日常の食卓に欠かせないジャガイモ。実は、驚くほどの栄養価を秘めていることをご存知でしょうか?ビタミンCや食物繊維、カリウムなど、健康維持に役立つ成分が豊富に含まれています。この記事では、ジャガイモがもたらす様々な健康効果を詳しく解説。さらに、栄養を最大限に活かすための賢い食べ方やレシピもご紹介します。日々の食事にジャガイモを取り入れて、美味しく健康的な生活を送りましょう!
じゃがいもの主な栄養成分と効能とは?
「馬鈴薯」という異名を持つじゃがいもは、ナス科の植物で、年に二度、5~6月と9~12月に旬を迎える野菜です。ただし、食品分類上は文部科学省の定める基準において「いも及びでん粉類」として扱われます。じゃがいもには多様な栄養成分が含まれており、それぞれが健康に良い影響をもたらします。その詳細について見ていきましょう。
じゃがいもの可食部の栄養成分
生のじゃがいも、その可食部100gあたりに含まれるエネルギー量は76kcalです。文部科学省が公開している「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」から、じゃがいも(塊茎、生)の可食部100gあたりの主要な成分を以下にまとめました。<出典:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より>この後、じゃがいもに含まれる各栄養素について、より詳しく解説していきます。
①ビタミンC
水に溶けやすいビタミンCは、私たちの体に必要な栄養素の一つです。その抗酸化力は、老化の原因となる活性酸素から体を守り、若々しさを保つサポートをします。ただし、じゃがいもを選ぶ際には、品種によってビタミンCの含有量が異なる点に注意が必要です。じゃがいもに含まれるビタミンCは、でんぷんによって保護されているため、加熱調理しても壊れにくいという特徴があります。
②ビタミンB2
ビタミンB2は水に溶けやすい性質を持つ水溶性ビタミンですが、他の仲間と比べると、水への溶解度はやや低いという特徴があります。熱に強い性質を持っているため、加熱調理に適した栄養素と言えるでしょう。さらに、ビタミンB2は発育をサポートし、皮膚や髪の健康を維持する働きや、脂質や糖質の代謝を助ける役割も担っています。
③ビタミンB6
ビタミンB6は、体内で重要な役割を担う水溶性の栄養素です。アミノ酸の代謝を助ける補酵素として、ビタミンB6は体内の様々な反応に関与しています。
④ナイアシン
水溶性ビタミンであるナイアシンは、水に溶けやすいという特徴があります。ナイアシンは、体内の酵素をサポートする補酵素として機能し、皮膚や粘膜の健康維持、細胞の再生を助けます。さらに、血流を良くしたり、二日酔いを軽減する効果も期待できます。
⑤パントテン酸
パントテン酸は、水に溶けやすい水溶性のビタミンです。体内で補酵素として働き、ストレスを軽減する副腎皮質ホルモンの生成をサポートします。
⑥食物繊維(総量)
食物繊維は、水に溶ける水溶性と、溶けにくい不溶性の2種類に大別されます。そして、食物繊維(総量)とは、これら両方の食物繊維を合計した量を指します。食物繊維は腸内フローラのバランスを改善し、便秘の緩和を促します。さらに、糖尿病の予防や、血中コレステロール値を下げる効果も期待されています。
⑦カリウム
体内の余分なナトリウムを排出し、むくみや高血圧の抑制を助けるカリウムは、人体に不可欠なミネラルです。さらに、筋肉が適切に機能する上で重要な役割を果たします。
⑧マグネシウム
マグネシウムは、健康維持に不可欠なミネラルです。骨や歯の形成を助けるだけでなく、血圧の安定や生活習慣病のリスク軽減にも関与しています。
⑨炭水化物
三大栄養素として知られる炭水化物は、私たちの活動に必要なエネルギーを生み出す源です。特に体や脳を動かす上で重要な役割を果たしています。しかし、炭水化物を摂りすぎると、体重増加につながる可能性があります。
じゃがいもの皮の栄養
じゃがいもの皮には、見過ごされがちな栄養が豊富に含まれています。普段何気なく捨ててしまっている皮には、実は重要な栄養素が詰まっているのです。ここでは、その皮に含まれる栄養成分について詳しく見ていきましょう。
①鉄
鉄分は、人が活動するために不可欠なミネラルです。その主な役割は、体内の各組織や細胞へ酸素を供給することにあります。さらに、鉄分を積極的に摂ることは、貧血の防止にも繋がります。
②クロロゲン酸
クロロゲン酸は、ポリフェノールの一種として知られ、その優れた抗酸化作用により、エイジングケアへの貢献が期待されています。さらに、血糖値のコントロールや肝臓の健康維持をサポートする効果も報告されています。
栄養を逃さない食べ方のコツ
①皮つきのまま調理する
じゃがいもは皮ごと調理することで、豊富な栄養を余すことなく摂取できます。皮付きで調理する代表的な料理としては、フライドポテトやジャーマンポテトが挙げられます。しかし、皮ごと食べる際には注意が必要です。じゃがいもの皮が緑色になっている場合、ソラニンという有害物質が多く含まれている可能性があります。摂取すると、吐き気や腹痛といった症状を引き起こすことがあるため、緑色の部分は避けましょう。安全に皮ごとじゃがいもを食べるためには、表面の土を丁寧に洗い落とすことが大切です。
②煮る
じゃがいもの風味を最大限に活かす調理法「煮る」。カレー、シチュー、肉じゃがといった定番料理で、その魅力を存分に味わえます。じゃがいもはビタミンを豊富に含んでいますが、水溶性のため、調理の過程で栄養が失われがちです。しかし、煮る調理法であれば、溶け出したビタミンもスープと一緒に摂取できるため、無駄なく栄養を摂り入れることができます。
栄養素を逃さない保存方法
じゃがいもの栄養を最大限に活かすには、保存方法に3つの重要なポイントがあります。
①風通しの良い場所で保存する
じゃがいもを長持ちさせるには、およそ5℃の環境が理想的です。そのため、風通しが良く、ひんやりとした場所を選んで保管しましょう。さらに、日光に当たると皮が緑色に変色することがあります。日が当たらない暗い場所で保存することが大切です。
② 冷暗所で保存する
じゃがいもを保存する際は、光に当てないように注意が必要です。明るい場所に置くと、ソラニンという有害な物質が増え、皮が緑色に変色して食用に適さなくなります。したがって、暗所で保管することが大切です。
③ 冷蔵庫での保存は避ける
低温で保存されたジャガイモは、内部のデンプン質が糖分へと変化し、甘味を増します。しかし、糖度が高まった状態で120℃を超える高温調理を行うと、アクリルアミドという物質が生成されやすくなります。アクリルアミドは、神経への毒性や発がん性が指摘されており、健康への影響が懸念されています。(出典:農林水産省「食品中のアクリルアミドに関する情報」より)もし冷蔵保存してしまったジャガイモがある場合は、揚げ物などの高温調理は控えることをお勧めします。