甲殻類アレルギー:食べてはいけないもの一覧と注意点
エビやカニなど、美味しい海の幸が時に危険な存在へと変わる食物アレルギー。大人になってから突然発症することも少なくありません。知らずに口にすると蕁麻疹やかゆみ、ひどい場合は呼吸困難などの重篤な症状を引き起こす可能性があります。この記事では、当該アレルギーを持つ方が避けるべき食品と、日常生活での注意点を詳しく解説します。安全に食事を楽しむために、ぜひ参考にしてください。

甲殻類アレルギーとは

甲殻類アレルギーは、エビやカニ、伊勢エビといった甲殻類に含まれる特定のタンパク質に対し、免疫システムが過剰に反応する状態を指します。乳幼児期だけでなく、大人になってから発症することも珍しくなく、ある日突然、甲殻類を食べた際にアレルギー症状が出ることがあります。症状の程度は、軽い皮膚のかゆみから、命に関わるアナフィラキシーまで幅広く、正しい知識と対応が非常に重要です。

甲殻類アレルギーの主な症状

甲殻類アレルギーの症状は、原因となる甲殻類を摂取してから通常1時間以内に現れますが、場合によっては数分で現れたり、数時間後に症状が出始めることもあります。代表的な症状としては、皮膚に現れる症状、口の中の症状、呼吸器系の症状、消化器系の症状などがあり、これらの症状が同時に複数現れることもあります。

皮膚症状:じんましん、発赤、強いかゆみ

甲殻類アレルギーの症状として、皮膚症状が現れることがあります。具体的には、蚊に刺されたような膨らみ(じんましん)、皮膚の赤み、我慢できないほどの強いかゆみ、湿疹などが挙げられます。これらの症状は、甲殻類に含まれるアレルゲンが皮膚に直接触れたり、体内に吸収されることによって引き起こされます。

口腔内症状:口や喉の腫れ、かゆみ、異物感

口腔内の症状は、甲殻類アレルギー患者のおよそ半数に見られる症状です。具体的には、唇や口の中、喉の奥が腫れる、粘膜にかゆみを感じる、いがらっぽく感じるなどの違和感があります。これらの症状は、甲殻類のアレルゲンが口の中の粘膜に触れることで起こります。

呼吸器症状:鼻水、鼻づまり、咳、呼吸困難

甲殻類アレルギーを持つ人の約3割に現れるのが呼吸器系の症状です。具体的には、鼻水、鼻づまり、咳、喘息のような呼吸音(ゼーゼー、ヒューヒュー)、息苦しさなどが挙げられます。症状が悪化すると呼吸困難を引き起こす可能性もあるため、油断は禁物です。

消化器症状:腹部の痛み、下痢、吐き気、嘔吐

甲殻類アレルギー患者の約2割弱に見られるのが消化器系の症状です。腹痛、下痢、吐き気、嘔吐などが代表的です。これらの症状は、甲殻類に含まれるアレルギー物質が消化器官を刺激することで発生すると考えられています。

アナフィラキシー:生命を脅かす深刻な状態

甲殻類アレルギーは、最悪の場合、アナフィラキシーと呼ばれる全身性の重度なアレルギー反応を引き起こすことがあります。特にエビは、甲殻類アレルギーによるアナフィラキシーの主要な原因の一つとして知られています。アナフィラキシーは、様々な臓器に影響を及ぼし、血圧の低下や意識の喪失などを伴う、生命に関わる危険な状態です。

アナフィラキシーの兆候

アナフィラキシーの症状は、急激に悪化するのが特徴です。主な症状としては、蕁麻疹、呼吸の苦しさ、喘鳴、喉の腫れ、声がれ、嘔吐、下痢、腹部の痛み、めまい、意識の消失などが挙げられます。これらの症状が同時に複数現れた場合は、一刻も早く救急車を呼ぶなどの適切な対応が求められます。

アナフィラキシーショックへの対処

もしアナフィラキシーショックの兆候が見られたら、ためらわずにアドレナリン自己注射薬(エピペン)を使用し、すぐに救急車を呼んで医療機関で診察を受けてください。エピペンは、アナフィラキシーの症状を一時的に和らげる働きをしますが、根本的な治療にはなりません。そのため、必ず病院で適切な処置を受ける必要があります。

接触アレルギー:触れただけでも症状が現れるリスク

甲殻類アレルギーの場合、甲殻類を口にするだけでなく、触れることによっても症状が出ることがあります。これは、甲殻類から出た液体や成分が皮膚を通じて体内に吸収され、アレルギー反応を引き起こすためです。特に、皮膚が赤くなる、腫れる、かゆみが出るといった症状が出やすい傾向にあります。

甲殻類アレルギーの方が注意すべき食品

甲殻類アレルギーをお持ちの方は、甲殻類そのものを避けるのはもちろんのこと、甲殻類が使われているかもしれない食品にも注意を払う必要があります。甲殻類は、料理の材料としてだけでなく、調味料や加工食品の原料としても広く使われています。商品の原材料表示をしっかり確認し、外食する際は店員に確認するなど、十分に注意しましょう。

甲殻類が含まれる加工食品の例

甲殻類が含まれている可能性がある加工食品としては、例えば、えびせん、かき揚げ、エビチリ、カニクリームコロッケ、グラタン、パスタソース、スープ、だし、ふりかけ、中華調味料などが挙げられます。これらの食品には、甲殻類のエキスや粉末などが使用されていることがあります。

外食時に気を付けること

飲食店で食事をする際は、甲殻類が使われていない料理を選ぶのは当然ですが、調理器具や油を共有している場合にも注意が必要です。特に、中華料理店や韓国料理店など、甲殻類を頻繁に使用するお店では、意図せず混入してしまう危険性があります。注文する際に、甲殻類アレルギーがあることをお店の人に伝え、できる限り対応してもらうようにしましょう。

小さなエビにも要注意

アミエビは、アレルギー表示が義務付けられている特定原材料ではありませんが、アレルギー反応を起こす人がいるため、注意が必要です。キムチや塩辛といった食品にはアミエビが使われていることがあるので、注意してください。

大人になってから甲殻類アレルギーになることも

甲殻類アレルギーは、子どもの頃だけでなく、大人になってから発症するケースもあります。大人の食物アレルギーの原因として、エビやカニが上位にランクインしているという報告があります。以前は問題なく食べられていたとしても、体質の変化などが原因で、急にアレルギーを発症する可能性があるので、油断は禁物です。

甲殻類アレルギーの検査と診断について

甲殻類アレルギーの疑いがある場合は、医療機関を受診してアレルギー検査を受けることが大切です。アレルギー検査には、血液検査や皮膚テストなどがあり、甲殻類に対するアレルギーの有無や強さを調べることができます。さらに、食物経口負荷試験を行うことで、実際に甲殻類を食べたときの体の反応を確認することもできます。

甲殻類アレルギー対策:日常生活での注意点

甲殻類アレルギーと診断された場合、安全な生活を送るためには、日々の生活の中で適切な対策を講じることが不可欠です。

食品の原材料表示を徹底チェック

市販の食品を購入する際は、原材料表示を細かく確認し、エビやカニなどの甲殻類が使用されていないか注意しましょう。アレルギー表示だけでなく、「エキス」や「調味料(アミノ酸等)」といった表示にも甲殻類由来の成分が含まれている可能性があるため、注意が必要です。

外食時の入念な確認

レストランなどで食事をする際は、甲殻類が使われていないメニューを選ぶのはもちろんのこと、調理方法や調理器具が共有されていないかについても確認するようにしましょう。アレルギー体質であることをお店側に伝え、可能な範囲で対応してもらえるか相談することが大切です。

自宅での調理における注意点

自宅で料理をする際は、甲殻類を使用した調理器具や食器を他の料理と共有しないように徹底しましょう。特に、甲殻類を揚げた油は、他の料理への二次的な汚染を防ぐため、使い回しは避けるべきです。

緊急時の対応

もし、甲殻類を口にしてアレルギー反応が出た場合は、すぐに病院へ行ってください。特に、過去にアナフィラキシーを起こしたことがある方は、アドレナリン自己注射薬(エピペン)を常に持ち歩き、使い方をしっかり覚えておくことが大切です。

甲殻類アレルギーの症状を出さないための対策まとめ

甲殻類アレルギーの症状を未然に防ぐには、まずアレルギー検査で何が原因物質(アレルゲン)なのかを特定することが大切です。そして、食品を買う際は原材料表示をしっかりチェックし、外食をする際にはお店の人に確認するなど、普段から注意するようにしましょう。万が一、症状が出てしまった場合は、すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けてください。

まとめ

甲殻類アレルギーは、軽い症状から命に関わるアナフィラキシーショックまで、様々な症状を引き起こす可能性があります。しかし、正しい知識を持ち、適切な対策をすることで、症状を予防し、安心して毎日を過ごすことができます。この記事が、甲殻類アレルギーを持つ方々や、周りの方々の理解を深め、より快適な生活を送るためのお役に立てれば幸いです。

質問1:甲殻類アレルギーは治りますか?

回答:甲殻類アレルギーは、大人になってから発症した場合、残念ながら自然に治る可能性は低いと言われています。しかし、適切な治療や管理を行うことで、症状を抑え、普段の生活に困らないようにすることは可能です。お医者さんの指示に従い、諦めずに治療を続けることが重要です。

質問2:甲殻類アレルギーがあっても口にできるものはありますか?

回答:甲殻類アレルギーを引き起こす物質は、人それぞれです。例えば、エビだけに反応する方もいれば、カニだけ、またはごく一部の甲殻類にのみアレルギー症状が出る方もいます。アレルギー検査を受けて、原因となるアレルゲンを明確にし、安全に食べられる食材を知ることで、食事の選択肢を増やすことが可能です。

質問3:甲殻類アレルギーの方が外食する際に注意すべき点はありますか?

回答:外食時には、お店の方にアレルギーがあることを必ず伝え、甲殻類が使われていない料理を選ぶように心がけましょう。さらに、調理器具や油を共有していないかを確認し、可能な限り配慮してもらうようお願いしましょう。心配な場合は、アレルギー対応のメニューを提供している飲食店を選ぶのも良いでしょう。

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