煎茶とは

煎茶というと、何となく日本独自の香りと風味が溢れ出るといったイメージを抱く人も多いはずです。それもそのはず、煎茶は特有の製法を経て生まれる、日本特有の緑茶なのです。その製法とは「蒸し」。緑茶の中でも特に評価されている煎茶や玉露は、「蒸し」の製法を用いることにより、独特な風味と美しい緑色を引き立てます。

一番の特徴はその風味の深さと鮮やかさです。煎茶は蒸し製法によって茶葉本来の濃厚でコクのある風味を最大限に引き出し、それが鮮烈な苦みと結びついて独特の味を作り出します。それはまさに、深い落ち着きと癒しを感じさせます。

さらに二つ目の特徴として挙げられるのがその香りの良さです。煎茶特有の「ほうじ香」は、すこしの甘みと香ばしさがあり、飲む人にリラクゼーションを助け、一日の疲れを取り除いてくれます。

これらの特長的な風味と香りこそが、煎茶が長年に渡り日本人から愛されている理由なのです。「蒸し」の製法により生まれた煎茶の風味と香りを楽しむことで、あなたのティータイムはきっと一段と豊かなものになるでしょう。

煎茶の製造は、その特異な技術と長年の経験を詰め込んだ工程で成り立ちます。本来の製造工程は大きく1次加工と2次加工の2段階に分かれます。

1次加工では、春に最も美味とされる新芽を収穫後、茶葉は直ちに工場へ運ばれ、蒸熱の工程へと進みます。ここでの蒸熱の時間は煎茶の特色を決める重要なポイントであり、通常の時間の2倍〜3倍蒸すと「深蒸し煎茶」として知られる茶葉になります。蒸熱後の茶葉は即時に冷却されます。その後、粗揉、揉捻、中揉、整揉と続く揉み工程で葉の形と風味を整え、乾燥機へと送られます。乾燥工程により、香りがより引きたてられ、長期保存が可能となります。

2次加工では、荒茶と言われる1次加工が終わった茶葉を、ブレンドする合組、篩（ふるい）分け、再度の乾燥、そして火入れなどの工程により、完成形の煎茶へと導かれます。最終的に煎茶は袋に収められ、出荷され、消費者のもとへと届けられます。

深蒸し煎茶は短い時間で淹れられるのが特徴で、細かいお茶の葉からは食物繊維やタンパク質、ビタミンEなどの栄養成分を直接身体に取り込むことが可能となり、渋みが少なく濃厚な味わいが楽しめるとされています。

このような製造過程を理解することで、煎茶の深さをより味わうことができ、日本の茶文化の魅力を再発見する素晴らしい手段になるでしょう。

美味しい煎茶を淹れるための方程式は次のようになります。 ①茶葉の量　②お湯注ぎの速度　③お湯の温度　④蒸らす時間、すべてが大切です。

まず、①茶葉の量は、一人分で大さじ1杯が目安です。茶葉を急須に入れる前に香りを楽しむ時間を持つこともおすすめです。次に②お湯注ぎの速度ですが、ゆっくりと注ぐことで、急須内の茶葉が均等に濡れ、味がムラにならず均一で美味しい煎茶に仕上がります。

そして③お湯の温度ですが、ポットからすぐに注ぐのではなく、80〜90度に冷ましてから使用します。お湯が適度な温度であれば茶葉が開き、美味しい風味と香りが引き立ちます。

最後に④蒸らす時間ですが、2分間じっくりと自然に蒸らすことで、風味がじっくりと抽出され、煎茶本来の美味しさを存分に味わうことができます。

また、注ぎ終わったら急須の中に一滴も残さず、旨みと甘みをきちんと引き出すことが大切です。

これらのポイントを守れば、煎茶独特の風味と香りを十分に引き出すことができ、一杯でも充分な安らぎを感じることができます。また、煎茶はリラックスする時間を作ることができるため、日々の活動を終えた後や新たな一日の始まりとして、煎茶の時間を持つことが推奨されます。自分だけの特別な時間を作成し、心にゆとりを持つための良い機会となるでしょう。

煎茶は、深い緑色と落ち着いた香り、またそれを楽しむための様々な方法を通して、日本人の生活と心に深く根差してきました。その製法の一つ一つが日本文化の象徴であり、その一杯の中には日本人の生活や風景が詰まっています。これからも、我々は煎茶の魅力を引き立て、それを伝えるために努力を続けて参ります。