日本には古くから受け継がれてきた、供物を祖先や神々に捧げる習慣があります。お供え物には様々なものが用いられますが、中でも砂糖や菓子類は重要な役割を果たしてきました。これらの甘味は、亡くなった方への思いやりや敬意を表す象徴として、祭壇に供えられてきたのです。砂糖と菓子のお供えには、日本人の心に根付く精神性と伝統が息づいています。この記事で詳しく見ていきましょう。
仏壇にお供えする砂糖菓子「落雁」とは?
仏壇にお供えされる砂糖菓子「落雁(らくがん)」について解説します。落雁は、特にお盆の時期に見かける干菓子の一つです。この菓子は、米や豆から作られたでんぷん質の粉に水飴や砂糖を加えて練り、型に入れて固めたものです。干菓子とは、水分が少ない乾燥した和菓子のことで、落雁のほかにも煎餅や金平糖などがあります。もともとは中国から伝わり、茶道文化と共に日本に広まりました。
仏壇にお供えする砂糖菓子「落雁」の意味は?
落雁を仏壇にお供えする意味について説明します。仏壇へのお供えの習慣は、お釈迦様の弟子であった僧侶「目連(もくれん)」が恵まれない人々に食べ物を施したことに由来するとされています。かつて砂糖は貴重なものであり、そのため貴重な品として落雁が選ばれました。さらに、砂糖の白色は故人の穢れを取り除き、純粋な魂であの世へ旅立つようにという願いが込められています。
砂糖菓子「落雁」の仏壇への供え方
落雁を仏壇に供える際は、仏壇の中段に置くのが基本です。お盆の際に「盆棚」を設置する場合は、その上に置きます。高坏(たかつき)や皿があれば、半紙を敷いた上に落雁を盛り、仏壇の左右に置きます。直接置く場合は、落雁の箱の蓋を開けて中身が見えるようにお供えするのが良いでしょう。
砂糖菓子「落雁」を仏壇から下げたときはどうするか
仏壇から下げた落雁の取り扱いについて解説します。お供え物を下げた後は、家族で分かち合って食べるのが一般的です。そのため、和菓子店で美味しい落雁を選んでおくと良いでしょう。落雁はそのまま食べても構いませんが、食べにくい場合はコーヒーや紅茶に入れたり、砕いてヨーグルトに混ぜたり、煮豆や煮物に使ったりするのも良い方法です。
まとめ
お供えとしての砂糖菓子は、日本人の精神文化の一端を物語る大切な存在です。祖先や神々への思いを込め、時に喜びの心、時に哀しみの心を表す媒体として、これらの甘味は重んじられてきました。供物を通して、日本人は自らの心の在り方を見つめ直し、先人から受け継がれてきた価値観を尊重する良き機会となっているのです。