じゃがいもの赤い部分:原因と安全性、食べられるかの判断基準

じゃがいもを切ったとき、内部が赤みを帯びているのを見つけて驚いたことはありませんか?もしかしたら、それは安全に食べられるサインかもしれません。じゃがいもの赤い変色は、品種や生育環境、保存方法など、さまざまな要因によって引き起こされます。この記事では、じゃがいもの赤い部分が現れる原因を徹底解説し、安全性の判断基準を明確にします。食べられる場合と避けるべき場合、それぞれの見分け方を詳しく解説することで、あなたの食卓を安全で豊かなものにするお手伝いをします。

じゃがいもの色の変化、主な原因とメカニズム

じゃがいもの変色の原因は一つではなく、色々な要因が複雑に関係しています。 大きく分けて、じゃがいもに含まれる成分の変化、外部からの影響、そしてカビの発生が考えられます。 じゃがいもの内部では、光合成によって有害な物質ができたり、低温によって状態が変化したりします。 また、空気に触れることによる化学反応や、加熱によっても変色は起こります。 さらに、品種固有の色素が変色と勘違いされることもありますし、保存状態が悪いとカビが発生することもあります。 それぞれのメカニズムを理解することが、じゃがいもの安全性を判断し、上手に活用するための第一歩です。

じゃがいもの変色の主な原因は以下の通りです。

  • 天然毒素(ソラニン、チャコニン)の増加: じゃがいもが光に当たると、皮や芽の部分にソラニンやチャコニンという天然の毒素が増えます。同時にクロロフィルが作られ、皮が緑色になります。クロロフィル自体は無害ですが、緑色になるのは毒素が増えたサインです。
  • 低温障害: 2℃以下の寒い場所でじゃがいもを保存すると、低温障害が起こり、切った部分に赤やピンクの斑点が出ることがあります。これはじゃがいもの細胞が低温によってダメージを受けたために起こる現象です。
  • 酵素的褐変: じゃがいもを切って空気にさらすと、じゃがいもに含まれるチロシンというアミノ酸が酸化酵素の働きで酸化し、メラニンという黒い色素に変化します。この反応は、ピンク→赤→褐色→紫→黒と進み、見た目の色が変わります。
  • 水煮黒変: じゃがいもを茹でたり、加熱調理したりする時に黒くなる現象です。じゃがいもに含まれるジフェノールと鉄分が結合して起こり、加熱によって急に進行します。これは栽培した土壌やじゃがいもの成分によって起こるもので、見た目で判断するのは難しいです。
  • 品種による色素: じゃがいもには色々な種類があり、形や色、味、芽の特徴などが違います。「キタアカリ」や「アンデスレッド」などの品種は、もともと皮や芽が赤みを帯びていることが多いです。これはアントシアニンという色素によるもので、異常ではありません。
  • カビの発生: 湿気の多い場所でじゃがいもを長い間保存すると、カビが生えることがあります。特に赤いカビは見た目が怖いですが、じゃがいもが腐っているサインです。カビは表面だけでなく中にも菌糸を伸ばしていることが多く、体に悪い影響を与える可能性があります。

これらの原因を知ることで、じゃがいもの状態をより正確に判断し、安全に美味しく調理するための選択ができるようになります。

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じゃがいもの変色を色別で判断!食べられる?食べられない?

じゃがいもの変色は、その色や状態によって「食べられるもの」と「食べるべきでないもの」に分けられます。見た目の変化に惑わされず、正しい知識で判断することが大切です。ここでは、代表的な変色の種類ごとに、安全性と対処法を具体的に説明します。

緑色に変色したじゃがいも:天然毒素(ソラニン・チャコニン)の危険性と対処法

じゃがいもの表面が緑色になっている場合、日光や蛍光灯の光によって、じゃがいもに含まれる天然の毒素であるソラニンやチャコニンが増えているサインです。じゃがいもが光に当たると光合成が進み、クロロフィルが作られて緑色に変わります。クロロフィル自体は無害ですが、この過程でソラニンとチャコニンが増えてしまうのが問題です。これらの毒素を摂取すると、食中毒を起こし、吐き気、嘔吐、下痢、めまい、腹痛などの症状が出ることがあります。特に、子供や高齢者は影響を受けやすいので、少しでも摂取しないように注意が必要です。ソラニンやチャコニンは加熱しても分解されにくいため、加熱すれば安全ということはありません。

では、緑色に変色したじゃがいもは絶対に食べられないのでしょうか?そうではありません。もし緑色がわずかで薄い場合は、皮を厚めに剥けば食べられることがあります。ソラニンやチャコニンは皮のすぐ下に多いため、表面の緑色の部分をしっかり取り除き、中が白い状態であれば問題ないとされています。ただし、削った後も緑色が残っている場合は、さらに深く削るか、心配な場合は処分するのが安心です。緑色が広い範囲に広がっている場合や、じゃがいも全体が緑色になっている場合、苦味やえぐ味を感じる場合は、ソラニンの量が多い可能性が高いので、食べずに処分してください。また、じゃがいもの芽にもソラニンやチャコニンが多く含まれているため、芽が出ている場合は芽とその周辺を深く削り取ることが重要です。じゃがいもを安全に保存するには、日光や蛍光灯が当たらない涼しい場所に保管し、長期間の保存は避けて、早めに使い切ることが大切です。少しでも不安を感じたら、無理に食べないことが一番安全な選択です。

じゃがいもの赤い部分:原因と安全性の検証

じゃがいもに見られる赤やピンク、時には紫色の変色は、主に二種類の生理現象が関与していると考えられています。一つは低温にさらされたことによる影響、もう一つはカット後の酸化反応です。

カットしたじゃがいもの断面に赤やピンクの斑点が見られる場合、その原因として最も可能性が高いのは低温障害です。これは、じゃがいもが2℃以下の低温環境で保存された際に発生しやすい現象です。低温によりじゃがいもの細胞がダメージを受け、その結果としてアントシアニンといった色素が変化し、変色を引き起こすとされています。低温障害による変色は、じゃがいもが腐っているわけではないため、基本的には味や安全性に問題はありません。食べても健康上のリスクは低いと考えられますが、見た目が気になる場合は、変色部分を取り除いてから調理することをおすすめします。

一方、じゃがいもをカットしてから時間が経つにつれてピンク色に変わってきた場合は、酸化反応の一種である褐変が原因です。じゃがいもに含まれるチロシンというアミノ酸が、空気に触れることでポリフェノール酸化酵素の働きによって酸化され、メラニンという色素に変化します。メラニンが生成される過程で、じゃがいもの色はピンクから赤、そして褐色、紫、最終的には黒へと変化していきます。この酸化による変色も、低温障害と同様に、じゃがいもが腐敗しているわけではありません。したがって、食べても安全性に問題はないとされています。ただし、見た目が気になる場合は、変色部分を取り除くか、マッシュポテトのように形を変えて調理したり、カレーやシチューなど色の濃い料理に加えて目立たなくすると良いでしょう。

これらの変色は、いずれもじゃがいもが腐っているサインではないため、適切な処理をすれば安全に食べられます。ただし、じゃがいもから茶色い液体が出ているなど、明らかに腐敗している場合は廃棄する必要があります。単なる赤やピンク、紫の変色であれば、上記の方法で対処可能です。

加熱後に黒く変色したじゃがいも:その原因と対処法

じゃがいもを茹でたり、その他の加熱調理をした際に、じゃがいもの一部が黒っぽく変色することがあります。この現象は一般に「水煮黒変」と呼ばれています。水煮黒変は、じゃがいもに含まれるジフェノール類(ポリフェノールの一種)と鉄分が結合することで発生します。加熱によってこの化学反応が促進され、じゃがいもが黒ずんで見えることがあります。水煮黒変は、栽培地の土壌の成分、じゃがいも自体の生育環境、そして品種などによって、じゃがいもに含まれるジフェノール類や鉄分の量に差がある場合に起こりやすいとされています。残念ながら、じゃがいもを購入する際や、生の状態でその傾向を予測することは困難です。実際に調理してみるまで、水煮黒変が起こるかどうかは判断できません。

この水煮黒変による黒ずみは、低温障害や褐変と同様に、じゃがいもの生理的な反応であり、品質が劣化しているわけではありません。したがって、味や安全性には問題がなく、食べても大丈夫です。健康への悪影響はないので、安心して食べられます。しかし、見た目が気になる場合は、黒く変色した部分を取り除いてから食卓に出すか、マッシュポテトやコロッケ、カレーやシチューといった、じゃがいもの色が目立たない料理に使うことをおすすめします。水煮黒変はじゃがいもの自然な成分によるものであり、品質が大きく損なわれているわけではないことを理解していれば、無駄に廃棄することなく美味しくじゃがいもを食べきることができるでしょう。

赤い芽や皮を持つじゃがいも:品種と安全性の見分け方

じゃがいもを調理する際、芽や皮が赤みを帯びていることに気づき、不安になる方もいるかもしれません。しかし、芽や皮が赤いからといって、必ずしも危険というわけではありません。じゃがいもには様々な品種があり、それぞれに形、色、味、芽の出方、そして芽や皮の色といった特徴があります。特定の品種は、もともと芽や皮が赤みを帯びやすい性質を持っているため、その赤色は品種固有の色素によるもので、病気や異常によるものではありません。

たとえば、「キタアカリ」、「アンデスレッド」、「レッドムーン」、「ノーザンルビー」などは、名前が示すように芽や皮が赤みを帯びています。これはアントシアニンなどの色素が豊富に含まれているためであり、これらの品種の芽が赤くても、適切に芽を取り除けば安全に食べることが可能です。これらの品種の場合、赤色は自然な状態であり、味や安全性に問題はありません。

一方で、一般的な「男爵いも」や「メークイン」といった品種の芽は、通常は白っぽいか薄い黄色です。もし、これらの品種の芽が赤くなっていたり、皮に赤みが広がっていたりする場合は、保存環境の影響や異常が疑われるため、慎重な判断が求められます。光に当たることで有害物質であるソラニンが増加し、赤みを帯びて見えることもあるため、注意が必要です。また、赤みを帯びた部分が広範囲に及んでいる場合や、ぬめり、異臭がある場合は、カビや細菌が繁殖している可能性も考慮すべきです。安全に食べられるかどうかを判断するためには、まず芽を完全に取り除いた後の状態を確認することが重要です。芽の部分だけが赤い場合は削り取れば問題ないことが多いですが、じゃがいも全体が赤みを帯びている、柔らかい、または異臭がする場合は、食べるのを避けて処分することをおすすめします。購入したじゃがいもの品種を把握しておくと、芽の色が変わってもそれが品種特性によるものなのか、異常の兆候なのかを判断しやすくなり、安心して利用できるでしょう。

じゃがいもに見られる赤いカビ:識別と危険性

じゃがいもの表面に赤い部分を見つけた際、「これはカビではないか?」と心配になることがあるかもしれません。じゃがいもの変色の中には、カビの発生によるものも存在し、その場合は食用には適さないため、注意深く識別し、適切に対処することが重要です。じゃがいもの赤い変色がカビによるものかどうかを見極める上で最も重要なポイントは、「ふわふわとした綿状の質感があるかどうか」です。

カビの場合、赤いだけでなく、ピンク、オレンジ、白い菌糸が混ざって見られることが多く、指で触ると粉っぽい感触があるのが特徴です。これらの菌糸はじゃがいもの表面だけでなく、内部にも深く侵食している可能性があるため、一部にカビが見られただけでも、じゃがいも全体が汚染されていると考えるべきです。このような状態のじゃがいもは、健康被害のリスクがあるため、食べずに廃棄することが最も安全な選択です。

また、赤い部分がカビでなくても、じゃがいもが腐敗している兆候である場合もあります。皮の下が赤茶色や黒っぽく変色している、触ると柔らかい、水分が出てぬめりがあるといった状態は、内部で細菌が繁殖し、腐敗が進行している可能性を示唆しています。特に異臭(酸っぱい臭い、カビ臭い臭いなど)がする場合は、完全に腐敗していると判断し、処分しましょう。これらの状態のじゃがいもは、食中毒の原因となる可能性があるため、絶対に口にすべきではありません。

一方で、前述の通り、「レッドムーン」や「ノーザンルビー」といった品種は、元々皮が赤みがかった色をしています。これらの場合は変色ではなく自然な色であり、カビや腐敗の兆候がなければ、通常通り調理して問題ありません。品種による特性とカビや腐敗の兆候を混同しないように、しっかりと目視と嗅覚で確認することが重要です。

カビが発生したじゃがいもの処分方法としては、カビの胞子が飛び散らないようにビニール袋に入れてしっかりと密封し、生ゴミとして速やかに処分するのが一般的です。他の食材への汚染を防ぐためにも、早めの処分を心がけましょう。また、今後のカビの発生を防ぐために、じゃがいもの保存環境を見直し、湿気の多い場所を避けるなど、適切な管理を徹底することが大切です。

じゃがいもの変色を防ぐ!効果的な保存方法と下処理

じゃがいもは、適切な保存方法と調理前のちょっとした工夫で、変色や品質の低下を抑え、鮮度を長く保てます。これにより、天然毒素の増加を抑え、見た目の美しさを保ちながら、じゃがいも本来の美味しさを最大限に引き出すことができます。ここでは、じゃがいもの変色を予防し、品質を維持するための具体的な保存方法と下処理のポイントをご紹介します。

天然毒素や緑化を防ぐ保存の基本

じゃがいもが緑色に変色したり、天然毒素であるソラニンやチャコニンが増加する主な原因は、光にさらされることです。この緑化現象を防ぐためには、保存場所の選定が非常に重要になります。じゃがいもは、直射日光はもちろん、蛍光灯などの光が当たる場所も避ける必要があります。理想的な保存場所は、風通しが良く、温度が10℃前後を維持できる暗くて涼しい場所です。キッチンの戸棚の奥や食品庫、物置などが適しています。特に、夏の暑い時期や室温が上がりやすい場所では、じゃがいもの劣化が早まるため注意が必要です。

また、長期間保存すると、光の有無に関わらず、じゃがいも自身の生理作用により芽が出やすくなります。芽が出ること自体が毒素増加の兆候であり、緑化も進みやすくなるため、購入後はなるべく早く使い切ることが、天然毒素の増加や緑化を防ぐ最も確実な方法です。数週間から1ヶ月を目安に消費する計画を立てるのがおすすめです。

湿気と発芽を抑制する工夫

じゃがいもは湿気に弱く、多湿な環境ではカビが発生しやすくなります。カビの発生はじゃがいもの腐敗に繋がるため、湿気対策は長期保存には欠かせません。じゃがいもを保存する際は、通気性の確保が大切で、ビニール袋や密閉容器に入れると湿気がこもりやすくなるため避けるべきです。代わりに、新聞紙や紙袋に一つずつ包んで保存することをおすすめします。新聞紙は適度な吸湿性があり、じゃがいもの表面の湿気を吸収してくれます。さらに、段ボール箱などに入れて保存する場合は、じゃがいもの間に新聞紙を挟むことで、じゃがいも同士が触れ合うことによる湿気の蓄積を防ぎ、カビのリスクを減らせます。

じゃがいもの発芽は、保存期間が長くなるにつれて避けられない問題ですが、いくつかの簡単な工夫で抑制できます。その一つが、「りんごと一緒に保存する」という方法です。りんごは熟成する過程で「エチレン」という植物ホルモンを放出します。このエチレンには、じゃがいもの発芽を抑制する効果があることが知られています。じゃがいもを保存している袋や箱の中に、りんごを1~2個入れておくだけで効果が期待できます。エチレンがじゃがいもの成長を緩やかにし、発芽を遅らせることで、より長く新鮮な状態を保てます。

温度管理の注意点と冷蔵・冷凍保存のコツ

じゃがいもの保存において、温度管理は非常に重要なポイントです。一般的に、じゃがいもは風通しの良い冷暗所での常温保存が適していますが、冷蔵庫での保存には注意が必要です。冷蔵庫の温度は低すぎるため、じゃがいものデンプンが糖に変わりやすくなります(低温糖化)。これにより、じゃがいもが甘くなりすぎたり、加熱調理時に焦げやすくなったりする可能性があります。また、低温糖化が進んだじゃがいもを高温で調理すると、アクリルアミドという物質が生成されやすくなるという研究結果もあります。

したがって、基本的には冷蔵庫ではなく、前述したように冷暗所での常温保存が推奨されます。ただし、夏場など室温が高く、冷暗所での保存が難しい時期や、湿度が高い時期には、冷蔵庫の野菜室での保存が適している場合もあります。野菜室は通常の冷蔵室よりも温度が高めに設定されており、湿度も比較的保たれているため、じゃがいもの低温障害や乾燥をある程度防ぐことができます。しかし、それでも長期保存には向かないため、早めに使い切るようにしましょう。

既にカットしてしまったじゃがいもの保存も、工夫が必要です。切ったじゃがいもは空気に触れることで酸化が進み、変色しやすくなります。これを防ぐためには、水に浸して冷蔵庫で保存する方法が有効です。密閉できる容器に水を張り、カットしたじゃがいもを浸して冷蔵庫に入れることで、空気との接触を遮断し、変色を遅らせることができます。ただし、水に長時間浸しすぎると、じゃがいもの水溶性ビタミンやミネラルなどの栄養素が水に溶け出してしまう可能性があります。そのため、保存期間は1日程度にとどめ、できるだけ早く使い切るようにしましょう。

じゃがいもをさらに長期間保存したい場合は、生のままではなく、一度加熱してから冷凍保存することをおすすめします。生のじゃがいもをそのまま冷凍すると、解凍した際に水分が抜け、食感が悪くなったり、風味が損なわれたりすることがあります。これを避けるために、茹でる、蒸す、またはマッシュ状にするなど、加熱処理を行ってから冷凍すると、食感の変化を最小限に抑えられます。マッシュポテトの状態にして冷凍すれば、ポテトサラダやコロッケ、スープなどに使う際に、解凍後すぐに調理できるため、時間短縮にも繋がります。適切に下処理をして冷凍すれば、約1ヶ月程度は美味しく保存できます。小分けにして冷凍しておくと、必要な分だけ取り出して使えるので便利です。

調理前の工夫で変色を防ぐ

じゃがいもの色が変わってしまうのは、保存だけでなく、調理前のちょっとした準備でも防ぐことができます。特に、皮をむいた後の褐変、つまり酸化による変色は、簡単な工夫で予防可能です。

一番簡単でよく知られている方法は、じゃがいもを切った後、すぐに水につけることです。じゃがいもを切ると、空気に触れることで酵素が働き、酸化が始まります。水につけることで、切った面が空気に触れるのを防ぎ、酸化を遅らせることができます。目安として、切ったじゃがいもを普通の温度の水に5〜10分ほどつけておきましょう。これは、じゃがいものアクを抜くことにもなるので、一度に二つの効果があります。ただし、10分以上つけすぎると、じゃがいもにあるビタミンCなどの栄養が水に溶け出してしまう可能性があるため、注意が必要です。料理によってはアク抜きがいらないこともあるので、レシピに合わせて時間を調整しましょう。

さらに効果的な変色防止策としては、酢水につけるという方法があります。酢を少し入れた水にじゃがいもをつけることで、水を酸性にし、酵素の働きを弱めることができます。酵素は特定のpHで一番活発になるため、酸性にすることで活動を抑えるという仕組みです。水に小さじ1杯くらいの酢を混ぜ、そこに10分ほどじゃがいもをつけることで、皮をむいた後の褐変だけでなく、ゆでた後の黒ずみも防ぐ効果が期待できます。酢のにおいが残るのが気になる場合は、軽く水洗いしてから調理すると良いでしょう。この方法は、特に見た目をきれいにしたい料理や、じゃがいもを切ってから少し置いておく必要がある時に役立ちます。

これらの簡単な調理前の工夫をすることで、じゃがいもの変色を効果的に防ぎ、料理の見栄えを悪くすることなく、おいしくじゃがいもを食べることができます。適切な下処理は、じゃがいも料理の出来栄えをさらに良くする大切なポイントです。保存環境や方法を工夫することで、じゃがいもをより長く新鮮な状態で保てます。光や湿気を避けた適切な管理がおいしく安全にじゃがいもを食べるための重要なポイントとなります。

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まとめ:じゃがいもの変色を理解して、安全に美味しく楽しむために

じゃがいもの変色は、よくあることで、その色や状態によって安全性が大きく変わります。この記事では、じゃがいもが緑色になった場合の天然毒素(ソラニン、チャコニン)の危険性、ピンク・赤・紫への変色(低温障害や剥皮褐変)が生理的なもので食べられること、茹でた際の黒変(水煮黒変)も安全性に問題がないこと、品種による芽や皮の赤みとカビによる赤い変色の見分け方を詳しく説明しました。特に、緑色に変色したじゃがいもや芽が出たじゃがいも、カビが生えたじゃがいもは、きちんと処理しないと健康に悪い影響があるため、正しい知識で判断し、必要なら捨てることも大切です。じゃがいもの芽が赤い場合の安全な判断基準と対策も説明しました。低温障害や剥皮褐変による変色は見た目が気になるだけで、食べても大丈夫です。これらの知識は、じゃがいもの無駄を減らし、食費の節約にもつながります。

また、じゃがいもの変色を防ぐための保存方法や下処理のコツも紹介しました。日光を避けた涼しい場所での保存、新聞紙や紙袋での湿気対策、りんごを使った発芽抑制、カット後の水につける保存、加熱後の冷凍保存などをすることで、じゃがいもをより長く新鮮に保てます。じゃがいもは私たちの食卓に欠かせない、栄養たっぷりの食材です。変色に関する知識と適切な対処法を知っておくことで、じゃがいもを安全に、そしておいしく料理に取り入れ、豊かな食生活を送ってください。

じゃがいもの芽が赤いのはどうして?食べても大丈夫?

じゃがいもの芽が赤くなるのは、主に品種が原因です。「キタアカリ」や「アンデスレッド」といった品種は、もともと芽や皮が赤くなりやすい性質があります。これは色素による自然な現象で、これらの品種の赤い芽は、しっかり取り除けば食べても大丈夫です。ただし、普通の品種(男爵いもやメークインなど)の芽が赤くなった場合は、保存状態や何らかの異常が考えられます。芽にはソラニンという天然毒素が含まれているため、品種に関わらず芽は必ず深く取り除いてください。

じゃがいもが緑色になった場合、どこまで取り除けば安全?

じゃがいもが緑色に変色しているのは、光に当たってソラニンが増えているサインです。緑色が少しだけで薄い場合は、皮を厚めにむけば安全に食べられることがあります。ソラニンは皮とそのすぐ下に多く含まれているため、表面の緑色の部分をしっかり取り除き、中が白いことを確認してください。しかし、緑色が広範囲に広がっている、全体が緑色になっている、苦味やえぐみを感じる場合は、ソラニンの量が多く危険な可能性があるため、捨てるのが一番安全です。

カットしたじゃがいもの断面がピンクや黒っぽく変色!食べても大丈夫?

じゃがいもを切った後、断面がピンク色や黒色に変わってしまうのは、「酵素的褐変」と呼ばれる自然な反応が原因です。これは、じゃがいもに含まれるチロシンという成分が、空気中の酸素と反応することで起こります。この反応の結果、メラニン色素が生成され、色がピンク、赤、茶色、紫色、そして最終的には黒へと変化していくのです。この現象は、じゃがいも自体に起こる生理的な変化であり、風味や安全性に影響はないため、安心して食べられます。もし見た目が気になるようであれば、変色した部分を取り除いたり、マッシュポテトやカレーのように色が気にならない料理に使うのがおすすめです。変色を抑えるには、切った後にすぐに水に浸したり、薄い酢水にさらすと効果的です。

じゃがいもを新鮮に保つ!最適な保存方法とは?

じゃがいもを長持ちさせるには、直射日光や明るい光を避け、風通しの良い涼しい場所(理想は10℃前後)で保管するのが一番です。光を遮断することで、じゃがいもの緑化や有害なソラニン生成を抑制できます。また、湿気はじゃがいもの大敵なので、ポリ袋ではなく、新聞紙や通気性のある紙袋に包んで保存しましょう。さらに、りんごを一緒に保存すると、りんごから放出されるエチレンガスがじゃがいもの発芽を抑える効果が期待できます。冷蔵庫での保存は、じゃがいもが低温障害を起こし、風味が損なわれる可能性があるため、基本的に避けるべきです。ただし、夏場など気温が高い時期に限り、野菜室を利用して、できるだけ早く使い切るようにしましょう。

じゃがいもの表面に赤いカビのようなものが!これって何?

じゃがいもの表面に赤いカビのようなものが生えている場合、それは実際にカビである可能性が高いです。カビの場合、一般的に「綿のようなふわふわした」質感があり、赤色だけでなく、ピンク、オレンジ、または白い菌糸が混ざって見えることが多いです。このような状態のじゃがいもは、カビが内部まで浸透している可能性があり、健康に悪影響を及ぼす恐れがあるため、絶対に食べずに廃棄してください。ただし、「レッドムーン」や「ノーザンルビー」といった、もともと皮が赤い色の品種も存在します。カビ特有の見た目や異臭がなければ、それは品種本来の色である可能性が高いでしょう。判断に迷う場合や少しでも不安を感じる場合は、安全を最優先して処分することをおすすめします。

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