日本における桃の主要生産地は、山梨県と福島県です。これらの県は全国シェアの約50％を占めており、桃の生産量が非常に高いです。その他にも長野県や山形県、西日本では和歌山県や岡山県が桃の栽培で知られています。かつて岡山県は生産量日本一を誇っていましたが、近年は工業地域の拡大により栽培面積が減少し、現在は6位となっています。それでも、清水白桃の名産地としてその名声は健在です。さらに、九州地方では福岡県や熊本県でも桃の栽培が行われており、訪れる際には地域特有の桃の品種に出会えるかもしれません。

桃を選ぶ際には、まず全体的に左右対称で、赤色が濃いものを選ぶことが重要です。特に、果実のお尻側が白色であることが理想です。香りが強い桃は、より熟していて美味しい可能性が高いです。黒ずんだ赤色の桃は未熟で硬いことが多いので避けるべきです。また、果皮に細かいひび割れ模様があるものは、見た目には良くありませんが、陽光を十分に浴びた証拠で、甘さが期待できることがあります。このように、見た目や香りを基に選ぶことで、より美味しい桃を手に入れることができます。

桃の食べごろを見極めることは、実際には非常に難しいことです。見た目だけでは判断しきれないため、触ることは避けるべきです。また、桃が柔らかいからといって必ずしも甘いわけではありません。追熟によって柔らかくなる場合もありますが、糖度は収穫時に決まります。食べごろの桃は、実が大きく左右対称で、果皮の赤色が濃く、青いお尻が白くなるものです。全体にうぶ毛が生え、芳香が強いものほど良質な桃とされます。これらのポイントを意識して選ぶと、満足のいく一品に出会えるでしょう。

桃は暖かい気候で実を結ぶため、冷蔵保存には向いていません。熟して柔らかくなった桃は、時間が経つにつれて傷んでしまうため、早めに食べることが大切です。まだ硬い桃は常温で保存し、追熟させることで柔らかくなります。もし冷蔵庫で保存したい場合は、一つずつ紙に包んでポリ袋に入れ、お尻を上にして野菜室に置くと良いでしょう。また、常温で保存した桃は、食べる1～2時間前に冷やすと美味しさが増します。デザートとして楽しむ場合、料理の準備中に冷蔵庫に入れておくことで、食べる頃にはちょうど良い冷たさになります。

桃には多くの品種がありますが、特に代表的なものとして次の4つが挙げられます。まず、「白鳳系」は、果汁が豊富で酸味が少なく、上品な甘さが特徴です。次に「白桃系」は、現在の日本で流通する桃の祖とされ、様々な品種の基盤となっています。「黄桃系」は従来は缶詰用に栽培されていましたが、最近では生食用も登場しています。そして「あかつき」は、白鳳と白桃の交配により生まれたもので、最も生産量が多い品種です。これらの品種はそれぞれ異なる味わいや食感を持ち、季節ごとに楽しむことができるため、好みや用途に応じて選ぶと良いでしょう。

桃は日本の夏を堪能できます。この期間中に収穫される桃のなかでも特に美味しいとされる品種や、桃を主役にしたレシピから産地まで幅広く学び、味わうことで、その独特の甘さと爽やかな酸味が一層引き立つでしょう。桃の旬を知り、適切に選ぶことで、より深く美味しい桃の世界を楽しむことができます。