濃厚な味わいと手軽さで人気のピーナッツバター。朝食のトーストやパンケーキに塗ったり、お菓子作りに使ったりと、様々なシーンで活躍しますよね。しかし、一方で「カロリーが高い」「アレルギーが心配」といった声も耳にします。「ピーナッツバターは本当に体に悪いのだろうか?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。この記事では、そんなピーナッツバターの気になる健康への影響について、栄養の専門家が徹底解説します。ピーナッツバターの知られざる栄養価や、健康的な食べ方、注意点まで、詳しくご紹介しますので、ぜひ最後まで読んで、ピーナッツバターとの上手な付き合い方を見つけてください。
「ピーナッツバター=体に良い」は本当?
ピーナッツバターと聞くと、健康に良くない印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、実際には体に嬉しい栄養が豊富に含まれています。ピーナッツバターは、その名の通りピーナッツを丁寧にすり潰してペースト状にした食品で、主原料はピーナッツです。添加物を使用していないものが多いのも特徴です。(製品によっては乳化剤や砂糖が加えられている場合もあります。)
気になる点としては、やはり脂質でしょうか。ピーナッツバターには100gあたり約50gの脂質が含まれています。しかし、その多くは不飽和脂肪酸であり、健康への良い影響が期待できます。高カロリーであることは否めませんが、工夫次第ではダイエットの強い味方にもなり得るでしょう。
ピーナッツバターがダイエットに役立つ理由
さて、ダイエットに有効なピーナッツバターのレシピと活用法をご紹介する前に、なぜピーナッツバターがダイエットに適しているのか、その理由をご説明いたします。
理由① ピーナッツバターは、バター不使用
「ピーナッツバター」という名前からバターが使われていると思われがちですが、主な原料はピーナッツです。砂糖を加えたものもありますが、基本的には乳化剤などは使用されていません(ただし、一部の商品にはバターが含まれている場合があるので注意が必要です)。
ピーナッツバターに含まれる脂質のほとんどは、ピーナッツ由来の不飽和脂肪酸であり、健康に良い影響を与えると考えられています。注意点として、ピーナッツバターとバターピーナッツ(バタピー)は異なります。バターピーナッツはバターやマーガリンを使用しているため、過剰な摂取はコレステロール値の上昇や体重増加のリスクを高める可能性があります。
理由② 良質なタンパク質で基礎代謝を向上
一般的にナッツとして知られるピーナッツですが、実際には大豆と同じマメ科に属する食品です。そのため、質の高いタンパク質が豊富に含まれています。さらに、アミノ酸スコアも優れており、筋肉のエネルギー源として疲労回復を助けたり、筋肉の形成を促進する効果が期待できます。
筋肉量が増加すると、血流が改善されるだけでなく基礎代謝も向上するため、脂肪燃焼をサポートし、理想的な体型へと導く効果も期待できます。
理由③ 食物繊維の働きで血糖値の上昇を穏やかに
さらに、ピーナッツには豊富な食物繊維が含まれています。この食物繊維は、便秘改善に役立つだけでなく、血糖値の急な上昇を抑制する働きも持っています。血糖値の上昇が緩やかになることで、糖分の吸収が穏やかになり、脂肪が蓄積しにくくなるため、ダイエットをサポートします。加えて、食物繊維は腸内環境を整える作用があり、腸内細菌を活性化させ、免疫力向上にも貢献します。
理由④ ビタミン・ミネラルもバランス良く摂取できる
健康維持に欠かせないミネラルやビタミンは、多種多様なものを偏りなく摂り入れることが大切です。中でもピーナッツは、モリブデン(脂質・糖質の代謝に関与)、ビタミンB1、パントテン酸(エネルギー生成)、ビオチン、ナイアシン、そして血流をサポートするビタミンEなどを豊富に含んでいます。

ピーナッツバターを健康的に楽しむ方法
栄養価が高いピーナッツバターですが、カロリーも無視できません。そこで、健康を意識しながらピーナッツバターを楽しむためのヒントをお伝えします。
ピーナッツバターの食べ方
海外の映像で、ピーナッツバターを瓶から直接食べるシーンを見かけることがありますが、健康面から考えると推奨できる食べ方ではありません。ピーナッツバターだけを摂取すると、咀嚼回数が少なくなり満腹感を得にくいため、無糖タイプであってもカロリーオーバーにつながる可能性があります。
よりバランスの取れた食事にするためには、他の食品と組み合わせることが大切です。中でも、ピーナッツバターをパンに塗る食べ方は定番と言えるでしょう。ピーナッツバターをそのまま食べるのではなく、「塗る」または「和える」といった調理法で日常的に摂取することで、健康への良い影響が期待できます。
購入する際の注意点
美容や健康のためにピーナッツバターを食生活に取り入れるなら、製品選びはとても大切です。購入する際は、食塩、砂糖、乳製品が添加されていないものを選びましょう。多くの製品はシンプルな材料で作られていますが、中には乳化剤や砂糖、塩分などが加えられているものもあります。
たとえば、アメリカで人気の「スキッピー」は、砂糖と食塩が使用されています。健康志向の方には、あまりおすすめできません。
1日の適量を守りましょう
ただし、食べ過ぎには注意が必要です。ピーナッツバターの一日の摂取量の目安は大さじ2杯程度。これはピーナッツそのもので約30gに相当します。興味深いことに、ピーナッツバターを週5日以上、習慣的に摂取することで、糖尿病の発症リスクを低減できる可能性を示唆する研究結果も存在します。