フランスとイタリアの国境付近に位置する「モンブラン山」に由来を持つモンブランは、栗の濃厚な味を堪能できるデザートです。モンブランの魅力を深く探ることで、フランスの新たな一面を発見してみませんか。
「モンブラン」という名前の由来
栗のケーキとして知られるモンブランですが、実はその名は実際の山に由来しています。フランス語で「Mont Blanc」とは「白い山」を意味し、これはフランスとイタリアの国境に存在する同名の山から来ています。正式には「Mont Blanc aux marrons」と呼ばれ、「栗を使った白い山」を指しています。元来、モンブランは生クリームとマロングラッセのペーストを組み合わせたシンプルなお菓子でしたが、山のフォルムを象った形に進化し、現在のモンブランケーキが誕生しました。フランスのサヴォア地方とイタリアのピエモンテ地方がその起源とされています。
フランス、イタリア、日本:モンブランの魅力と特徴の違い
モンブランはフランス、イタリア、日本でそれぞれ独自のスタイルがあり、形状や色合い、味わいにさまざまな違いが見られます。ここでは、これら三国のモンブランの特徴について詳しくご説明します。
フランスのモンブラン
フランスのモンブランは、栗をベースにした茶色のペーストが印象的です。メレンゲの上には生クリームが積み重ねられ、その上にマロンペーストが麵状に絞られています。その形状は、日本のモンブランと大差なく、滑らかで丸い形が共通しています。フランスの視点で見ると、モンブラン山もまた、穏やかで滑らかな丸い形をしているとされています。
イタリアのモンブラン
イタリアのモンブランは、栗の濃厚な茶色いペーストが使われている点でフランスのものと類似していますが、独特の形状が特徴的です。スポンジベースの上に栗のペーストを絞り出し、その上にクリームをとがった形に盛り付けます。このデザインは、イタリア側から見たモンブラン山が急峻で崖が多いためと言われています。
日本のモンブラン
日本のモンブランが持つ独自の特徴の一つに、ペーストの色が挙げられます。これは、栗の甘露煮を使用しているため、黄色を帯びたモンブランに仕上がるのが理由です。また、日本ではマロンペーストの絞り口金がヨーロッパのものよりも細く、これはもともと和菓子用の細い口金が使用されていた名残と言われています。
モンブランはアルプス山脈の名に由来するスイーツだった
今では定番の茶色いペーストタイプに加えて、栗の甘露煮を用いた黄色いバージョンや、さらにかぼちゃやチョコレートを使ったものも登場し、多彩な風味を楽しむことができるようになりました。何気なく味わっていたモンブランも、その背景やルーツを知ることで一層魅力が増しますね。