春の訪れを告げる、清々しい香りの芹。七草粥でおなじみですが、実は様々な料理でその魅力を発揮できる万能野菜です。この記事では、芹の風味を最大限に活かすための、プロ直伝のレシピと食べ方のポイントを徹底解説します。下処理のコツから、定番のおひたし、炒め物、煮物まで、芹を余すことなく味わい尽くすための情報が満載。今まで芹の魅力を十分に知らなかった方も、この記事を読めば芹の虜になること間違いなし!食卓を彩る新たな発見が、きっと見つかります。
せりの基本:旬、特徴、部位別の魅力
せりは冬から春が旬。特に、根付きのものはこの時期ならではの味覚です。露地栽培のせりは、大地の栄養をたっぷり吸収し、香りが強く、食感もしっかりしています。一方、スポンジ付きの水耕栽培のせりは、一年を通して手に入りやすいのが魅力。露地ものに比べて香りは穏やかで葉も柔らかく、料理によって使い分けるのがおすすめです。スポンジ付きのせりは、根を食べられないので切り落としてください。せりの魅力は、葉から茎、根まで丸ごと食べられること。「せりは根が美味しい」と言われるように、近年はその美味しさが注目されています。せりの根を使った「せりそば」を提供するお店もあるほどです。生食、炒め物、煮物と様々な料理に使えるせり。香りと食感を活かすことが、美味しく食べる秘訣です。香りが好きな方は露地もの、柔らかさを楽しみたい方は水耕栽培のものがおすすめです。
せりの鮮度を保つ保存方法
せりはデリケートで傷みやすい野菜なので、購入後はなるべく早く使い切るのがベスト。購入当日、遅くとも翌日には調理するのが理想です。使い切れない場合は、適切な方法で保存しましょう。乾燥を防ぐことが重要なので、新聞紙やキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて野菜室で保存します。こうすることで、乾燥や匂い移りを防ぎ、シャキシャキ感と香りを長持ちさせることができます。ただし、あくまで一時的な保存方法なので、早めに消費してください。
せりの下処理:根から葉まで徹底解説
せりを美味しく食べるには、丁寧な下処理が欠かせません。特に、根付きのせりは、根に土や汚れが挟まっていることが多いので、しっかり洗い落とす必要があります。根を使う料理と使わない料理で下処理の方法が異なり、根まで食べる場合は念入りに、おひたしや炒め物など根を使わない場合は、根元を切り落とすだけでOKです。このセクションでは、根元から葉や茎まで、部位に合わせた下処理方法と時短テクニックをご紹介。せり本来の美味しさを引き出し、安心して料理に活用しましょう。
根の泥を落とす秘訣:竹串&専用ブラシ活用術
せりの根を美味しく味わうためには、泥や土を徹底的に除去することが不可欠です。この下処理を怠ると、せり本来の繊細な風味が損なわれ、食感も悪影響を受けます。まずは、せりを流水で丁寧に洗い、細い根や傷んだ部分を取り除き、根元を少し切り落とします。次に、水を張ったボウルに根を浸し、清潔な竹串2本を使って、根の奥深くに詰まった泥を優しく掻き出します。根が太い場合は、縦半分にカットすると、より汚れにアクセスしやすくなります。もし時間がない場合は、無理にすべての泥を取り除く必要はありません。根元を切り落とし、茎と葉のみを使用するのも一つの方法です。竹串を使った泥落としは、根気が必要な作業です。そこで、ぜひ試していただきたいのが、キッチン用の「掃除ブラシ(スクレーパー)」です。本来は、すり鉢の溝や、おろし金の目に詰まった食材を掃除するために開発されたものですが、せりの根の泥落としにも非常に効果的です。熊手のような形状の細いワイヤーが、複雑に入り組んだ根の間にしっかりと入り込み、こびり付いた泥を効率的に掻き出してくれます。一つ持っておくと、せりの下処理はもちろん、他の食材の下準備にも役立つ便利なアイテムです。丁寧に下処理したせりの根は、生のまま鍋に入れるのはもちろん、きんぴらや天ぷら、フリットにしても美味しくいただけます。独特の香りと、ほっくりとした食感を存分にお楽しみください。
葉と茎をシャキッと!水浸し&丁寧な洗い方
せりの根元の処理が終わったら、次は葉と茎をシャキッとさせるための下処理に移ります。時間が経過したせりの葉や茎は、水分が失われ、しんなりとしてしまうことがあります。せり特有の爽やかな食感を最大限に引き出すために、簡単なテクニックをご紹介します。たっぷりの冷水をボウルに用意し、せりの葉と茎を約5分間浸します。この短い時間で、せりの細胞が水分を吸収し、みずみずしさを取り戻します。特に、サラダや、おひたしなど、シャキシャキとした食感を重視する料理には、この工程が非常に効果的です。水に浸した後は、ザルにあげてしっかりと水気を切ります。余分な水分が残っていると、料理の味が薄まったり、水っぽくなってしまう原因となるため、丁寧に水気を切ることが大切です。さらに、根の処理後、汚れた水を捨ててボウルに新しい水を張り、せり全体を水中で優しく振るようにして洗うことで、目に見えない土や汚れをきれいに洗い流すことができます。この丁寧な洗浄と水浸しを行うことで、せりをより美味しく、安全に楽しむことができます。
せりのゆで方:シャキシャキ感をキープするコツ
せりを美味しく味わうためには、下処理だけでなく、適切なゆで方も重要です。せりならではのシャキシャキとした食感と、鮮やかな緑色を保つためには、ゆですぎに注意する必要があります。ここでは、せりの風味と食感を最大限に引き出すための、具体的なゆで方をご紹介します。この方法をマスターすれば、おひたしや和え物など、せりの食感が重要な料理を、より美味しく仕上げることができます。
ゆで時間:シャキシャキ感を逃さないために
せりをゆでる際は、まず鍋にたっぷりの湯を沸騰させます。湯が沸騰したら、湯の量に対して約1%の塩を加えます(例:水1リットルに対して塩10g)。塩を加えることで、せりの色鮮やかさを保ち、風味も引き立ちます。せりを鍋に入れる際は、根元を持ち、茎の部分のみを先に湯に浸し、約5秒ほどゆでます。茎は葉に比べて火が通りにくいため、先にゆでることで均一に火を通すことができます。その後、せり全体を湯に浸し、さらに約5秒ほどゆでたら、すぐに鍋から取り出します。合計約10秒という短い時間で、せりのシャキシャキとした食感を残しつつ、最適な火の通り具合に仕上がります。ゆですぎると、せり特有の食感と風味が損なわれてしまうため、ゆで時間は必ず守りましょう。
ゆでた後の適切な処理と水気絞りの重要性
せりを茹でたら、間髪入れずに冷水、できれば氷水に浸して急速に冷却します。このプロセスは、せりの鮮やかな緑色を保持し、加熱によって食感が損なわれるのを防ぐために不可欠です。冷水で十分に冷やすことによって、余熱による過剰な加熱を抑え、シャキッとした食感を保つことができます。冷えたらザルにあげ、手でしっかりと水気を絞ります。特に、おひたしや和え物など、調味液と混ぜる料理では、水気が残っていると味がぼやけてしまいます。この丁寧な水気絞りが、せり料理をより美味しく仕上げるための重要なポイントです。
せりのおひたし:香りと味わいを引き出す簡単レシピの概要
せりは、独特の香りと心地よい歯ごたえが特徴的な野菜です。ここでは、せりの持ち味を最大限に活かした、手軽に作れる人気料理「せりのおひたし」の魅力と、その簡単な調理方法についてご紹介します。おひたしは、せり本来の風味をダイレクトに味わえる、定番の和食です。せいの鮮やかな緑色を保ちながら、絶妙な茹で加減でシャキシャキ感を残すことが、美味しさの秘訣です。今回は、ご家庭で手軽に作れる2人分のレシピを中心に、せりの美味しさを最大限に引き出すためのポイントを解説します。出汁と醤油を基本としたシンプルな味付けが、せりの繊細な風味を引き立て、仕上げにかける鰹節の旨味が、さらに奥深い味わいを生み出します。
簡単!せりのおひたしの材料と具体的な作り方(2人分)
このセクションでは、せりのおひたしを作るための具体的な材料と、詳しい手順を説明します。2人分の分量で、ご家庭で気軽に挑戦できるように、分かりやすくステップごとに解説していきます。せりの下処理から味付け、盛り付けに至るまで、せりの風味を損なわずに美味しく仕上げるための各工程を丁寧に見ていきましょう。シンプルな料理だからこそ、それぞれのステップを丁寧に行うことが、最高の「せりのおひたし」を作り上げるための鍵となります。
おひたしの材料(2人分)
せり 1束、A(だし 100ml、しょうゆ 大さじ1、みりん 大さじ1)、塩 ひとつまみ、かつお節 適量
おひたしの作り方:手順詳細
耐熱ボウルに、(A)出汁100ml、醤油大さじ1、みりん大さじ1を混ぜ合わせ、電子レンジ(600W)で約20秒加熱します。加熱後、粗熱を取り冷ましてください。この工程は、おひたしの風味を決める出汁を効率良く準備するために行います。電子レンジを使うことで、手軽に加熱でき、時間がない時でも簡単に調理できます。出汁を冷ますことで、せいの色鮮やかさを保ちながら、しっかりと味を染み込ませることが可能です。
せりは根元を丁寧に切り落とし、下処理で土や汚れをしっかり落としておきます。沸騰したお湯(塩を少量加える)でさっと茹で、鮮やかな緑色になったらすぐに冷水にとり、冷まします。茹ですぎるとせり独特のシャキシャキ感が損なわれ、風味も落ちてしまうため、手早く茹でることが大切です。「せりの基本的な茹で方」を参考に、茎から先に茹でることで、最適な状態に仕上がります。
冷ましたせいを4cmほどの長さに切り、手でしっかりと水気を絞ります。軽く醤油(分量外)をかけ、再度水気を絞ることで、余分な水分が抜け、調味液がムラなく染み込み、水っぽさを防ぎ、せり本来の風味と食感を引き立てます。
準備したせいを、冷ました調味液(A)と優しく和えます。せいの繊細な食感を損なわないように、全体に味が馴染むように混ぜ合わせましょう。器に盛り付け、お好みで花かつおをかければ完成です。かつお節の風味が、おひたし全体の味に深みと香ばしさを加え、せりの香りをさらに引き立て、美味しくいただけます。
せりを使った多様な食べ方:プロが教える応用レシピ3選
せりは、その独特な香りとシャキシャキとした食感で、和食に限らず様々な料理に使える万能な食材です。ここでは、せりの新たな魅力を引き出す3つの調理法(生で、炒めて、煮て)を使ったレシピをご紹介します。これらのレシピは、せりの根から葉まで余すことなく使い、簡単に作れるように工夫されています。ぜひ、いつもと違うせりの味わいを楽しんでみてください。
生のまま楽しむ!「せりと鯛のラープサラダ」:エスニックな風味と爽やかな食感
せりを生のまま味わえるのが、この「せりと鯛のラープサラダ」です。せりを刻んでサラダに加えることで、その爽やかな風味をダイレクトに感じられます。新鮮な白身魚(鯛)と柑橘類、ミントやディルなどのハーブをたっぷり使い、エスニック風のピリ辛ドレッシングで和えれば、複雑ながらもバランスの取れた味わいに魅了されるでしょう。
ラープはラオスやタイの東北地方で親しまれている料理で、本来は独特の風味を持つ葉野菜が使われますが、日本では手に入りにくいこともあります。しかし、せりの個性的な香りが、その代わりとして十分に機能し、本場の味を彷彿とさせる一品に仕上がります。露地栽培のせりを使えばより風味豊かに、水耕栽培のせりを使えばマイルドな味わいに調整できます。
このレシピではせりの根は使いませんが、余った根は鍋物や炒め物、かけ蕎麦、かけうどんの具材として活用したり、天ぷらなどの揚げ物にするのもおすすめです。鯛とせりの組み合わせがもたらす、新しいサラダをぜひお試しください。
ラープサラダの材料(2〜3人分)
鯛(刺身用)120g、A(ナンプラー 大さじ1、ライム汁(またはレモン汁)小さじ2、にんにく(すりおろし)小さじ1/2、砂糖 少々)、せり 1/2束、あさつき 3本、きゅうり 1/2本、文旦(またはグレープフルーツ)1/4個、すりごま(白)大さじ1、B(ナンプラー 大さじ1、ライム汁(またはレモン汁)大さじ1、一味唐辛子 小さじ1/4、砂糖 小さじ1/2、米油 小さじ1)、ミント(あれば)適量、ディル(あれば)適量
ラープサラダの調理法
新鮮な鯛を準備します。刺身用の柵であれば、食べやすいように3~4等分にカット。柵の場合は、1.5cm角に丁寧に切り分けます。下ごしらえとして、切った鯛をバットに移し、ナンプラー大さじ1、ライム(またはレモン)汁小さじ2、すりおろしにんにく小さじ1/2、そして少量の砂糖を加え、手で優しく揉み込みます。その後、ラップをかけ、冷蔵庫で20分以上冷やし、鯛にしっかりと味を染み込ませます。セリは根元を切り落とし、2~3cmの長さにカット。同様に、あさつきも2~3cmの長さに切ります。きゅうりは縦半分にカットし、スプーンで種を取り除いた後、3mm幅の斜め薄切りにします。文旦は丁寧に房から実を取り出し、粗くほぐします。ボウルに、軽く水気を切った鯛、セリ、あさつき、きゅうり、文旦、そして風味豊かなすりごま大さじ1を加え、優しく混ぜ合わせます。最後に、ナンプラー大さじ1、ライム(またはレモン)汁大さじ1、ピリ辛の一味唐辛子小さじ1/4、砂糖小さじ1/2、そして風味付けに米油小さじ1を加え、全体を丁寧に和えます。盛り付けの際は、器に盛り付け、お好みでフレッシュなミントやディルを散らすと、彩り豊かに仕上がります。
シャキシャキ感がたまらない!セリと豚肉の辛子醤油炒め:シンプルながらも奥深い味わい
セリを根っこから使用した炒め物は、油で炒めることでセリならではのシャキシャキとした食感が際立ち、満足感のある一品となります。味付けは醤油と練り辛子のみというシンプルさで、すぐに作れる手軽さが魅力です。しっかりとした味わいは、ビールのお供にはもちろん、ご飯との相性も抜群で、食欲をそそります。美味しく仕上げるコツは、豚肉を細切りにし、セリと大きさを揃えることで、口にした時の食感のバランスを整えることです。また、セリは根、茎、葉の順に分けて加熱するのがポイントで、先に触れたセリの茹で方を参考に、加熱時間を調整しましょう。火が通りにくい根の部分は、豚肉と一緒に最初に炒めてしっかりと火を通し、茎は調味料を加えるタイミングで投入します。葉はすぐに火が通るので、最後に加えて余熱で火を通す程度に留めることで、それぞれの部位が持つ食感を最大限に活かすことができます。練り辛子の風味は加熱によって飛びやすいので、お好みで盛り付けた後に練り辛子を追加するのもおすすめです。
辛子醤油炒めの材料(2人前)
豚ロース薄切り肉 150g、A(酒 大さじ1、醤油 小さじ1、片栗粉 小さじ1)、セリ 1束、ごま油 大さじ1、醤油 大さじ1、練り辛子 大さじ1/2〜1
辛子醤油炒めの作り方
セリは根、茎、葉に分け、葉と茎は4~5cmの長さにカットします。太い根は縦半分に切っておきます。豚ロース薄切り肉は5mm幅に細切りにし、ボウルに入れてほぐし、Aの酒大さじ1、醤油小さじ1、片栗粉小さじ1を加えてよく揉み込みます。醤油大さじ1と練り辛子大さじ1/2〜1は、あらかじめ混ぜ合わせておきます。フライパンにごま油大さじ1を入れ、中火で熱し、豚肉とセリの根を加えて2分ほど炒めます。肉に火が通ったらセリの茎を加え、混ぜておいた調味料を回し入れ、手早く炒めます。セリの茎がしんなりとしてきたら葉を加え、さっと混ぜ合わせたら火を止め、完成です。
根の滋味を堪能!「せり鍋、みぞれ仕立て」:あっさり風味のご当地アレンジ
せりを使った料理として広く知られるのが鍋料理、中でも「せり鍋」は、根の部分が主役と言えるほど、その美味しさが際立っています。宮城県のせり鍋や秋田県のきりたんぽ鍋など、各地の特色ある鍋料理に使われていることでも有名ですが、今回は大根おろしをたっぷり加えて「みぞれ仕立て」にすることで、さっぱりとした口当たりと奥深い味わいを同時に楽しめる逸品をご紹介します。体の芯から温まり、胃にも優しいみぞれ仕立てのせり鍋は、帰宅が遅くなった日の夕食にも最適です。このレシピでは比較的入手しやすい鶏むね肉を使用していますが、代わりに旬の牡蠣を加えるのもおすすめです。魚介の旨味が加わることで、さらに豊かな風味に仕上がります。鶏むね肉を使用する際は、事前に軽く片栗粉をまぶしておくと、加熱しても固くならず、しっとりとした食感を保てます。せりの根は、鶏肉と一緒にじっくりと煮込むことで、ほっくりとした食感と共に、せりならではの甘みとほろ苦さが存分に引き出され、その美味しさを堪能できます。一方、せりの葉は煮込みすぎると香りが失われ、食感も悪くなるため、熱い煮汁にさっとくぐらせる程度の加熱でいただくのが、一番美味しい食べ方です。せりから溶け出した旨味がたっぷり詰まった煮汁も格別で、〆にうどんや蕎麦を加えて、最後までその豊かな風味を味わい尽くすのがおすすめです。
みぞれ仕立ての材料(2人分)
せり 1束、長ネギ 1/2本、鶏むね肉 200g、A(酒 大さじ1、片栗粉 大さじ1)、だし汁 400ml、醤油 大さじ2、みりん 大さじ1、大根おろし 150g(軽く水気を切る)、お好みで七味唐辛子
みぞれ仕立ての作り方
せりは丁寧に洗い、葉、茎、根に分けます。葉と茎は4~5cmの長さにカットし、根は太い場合は縦半分に切ります。長ネギは斜め薄切りにします。鶏むね肉は薄切りにし、ボウルに入れてAの酒と片栗粉を加えてよく揉み込みます。鍋にだし汁を入れ、中火で加熱します。沸騰したら醤油とみりんを加え、せりの根、鶏むね肉、水気を切った大根おろしを加えます。再び沸騰したら長ネギ、せりの茎と葉を加え、さっと煮ます。全体が温まったら器に盛り付け、お好みで七味唐辛子を添えてお召し上がりください。
せりの長期保存方法:下茹で後の冷凍で風味を逃さず鮮度を維持
シャキシャキとした食感と独特の香りが魅力のせりは、できる限り新鮮な状態で味わうのが一番です。しかし、一度に使いきれない場合や、旬の時期以外にもせりを楽しみたいと考えることもあるでしょう。そんな時は、適切な方法で冷凍保存することで、せりの風味と食感を長期間保つことができます。ただし、冷凍によって水分が失われ、食感が変わりやすいため、いくつかのポイントを意識して保存することが重要です。ここでは、野菜の専門家が推奨する、せりを下茹でしてから冷凍する具体的な方法と、解凍後の活用方法を詳しく解説します。
冷凍方法:葉、茎、根それぞれの適切な下準備と保存
せりを冷凍保存する際には、まず丁寧に下処理をした後、部位ごとに適した長さにカットします。葉と茎の部分は、調理する際に使いやすいように1~2cm程度に切りそろえておきましょう。せりは冷凍すると水分が失われやすく、繊維が目立ちやすくなるため、あらかじめ短くカットしておくことで、解凍後の口当たりを良くすることができます。根を冷凍する際は、軽く下茹でするのがおすすめです。沸騰したお湯で20秒ほどさっと茹でることで、冷凍による食感の変化を最小限に抑えられ、本来のほっくりとした食感を保ちやすくなります。下処理を終え、しっかりと水気を絞った葉と茎、そして下茹でした根を、それぞれ1回分の使用量ずつ小分けにしてラップで丁寧に包みます。ラップで包むことで、乾燥や冷凍焼けを防ぎ、品質を保ちます。根は葉や茎とは異なる用途で使用することが多いため、別々にラップで包み保存すると、使用する際に便利です。ラップで包んだせりを冷凍用保存袋に入れ、空気をできる限り抜いて袋の口を閉じ、冷凍庫で保存します。この方法で保存することで、約1ヶ月程度はせりの風味を損なわずに保存可能です。
解凍方法と使い方:様々な料理への応用
冷凍したせりを解凍する際は、用途に応じて解凍方法を使い分けましょう。葉や茎を和え物や汁物の彩りとして使用する場合は、冷蔵庫で自然解凍します。25gあたり約3時間を目安に解凍し、完全に解凍する前に半解凍の状態で使用することで、シャキシャキとした食感を残すことができます。解凍後は軽く水気を絞ってから料理に加えましょう。冷凍した根は、凍ったまま鍋物や炒め物、きんぴらなど、加熱調理する料理に直接加えて調理できます。凍ったまま加熱することで、解凍時の水っぽさを防ぎ、せりの根特有のホクホクとした食感を美味しく味わえます。冷凍保存は、せりを無駄なく使い切り、旬の味をより長く楽しむための有効な手段です。
まとめ
せり(芹)は、春の訪れを告げる七草粥の材料として知られるだけでなく、その独特の香りと心地よい歯ごたえで、一年を通して色々な料理に使える魅力的な野菜です。ここでは、せりの基本的な情報から、鮮度をできるだけ長く保つための冷蔵テクニック、さらに長期保存を可能にする冷凍方法まで、詳しくご紹介します。せりは根までおいしく食べられることや、水耕栽培と露地栽培のせりの使い分けのポイントなど、せりをより深く理解し、楽しめる情報が満載です。今回ご紹介するレシピや保存方法はどれもご家庭で簡単に試せるものばかりですので、ぜひ旬の新鮮なせりを見つけたら、色々な調理方法を試して、その豊かな風味と食感を毎日の食卓で心ゆくまで味わってみてください。きっとせりの新しいおいしさに出会えるはずです。
せりは生で食べられますか?
はい、せりは葉や茎を加熱せずにそのまま食べることが可能です。特に「せりと鯛のラープサラダ」のように、細かく刻んでサラダにすることで、独特の香りをさっぱりと楽しむことができます。ただし、根の部分は通常、加熱調理して食べることが推奨されています。
せりの根っこは食べられますか?また、下処理はどうすれば良いですか?
はい、せりの根っこは食べることができ、「せりは根がおいしい」と言われるほど人気があります。宮城のせり鍋や秋田のきりたんぽ鍋など、各地の郷土料理にも使われています。下処理としては、根元を切り落とし、水を張った容器の中で竹串2本を使って根と根の間の泥を落とす方法が一般的です。より手軽な方法として、すり鉢やおろし金用の「掃除ブラシ(スクレーパー)」を使うこともできます。水耕栽培で根にスポンジが付いている場合は、その部分は食べられないため切り落としてください。
せりの旬はいつですか?通年手に入れることはできますか?
せりは冬から春にかけて旬を迎える野菜で、特に根付きの露地栽培のものはこの時期に多く出回ります。一方、根にスポンジが付いた水耕栽培のせりであれば、一年を通してスーパーなどで手に入れることができます。水耕栽培のものは露地栽培のものと比べて香りが穏やかで葉が柔らかい傾向があります。
せりを美味しく保管するには?
せりは鮮度が落ちやすく、傷みやすいのが難点です。購入後はできるだけ早く、当日か遅くとも翌日には使い切るようにしましょう。冷蔵保存する際は、乾燥を防ぐために新聞紙やキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて野菜室で保管するのがおすすめです。長期保存したい場合は、下茹でしてから冷凍保存すると良いでしょう。葉や茎は1~2cm幅にカット、根は軽く20秒ほど茹でて、それぞれ小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍すれば、約1ヶ月程度保存できます。
せりの部位(葉、茎、根)別、調理のコツは?
せりは、部位ごとに最適な加熱時間で調理することで、より美味しくいただけます。炒め物にする際は、火が通りにくい根の部分から先に炒め、続いて茎、最後に葉を加えて余熱で火を通すのがポイントです。こうすることで、それぞれの部位の異なる食感を楽しめます。鍋料理の場合も同様で、根はしっかり煮込み、葉はさっと煮汁にくぐらせる程度にすると美味しく仕上がります。下茹でする際は、沸騰したお湯に1%程度の塩を加え、まず茎を5秒、全体をさらに5秒茹でてすぐに冷水に取り、水気をしっかり絞ると、シャキシャキとした食感を損なわずに済みます。
定番料理以外に、おすすめのせりの食べ方は?
せりは、おひたしや鍋物、七草粥といった定番料理以外にも、様々なアレンジが可能な万能野菜です。例えば、生のまま鯛や他のハーブと合わせて、エスニック風のラープサラダにするのもおすすめです。また、豚肉とシンプルに炒め、辛子醤油で味付けすれば、せりのシャキシャキとした食感を存分に味わえます。下処理した根の部分は、きんぴらや天ぷら、フリットなどの揚げ物にするのも美味しく、普段とは違ったせりの魅力を発見できるでしょう。
冷凍したせりの解凍方法と、調理への活用方法は?
冷凍保存したせりの葉や茎は、冷蔵庫で少量ずつ(約25gあたり3時間程度)を目安に半解凍し、和え物や汁物の彩りに使うと、食感を保ったまま美味しくいただけます。冷凍した根を使う場合は、解凍せずに凍ったまま鍋物や炒め物などの加熱調理に加えてください。凍ったまま加熱することで、解凍時に出る水分で水っぽくなるのを防ぎ、ホクホクとした食感を楽しめます。













