シュトーレンとは
シュトーレンとは

クリスマスシーズンが近づくと、スーパーマーケットの棚に並ぶ色とりどりのお菓子が目を引きます。その中でも特に目立つのが、ドイツの伝統的なクリスマスケーキ「シュトーレン」です。外見はシンプルですが、その中には豊かな風味が詰まっており、地元に深く根付いた歴史と、どこか懐かしい味わいが感じられる特別なお菓子です。今回はその魅力に迫ります。

シュトーレンとは?

シュトーレン(Stollen)は、今や日本でもクリスマスの定番スイーツとして親しまれています。バターをたっぷり使った生地に、ドライフルーツやナッツが贅沢に練り込まれたパン菓子で、しっとりとした食感とリッチな風味が特徴です。名前の「シュトーレン」はドイツ語で「坑道」を意味しますが、その見た目から、白いおくるみに包まれた幼子イエス・キリストを象徴しているとも言われています。

シュトーレンとは

シュトーレンの起源

シュトーレンの起源は14世紀のドイツに遡ります。当時、パン職人たちのギルド(組合)がクリスマスの贈り物として、司教にシュトーレンを献上したという記録が残っています。アドヴェント(待降節)と呼ばれる12月25日までの4週間は、イエス・キリストの降誕を待つ期間であり、断食も行われていました。この期間中に食べられていたのがシュトーレンです。15世紀には、ローマ法王が「バター書簡」を発行し、シュトーレンにバターを使うことが許可され、以降、シュトーレンの味は改良を重ね、現在の形に至りました。

シュトーレンの特徴

シュトーレンは、クリスマスまでの間、毎日少しずつ食べることを想定して作られています。そのため、保存料を使わずとも長期間日持ちするよう工夫されています。一般的には、腐敗しにくい洋酒やたっぷりのバターが使用され、高温で焼き上げられることで水分量を減らし、砂糖で表面をコーティングして空気が入り込まないように仕上げられます。食べる際は、シュトーレンを端からではなく、真ん中から切り始めるのがポイントです。こうすると、切り終えた後の切り口を密着させてラップに包み、乾燥を防ぐことができます。

シュトーレンとは

クリスマスとシュトーレンの関係

ドイツでは「ヴァイナハツ・ゲビュルツ」という言葉があり、これは「クリスマスのスパイス」を意味します。それほど、クリスマスとスパイスは切っても切れない関係にあります。中世ヨーロッパでは、東洋からもたらされるスパイスが非常に貴重であり、そのため、スパイスは当時の人々にとってキリスト教と同様に重要なものでした。シュトーレンもまた、クリスマスの季節に欠かせない特別なスイーツとなっています。

シュトーレンの食べ方

本場ドイツでは、クリスマス前のアドヴェント期間中に、シュトーレンを毎日薄くスライスしながら少しずつ食べ進める習慣があります。日本でも同じ時期にシュトーレンが店頭に並び、クリスマス当日に向けて少しずつ楽しむ人が増えています。日が経つにつれて、シュトーレンに練り込まれたドライフルーツの風味が生地に染み込み、味わいがさらに深まります。味の変化を楽しみながら、ゆっくりと食べ進めるのがシュトーレンの醍醐味です。

シュトーレンとは

まとめ

それぞれのシュトーレンには製作者のこだわりが込められており、ドイツのクリスマスへの深い愛情と歴史が感じられます。シュトーレンは単なるお菓子ではなく、過去から現在、そして未来へとつながる大切な伝統を表現しています。味わい深い美味しさも兼ね備えたこのお菓子を楽しむ時、その歴史や背景を思い出してみてください。

シュトーレン