お中元を贈る時期になりましたね。お中元は夏の恩返しの気持ちを込めた贈り物です。しかし、単に物を贈るだけではなく、相手への気持ちを込める大切なマナーがあります。詳しく見ていきましょう。
お中元とは
夏の贈答風習であるお中元は、感謝の気持ちを込めて大切な人へ贈る涼をもたらす品々の風習です。暑さを忘れさせてくれる清涼感のある食品や飲料、日用品などが代表的な贈り物となっています。主な贈答品には、そうめんや果物、ゼリーなどの食品、ジュース・ビール類の飲料、食用油や調味料、洗剤などの日用品が定番となっています。 このお中元の習慣は、かつて中国で行われていた旧暦7月15日の仏教行事「盂蘭盆会」での祖先供養の風習が起源となっています。その習わしが日本に伝わり、時代とともにお盆の行事に合わせて感謝の気持ちを込めた品々を贈る風習に発展したのです。涼やかな品々を通して、人と人との絆を深める大切な機会ともなっているお中元は、日本の夏の風物詩として定着した伝統行事なのです。
お中元の相場
お中元の贈答品を選ぶ際には、相手との人間関係や立場を踏まえて、適切な品物を選ぶことが重要となります。一般的な相場は3,000円から5,000円程度が目安とされていますが、大切な取引先や上司には高額な品を選ぶ方が無難です。一方で、同僚や年下の部下に対しては気を遣い過ぎる必要はありません。 近年は高額な物よりも、実用的でお手頃な食品が人気です。産地直送の果物や肉、海産物などの食品は喜ばれるでしょう。お酒の場合は、ワインやビール、焼酎などを選んでみてはいかがでしょうか。重要なのは、相手の好みを意識することです。 お中元の一般的な相場感覚とマナーを頭に入れつつ、それぞれの事情に合わせて贈答品を選ぶことが肝心です。両親や兄弟、配偶者の実家、親戚には3,000円から5,000円程度のギフトが適切でしょう。一方、友人や知人へは3,000円ほどのお手頃な品物がおすすめです。会社の上司や大切な取引先に贈る場合は、5,000円程度のギフトが無難な選択肢となります。
お中元を渡す・贈る時期
お中元を贈る時期は、地域によって異なります。夏の贈り物としての位置づけが強まる中、その形態も進化を遂げています。 関東・東北地方では7月1日〜15日、北陸地方は新潟県や福井県、石川県の金沢市が同時期、一方富山県や石川県の能登地方は7月15日〜8月15日が期間とされています。北海道・東海・関西・中国・四国地方は7月15日〜8月15日、九州地方は8月1日〜15日がお中元の贈答シーズンです。 沖縄では旧暦の7月13日〜15日の旧盆の3日間が期間で、親戚を訪ねお中元を贈る風習が残っています。暦の変更に合わせ、現在は8月中旬〜9月初旬にあたります。 気候の変化に伴い、中元品の品目も生鮮食品や酒類、菓子類に加え、暑さ対策の実用的な商品へと多岐に渡るようになりました。地域の違いを意識しつつ、感謝の気持ちを込めた夏の贈り物として、お中元の形を変えつつあります。
お中元の基本的なマナー
お中元は日本の伝統的な習慣の一つで、長年にわたり続いてきた慣習に基本的なマナーがあります。お中元を贈る時期を守り、相手の立場や好みを考えて適切な品物を選ぶことが重要です。夏の賞味期限に留意し、暑さに強い品を選ぶのがベターでしょう。 お中元を贈る際には、のし紙と水引を付けるのがマナーです。蝶結びの水引がついたのし紙を選び、表書きに「御中元」または「お中元」、名入れに贈り主のフルネームを記載しましょう。のし紙の掛け方は、手渡しの場合は外のし、配送の場合は内のしが適切です。 包装も大切なポイントです。結び切りの良い包装を心がけ、相手を喜ばせる品となるよう心を込めましょう。お中元を通して、相手との人間関係を大切にする気持ちを伝えることができます。地域により時期は異なりますが、6月から8月の期間に贈るのが一般的です。
お中元の時期を過ぎたらどうする?
お中元の時期を過ぎてしまっても、贈り物に込めた気持ちは変わりません。暑さが残る9月初旬までなら、残暑見舞いの意味を込めて贈ることができます。のし袋には「残暑御見舞」や「残暑お見舞い」と書き、目上の方には「暑中御伺い」「暑中お伺い」と記しましょう。 手作りの品物なら、干し柿や燻製、漬け物などの秋の味覚がぴったりです。素朴でありながら手間暇をかけた品は、相手を気遣う気持ちが伝わり喜ばれるはずです。受け取った方も、季節に捉われず心を込めた品に感謝の言葉を返せばよいのです。 贈る側も受け取る側も、お互いの気持ちを大切にすれば、時期外れであっても、うれしい気分を味わえることでしょう。
お中元を配送する際のマナー
お中元を配送する際のマナー 相手への気持ちを込めた贈り物として、お中元の配送には心づかいが欠かせません。まずは「送り状」を送ることから始めましょう。送り状には、時候の挨拶、相手への気遣い、感謝の言葉、お中元を送る旨を伝え、相手の健康を願う言葉を添えるとよいでしょう。特に生鮮食品の場合、受取がスムーズになるよう、あらかじめ品物が届くことを知らせておくのがマナーです。 次に、のし紙の付け方ですが、お中元を配送する際は「内のし」がおすすめです。外のしでは配送中に汚れや破損の恐れがあるため、のし紙が痛まないよう内のしにすると安心です。 品物の選び方も重要なポイントです。ビジネス関係なら適度な価格帯のもの、個人的な付き合いなら相手の好みを考えて選ぶと喜ばれるでしょう。最後に、お世話になった人への感謝の気持ちを添え状に込めましょう。 お中元は気持ちを伝える大切な機会です。適切な品物を選び、心を込めた配送マナーで、相手に思いが伝わるよう心がけましょう。
お中元を手渡しする際のマナー
まずは事前に訪問先に連絡を入れ、訪問したい旨を伝えることが大切です。直接的な表現は避け、「夏のご挨拶に伺いたい」と伝えるとよいでしょう。訪問時間は相手の都合を確認し、無理のない時間帯を選びます。 お中元の持参の仕方として、贈り主の名前が分かるよう外のしを付けることが望ましいです。風呂敷に包むのがマナーとされていますが、きれいな紙袋に入れて持参してもかまいません。 手渡しの手順としては、挨拶を済ませた後、座る前にお中元を取り出し、表書きが相手から読める向きで両手で渡します。お中元を入れていた容器は基本的に持ち帰りますが、状況によっては渡したままでも問題ありません。 お中元を受け取った際は、価格を口にしたり過度な謝意を述べたりするのは避け、簡潔な「ありがとうございます」で十分です。手渡しの際は、温かい言葉を添えるとよりよいでしょう。
取引先・会社の場合は?お中元のビジネスマナー
お中元は、ビジネスパートナーとの関係を深める大切な機会です。会社や取引先へのお中元は、一般的に5,000円程度が相場ですが、得意先や特にお世話になった方には、金額を上乗せするのが望ましいでしょう。ただし、10,000円を超えるのは控えめにしましょう。 近年は、お中元を直接手渡しするよりも配送で贈ることが主流となっています。法人として贈る際は、のし紙に会社名と代表者の名前を記載するのがマナーです。 ビジネスシーンでのお中元は、日持ちのする個包装された高級食品や飲料、季節を感じられる品物が喜ばれます。お菓子やコーヒー、紅茶、ゼリーなどが定番です。多くの人が受け取ることを考え、職場で分けやすい品物を選びましょう。 お中元は単なる贈り物ではなく、感謝の気持ちを込めた大切な作法です。相手の立場を考え、適切な品物とマナーを心掛けることが、良好な関係を継続する上で重要となります。
お中元をもらった場合のマナー
お中元をいただいた際は、感謝の気持ちを適切に伝えることが何より重要です。お礼状の書き方やお返しの必要性など、マナーに則った対応が求められます。 受け取った後はできるだけ早く、はがきや手紙でお礼状を送りましょう。遅くとも1週間以内に相手に届くよう心がけましょう。電話やメールで気持ちを伝えたとしても、大切な相手にはお礼状を郵送するのが正式なマナーです。 お礼状の内容は、時候の挨拶、気遣いの言葉、お中元への感謝、相手の健康を願う言葉、結びの言葉で構成するとよいでしょう。丁寧かつ心のこもった言葉を用い、感謝の気持ちを伝えましょう。 基本的にお返しは必要ありませんが、特別お世話になった方へはお返しを贈ることも考えられます。その場合は、いただいた品物と同程度の金額のものを選び、高額過ぎないよう気をつける必要があります。 お中元は気持ちの込められた贈り物です。受け取った際は、感謝の気持ちをきちんと伝え、マナーを守ることで、円滑な人間関係を築くことができるでしょう。
自分・相手が喪中の場合のマナー
喪中でもお中元は贈ってかまいません。お中元は日頃の感謝の気持ちを伝える贈り物であり、お祝いごとではないためです。ただし、水引がついた紅白の蝶結びのし紙は避け、無地の白い掛け紙を使うことが求められます。 贈る時期については、忌中(四十九日前)は避け、忌明けの新盆以降が適切とされます。忌明けを待っていると時期を逸する場合は、暑中見舞いや残暑見舞いに代えて無地の白い紙を掛けて贈ります。 故人宛てにお中元を贈ることは失礼にあたるため注意が必要です。故人の家族と付き合いがあれば家族宛てに配慮して贈りましょう。 贈る品物は、食品であれば賞味期限が長く、日用品のような実用的なものがよいでしょう。すでに故人へのお供え物が贈られている可能性があるためです。
まとめ
お中元は単なる贈答でなく、相手への思いやりの気持ちを伝える大切な機会です。贈る相手の立場に立って、気持ちのこもった品物を選ぶことが重要です。気持ちよく受け取ってもらえるよう、マナーを守ることも忘れずに。夏の恩返しを心から感謝する気持ちを込め、相手を思いやる気持ちを忘れずにお中元を贈りましょう。