柿の魅力を再発見!大きい品種を徹底解説:人気品種から希少品種まで
秋の味覚の代表格、柿。古くから日本人に愛されてきた果物ですが、その魅力は奥深く、品種によって味わいも食感も大きく異なります。近年では品種改良も進み、驚くほど甘くてジューシーな新品種も続々と登場しています。この記事では、特に大きいサイズの柿に焦点を当て、人気の品種からちょっと珍しい希少品種まで徹底解説。それぞれの特徴や味わいの違いを知れば、柿選びがもっと楽しくなるはず。さあ、柿の魅力を再発見する旅に出かけましょう!

柿の分類と渋みのメカニズム

柿は大きく「甘柿」と「渋柿」の2種類に分けられます。甘柿は熟すと自然に渋みが消えるのに対し、渋柿は熟しても渋みが残るため、出荷前にアルコールや炭酸ガスを使った「渋抜き」という処理が行われます。柿の渋みの原因は「水溶性タンニン」という成分で、これが口の中に広がることで渋さを感じます。渋抜き処理によって、このタンニンが水に溶けない「不溶性」に変化するため、渋みを感じなくなるのです。
甘柿はさらに「完全甘柿」と「不完全甘柿」に分類できます。完全甘柿は、種子の有無に関わらず、自然に渋みが抜ける品種を指します。一方、不完全甘柿は、果実に多くの種子ができると、その周辺の果肉が黒ずんで渋みが抜けるという特徴があります。種子が少ないと渋みが抜けきらない場合もあります。
渋柿も同様に「不完全渋柿」と「完全渋柿」に分けられます。不完全渋柿は、種子の周りだけ渋みが抜けるものの、果実全体には渋みが残る品種です。完全渋柿は、果実に種子が入っても渋みが抜けない品種を指します。どちらの渋柿も、適切な渋抜き処理をすることで甘くなり、干し柿に加工することで渋みが完全に抜け、美味しく食べられます。
現在、国内で品種登録されている柿は約70種類ですが、各地には古い木やその土地ならではの品種が1000以上もあると言われています。特に多く栽培されている主な品種としては、甘柿では「富有(ふゆう)」「次郎(じろう)」「西村早生(にしむらわせ)」「伊豆(いず)」が挙げられ、渋柿では「平核無(ひらたねなし)」「刀根早生(とねわせ)」が代表的です。

柿の栽培方法と注意点

柿は比較的育てやすく、家庭菜園で果樹栽培を始める方にもおすすめです。しかし、安定した収穫量と品質を維持するためには、いくつかの注意点があります。特に、ヘタムシや落葉病といった病害虫には注意が必要です。これらの病害虫は果実の品質を大きく損なうだけでなく、木の生育にも悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な予防と早期発見・対策が重要です。また、柿の木は枝の先端に花芽をつけるという性質があります。そのため、剪定を行う際は、翌年の実の付き方を考慮し、枝先を切りすぎないように注意しましょう。枝先を強く切りすぎると、花芽がなくなってしまい、その年の収穫量が減ってしまうことがあります。

柿の分類と品種

完全甘柿は、種子の有無に関わらず自然に渋みが抜ける品種で、その強い甘味が特徴です。渋みが抜けるためには、夏から秋にかけての気温が高いことが必要となるため、主に温暖な地域が産地として知られています。ここでは、代表的な完全甘柿の品種を詳しくご紹介します。

太秋(たいしゅう)

太秋は、1995年に品種登録された、比較的新しい品種です。主な産地としては、熊本県、福岡県、愛媛県などが挙げられます。栽培の難しさから収穫量が安定しづらく、他の品種に比べて生産量が少ない傾向にあります。果実の重さは320g程度と大玉で、中には500gを超えるものも存在します。形は腰高の扁円形で、果皮は鮮やかな橙色をしています。糖度は通常17度ほどですが、高いものでは20度を超えることもあり、その甘さと、果汁をたっぷり含んだみずみずしい味わいが魅力です。シャキシャキとした食感は、他の柿にはない独特のものです。完熟してもわずかに青みが残ることがあり、果頂部に「条紋」と呼ばれる細かい筋が現れやすいのも特徴です。この条紋の周囲は特に甘いとされ、条紋があることは、果実が十分に熟している証とされています。収穫時期は10月中旬から11月上旬で、スーパーマーケット、八百屋、産地の直売所、オンライン通販など、様々な場所で購入できます。
人気の品種「太秋」は、主に南日本で栽培されていますが、近年では様々な地域での栽培が試みられています。特に、神奈川県大磯町で生産される大玉の「太秋」は、その希少性から農家の庭先でしか手に入らないと言われています。一般的な柿の重さが約200gなのに対し、大磯の大玉柿は350g以上と、その大きさが際立っています。この大玉柿は、大胆な剪定と摘蕾・摘果によって、残された実に養分を集中させる栽培方法で育てられており、堂々とした美しい見た目と、たっぷりの果汁、みずみずしい果実味が特徴です。湘南の温暖な気候、豊富な日照、そして潮風を受けて育った大磯の大玉柿は、従来の柿のイメージを覆すようなシャキシャキとした食感と、上品な甘さが魅力です。柿特有のねっとりとした食感が苦手な方にもおすすめで、「柿嫌いでも食べやすい」と評判です。この機会に、色々な柿の品種を試してみてはいかがでしょうか。大玉柿は、オンラインの産直ECサイトや、大磯町のセレクトショップなどで販売されています。

富有(ふゆう)

岐阜県を原産とする富有は、甘柿を代表する品種の一つです。岐阜県瑞穂市が発祥の地とされ、北海道と東北地方を除く、ほぼ全国で栽培されています。農林水産省が毎年実施している『特産果樹生産動態等調査』では、柿の品種別栽培面積・出荷量が公表されており、最新(令和5年産)の統計データによれば、『富有』が全国で最も多く生産されている柿の品種である。(出典: 特産果樹生産動態等調査(令和5年産), URL: https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tstat=000001020907&toukei=00500503, 2025-07-04)
果実の重さは230〜280gほどで、扁円形をしています。果皮は鮮やかな橙紅色です。糖度は15度~18度と十分に甘く、食感は熟すにつれてサクサクとした歯ごたえから、しっとりとしたなめらかな食感へと変化します。出回る時期は11月から12月上旬で、貯蔵性にも優れているため、比較的長い期間、市場に出荷されます。江戸時代に栽培が始まり、明治時代に現在の「富有」という名前が付けられました。

次郎(じろう)

静岡県を原産とする次郎は、愛知県、静岡県、三重県などで主に栽培されています。果実の重さは250〜300gほどで、平たい四角形をしており、特徴的な4本の溝があります。果皮は橙色で、糖度は16度~18度と高く、果肉は硬めで、カリッとした歯ごたえのある食感が楽しめます。国内では富有に次いで多く栽培されている品種であり、日持ちが良いのも特徴です。出回る時期は10月下旬から11月頃で、スーパーマーケット、八百屋、産地の直売所、オンライン通販など、様々な場所で手に入れることができます。

伊豆(いず)

伊豆は静岡県を原産とする品種で、福岡県、島根県、香川県などが主な産地として知られています。果実の重さは300gほどの大玉で、四角い扁円形をしており、果皮は橙紅色です。糖度は14度~15度と比較的穏やかな甘さですが、果汁が多く、果肉はやわらかいのが特徴です。10月上旬に熟す早生品種であるため、比較的早い時期から市場に出回ります。スーパーや産地の直売所、オンライン通販など、様々な場所で購入できます。この品種は、富有と興津1号を交配して1955年に生まれました。

輝太郎(きたろう)

島根県生まれの輝太郎は、同県が誇るオリジナル品種です。地元ゆかりの著名な漫画家、水木しげる氏の代表作から名付けられ、2010年に品種登録されました。平均300gにもなる大きな果実は、ふっくらとした円形が特徴です。光沢のある濃い橙色の果皮を持ち、糖度は20度を超えることもあり、その甘さは格別です。果肉はみずみずしく、なめらかな口当たりで、9月下旬から味わえる早生甘柿として、秋の訪れをいち早く告げる存在です。

ねおスイート

岐阜県原産のねおスイートは、2015年に品種登録された岐阜県独自の品種です。甘みの強い「新秋」と、心地よい食感の「太秋」を掛け合わせ、10年という長い年月をかけて開発されました。中くらいの大きさで、やや縦長の扁平な形をしており、橙色の果皮には「条紋(ひび割れ)」が見られるのが特徴です。平均糖度は20度以上と非常に高く、サクサクとした食感が楽しめます。富有柿よりも早い10月に収穫される中生品種で、生産量は限られていますが、岐阜県内のJA直売所や産地直送の通販で購入可能です。特に、糖度20度以上、重さ300g以上の優れた品質のものは、高級ブランド「天下富舞(てんかふぶ)」として、高い評価を受けています。

紀州てまり(きしゅうてまり)

和歌山県生まれの紀州てまりは、2019年に品種登録された和歌山県オリジナルの品種です。2008年に和歌山県果樹試験場かき・もも研究所において、「早秋」と「太秋」を交配して生まれた実生の中から選抜されました。300gを超える大果で、丸みを帯びた扁平な形をしており、果皮は淡い橙色をしています。糖度は16度から17度と十分な甘さがあり、果汁が豊富で、シャキシャキとした食感が魅力です。10月下旬から収穫が始まりますが、生産量が少ないため、産地直送の通販や、和歌山県のふるさと納税の返礼品として入手できることが多いようです。

不完全甘柿の品種

不完全甘柿とは、種ができることで渋みが抜け、甘くなる種類の柿のことです。種がたくさんできると、果肉の中にタンニンが凝固してできる黒褐色の斑点、いわゆる「ゴマ」が多く現れます。このゴマの多さが、渋みが抜けたかどうかの目安となります。反対に、種が少ない果実ではゴマの発生も少なく、渋みが完全に抜けきらない場合もあるので注意が必要です。ここでは、代表的な不完全甘柿の品種について、詳しくご紹介します。

禅寺丸(ぜんじまる)

神奈川県が発祥の地とされる禅寺丸は、鎌倉時代に王禅寺(現在の川崎市麻生区)で発見されたという言い伝えがある、日本で最も古い甘柿の一つです。江戸時代には王禅寺周辺での栽培が盛んで、明治時代に最盛期を迎えましたが、新品種の登場や都市化の影響で、一時市場から姿を消しました。しかし、現在では「柿生禅寺丸保存会」が設立され、地域特有の品種として保護・育成されています。果実は丸く小ぶりで、鮮やかな紅橙色をしており、糖度は約15度。果肉は硬めで、種が大きいのが特徴です。市場にはほとんど流通せず、9月下旬から10月上旬の収穫時期に、主に川崎市内の農産物直売所で見かけることができます。また、毎年10月に開催される「王禅柿まつり」では、保存会の直売所で購入することも可能です。

西村早生(にしむらわせ)

西村早生は滋賀県が原産で、福岡県、岐阜県、鹿児島県などで多く栽培されています。富有と赤柿の自然交雑によって生まれたと考えられており、1960年代に園主の名前にちなんで命名されました。種が多くなるほど果肉に黒い斑点(ゴマ)が増え、甘みも増すのが特徴です。果実の重さは約200gで、糖度は約15度。独特の粘り気がある果肉は、カリカリとした食感とさっぱりとした甘さが楽しめます。果肉には褐色の斑点(ゴマ)が豊富に含まれているのが一般的です。9月上旬から10月下旬にかけて収穫される早生品種で、秋の訪れをいち早く感じさせてくれます。

筆柿(ふでがき)

愛知県が原産の筆柿は、同県幸田町が全国一の生産量を誇る品種です。その名前は、筆の穂先に似た形に由来します。また、そのユニークな形状から「珍宝柿(ちんぽうがき)」という親しみやすい愛称でも呼ばれています。果実は約100gと小ぶりで、果皮が薄いため皮ごと食べられるほどです。シャキシャキとした歯ごたえも魅力の一つです。糖度は平均17度と高く、中には25度に達するものもあり、非常に甘い柿として知られています。収穫時期は9月中旬から10月上旬で、スーパーマーケット、青果店、産地の直売所、産地直送のオンラインストアなどで購入できます。

不完全渋柿の品種

不完全渋柿とは、種子が形成されると、その周辺に「ゴマ」と呼ばれる黒い斑点が現れ、部分的に渋みが抜ける性質を持つ渋柿の品種のことです。しかし、果実全体としてはまだ渋みが残っているため、美味しく食べるためには、収穫後にアルコールや炭酸ガスなどを用いた渋抜き処理が不可欠です。ここでは、代表的な不完全渋柿の品種について詳しく解説します。

平核無(ひらたねなし)

新潟県発祥の平核無は、佐渡では「おけさ柿」、山形では「庄内柿」という名で親しまれる、種なし柿の代表的な品種です。全国各地で栽培されており、扁平で丸みを帯びた四角い形が特徴。重さは180~200gほどで、糖度は14~16度と甘く、果肉はきめ細かく柔らかで、果汁も豊富です。渋抜きしやすく、干し柿にも最適。スーパーや八百屋、産地直売所、オンラインストアなど、様々な場所で手軽に入手可能です。

刀根早生(とねわせ)

奈良県が原産の刀根早生は、和歌山県、奈良県、新潟県、山形県などで多く栽培されています。平核無の枝変わりとして発見され、天理市の育成者の名前にちなんで命名。平核無よりも10日から15日ほど早く成熟する早生品種で、大玉で品質が良いのが特徴です。一般的には9月下旬から10月上旬に収穫されますが、ハウス栽培ではお盆の頃にも出荷されます。果重は150~200g程度、糖度は18~20度と高く、果汁もたっぷり。扁平な四角い形をしています。

甲州百目(こうしゅうひゃくめ)

山梨県の甲府盆地で古くから栽培されてきた甲州百目は、福島県、宮城県、山梨県などでも栽培されています。「蜂屋」、「富士」、「渋百目」といった別名も持ちます。果実は350~400gと大きく、中には500gに達するものも。その重さから「百匁」という名がついたとされています。つりがねのような形をしており、果皮は赤橙色。果肉は柔らかく果汁が多く、渋抜き後の糖度は20度を超えることもあります。11月頃に収穫され、主に「あんぽ柿」や「ころ柿」などの加工品として利用されますが、生の果実もオンラインストアなどで購入できます。あんぽ柿やころ柿は、スーパーや八百屋、産地直売所などで広く販売されています。

太天(たいてん)

広島県が原産の太天は、愛媛県で多く栽培されている晩生の渋柿です。黒熊と富有を掛け合わせて育成され、2009年に品種登録されました。果実は扁平で非常に大きく、平均490gにもなります。肉質は柔らかく、完熟前のものは「太秋」のようにシャキシャキとした食感が楽しめますが、熟が進むと緻密でなめらかな口当たりに変化します。糖度は17度ほどで甘く、果汁も豊富。11月中旬に収穫され、スーパーや八百屋、産地直売所、オンラインストアなどで購入できます。

突核無(とつたねなし)/ベビーパーシモン

新潟県が発祥の地であり、佐渡島で発見された平核無からの突然変異によって誕生した品種です。果実は非常に小さく、その大きさはピンポン玉ほど。皮が薄く種がないため、渋抜き処理をすれば丸ごと手軽に食べられます。糖度は20度以上と非常に高く、シャキシャキとした食感が魅力です。品種登録はされていませんが、「ベビーパーシモン」という登録商標があり、新潟県産や岐阜県産がその名前で販売されています。9月下旬から10月上旬にかけて出荷され、産地の直売所やオンラインショップで購入できます。また、この品種の苗木は「さど乙女」という登録商標で流通しています。

みしらず柿

福島県が原産で、会津地方で昔から栽培されている品種であり、毎年皇室へ献上されている由緒ある柿です。「身不知柿」と表記され、その名前の由来にはいくつかの説があります。一つは、たくさんの実をつける様子が「身の程知らず」であるという説。二つ目は、その美味しさに感動した将軍が「こんなに美味しい柿は今まで知らなかった」と言ったという説。そして三つ目は、あまりの美味しさに「身の程もわきまえず食べ過ぎてしまう」という説です。果実は扁平で腰高のつりがね型をしており、重さは約250g。渋抜き後のねっとりとした独特の食感が特徴です。10月下旬から11月下旬に出荷され、主に福島県内の直売所やスーパー、ネット通販、そして首都圏の一部の店舗で購入できます。

完全渋柿の品種

完全渋柿とは、果実に種が入っていても自然には渋味が抜けず、常に渋い状態の品種を指します。そのため、美味しく生で食べるには必ず渋抜き処理が必要です。渋抜きをすることで、高い糖度と独特の風味が引き出され、格別な味わいになります。ここでは、代表的な完全渋柿の品種について詳しくご紹介します。

愛宕(あたご)

愛媛県が原産であり、愛媛県の他、徳島県、香川県、岡山県などで多く栽培されています。果実は約230gですが、大きいものだと300gを超えるものもあり、つりがねのように縦長で先端が細くなっているのが特徴です。1910年には既に栽培されていたという長い歴史を持つ品種です。糖度は15度から18度と程よい甘さで、パリッとした食感を楽しめます。干し柿の原料としても広く利用されています。晩生品種であり、11月中旬から12月中旬に収穫され、産地の直売所や産地直送の通販サイトなどで購入可能です。

市田柿(いちだがき):長野県が生んだ甘味の極み

長野県を代表する市田柿は、主に南信州の飯田市周辺で栽培されている渋柿の一種です。特に、干し柿「市田柿」の原料として、その名を知られています。果実の重さは100~120g程度で、糖度は18度を超えることもあります。干し柿に加工されると水分が失われ、重さは約25gにまで減少しますが、糖度はなんと60度~70度にまで跳ね上がります。表面を覆う白い粉と、羊羹のようなもっちりとした食感、そして濃厚な甘みが特徴です。2016年には地理的表示保護制度(GI)に登録され、長野県の特産品としての地位を確立しています。11月下旬から2月頃まで出荷され、スーパーマーケット、青果店、直売所、物産展、オンラインストアなどで購入できます。

西条(さいじょう):広島県原産の風味豊かな柿

広島県を代表する西条柿は、中国地方で広く栽培されている品種です。特に島根県、鳥取県、広島県が主な産地として知られています。果実は縦長の円筒形で、表面に4本の溝があるのが特徴です。果肉はきめ細かく、やわらかいのが特徴で、糖度は18度以上と高く、上品な甘さを楽しめます。生果としては10月中旬から11月中旬頃に出回りますが、10月下旬から年末にかけては、あんぽ柿や干し柿としても多く流通します。購入場所は、スーパーマーケット、青果店、産地の直売所、オンライン通販など多岐に渡ります。

とろける食感がたまらない!やわらかい柿がお好みのあなたへ

柿の食感は、品種によって大きく異なります。硬めのもの、シャキシャキしたもの、そして、とろけるようになめらかなものまで様々です。特になめらかな食感を求める方には、「輝太郎(きたろう)」、「刀根早生(とねわせ)」、「甲州百目(こうしゅうひゃくめ)」、「西条(さいじょう)」、「みしらず柿」、「伊豆(いず)」、「平核無(ひらたねなし)」などがおすすめです。これらの品種は、口の中でとろけるような食感が特徴です。また、「富有(ふゆう)」や「太天(たいてん)」のような、水分が多くシャキシャキとした食感の柿も、追熟させることで柔らかくなり、また違った味わいを楽しむことができます。追熟させて柔らかくなった柿は、皮をむかずに半分にカットしてスプーンで味わったり、冷凍してシャーベットとして楽しむのもおすすめです。

シャキシャキ食感がたまらない!水分たっぷりの柿がお好みのあなたへ

やわらかくねっとりとした食感が苦手な方や、シャキシャキとした食感がお好みの方向けには、水分が豊富な「太秋(たいしゅう)」や、硬めで歯ごたえのある「次郎(じろう)」がおすすめです。特に「太秋」は、大玉果の生産に力を入れている神奈川県大磯町の「大磯うみのかぜファーム」が注目を集めています。この農園では、有機質肥料を使用し、樹上でじっくりと熟成させる栽培方法を採用しており、さっぱりとした甘さとみずみずしさが特徴の柿を育てています。「柿嫌いでも食べやすい」と評されるほどで、シャキシャキとした食感を存分に楽しめます。

とにかく甘い柿が好きな人におすすめの品種

柿はその高い糖度で知られ、多くの品種が甘さを特徴としていますが、特に際立った甘さを求めるなら、いくつかの品種がおすすめです。甘柿の中から選ぶなら、「太秋(たいしゅう)」、「ねおスイート」、「輝太郎(きたろう)」が、その強い甘みで人気を集めています。渋柿でも、渋抜き処理をすることで甘さが増す品種があり、「筆柿(ふでがき)」、「刀根早生(とねわせ)」、「甲州百目(こうしゅうひゃくめ)」などは、渋抜き後の糖度が非常に高くなります。柿は酸味が少ないため、同じ糖度のリンゴやブドウよりも甘く感じやすい傾向があります。色々な品種を試して、お好みの甘さを見つけてみましょう。

自分で干し柿を作りたい人におすすめの品種

秋の風物詩である干し柿作りには、特定の品種が適しています。干し柿には一般的に渋柿が使われ、生の状態では渋みが強いものの、乾燥させることで渋みが抜け、凝縮された甘さが生まれます。干すことで水分が減り、栄養価と甘みが濃縮されるため、大きめの果実が特に適しています。具体的には、「西条(さいじょう)」、「市田柿(いちだがき)」といった完全渋柿や、「平核無(ひらたねなし)」、「甲州百目」のような不完全渋柿が、干し柿作りに推奨される品種です。これらの品種は、干し柿にした時の風味や食感の良さで選ばれています。

まとめ

柿は東アジア原産の果樹で、日本においては奈良時代から秋の味覚として親しまれてきました。食卓でお馴染みの果物ですが、品種は非常に多く、それぞれの個性的な特徴はあまり知られていないかもしれません。柿は大きく甘柿と渋柿に分けられますが、流通している渋柿の多くは、人の手によって渋抜き処理が施されています。国内で最も多く栽培されているのは甘柿の「富有(ふゆう)」であり、次いで「平核無」や「刀根早生」といった渋柿の品種が広く栽培されています。
柿の収穫時期は品種によって異なり、早いものでは8月のお盆の頃から早生品種が出回り始め、晩生品種は12月頃まで収穫が続きます。さらに、貯蔵された柿が年明け後も市場に出回り、干し柿に至っては春先まで店頭で見かけることもあります。このように、季節の移り変わりとともに様々な柿の味わいを楽しむことができます。残暑が残る9月から10月には、シャキシャキとした食感のみずみずしい柿を、晩秋にはしっとりとした濃厚な味わいの柿を選ぶなど、時期によって異なる美味しさを堪能してみてはいかがでしょうか。多様な品種の柿を味わうことで、日本の豊かな秋の味覚を再発見できるでしょう。

柿の品種は日本にどれくらいありますか?

日本における柿の栽培は奈良時代から始まり、長い歴史の中で、国内で栽培される品種は1000種類を超えるとも言われています。地域固有の品種も多数存在し、品種登録されているものだけでも約70種類にのぼります。

甘柿と渋柿、どう見分ける?

柿を選ぶ際、熟せば自然と渋みが消えるものが「甘柿」、熟しても渋さが残るものが「渋柿」とされています。お店で売られている柿は渋抜きされていることが多いので、購入時に種類を気にする必要はあまりありません。しかし、庭になっている柿などで判断する場合は、実際に味見するのが一番確実です。品種によっては、見た目である程度判断できるものも存在します。

あの渋さ、一体なに?

柿の独特な渋さの元は、「可溶性タンニン」という成分によるものです。このタンニンが口の中に広がることで、あの強い渋みを感じます。渋抜きを行うことで、このタンニンが水に溶けない性質に変わり、渋さを感じなくなるのです。

自宅で柿を育てる時のポイント

柿は比較的育てやすい果樹ですが、ヘタムシや落葉病といった病害虫には注意が必要です。また、柿の木は枝の先に花芽をつけるため、剪定で枝の先を切りすぎると、翌年の実の数が減ってしまうことがあります。適切な病害虫対策と剪定方法を心がけましょう。

干し柿に最適な柿は?

干し柿を作るには、一般的に渋柿が適しています。中でも「西条」や「市田柿」(完全渋柿)、または「平核無」や「甲州百目」(不完全渋柿)などがおすすめです。これらの品種は、乾燥させることで渋みが抜け、奥深く上品な甘さと、独特のもちもちとした食感を楽しむことができます。

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