美生柑（みしょうかん）は、そのずっしりとした外見と爽やかな味わいから「和製グレープフルーツ」とも称される柑橘類です。このフルーツは、見た目や風味の特徴により、多くの人に愛されていますが、その名前にはいくつかの由来があります。美生柑は、ミカン科ミカン属のブンタン類に属し、別名「河内晩柑（かわちばんかん）」としても知られています。熊本県河内町で発見されたことから、その名がつけられました。愛媛県愛南町では「マルエム青果」という商標があり、この名称は愛南町の旧名「御荘（みしょう）町」に由来しています。商標登録のため、マルエム青果以外の河内晩柑には美生柑という名前は使えません。地域によって呼ばれる名前が異なるのも特徴で、熊本県では「ジューシーオレンジ」、鹿児島県では「サウスオレンジ」、愛媛県では「愛南ゴールド」などと呼ばれています。

美生柑の特徴は、その独特の栽培方法と見た目です。文旦と同じく春に開花し、夏から冬にかけて実を成長させるのが通常ですが、美生柑は実をつけたまま冬を越し、翌年の春に収穫される点が異なります。このため、寒さに弱い美生柑は、霜の少ない温暖な気候が適しています。果皮はグレープフルーツに似た黄色で、果肉は淡い黄色でジューシーです。香りはさわやかで、酸味や苦味が少なく、食べやすいのが特徴です。

美生柑の旬は、主に3月から6月にかけてです。この時期に愛媛県愛南町や宇和島市で多く栽培されており、収穫時期によって味わいが変わります。3月にはやや酸味が強めで、6月になると酸味がまろやかになります。旬の期間が長いため、異なる時期に楽しむことで、さまざまな味わいを堪能することができます。

美生柑の食べ方にはいくつかの方法があります。果皮は手で簡単に剥けるので、みかんのように手でむいて、一口サイズに分けて食べるのが一般的です。また、オレンジのようにスマイルカットにすると、果肉の甘さと薄皮のほろ苦さを同時に楽しめます。美生柑は常温でも美味しく食べられますが、室温が高い時期には冷蔵庫で冷やすと、果肉がシャキッとします。そのまま食べるだけでなく、ジュースやゼリーにしたり、皮を使ってマーマレードを作るのもおすすめです。

美生柑は、その特徴的な風味と栽培方法で、多くの人に愛されている柑橘類です。旬の時期にはさまざまな楽しみ方ができ、そのまま食べるだけでなく、ジュースやゼリー、マーマレードなどに加工することで、さまざまな料理やスイーツに利用できます。美生柑のユニークな風味をぜひお試しください。