節分というと、豆まきの風景が思い浮かびますが、その「豆」には地方によって様々な特色が見られます。大部分の地域では大豆を用いていますが、ここで驚くべきは、落花生を使用する地域も存在しているという事実です。

通常、豆まきは大豆を用い、「福は内、鬼は外」と叫びながら家の内外にばらまき、厄払いを行います。これは、大豆には魔除けのパワーが宿っていると信じられているからです。また、人々は自分の年齢と同じ数だけ豆を食べるという事も楽しみの一つにしています。

一方で、南日本の一部、特に鹿児島県の地域では、大豆の代わりに「落花生」を使う伝統が息づいています。落花生の方が大豆よりもサイズが大きく重い感じがするので、遠くまで投げやすく、それが鬼を追い返す効力があると信じられています。さらに、落花生には2つの実が入っていることから、それが招福や厄除けの象徴となっています。

 

以下のように紹介していくと、北日本では主に「落花生」を用い、南日本では「大豆」を用いるといった区分けができそうですが、地域によってはさらに細かい違いが見られるので、一概には言えません。それぞれの地域で受け継がれてきた節分の風習からは、各地域の文化の深さや、日本の四季折々の行事に対する敬意が垣間見えます。

「なぜ豆ではなく落花生を撒くのか？」という疑問を抱く方も多いでしょう。答えは主に３つあるようです。

雪深い地域の影響

一つ目の理由は、雪のある地域での事情が関係しています。節分の際に豆撒きをするのは日本全土で見られる風習ですが、北海道や東北地方など、2月の時期に雪が積もっている地域では、小さな豆を撒いてしまうと、後で見つけ出すのが困難になることから、大きな落花生が選ばれるのです。さらに、殻付きの落花生は雪の影響を受けにくく、後で回収が容易というメリットもあります。

豆の生産地での伝統

二つ目の理由として、落花生の主要生産地での伝統が挙げられます。南九州地方、特に鹿児島県や宮崎県では、豆よりもむしろ落花生が身近な存在となっています。それゆえに、落花生で豆撒きを行う地域が存在するのです。また、日本をリードする落花生の名産地である千葉県でも、地元の豆を愛する意向が高まり、近年は増えつつある地域が落花生を撒いています。

カロリー摂取への対応

三つ目の理由は、昔の人々の生活に関わるものです。かつての冬場の寒冷地では、食料が豊富にないことが普通でした。そこで、乾燥した大豆ではなく、より高カロリーで腹持ちの良い落花生を撒くことで、エネルギー補給の一環として活用されたのです。

以上、このような理由から節分の際には、大豆が主流ではありますが、地域や伝統、雪や生産地などの要素により、落花生を撒く風習も存在するのです。今年の節分では、是非豆と一緒に落花生を撒いて、笑顔と幸運が一年間続くことを願ってみてはいかがでしょうか。

今回は、関東から九州の範囲で様々な意味合いを持つ、落花生を撒く風習について見て参りました。一部地域では、初夏の田植えの際や節分に向けて、新生命を讃えたり悪霊を追い払う目的で落花生を撒く風習が生きています。また、九州地方では特に福岡県で、一年の健康を祈念して12月に家の周囲や畑に落花生を撒きます。

こうした精神的な側面だけでなく、撒かれた落花生を後で拾って食べることも含めた、食料を無駄にしないという配慮に、私たちぽんたろうは驚きと共感を覚えました。

皆さんの住んでいる場所では、どちらの風習が主流ですか？「大豆エリア」の方も、節分の際にはこの「落花生を撒く」風習を取り入れて、食を大切にする風景を育んでみてはいかがでしょうか？無病息災や豊穣を願うこの風習が、今後も続いていくことを願っています。