甘酸っぱく、みずみずしいプラムは、夏の訪れを告げる果物として親しまれています。その美味しさだけでなく、美容と健康をサポートする栄養効果もたっぷり。ビタミンやミネラル、食物繊維など、私たちの体に必要な栄養素をバランス良く含んでいるんです。この記事では、プラムの知られざる栄養効果にスポットを当て、美肌効果から健康維持まで、その秘密を詳しく解説していきます。
プラムとは？基本情報と種類
プラムは、バラ科に属するスモモ属の果実で、その甘さと爽やかな酸味が魅力です。日本では、主に6月から8月にかけて旬を迎え、山梨県、長野県、和歌山県などが有名な産地として知られています。プラムは英語での名称であり、日本では「スモモ」と呼ばれ、フランス語では「プルーン」として知られています。一般的に、生食用として親しまれている日本スモモをプラムと呼び、西洋スモモや乾燥させたものをプルーンと呼ぶ傾向があります。
プラムの代表的な品種
プラムには多種多様な品種が存在し、それぞれが独特の色、形、そして風味を持っています。代表的な品種としては、「大石早生」、「ソルダム」、「貴陽」、「太陽」、「秋姫」などが挙げられます。
- 大石早生: 比較的早い時期に収穫され、5月下旬頃から市場に出回ります。小さな桃のような形状で、熟すと鮮やかな赤色に染まり、果肉はみずみずしく、程よい酸味が特徴です。
- ソルダム: 大石早生よりもやや大きく、完熟すると果皮だけでなく果肉まで深紅色になります。店頭では緑色の皮のものも見られますが、追熟させることで甘みが増します。
- 太陽: 大石早生やソルダムに比べて大ぶりで、濃い赤色の果皮と、やや黄色の果肉が特徴です。強い甘みを持ち、日持ちが良い点も魅力です。
- 貴陽: 非常に大きな実をつける品種で、強い甘みが特徴です。300gを超えるものも存在し、その大きさはギネス世界記録にも認定されています。
- 秋姫: 9月頃に収穫される晩生品種であり、200g程度の大玉です。濃厚でなめらかな食感が特徴です。
プラムの栄養成分と健康効果
プラムは、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、健康維持に不可欠な様々な栄養素を豊富に含んでいます。これらの栄養素は、美容、ダイエット、そして健康促進など、多岐にわたる効果をもたらします。
スモモ（プラム）に含まれる主な栄養素（100gあたり）
日本食品標準成分表2020年版（八訂）によると、スモモ（プラム、生、可食部100gあたり）の主な栄養成分は以下の通りです。
- エネルギー：44kcal
- カリウム：150mg
- ビタミンE（α-トコフェロール）：0.6mg
- 食物繊維：1.6g
- β-カロテン：79μg
- 葉酸：37μg
- ビタミンC：4mg
プラムの種類や大きさによって栄養価は多少異なりますが、ソルダム1個分(約100g)を目安にすると良いでしょう。大石早生はやや小ぶりで、太陽は大きめです。
プラムがもたらす健康への恵み
プラムに含まれる様々な栄養成分は、私たちの健康維持に多岐にわたる恩恵をもたらします。具体的には、以下のような効果が期待されています。
便秘改善効果
プラムは食物繊維を豊富に含んでおり、中でも皮には水溶性食物繊維のペクチンが特に多く含まれています。食物繊維は腸内環境を整え、便通を促す働きが期待されます。また、食物繊維には、食事由来の脂質や糖、ナトリウムなどを吸着して体外へ排出するのを助ける性質があり、こうした働きが、生活習慣病の予防に役立つ可能性が指摘されています。
貧血予防への貢献
プラムに含まれる葉酸は、DNA合成や赤血球の生成をサポートする役割を担っています。特に妊娠初期の胎児の成長には不可欠な栄養素であり、神経管閉鎖障害のリスクを低減する効果も期待されています。ビタミンB12と合わせて摂取することで、造血作用をより活発にし、貧血の予防に繋がります。
抗酸化パワー
プラムの皮や果肉に見られる赤色や紫色は、アントシアニンというポリフェノールの一種によるものです。アントシアニンは、活性酸素の生成を抑え、取り除く抗酸化作用を持っています。この作用により、体の酸化ストレスから保護することを通じて、健康維持に役立つと考えられており、生活習慣病の予防やエイジングケア、免疫機能の維持への貢献が期待されています。加えて、目の疲れを和らげたり、毛細血管を強化する効果も期待されています。
血流を促す効果
プラムに含まれるビタミンEは、強力な抗酸化力を持つ脂溶性ビタミンの一種で、「若返りのビタミン」とも称されます。ビタミンEには抗酸化作用があり、血行をサポートする働きがあると考えられています。これにより、健康的な血流維持に役立ち、冷えや肩こりの軽減、さらには動脈硬化などの生活習慣病予防への貢献が期待されます。
むくみ軽減効果
プラムに豊富なカリウムは、体内の余分なナトリウムを排出する作用があり、高血圧やむくみの予防・改善に役立ちます。細胞内液の浸透圧を調整し、細胞を正常な状態に維持する重要な役割も担っています。
プラムは皮ごと食べるのがおすすめ？美味しい食べ方と選び方
プラムは、皮ごといただくことで、食物繊維やポリフェノールなどの栄養成分をより豊富に摂取できます。皮の酸味が気になるようでしたら、ジャムやコンポートのように加熱調理することで食べやすくなります。
プラムの選び方
美味しいプラムを選ぶ際には、以下の点に注意してみましょう。
- 色が深く、ムラがないこと
- 表面にツヤがあり、傷やへこみがないこと
- 芳醇な甘い香りが感じられること
- 桃のように、ほんの少し柔らかさを感じるもの
- 表面にブルーム（白い粉のようなもの）が付着していること
ブルームはプラムの鮮度を表す指標であり、カビではありませんので安心して選んでください。
プラムの食べ方
プラムは、そのままフレッシュな状態で味わうのが一般的ですが、工夫次第で様々な楽しみ方ができます。
- 生のまま: 皮ごとそのまま食べるのが、一番手軽でおすすめです。プラム本来の味をダイレクトに味わえます。
- ジャムに: プラムと砂糖、レモン果汁を煮詰めるだけで、自家製ジャムが手軽に作れます。パンやヨーグルトに添えてどうぞ。
- コンポートとして: 砂糖水で煮るだけの簡単調理で、プラムのコンポートが楽しめます。デザートやお菓子作りに活用できます。
- プラム酒に: 梅酒と同じように、プラムと氷砂糖、ホワイトリカーに漬け込むことで、風味豊かなプラム酒が作れます。
- ピューレにする: プラムを加熱した後、裏ごししてピューレ状に。ソースやデザートの材料として幅広く活用できます。
- ケーキやタルトの具材に: スイーツのトッピングとして使用すれば、プラムの甘酸っぱさがアクセントになります。
- 料理のソースとして: 鶏肉や豚肉などの料理のソースとして使用すると、さわやかな風味が加わり、食欲をそそります。
プラムの保存方法：追熟、冷蔵、冷凍
プラムは、その熟度に合わせて適切な方法で保存することで、美味しさをより長く保つことができます。
追熟
まだ十分に熟していない、硬めのプラムは、常温で追熟させるのがおすすめです。甘い香りが漂い、触った時に少し柔らかさを感じるまで待ちましょう。
冷蔵保存
十分に熟したプラムは、冷蔵庫で保存します。新聞紙やキッチンペーパーなどで包んで保存することで、乾燥を防ぎ、より長く保存することができます。カットしたプラムは、変色を防ぐために、すぐに食べるか、薄い砂糖水に浸しておくと良いでしょう。
冷凍保存
プラムは、冷凍保存も一つの方法です。丁寧に水洗いし、水分を拭き取ったら、傷んでいる箇所を取り除きます。その後、ラップで包むか、ジッパー付きの保存袋に入れて冷凍庫へ。種を取り除いてから冷凍すると、食べる際に手間が省けます。ただし、冷凍すると酸味が際立ち、食感も変わるため、ジャムなどへの加工に適しています。
ダイエット中のプラム：注意点と効果
プラムは食物繊維やカリウムを豊富に含み、ダイエットを助ける効果が期待できます。しかし、糖分も含まれているため、摂取量には注意が必要です。
ダイエット効果
プラムに含まれる食物繊維は、腸内環境を改善し、便秘解消を促します。また、カリウムは、むくみの原因となるナトリウムの排出をサポートします。これらの作用により、プラムはダイエットを応援する食品と言えるでしょう。
注意点
プラムは甘みのある果物なので、過剰に摂取すると糖分やカロリーの摂りすぎにつながる可能性があります。特に、就寝前の摂取は避け、1日の摂取量を決めて、適切な量を守るようにしましょう。活動量の多い午前中や日中の摂取がおすすめです。
結び
プラムは、その美味しさだけでなく、健康と美容に役立つ様々な栄養素を豊富に含んだ魅力的な果物です。旬の時期に積極的に食生活に取り入れ、その恩恵を享受しましょう。生食はもちろん、ジャムやコンポートなど、多様な調理法で楽しむことができるのも魅力です。
プラムとスモモの違いは何ですか？
プラムは英語名、スモモは日本語名であり、これらは同一の果実を指しています。フランス語ではプルーンと呼ばれます。日本では、一般的に、生で食される日本スモモをプラム、西洋スモモや乾燥させたものをプルーンと呼ぶ傾向が見られます。
プラムは妊娠中の女性にも良い影響がありますか？
はい、プラムは妊娠中の女性にも推奨される果物です。葉酸が豊富に含まれており、お腹の中の赤ちゃんの健やかな成長を支える効果が期待されています。
プラムは皮ごと食べるべきですか？
プラムの皮には、食物繊維やポリフェノールといった栄養素が豊富に含まれているため、皮ごと食べることをおすすめします。もし皮の酸味が気になるようでしたら、加熱調理することで、より食べやすくなります。