お供え落雁

落雁とは?

落雁は、日本の伝統的な和菓子の一種で、干菓子に分類されます。干菓子とは、水分含有量が少ない(およそ10%以下)乾燥した和菓子のことで、落雁の他に、せんべいや金平糖などが挙げられます。その上品な見た目と控えめな甘さで、古くからお供え物として用いられてきました。特に、お盆の時期にはスーパーマーケットなどでもよく見られ、蓮の花や菊、果物など、さまざまな美しい形のものがあります。その起源は中国にあり、茶道文化の広まりとともに日本で広く親しまれるようになったと考えられています。

お供えに落雁を選ぶ理由

落雁を仏壇にお供えする理由は、お釈迦様の弟子であった僧侶「目連」(もくれん)が、恵まれない人や修行僧に食べ物を施した「百味飲物(ひゃくみおんじき)」に由来するといわれます。昔は甘いお菓子は貴重で贅沢な食べ物だったため、その象徴として落雁をお供えするようになりました。また、砂糖は白い食品であることにも意味があります。白色は故人が棺に収まる際に身に付ける白装束の色であり、生前の穢れをなくして純粋な魂であの世へ旅立てるようにという願いの込められた色です。

仏壇への落雁の供え方

落雁を仏壇に供える際には、仏壇の中段に置くのが基本です。お盆の時期に「盆棚」を設置する場合には、その上に置きましょう。高坏(たかつき)や皿などがあれば、半紙を敷いた上に落雁を盛り、仏壇の左右に設置しましょう。直接置く場合には、落雁が入った箱の蓋を開けて、中身が見えるようにしてお供えしましょう。

お供えした落雁は、お盆などが終われば仏壇から下げますが、粗末にせずに、家族で分かち合っていただくのが供養になると考えられています。しかし、お供えした後の落雁は硬くなってしまい苦手という方もいるかもしれません。そのまま食べても構いませんが、少し手を加えれば食べやすくなります。

落雁と和三盆との違い

落雁とよく似たお菓子に「和三盆」があります。どちらも形や色はさまざまで、お供えに使われることもありますが、実は使う材料が異なります。落雁はお砂糖に米粉や豆粉などを混ぜて作りますが、和三盆は砂糖の和三盆を水飴だけで押し固めたシンプルなものです。また落雁に使う砂糖は特に種類などは決まっていないのが大きな特徴です。

仏壇への供え物

法事やお盆の際に、落雁などのお菓子以外に供えるものには、お線香、お花、果物、缶詰め(ジュースやフルーツ)、筒入りの海苔、コーヒーなどがあります。お供物として持参する場合、果物を選ぶことが多いかと思いますが、お盆時期の暑い季節には常温で置いたままでも痛みにくいものを選びます。りんごやグレープフルーツなどすぐに腐らないものが良いでしょう。ぶどうやバナナや桃など、熟すスピードが早いものはなるべく避けるのが無難です。

まとめ

落雁は、仏壇のお供え物として古くから親しまれてきた日本の伝統的なお菓子です。その由来や意味を知り、正しい方法でお供えすることで、故人やご先祖様への敬意を伝えることができます。また、お供えした後の落雁は、そのまま食べるだけでなく、様々なアレンジで美味しくいただくことができます。ぜひ、落雁の持つ魅力を再発見し、日々の生活に取り入れてみてください。

落雁