「粗糖は体に良い」と思っていませんか?茶色い色合いから健康的なイメージがありますが、本当にそうなのでしょうか。この記事では、粗糖が体に与える影響について、メリットとデメリットを徹底解説します。血糖値への影響や、精製された砂糖との違い、さらには賢い選び方まで、あなたの疑問を解消します。粗糖の真実を知り、健康的な食生活に役立てましょう。
精製された白砂糖が「体に良くない」と言われる理由とその真相
「白砂糖は健康に良くない」という話を耳にすることがあるかもしれませんが、その理由や真実を詳しく知っている方は少ないかもしれません。ここでは、白砂糖がそう言われる主な原因と、それにまつわる一般的な誤解や根拠のない噂について、具体的な製造過程と栄養学的な視点から解説していきます。
精製プロセスにおける栄養分の減少
一般的に白砂糖として知られている「精製糖」は、何度も濾過を繰り返して不純物を取り除くため、その過程でミネラルなどの栄養素も一緒に取り除かれてしまいます。栄養成分の比較表を見てみると、上白糖やグラニュー糖、三温糖といった「白い砂糖」には、ほぼ炭水化物(糖質)しか含まれていないことがわかります。(見やすさを考慮し、微量で最小記載量に満たない場合は "0" と表示しています。)一方、サトウキビの絞り汁をそのまま煮詰めて濃縮し、固めた黒糖には、糖分の他にカリウム、カルシウム、鉄分といったミネラル成分など、様々な栄養成分が豊富に含まれています。もちろん、ミネラルが豊富だからといって、1日に必要な量をすべて補えるわけではありませんが、少しでも体に良い砂糖を選びたい、糖類以外の栄養素がほとんど含まれない砂糖は避けたいと考えるのであれば、精製度の低い「茶色い砂糖」を選ぶことが賢明な判断と言えるでしょう。
白砂糖に関する誤解と事実:依存性、高揚感、漂白の有無
白砂糖には、精製されていること以外にも様々な噂がつきまといますが、その多くは誤解や科学的根拠の薄い情報に基づいています。ここでは、特に広まっている「依存性」「高揚感(シュガーハイ)」「漂白」といった噂の真相を明らかにします。
白砂糖は依存症を引き起こすのか?
白砂糖を過剰に摂取すると依存症になる、という情報はSNSなどでよく見かけますが、実際のところはどうなのでしょうか。甘いものを食べると幸福感を得るのは、私たちの脳が「甘いもの=美味しいもの」と認識しているためです。美味しいものを食べると、「幸せホルモン」と呼ばれるβ-エンドルフィンという物質が生成され、幸福感が増したり、ストレスが軽減されたりします。また、チョコレートにはトリプトファンが含まれており、同じく「幸せホルモン」であるセロトニンの生成を促します。精神的に疲れた時に甘いもので癒やされようとするのは、このような科学的な根拠があるのです。しかし、医学的に「依存症」とは、アルコールや薬物といった精神に作用する物質の摂取を繰り返すことによって、以前と同じ量や頻度では満足できなくなり、徐々に使用量や頻度が増加し、使い続けないと気が済まなくなり、自分自身でコントロールできなくなる状態を指します。食べることで幸福感を得られる甘いものは、注意して付き合わないと過剰摂取につながる可能性がありますが、これは白砂糖に限ったことではなく、全ての砂糖に共通して言えることです。つまり、白砂糖だけが特に悪いというわけではなく、砂糖によるリスクは種類に関係なく存在すると言えます。
子どもの癇癪は「シュガーハイ」のせい?
「シュガーハイ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、砂糖をたくさん摂ると一時的にハイテンションになる状態を指す、と言われることがあります。砂糖の摂りすぎで血糖値が急上昇し、それを抑えるためにインスリンが大量に分泌されることで、逆に低血糖状態になり、イライラを引き起こす。そして、脳が再び糖分を求めるため、子どもがぐずったり、かんしゃくを起こしたりする、という説明が一般的です。しかし、この「シュガーハイ」には、科学的な裏付けは全くありません。幼い子どもが言うことを聞かなかったり、泣きわめいたり、すぐに怒り出したりするのは、成長の過程で見られる行動であり、砂糖の摂取量と直接的な関係があるとは証明されていません。ご飯を食べても血糖値は上がりますし、場合によっては砂糖よりもご飯の方が血糖値を上げることもあります。毎食後にお子さんが大騒ぎするわけではないでしょうから、砂糖を摂取した時だけかんしゃくを起こすというのは、論理的に矛盾しています。
白い砂糖は本当に漂白されているの?
結論から言うと、それは「違います」。白砂糖の白さは、薬品を使って漂白されたものではありません。では、なぜ白いのか?製造過程を見てみましょう。砂糖は、原料糖に含まれる不純物や色素を取り除くために、様々なろ過や脱色の工程を経て精製されます。この過程で、動物の骨を高温で焼いて炭にした「骨炭」が、脱色や吸着の目的で使用されることがあります。このような複数の工程を経て、原料糖の茶色が徐々に無色透明になっていきます。砂糖が白く見えるのは、無色透明な氷が細かく砕かれてかき氷になると、光が乱反射して白く見えるのと同じ原理です。つまり、砂糖の結晶自体は透明であり、それが集まって光を散乱させることで、私たちの目には白く見えるのです。
砂糖の基本知識:原料から生まれる様々な甘味料

砂糖の原料となる植物は、大きく分けてサトウキビとてん菜の2種類です。これらの原料から、様々な製法を経て多種多様な砂糖が作られます。ここでは、砂糖の基本的な原料と、そこから作られる「原料糖」や「粗糖」といった基礎となる砂糖について解説します。
砂糖の主な原料:サトウキビと甜菜
私たちが甘みとして感じる成分である「ショ糖」は、主にサトウキビとてん菜という2種類の植物から抽出されます。サトウキビは、沖縄や九州南部などの温暖な地域で栽培されるイネ科の植物で、茎の中に甘い汁を蓄えています。一方、てん菜は「ビート」とも呼ばれ、主に北海道などの寒冷地で栽培されるアカザ科の植物で、根の部分にショ糖を蓄えます。これらの植物は収穫後、時間が経つにつれてショ糖の含有量が減少してしまうため、鮮度を保ちながら迅速に加工処理を行うことが、良質な砂糖を製造する上で非常に重要です。このように、生育環境も見た目も異なる2つの植物が、多種多様な砂糖の源となっているのです。
砂糖製造の基本:「原料糖」と「粗糖」
砂糖には、サトウキビや甜菜から直接製造されるものと、一旦「原料糖」として中間的な加工を経てから、さらに精製されるものがあります。「原料糖」は、収穫後のサトウキビに含まれるショ糖が時間経過とともに減少するのを防ぐため、産地ですぐに不純物を取り除き、ショ糖を結晶化させて作られます。サトウキビをそのまま遠方の工場へ輸送するのは効率が悪いため、原料糖に加工することで、輸送効率を高め、品質を安定させるという利点があります。こうして作られた原料糖は、日本各地の製糖工場へ送られ、様々な砂糖へと精製されます。原料糖は、そのまま食用とするには適さない、加工用の砂糖という位置づけです。(甜菜の場合はサトウキビと異なり、原料糖として輸出されることは稀で、ほとんどが生産地の北海道で精製されます。)
「粗糖(そとう)」は、「原料糖」とほぼ同様のものですが、人が食べられるように、異物や雑菌などを必要最低限の範囲で精製したものを指します。粗糖は、あらゆる砂糖の製造過程における「ベース」となる、いわば「親」のような重要な存在です。その製造方法は原料によって異なり、サトウキビから作られる場合は、まず搾汁した液を煮詰めてショ糖を結晶化させ、それを固形化することで粗糖が完成します。甜菜から作られる粗糖は、甜菜を薄くスライスしてお湯に浸し、溶け出したショ糖を結晶化させる工程を経て生成されます。したがって、粗糖は、あらゆる砂糖の出発点となる基本的な形態であり、その後の精製度合いによって様々な砂糖へと変化していくのです。
健康志向の甘味料:粗糖、甜菜糖、黒砂糖、きび糖の特性と栄養
健康を意識して砂糖を選ぶ際、「体に良い」とされる茶色い砂糖の種類、その特徴や栄養価を知ることは大切です。ここでは、特に注目される粗糖、甜菜糖、黒砂糖、きび糖、そして洗双糖について、それぞれの詳細な特徴と栄養面を詳しく解説します。
粗糖の栄養価と特徴
粗糖は、その茶色い色からもわかるように、精製加工される前の段階の甘味料であり、原料であるサトウキビの持つ栄養成分を豊富に含んでいます。未精製の特性から、粗糖には鉄分、カリウム、カルシウムなどのミネラル類が豊富です。これらのミネラルは、体の様々な不調を和らげ、健康維持に欠かせない役割を果たします。さらに、粗糖にはビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群もバランス良く含まれています。ビタミンB群は、美肌作りに重要な成分であり、女性の美をサポートする嬉しい栄養素です。また、エネルギー代謝を助け、脂肪燃焼の効率を高める働きもあるため、積極的に摂取したい栄養素と言えるでしょう。粗糖は精製を最小限に抑えているため、より自然に近い形でこれらの栄養を摂取できる点が魅力です。
甜菜糖の栄養価と「体を温める」効果
甜菜糖は、甜菜から抽出した糖液から、遠心分離機で結晶と分離した糖蜜を、蜜を含んだ状態で高温乾燥させて作られる砂糖です。粗糖と同様に、甜菜糖もミネラルを含む砂糖として知られています。特にカリウム、カルシウム、リンなどのミネラル成分を含んでおり、これらの栄養素は体の機能を正常に保つ上で重要な役割を果たします。甜菜は、カブや大根に似た植物で、日本では北海道などの寒冷地で栽培されています。マクロビオティックの考え方では「暑い場所で育ったものは体を冷やし、寒い場所で育ったものは体を温める」とされており、甜菜が寒い土地で育つことから、甜菜糖は体を温めやすいと考えられています。また、甜菜糖にはお腹に優しい「オリゴ糖」が含まれているというメリットもあります。ただし、甜菜糖全てが茶色い砂糖というわけではなく、甜菜から作られた上白糖やグラニュー糖も存在するため、購入時には注意が必要です。
黒砂糖:滋味あふれる風味とミネラルの源
健康志向の方に人気の「茶色い砂糖」の中でも、特に精製度が低く、ビタミンやミネラルが豊富に含まれているのが黒砂糖です。黒砂糖は、さとうきびから絞った果汁から不純物を取り除き、煮詰めて濃縮し、冷却して固めたものです。一般的な砂糖の原料となる「原料糖」から製造されるのではなく、サトウキビを直接加工して作られるため、精製度が極めて低い点が特徴です。そのため、糖分の他にカリウム、カルシウム、鉄などのミネラル分が豊富で、奥深い甘さと独特の香りが楽しめます。サトウキビは気温が上がると糖度が下がるため、通常12月から4月頃が製糖に適した時期です。この時期に製造された黒砂糖は特に「新糖」と呼ばれ、格別な香りが特徴です。一年を通して販売されていますが、これは糖度が安定した品種のサトウキビを使用するか、旬の時期に収穫したものを冷凍保存しているためです。
純黒糖と加工黒糖の違いについて
黒砂糖は、大きく分けて2つの種類に分類できます。一つは、さとうきびの絞り汁のみを煮詰めて固めたもので、「純黒糖」と呼ばれています。原材料はサトウキビのみで、他のものは一切含まれていません。もう一つは、黒糖に粗糖や糖蜜などを加えて作られた「加工黒糖」です。加工黒糖の原材料には、黒糖の他に粗糖や糖みつなどが使用されており、商品によってはカラメル色素で着色されている場合もあります。沖縄県以外で販売されている黒砂糖は「加工黒糖」が多い傾向にあるため、購入する際には必ず原材料表示を確認するようにしましょう。国産の「純黒糖」を選ぶことをおすすめします。沖縄県黒砂糖協同組合が品質を審査し、原材料が「さとうきび」のみである商品には「沖縄黒糖マーク」が表示されています。このマークは「純黒糖」であることの証明となり、安心・安全な黒糖を選ぶ際の目安となります。(ただし、原材料がさとうきびのみの純黒糖であっても、マークが付いていない商品も存在します。)
きび糖:やさしい甘さと使いやすさ
「きび糖」とは、一般的にサトウキビを原料とし、必要最低限の不純物を取り除いた、精製途中の糖液を煮詰めて製造される砂糖を指します。サトウキビ本来の風味を活かした、まろやかな甘さが特徴で、上白糖のように普段使いしやすい点が魅力です。ちなみに、「きび砂糖」は日新製糖株式会社の登録商標であり、他メーカーから販売されているものは、「さとうきび糖」や「きび粗糖」「素焚糖」など、様々な名称で販売されています。精製度合いや製造方法はメーカーによって異なるため、風味や甘さにも違いがあります。色々な種類のきび糖を試して、自分好みのものを見つけてみるのも良いでしょう。
洗双糖:二度の精製が生み出す上品な甘さの粗糖
洗双糖(せんそうとう)は、粗糖の一種でありながら、より丁寧な工程を経て製造される砂糖です。サトウキビの絞り汁をろ過し、煮詰めた後、遠心分離機にかけて結晶を取り出します。さらに、その糖液を再度加熱し、再び遠心分離機にかけることで、粗糖に含まれる不純物を二度取り除き、純度の高い結晶を取り出します。この二度の精製により、粗糖ならではの風味を残しつつ、よりまろやかで使いやすい甘さに仕上がっているのが特徴です。
まとめ:賢い砂糖選びで、食生活をもっと豊かに
お菓子作りや日々の料理に欠かせない砂糖は、食卓に豊かな風味と彩りを与え、私たちの心を豊かにしてくれる大切な存在です。料理やお菓子の美味しさを引き立てる甘さは重要ですが、砂糖の「質」に着目することで、より健康的な食生活を送ることができます。この記事では、粗糖、甜菜糖、黒砂糖、きび糖といった砂糖の種類について、それぞれの栄養価や製造方法、白砂糖や三温糖、ザラメとの違いなどを詳しく解説します。さらに、GI値、原材料の安全性、さまざまな代替甘味料、赤ちゃんやヴィーガンの方への配慮、料理への活用方法、そして白砂糖に関する誤解の真相など、砂糖に関する様々な情報を提供します。これらの情報を参考に、ご自身の健康状態や食生活の目的に合わせて、最適な砂糖を選んでみてください。質の良い砂糖を日々の食生活に取り入れることは、美味しさを追求するだけでなく、体への優しさにも繋がり、より豊かな食生活を送るための一歩となるでしょう。ただし、どんな砂糖であっても「嗜好品」であることを忘れずに、摂取量を控えめにすることを心がけましょう。賢い砂糖選びを通じて、心も体も健康的な毎日を送りましょう。
なぜ白砂糖は体に良くないと言われるのでしょうか?
白砂糖が「体に良くない」と言われる主な原因は、精製される過程でビタミンやミネラルなどの栄養成分がほとんど取り除かれてしまい、ほぼ糖質のみが残る点にあります。そのため、白砂糖は栄養価の低い「エンプティカロリー」と見なされ、過剰な摂取は健康に悪影響を及ぼすと考えられています。しかし、白砂糖に対する依存性や、摂取後の急激な血糖値上昇(シュガーハイ)、漂白処理といった噂については、科学的な根拠がないものも多く存在します。
粗糖と甜菜糖には、どのような違いがあるのでしょうか?
粗糖は、サトウキビまたはてん菜からショ糖を結晶化させたもので、あらゆる砂糖の मूलとなる未精製の砂糖です。一方、甜菜糖はてん菜のみを原料とし、遠心分離によって糖蜜と分離した糖液を乾燥させて作られる砂糖です。つまり、粗糖と甜菜糖は、原料と精製方法が根本的に異なります。甜菜糖はオリゴ糖を含み、体を温める効果があると言われていますが、粗糖はより多くの種類のミネラルやビタミンB群を含んでいます。
低GI値の砂糖を選ぶことのメリットは何ですか?
低GI値の砂糖を選ぶメリットは、食後の血糖値の急激な上昇を抑制できることです。血糖値が急激に上昇すると、インスリンが過剰に分泌され、膵臓に負担がかかり、脂肪が蓄積されやすくなり、肥満や糖尿病のリスクが高まります。甜菜糖のような低GI食品は、血糖値の上昇を緩やかにすることで、これらの健康リスクを軽減し、満腹感をより長く維持する効果も期待できます。













