ウルシ科とは？

ウルシ科の果物によるアレルギー

ウルシ科アレルギーの人が注意すべき食べ物

ウルシ科の植物は多様な種類が存在します。

ウルシ科には、カシューナッツ、マンゴー、ピスタチオなども含まれます。

ウルシ科の果物は、一般的に種子を一つ含んでいます。

落葉性のものと常緑性のものがあります。

果実を食用とするもの、材木を利用するものなどがあります。

漆器の材料として、耐久性や美しさを与えるために利用されます。

蝋燭や化粧品の原料として利用されてきました。

マンゴー：濃厚な甘みと香りが特徴で、世界中で愛される果物です。

カシューナッツ：独特の風味と食感が特徴で、そのまま食べるだけでなく、料理やお菓子にも利用されます。

ピスタチオ：鮮やかな緑色が特徴的なナッツで、風味豊かで様々な料理やお菓子に使われます。

ウルシ：樹液は、止血や駆虫の効果があると言われています。

ヌルデ：樹皮は、解熱や鎮痛の効果があると言われています。

ウルシ：木材は堅くて美しい光沢があり、高級家具や漆器などに利用されます。

ウルシ：ウルシオールを含む樹液に触れると、皮膚にかゆみや炎症が生じることがあります。

マンゴー：ウルシ科であるため、ウルシに対するアレルギーを持つ人がマンゴーを食べると、口の周りなどにかゆみや腫れが生じることがあります。これは、マンゴーの皮に含まれるウルシオールに似た成分が原因と考えられています。

カシューナッツ：アレルギーを起こしやすい食品の一つです。じんましん、呼吸困難などの症状が現れることがあります。

日本

双子葉植物

漆器

ウルシ属

マンゴー

カシューナッツ（厳密には種子ですが、果物として扱われることもあります）

ウルシ科の概要: ウルシ科は、生物学的にはムクロジ目に分類されるグループで、およそ83の属と860の種を含んでいます。日本国内では、ウルシ、ヌルデ、ハゼノキなどが自然に生育しており、世界的にはマンゴー、ピスタチオ、カシューナッツといった、経済的に重要な植物もこの科に属しています。

名前: 学術的な名称であるAnacardiaceaeは、カシューナッツが基準となっています。また、日本語ではハゼノキ科という名前も使われています。

形態（全般）: ウルシ科の植物は、低木から高木まで様々な形態を取ります。葉、根、幹の内部構造（皮層、髄、師管、木部放射組織）には樹脂の通り道が発達していることが多く、特に髄に見られる樹脂道は、多くの種に共通する特徴とされています。これらの樹脂や乳液には、触れると炎症を引き起こす可能性のある物質が含まれている場合があります。また、タンニンを含む細胞も頻繁に観察されます。

形態（道管）: ウルシ科の植物では、水や養分を運ぶ道管の要素が、単穿孔と呼ばれる単純な構造で繋がっていることが多いです。しかし、一部の種では階段状の穿孔も見られます。道管は、隣接する柔組織細胞とも単穿孔で連結されています。

形態（葉）: 葉は、落葉するものと常緑のものがあり、通常は互い違いに生えるか、対になって生えます。托葉と呼ばれる葉の付け根にある小さな構造は通常ありません。多くの場合、葉は奇数羽状複葉という、複数の小葉が羽のように並んだ形をしていますが、まれに偶数羽状複葉や、一枚の葉である単葉も見られます。小葉は、通常は対になって生えますが、互い違いに生えることもあります。葉脈は、通常は羽状ですが、まれに手のひら状になることもあり、二次脈のパターンは多様です。

形態（花）: 花は小さく、目立たないものが多いです。花序は円錐花序と呼ばれる形で、枝の先端や葉の付け根から生え、苞と呼ばれる小さな葉が付いています。花は、両性花（雄しべと雌しべの両方を持つ花）または単性花（雄しべか雌しべのどちらか一方しか持たない花）であり、多くの場合、両性花と雄花が咲く株と、両性花と雌花が咲く株が存在します。萼片と花弁は数が同じで、3〜7個が瓦のように重なって並びます。まれに花弁がない場合もあります。雄しべは互いに離れており、花弁の数の2倍以上あり、肉厚な輪状または杯状の蜜を分泌する器官の基部から生えています。子房は花の一番奥に位置し、雄花では1室、雌花では1室または4〜5室、まれに4〜6室で、それぞれが独立した心皮で構成されています。花柱は心皮と同じ数か1本で、胚珠は1つの子房室につき1つです。

形態（果実・種子）: 果実は通常、核果と呼ばれる、種子が硬い殻に包まれた形をしており、熟しても自然に裂けることはありません。種皮は非常に薄く、胚乳（種子が発芽する際に栄養となる組織）はないか、あってもごくわずかです。子葉は肉厚です。

生態: カラスがウルシ属の種子を好んで食べることが知られています。

樹液・樹脂（ウルシ塗料）: 日本におけるウルシ科植物の最も有名な利用法は、樹液を塗料として利用することです。成長期の夏に、ウルシの幹に傷をつけ、そこから滲み出てくる樹液を採取します。この作業は「ウルシを掻く」と呼ばれます。樹液が乾燥して傷口を塞ぐと樹液が出にくくなるため、数日おきに傷をつけ、樹液を採取し続けます。

樹液・樹脂（掻き方と生産）: ウルシの掻き方には、その年の採取が終わる晩秋に樹を伐採する「殺し掻き」と、翌年以降も採取を続ける「養生掻き」があります。国産漆の約7割を生産する岩手県二戸市浄法寺町では、15〜20年生のウルシの樹を掻き始め、その年に伐採する殺し掻きが行われています。ここで採取される漆は「浄法寺漆」としてブランド化されています。

樹液・樹脂（アジアでの利用）: ウルシ科の樹液から作られた漆器は、日本だけでなくアジア地域に広く見られます。例えば、ベトナムではSon dong（ソン・ドン）と呼ばれるものが漆として用いられています。また、ギリシャのキオス島では、Pistacia lentiscus（マスティックガムの木）からマスティックと呼ばれる樹脂を採取し、利用しています。

木蝋: ウルシ科の植物の果実からは、木蝋と呼ばれる蝋が採取され、和蝋燭の原料などに使用されます。特にハゼノキが和蝋燭の原料として利用されています。

食用（種子・果実）: カシューナットノキ属のカシューナッツと、カイノキ属のピスタチオは、種子が食用として広く知られています。ウルシ科の果実は、柔らかく傷みやすいものが多いため、世界的に広く流通しているマンゴー属の種を除き、生産地の近くでしか流通しないことが多いです。

食用（飲料・料理）: 地中海沿岸地域では、樹脂であるマスティックガムを香料として使った飲料が販売されています。インドでは、カシューナットノキの果実部分からcashew feniと呼ばれる酒が造られています。また、韓国料理には、ウルシの樹皮を煮込んだ漆鶏湯（オッケタン）という料理もあります。

薬用: 漢方や各地の伝統医学において、ウルシ科の植物が薬として用いられることもあります。

木材（高級材）: 南米産のマカマカ（学名: Astrocaryum vulgare）の木材は、虎の縞模様のような美しい模様を持ち、「タイガウッド」とも呼ばれ、国際的に取引されています。中米原産のココボロ（学名: Dalbergia retusa）も、有用な木材として知られています。

木材（加工の困難さ）: 熱帯地域原産のウルシ科植物の中には、細胞の中にシリカの結晶を含むものがあり、そのため木材が非常に硬く、切削する際に刃物を傷めてしまうことがあります。細胞中にシリカを含むという特徴は、熱帯の樹木によく見られるもので、イネ科の一部の植物にも知られています。

アレルギーの原因植物として: ウルシ科の植物は、種類によって含有量や成分構成は異なりますが、ウルシオールやラッコール（隣接する位置にヒドロキシ基を2つ持つカテコールの一種）を樹液に含んでいます。これらの物質に触れると、皮膚炎を引き起こすことがあります。

アレルギー（食用によるもの）: 食用として利用されるマンゴーやカシューナッツ、ピスタチオでも、アレルギーの報告があります。特にカシューナッツは、特定原材料としての表示義務はありませんが、表示を推奨する食品に指定されています。

分布: ウルシ科の植物は、熱帯・亜熱帯地域に多く分布しており、温帯に分布する種は少数です。特に、熱帯アメリカ、アフリカ、インドに多くの種が集中しています。南ヨーロッパではPistacia属とRhus属のいくつかの種が見られ、北アメリカではヌルデ属が、南アメリカではSchinus属が広く分布しています。

分類（歴史の始まり）: ウルシ科に相当する概念が最初に登場したのは、1789年にアントワーヌ・ローラン・ド・ジュシューによって記載された「Terebintaceae」です。これは、1759年に彼の叔父であるベルナール・ド・ジュシューがトリアノン庭園を設計する際に用いた植物のグループ分けに基づいており、カシューナッツ、タイトウウルシ、マンゴー、ウルシ、ヌルデなどの属のほか、現在ではミカン科として分類されている属も含まれていました。

分類（ブラウンとデカンドール）: ロバート・ブラウンは1818年に、コンゴ川探検で採取された標本を調査し、ジュシューの分類を引き継ぎ、Terebintaceaeの下位分類群として「Cassuvlae（Anacardeae）」を認めました（ただし、標本にはヌルデ属しか含まれていませんでした）。1824年には、オーガスティン・ピラムス・ド・デカンドールがブラウンの名称を使用し、Pistacia属、Rhus属、Spondias属を残しつつも、ウルシ属などを別の科として除外し、新たにAnacardium属、Mangifera属、Schinus属、Semecarpus属、Toxicodendron属を追加しました。

分類（リンドリーと現代分類への接近）: 1831年、ジョン・リンドリーは、現在のようにカシューナッツを基準とする「Anacardiaceae」という分類体系を導入し、ウルシ属などを再び含めることで、現在の分類に近づけました。

分類（連と亜科）: アドルフ・エングラーはウルシ科に5つの連を認めていましたが、アーサー・クロンキストはこれらを2つの亜科にまとめました。この亜科分類は、分子系統解析によっても支持されています。

分類（カイノキ属の論争）: カイノキ属（Pistacia属）は、単純化された花の構造、花粉の形態、羽毛状の花柱などに基づいて、カイノキ科として分離されることがありました。しかし、胚珠の形態やDNA分析の結果から、カイノキ属はウルシ科の一員であることが示されています。

旬の話題「アップルマンゴー」: アップルマンゴーは、丸い形と赤い皮が特徴で、完熟すると濃厚な甘味と良い香りが楽しめます。ウルシ科に属するため、ウルシにかぶれやすい人は注意が必要です。

アップルマンゴー（産地と品質）: メキシコ産などの輸入品が主に流通していますが、初夏からしばらくの間は、沖縄産や宮崎産の国産品も市場に出回ります。国産品は高価ですが、完熟した美味しさを味わうことができます。宮崎県では、樹上でネットをかけ、完熟して自然に落下したものを収穫する産地もあります（宮崎県産の「太陽のたまご」が有名です）。輸入品は、空輸されたものが鮮度が高いです。

アップルマンゴー（用途）: 国産の完熟品は、そのまま食べるのが最適です。輸入品は比較的安価なため、ピューレにしてソースやマンゴープリンなどに利用されます。完熟した香りを活かすのが、料理のポイントです。

ウルシ科の果物一覧: ウルシ科は、双子葉植物のムクロジ目に含まれており、83属860種が存在します。日本には、ウルシ、ヌルデ、ハゼノキが自生しています。

ウルシ科の果物・ナッツ（具体例とアレルギー）: マンゴーが果物として、ピスタチオ、カシューナッツが種実類（ナッツ）として有名です。ウルシ科の植物は、ウルシオールやラッコール（カテコール）を樹液に含んでおり、皮膚炎の原因となることがあります。マンゴー、カシューナッツ、ピスタチオからも植物アレルギーの報告があり、特定原材料表示が推奨されています。