せんべいや羊かんなど、豊富な種類が揃う和菓子の中で、特に人気を集める「餅菓子」。もちもちとした独特の食感が多くの人に愛されているのではないでしょうか。餅菓子と一口に言っても、そのバラエティは非常に多様で、一般的なものだけでも十種類以上あり、更に各地域に伝わる郷土菓子を含めると数十種類に達します。今回は、そんな餅菓子の定義や代表的な種類について詳しくご紹介します。
餅菓子とは何か?
餅菓子は「もち米」や「うるち米」を使い、葛やわらびなどからのデンプンで作られる生菓子です。大福やぼた餅など、あんこと組み合わせることが一般的ですが、ういろうや素甘のようにあんこを使用しないものも存在します。
餅菓子の代表的な種類
餅菓子は多種多様ですが、その中でも「大福」、「柏餅」、「桜餅」、「おはぎ」、「ちまき」が代表的な存在です。各餅菓子の詳細を見ていきましょう。
大福
日本の伝統的なおやつとして人気のある大福。その起源を探ると、室町時代の「鶉餅」にたどり着きます。鶉餅は非常に大きく、多くの塩味のあんこが詰め込まれていたことで知られています。当時、砂糖は貴重品であったため、塩が使われたのでした。
この鶉餅は、非常に満腹感を与えるため「腹太餅」や「大腹餅」とも呼ばれました。江戸時代になると、砂糖を用いたあんこ入りの大福が人気を博し、その甘さが人々を魅了しました。「大腹餅」の「腹」という字は、縁起の良い「福」に替えられ、「大福餅」という名前が定着しました。
フルーツ大福
1980年代には、新たなコンセプトの「いちご大福」が登場し、これまでの大福のイメージを刷新しました。甘い大福とフルーツの酸味が組み合わさったことで、非常に人気を集めました。現在では、いちごに限らず、みかんやマスカット、メロンなど多彩なフルーツを使用した大福が次々と生まれています。
柏餅
端午の節句に欠かせない「柏餅」は、柏の葉で包まれているのが特徴です。この葉が落ちないことから、子孫繁栄を願う縁起の良い食べ物とされています。
桜餅
桜餅は、桜の葉の塩漬けであんを包む和菓子で、その外観や材料には関東風と関西風という異なるスタイルがあります。これらのバリエーションは歴史的背景に由来し、それぞれに特有の特徴を持っています。しかし、近年では関西風の桜餅が主流となり、関東風のものを見る機会は少なくなっています。
おはぎ
おはぎは、餅があんこで包まれた独特の和菓子で、まんじゅうや大福とは異なる特徴を持っています。おはぎと類似した和菓子のぼたもちですが、実際には両者は同一のもので、名前が違うだけです。秋にはおはぎ、春にはぼたもちと呼ばれるのは、季節ごとに見頃を迎える植物に由来します。春には「牡丹」が咲き誇るため「ぼたもち」と呼ばれ、秋には「萩」が美しいので「おはぎ」と名付けられています。
ちまき
ちまきは中国由来の伝統的な餅菓子で、笹の葉で包まれた餅を蒸したり茹でたりして楽しみます。日本では甘く味付けされたバージョンが一般的ですが、中国や台湾では肉や卵を加えたものが多く、軽食として親しまれています。