幻のフルーツ「ポポー」とは?その魅力と楽しみ方

普段はスーパーで見かけることのない、知る人ぞ知る幻のフルーツ「ポポー」。北米原産で、クリーミーな食感と南国のフルーツを思わせる豊かな甘みが特徴です。まるでマンゴーやバナナのような味わいで、果物好きには一度試してほしい一品として密かに注目されています。そんなポポーのユニークな魅力や、家庭での楽しみ方について探ってみましょう。未知のフルーツとの出会いは、新しい味覚の扉を開く第一歩です。

ポポーとは

「ポポー」という名前の果物はあまり馴染みがないかもしれません。この果物はバンレイシ科アシミナ属に属し、北アメリカの東部を原産地としています。日本には明治30年頃に導入され、観賞用植物として広まりました。昭和初期になると、育てやすいため一時的に人気を博しましたが、完熟後すぐに痛みやすく、外観が黒くなり流通に適さないことから、市場に出回るのが難しくなりました。その結果、現在では「幻のフルーツ」として知られるようになり、滅多に市場で見ることはありません。

ポポーの特性

ポポーの特性について見ていきましょう。

風味と口当たり

ポポーが熟すと、南国の果物のような特有の甘い香りが漂います。品種によって異なる風味を持ち、クリーミーで甘さが際立ち、アボカドやバナナ、マンゴー、柿が合わさったような食感です。そのリッチさから「森のカスタードクリーム」とも称されています。食べ頃を見極めるには外見だけでは難しいため、そっと押してみて弾力を確認し、香りがしっかりと漂っているものを選ぶと良いでしょう。

主要な産地

ポポーは、愛媛県と茨城県で盛んに栽培されており、特に愛媛県の大洲市長浜町櫛生では「日本一のポポーの里」を目指して地域全体で栽培活動を推進しています。また、茨城県の日立市では、ポポーを利用したワインやソフトクリームが特産品として生産されています。そのほかにも、静岡県、山梨県、長野県、三重県、島根県、長崎県など、全国のさまざまな県でポポーの生産が行われています。

種類や品種

ポポーには多彩な品種が存在し、それぞれ色や香り、甘さに差異があります。特に、「オーバーリース」「NC-1」「ワバッシュ」「タイトウ」は甘さが際立っていることで知られています。サイズが大きく種が少ない「シェナンドー」や「サスケハンナ」は、食べ応えと良い食感が魅力です。アメリカで最も多く栽培されている品種の「サンフラワー」は、果肉が乳白色で知られています。一方、日本でよく見かける「ウェールズ」はオレンジ色の果肉が特徴で、バナナとプリンを合わせたような風味が好評です。複数の品種を取り扱うお店もありますので、異なる味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

ポポーを堪能するための美味しい楽しみ方

ポポーを堪能するためのベストな方法をご紹介します。

生食する際の注意点

熟したポポーは非常に柔らかく、滑らかな食感が特徴です。生食する際には、縦方向にカットしてスプーンですくうか、皮を剥き種を避けて約2cm幅に輪切りにするのが良いでしょう。真ん中の種が多いので、全体の1/4から1/3の位置に切れ目を入れると上手に種を避けられます。冷凍したポポーは少し解凍することで、シャーベットのような食感が楽しめます。また、アイスクリームとの相性も抜群で、合わせて食べるととても美味しくいただけます。

調理して楽しむ

ポポーは鮮度がすぐに落ちてしまいますので、加工して食べるのが良い方法です。冷凍したポポーにパイナップルやバナナなどのお好みの果物とヨーグルトを入れてミキサーで混ぜると、美味しいスムージーができます。また、ポポーをピューレ状にしてプリンやババロア、アイスクリームに加えると、独特の甘い香りが楽しめるクリーミーなデザートになります。さらに、ポポーに砂糖とたっぷりのレモン汁を加えてジャムを作るのもおすすめで、ヨーグルトやアイスクリームに添えると美味しくいただけます。

育成の手順

ポポーの樹皮、種子、若葉には多くのアセトゲニンが含まれており、これが病気や害虫に対する強さをもたらしています。このため、家庭でも無農薬栽培が可能です。ポポーを効果的に育てるには、異なる品種の木を2本植えて人工授粉を行うと良いでしょう。11月から2月に植えると、4月から5月に花が咲き、9月から10月に収穫できます。果実が実るまでには少なくとも4年がかかりますので、ゆっくりと育てましょう。香りが強まって果実が柔らかくなったら収穫のサインです。黒くなり自然に落ちるものもあります。早く収穫した場合は2〜3日間常温で追熟させると良いでしょう。

ポポー