緑豊かな山野に自生するサルナシは、生命力あふれるつる植物。日本では古くから親しまれてきましたが、近年「ベビーキウイ」という愛らしい名前で、その魅力が再発見されています。キウイフルーツを小さくしたような可愛らしい見た目と、濃厚な甘みが特徴。この記事では、サルナシの生態から、その栄養価、栽培方法、そして美味しい食べ方まで、知られざるサルナシの魅力に迫ります。
サルナシ(ベビーキウイ)とは?
サルナシは、マタタビ科に属するつる性の落葉樹で、雌株と雄株があります。日本のほか、中国や朝鮮半島にも分布しており、生育場所を選ばない丈夫な性質を持っています。近年では、その可愛らしい見た目から「ベビーキウイ」という名称でも広く知られるようになりました。
サルナシの基本情報
サルナシは、日本各地に自生する果実で、特に北海道から九州にかけて多く見られます。「コクワ」という別名でも呼ばれており、その名の由来は、猿が好んで食べる梨に似た果実であることからきています。親しみやすい名前である「コクワの実」は、歌のタイトルにも使われるほど、日本人にとって馴染み深い存在です。サルナシは、可憐な白い花を咲かせ、秋には甘酸っぱい小さな果実を実らせます。「あまりの美味しさに猿が食べ尽くしてしまう」という言い伝えがあるほど美味で、花言葉は「誘惑」です。
サルナシの栄養価
サルナシは、豊富なビタミンやポリフェノールを含有しており、健康食品としても注目を集めています。特にビタミンCの含有量はレモンの10倍以上、ビタミンEはアボカドの2倍とも言われています。その他にも、βカロテン、カリウム、ルテインなどが豊富に含まれています。また、サルナシにはタンパク質分解酵素も多く含まれています。ツルや葉も有効活用でき、乾燥させて焙煎した「サルナシ茶」は、抗酸化作用や抗遺伝毒性作用を持つことが研究によって明らかになっています。
サルナシの品種
サルナシは、主に東アジアに分布し、約40種類が存在すると言われています。日本国内では、主にマタタビ、シマサルナシ、ウラジロマタタビ、ミヤママタタビの4種が見られます。一般的に流通しているサルナシは、野生の木から優れた系統を選び栽培されたものです。国内の主な品種としては、光香、峰香、蛇喰、花の井、昭和系、月山系、淡路系、平野系などがあります。サルナシは、自然に生えているものから交配された品種まで、様々な種類が存在します。その実は「ベビーキウイ」とも呼ばれ、甘みと酸味が調和した美味しい果実です。現在、市場に出回っているキウイフルーツは、中国原産のオニマタタビを改良したもので、サルナシとキウイフルーツは、果肉の色、種の色、そして風味において共通点が多く見られます。サルナシには、貫太郎、里泉、長寿郎といった品種のほか、およそ300種もの種類があると言われています。中には、赤色や紫色をした実をつける品種(例えば紫香)も存在します。
サルナシの歴史
サルナシは、縄文時代から日本人に食されてきたと考えられています。文献における最も古い記録は、貝原益軒の「大和本草」(1708年)に「彌猴桃(ヤマナシ)」という名で登場します。このことから、当時から日本人が自然の恵みとして利用してきたことがわかります。現在では、日本国内だけでなく、韓国、中国、シベリアといった地域にも自生しており、「新しいキウイフルーツ」として、アメリカ、ニュージーランド、ヨーロッパなどでも栽培されています。
結び
サルナシは、昔から日本人に愛されてきた美味しい果実です。比較的育てやすく、家庭でも気軽に栽培を楽しめます。この記事を参考に、ぜひサルナシの栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。自分で育てたサルナシを味わう喜びはひとしおです。また、サルナシを使った様々な料理や加工品を試して、その魅力を満喫してください。
質問1:サルナシは一本でも実がなりますか?
回答:サルナシは雌雄異株であるため、一本だけでは実をつけません。実を収穫するためには、雄株と雌株を近くに植える必要があります。
質問2:サルナシはいつ頃に収穫できますか?
回答:サルナシの旬は、一般的に9月~10月頃です。ただし、品種や栽培されている場所の気候条件によって、収穫時期は多少前後することがあります。
質問3:サルナシ栽培に適した土壌はどのようなものですか?
回答:サルナシは、水持ちが良く、かつ水はけの良い土壌を好みます。園芸店などで販売されている果樹用の培養土を使うか、赤玉土、腐葉土、ピートモスなどを混ぜ合わせて用土を作ると良いでしょう。