モンブラン 発祥

モンブランと聞くと、真っ先に頭に浮かぶのはその独特な形と栗の風味でしょう。フランス発祥のこのデザートは、日本でも多くの人々に愛されています。実は、その起源は17世紀にまで遡ると言われていますが、一体どのようにして世界中で人気を博するスイーツとなったのでしょうか。本記事では、モンブランの誕生からその魅力に迫り、国境を越えて愛される秘密を探ります。

フランス語とイタリア語で「白い山」を意味する

モンブランという名前は、フランスとイタリアの境界にある偉大なアルプス山脈のモンブラン山に由来するとされています。フランス語では、「Mont」が「山」、そして「Blanc」が「白」を意味するのです。高さ4807メートルを誇るモンブラン山は、ヨーロッパアルプスの最高峰として名高く、「ヨーロッパの屋根」と称されています。山頂は一年中白い雪と氷で覆われ、「白い山」との名前にふさわしい風貌を持っています。ちなみに、イタリアでモンブランケーキとこの山は「Monte Bianco=モンテビアンコ」として知られています。「白い山」という意味で、フランス語とイタリア語では異なる呼び方をされていますが、両国ともに元の山を基に名付けられていることがわかります。

モンブランは山の姿を模したケーキ

モンブランと聞くと、「細いクリームやマロンペーストを使用したケーキ」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、モンブランには厳密な定義が存在しないため、各お店によって装飾方法は多岐にわたります。また、モンブランという名称自体は栗とは直接結びついていないので、必ずしも栗を使用する必要はありません。最近では、さつまいも、カボチャ、チョコレート、抹茶など、様々な素材で作られたモンブランも見かけるようになりました。

モンブランはフランスとイタリアの伝統的なお菓子

モンブランの起源にはいくつかの説がありますが、フランスのサヴォワ地方やイタリアのピエモンテ州の地元菓子がそのルーツである可能性が高いです。当初、モンブランは現在のような山の形状をイメージしたものではなく、シンプルにマロンペーストと生クリームを合わせただけのものでした。モンブラン山の姿が見る位置によって異なるため、フランスとイタリアではそれぞれのモンブランケーキの形も違いました。サヴォワ地方から見えるモンブラン山は、丸くてなだらかな印象を持っているため、ケーキも丸いドーム型が一般的でした。一方、ピエモンテ州からのモンブラン山は、氷河によって削られた切り立った姿をしており、これを模したケーキは生クリームを鋭くデコレーションするスタイルが流行していました。

現在のモンブランの形を作り上げたとされるのが、パリの老舗サロン「アンジェリーナ」です。1903年創業のこの店には、多くの著名人が訪れたと言われています。アンジェリーナのモンブランは、メレンゲの土台、生クリーム、そして細く絞られたマロンペーストで構成された、フランス伝統のドーム型スタイルです。

日本発祥の黄色いモンブラン

フランスでは、細く絞った茶色のマロンペーストに、雪を模した粉糖でデコレーションするのが人気です。対してイタリアでは、茶色のマロンペーストの上に山のように白い生クリームを盛るのが一般的です。一方で、日本のモンブランと言えば、黄色いマロンペーストの上に栗の甘露煮を乗せたものを思い浮かべる方が多いかもしれません。この黄色いスタイルは、実は日本から始まったのです。1933年に東京・自由が丘の「MONT-BLANC」で提供が始まったもので、創業者の迫田千万億さんがフランス旅行で見たモンブラン山からインスパイアされました。現地で出会ったマロンケーキを参考にして、日本独自の黄色いモンブランが誕生しました。フランスやイタリアでは、マロングラッセの茶色いペーストからデザートが作られるため、茶色が主流です。それに対し、日本では渋皮を除いて甘露煮から作られたため、独自の黄色いモンブランが生まれました。

まとめ

今回は、モンブランという名前の背景についてお話ししました。この名前はヨーロッパのアルプスにそびえる最高峰、モンブラン山から名付けられ、フランスやイタリアでその山の形を模して作られたのが始まりとされています。モンブランと言えば栗を使ったケーキが一般的ですが、栗にこだわる必要はありません。さつまいもやカボチャのペーストを使ったもの、チョコレートや抹茶、桜風味のクリームを使ったバリエーションも楽しめます。そのユニークな見た目と美味しさで知られるモンブランを、今年の秋にぜひ味わってみてください。

モンブラン