新生児のミルクアレルギーは、多くの親にとって心配の種です。このアレルギーは、赤ちゃんが口にする最初の食べ物のひとつから始まり、消化器系や皮膚にさまざまな症状を引き起こす可能性があります。本記事では、ミルクアレルギーの原因を詳しく探り、予防や対応策についても徹底解説します。子どもの健康を守るために知っておくべき情報を提供し、不安を軽減する一助となれば幸いです。
新生児・乳児における食物蛋白による誘発性胃腸炎とは
新生児期や乳児期において、ミルクや母乳などの摂取により、繰り返し嘔吐したり血便が出たり、体重が増えない、もしくは下痢が長引くといった症状を示す病気です。この病気は2000年頃から急増し始めましたが、診断が難しく、原因を特定するのが困難なことが多いのが現状です。この病気の正式な医学名は「新生児-乳児消化管アレルギー」であり、一般的な食物アレルギーと混同されないように、厚生労働省難治性疾患克服事業では「新生児-乳児食物蛋白誘発胃腸炎」と呼ばれています。通常の食物アレルギーは血液中の食物IgE検査や皮膚テストで特定が容易ですが、この病気はIgEが関与しない別のタイプであり、原因を除去して症状が消失することを確認した後に再摂取して再発を確認する方法が最も確実とされています。
この病気にかかりやすい人
乳児期において、嘔吐と血便が同時に見られるケースは、生後すぐに発生することが多いです。一方で、嘔吐や血便が見られず体重が増えないタイプは、乳児期を通していつでも発症する可能性があります。現在のところ、特定の特徴を持つ人に多く起こるということは確認されていません。
病気の要因は
食物アレルギーの原因として、特に牛乳やその製品が全体の95％を占めています。他の要因としては、母乳が20％、米や大豆が10％、卵が数％などがあります。それ以外の食物が原因となることは1％以下です。原因を特定するのは容易ではなく、原因を除去しても症状がすぐには消えず、長期間続くことがあります。また、原因となる食物を連日摂取しても2週間ほど症状が出ない場合もあり、その後に反応が現れることがあります。これは、即時型のアレルギーとは異なり、ゆっくりとした非即時型の免疫反応が関与しているためです。最近になって増加しているこの症状ですが、以前はほとんど見られなかったことから環境要因が関与していると考えられていますが、具体的な増加原因は解明されていません。
病気の症状
特に頻発する症状としては、繰り返す嘔吐、赤色の血便、体重の増加の停滞、そして下痢が挙げられます。赤ちゃんは一般的に吐きやすいのですが、この病気においては強い嘔吐を何度も繰り返し、その結果体重が増加しないという特徴があります。血便は粘液と赤い血が混ざっています。消化管は食道から直腸まで広がっていますが、炎症の位置によってこの病気は4つの大きなグループに分類されると見られています。グループ1では嘔吐と血便が見られるタイプで、消化管全体に炎症が広がり、生後すぐ（1-2週以内）に発症することが多いです。グループ2には嘔吐があり血便が見られないタイプで、上部消化管に炎症があります。グループ3は、嘔吐も血便もないものの体重が増えないタイプで、消化管全体に炎症があるものの、特に小腸の栄養吸収障害が重要です。最後に、グループ4は嘔吐がなく血便が見られるタイプで、下部消化管の炎症が強いです。このタイプの中で、少量の血便が続くだけで体重増加が良好な場合は、緊急性は高くありません。
治療法
特定の食品を除去することで症状が改善することがあります。例えば、牛乳が原因の場合には、高度加水分解乳やアミノ酸乳を使用した治療ミルクや母乳による栄養補給が推奨されます。米や大豆、卵などが関与する場合は、離乳食の開始後に症状が現れることがあります。体重が著しく減少した場合には、消化器を休ませ、中心静脈栄養を実施することもあります。十分な栄養を確保し、赤ちゃんの健やかな成長発達を妨げないように心がけましょう。
日常生活で留意すべき点
食物除去中は、六つの主要な栄養素（炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンAを豊富に含む野菜、ビタミンCを多く含む野菜）をしっかりと摂取し、特に不足しがちなカルシウムと鉄に注意を払うことが大切です。脂質は中年以降の肥満改善のためには制限するべきですが、子供の成長期には特に脳の発達に欠かせません。脳の回路、つまりインターネットのケーブルのようなものは脂質から形成されており、中でも特に優れているのが海産物に含まれるDHAやEPAです。