春の訪れを告げる柑橘「はるみ」。その名の通り、春の陽光を浴びて育った果実は、一口食べればたちまち笑顔になるような、爽やかな甘みが魅力です。ぷちぷちと弾ける大粒の果肉は、他では味わえない独特の食感。薄皮も柔らかく、手軽に食べられるのも人気の秘密です。この記事では、そんな「はるみ」の美味しさの秘密を徹底解剖。知ればもっと好きになる、春の味覚「はるみ」の世界へご案内します。
はるみとは?
「春見」と名付けられたはるみは、その名の通り、春の訪れとともに楽しめる柑橘です。最大の特徴は、粒が大きく、しっかりとした果肉(さじょう)が生み出す独特の食感。口の中で弾けるような食感とともに、穏やかで清々しい甘さが広がり、多くの人々を虜にしています。果実の重さは1個あたり約180~200gと、比較的大ぶり。薄い皮から透けて見える果肉は、みずみずしく、口いっぱいにジューシーな味わいが広がります。種が少ないため、手軽にそのまま食べられるのも嬉しいポイントです。姉妹品種である「せとか」と比較されることがありますが、せとかが濃厚な甘さであるのに対し、はるみはより優しく、まろやかな甘さとさっぱりとした後味が特徴です。外皮が柔らかく手で簡単に剥ける上、薄皮(じょうのう膜)も薄いため、房ごと食べられる手軽さも魅力です。
はるみの誕生秘話:清見と不知火の長所を融合
はるみは、農業・生物系特定産業技術研究機構の興津支場にて、清見(F-2432)にデコタンゴール(不知火)の花粉を交配して生まれた品種です。それぞれの親品種が持つ優れた点を活かしつつ、欠点を克服することを目指して開発されました。清見は、オレンジのような豊かな香りと、柔らかくジューシーな果肉が魅力ですが、皮が剥きにくいという難点がありました。一方、不知火(デコタンゴール)は、濃厚な甘さと手で皮が剥けるという利点があるものの、種が多いという特徴がありました。そこで、これらの特性を組み合わせ、「早生で甘みが強く、食べやすく、手で皮が剥けて、種が少ないみかん」という理想の柑橘を目指したのです。既存品種が抱える課題を克服し、より食べやすい柑橘を追求した結果、はるみが誕生しました。偶然にも、清見とデコタンゴール(不知火)の組み合わせから生まれた「せとか」とは姉妹品種にあたります。また、はるみの中には不知火のように「デコ」と呼ばれる突起があるものも見られますが、一般的には不知火の方がデコが顕著です。
はるみ、おすすめの食べ方
はるみは、その手軽さも人気の理由の一つです。外皮は柔らかく、手で簡単に剥けます。内側の薄皮(じょうのう膜)も薄くて柔らかいため、房ごとそのまま食べられます。まずは、はるみならではのプリプリとした食感を味わうために、生のまま食べるのがおすすめです。また、果肉がしっかりしているので、薄皮を剥いてフルーツとしてそのまま食べるだけでなく、ケーキやタルト、ゼリーなどのトッピング、サラダに加えて彩りや風味を添えるのも良いでしょう。なお、はるみは種が少ない品種ですが、稀に種が含まれている場合があるので、食べる際はご注意ください。
まとめ
はるみは、清見と不知火の良いところを受け継ぎ、手軽に剥けて、プチプチとした食感と、穏やかで爽やかな甘さが魅力の柑橘です。1個あたり180~200gと大きく、ビタミンCも豊富で、健康維持にも役立ちます。旬は2月から4月中旬で、特に2月頃が食べ頃です。栽培が難しく希少価値が高いものの、品質が高く、生り年には糖度15度を超えるものもあります。生のまま食べるのが一番おすすめですが、スイーツのトッピングとしても楽しめ、食卓を華やかに彩ります。はるみの様々な魅力は、一度食べたら忘れられない味わいです。
はるみを漢字で表すと?
通常「はるみ」とひらがなで書かれることが多いですが、漢字では「春見」と記します。この名前は、早春に実ることから、そして親である清見(きよみ)の字を一部取り入れたことに由来します。また、春の訪れを感じさせるような味と香りがすることから名付けられたとも伝えられています。
はるみとせとか、どう違うの?
はるみとせとかは、同じ清見とデコタンゴール(不知火)を親に持つ、いわば姉妹のような品種ですが、味わいや口当たりには違いがあります。せとかが、とろけるような濃厚な甘さが特徴なのに対し、はるみは、果肉の粒々とした食感が楽しく、穏やかで上品な甘さが魅力です。また、はるみにも不知火のような「デコ」ができることがありますが、一般的に、不知火の方がデコが目立ちやすい傾向にあります。
はるみはどんな場所で育つ?
はるみは、比較的早く成熟し、寒さにも強いため、日本各地のさまざまな柑橘類の産地で栽培されています。主な産地としては、広島県、愛媛県、和歌山県、静岡県、愛知県などが知られています。