栃木県が「いちご王国」と呼ばれる理由は何ですか?

栃木県は、1968年以降55年連続でいちごの収穫量が全国1位であり、作付面積でも22年連続でトップを維持しているため、「いちご王国」として知られています。さらに、「とちおとめ」や「スカイベリー」といった独自の品種開発に加え、毎年1月15日を「いちご王国・栃木の日」と定め、キャラクターを活用した積極的なPR活動を展開していることも理由の一つです。

「あまおう」はどこの県のブランドいちごですか?

「あまおう」は福岡県を代表する人気の品種です。福岡県では、育成地としての独自性を明確にするため、「博多あまおう」というブランド名で販売されており、「あかい、まるい、おおきい、うまい」という特徴を持っています。

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