メロン 糖度

メロン 糖度

メロン 糖度

夏の太陽に育まれた甘くてジューシーなメロン。その美味しさを左右する大きな要因が「糖度」です。メロンの旬を実感するには、糖度に注目することが重要です。糖度とは一体何なのでしょうか。メロンの選び方や、糖度を上げる栽培の工夫などについて、詳しく解説していきましょう。

一般的なメロンの平均糖度と、「甘いメロン」の基準値

メロンの糖度は品種や環境によって大きく異なりますが、一般的な市販品の平均糖度は約10度前後です。一方で、"甘いメロン"と呼ばれるのは、通常14度以上の糖度が高いものを指します。糖度が高いほど甘味が強く、メロンの風味も際立ちます。
生産者は可能な限り高糖度のメロンを育てようと努力しています。品種改良や栽培技術の向上により、近年では糖度16度以上の高糖度品種も増えてきましたが、糖度が高すぎると食味が荒くなったり、果肉が軟らかすぎて食べにくくなる問題もあります。そのため、糖度14〜16度程度が、メロンの最適な甘さと風味のバランスだと考えられています。

一覧でチェック! 甘くなりやすいメロンの品種と、糖度の目安

次に、甘いとされるメロンの品種の平均糖度や果実の特徴、作型などを紹介します。品種を選ぶ際の参考にしてください。

タカミメロン(青肉・ネット系)|糖度は15〜16度

網目が細かく、ネットの盛り上がりが浅いメロンです。糖度は15〜16度で、果汁が多く糖度が高くなる傾向があります。果肉はやや固く、日持ちがいいのが魅力の1つです。地這い栽培で、収穫時期は7〜8月上旬頃となります。つる割病やうどんこ病、つる枯病に強い品種です。

オトメメロン(青肉・ネット系)|糖度は15度前後

茨城県生まれのオリジナル品種で、早出しメロンの中では大玉に生長する傾向があり、網目も細かく美しいメロンです。糖度は15度前後で、皮が薄く果肉に厚み、ジューシーですっきりとした味わいが楽しめます。ハウス栽培がメインで、収穫時期は4〜6月頃、旬はゴールデンウィーク前後です。

肥後グリーン(青肉・ネット系)|糖度は16度前後

ネットの入り方に特徴があり、濃緑色地に細切れで高さのないネットが全体に入ります。球形から長球形で、果肉は軟らかく完熟時は果汁が豊富でとろけるような舌ざわりが楽しめます。糖度は16度前後と高めですが、甘すぎずすっきりした味わいです。収穫時期は5〜7月頃で、ピークは5月下旬〜6月です。

秋田美人(青肉・ネット系)|糖度は15〜16度

灰緑色で、ネットの入り方が安定している品種です。果肉は黄緑色で厚く、青臭みがない点が魅力です。形は球形からやや長球形で、糖度は15〜16度です。地這い栽培が主で、成熟日数は53〜58日、収穫時期は7月上旬〜8月上旬です。つる割病に抵抗性があります。

ルピアレッド(赤肉・ネット系)|糖度は15度前後

全体にやや深く細かなネットが入り、お尻部分の皮が薄く上部が厚くなりやすい傾向があります。糖度は15度前後で、甘みが強く滑らかでジューシーな肉質です。果肉も厚く、追熟前は歯ざわりがあり、熟すと口の中でほぐれるほど軟らかく甘い香りが楽しめます。成熟日数約55日、収穫時期は7〜9月頃です。

ナポリ(赤肉・ネット系)|糖度は16〜17度

香りが強く、ネットが均一に盛り上がった美しい品種です。果肉は鮮やかなオレンジ色で、糖度は安定して16〜17度とかなり高いメロンです。ハウス立体と地這いの両方の栽培が可能で、

メロン 糖度

より甘くするには? メロンの糖度をあげる栽培管理

より甘く高品質なメロンを育てるための重要なポイントをご紹介します。

収穫前の「糖度上昇期」には、適度な水切り管理が不可欠です。この時期は、葉がしおれない程度に灌水量を徐々に減らし、窒素の過剰吸収を防ぐ必要があります。植物は光合成によって作られた糖の多くを果実の肥大に分配しますが、窒素吸収が多すぎると糖がそちらに消費されてしまい、結果として糖度が低下してしまうのです。

また、着果や果実品質に影響する施肥量にも気を付けましょう。過剰な施肥はつるぼけや着果不良の原因となり、ノーネット系品種では果形の乱れや裂果にもつながります。土壌状態に合わせて適切な施肥量を決めることが大切です。

さらに、近年注目されているのが「ステビア農法」です。ステビア由来の成分を土壌に投入することで、抗酸化作用などの影響から果実の甘みや風味がアップするとされています。従来の栽培方法に加え、この新しい農法も試してみる価値がありそうです。

このように、水管理、施肥管理、新しい農法の取り入れなど、様々なアプローチで高糖度のおいしいメロン作りに取り組むことができます。

進むメロンのブランド化

メロンは昔から"夏の王様"と呼ばれ、日本人に親しまれてきました。しかし、近年の食生活の変化により、かつてほど注目されなくなってきました。そこで生産者たちは、メロンのブランド化に乗り出し、付加価値を高めることで売上げ向上を目指しています。

各地で特徴的な品種が生み出され、産地ブランドとして育成されています。例えば、熊本県の「赤めろん」は、強烈な香りと深紅の果肉が特徴で、ブランドメロンとして商標登録されています。また、青森県の「つるなしメロン」は東北地方に古くから伝わる品種で、高級志向のマーケティングが行われています。

メロンには、JAなどの出荷団体や農家が独自に定めた「等階級」という品位基準があります。糖度や見た目の美しさ、ネットの張り具合などを総合的に判断し、評価結果が箱の側面に表示されます。この等階級はブランドごとに独自の項目や数値を設定でき、これにより特徴のある高付加価値メロンとしてブランド化が可能になります。

過去の夕張メロンや飯岡メロンなどの地域ブランドも、厳しい検査基準を設けることでブランド化を進めました。ブランドごと、産地ごとに定められた検査基準を満たすことで、ブランドに見合った販売価格が期待できます。

メロンにはさまざまな品種があり、それぞれ味や見た目、栽培方法が異なります。まずは品種特性を比較し、自身の栽培環境に適した品種を選ぶことが重要です。ブランド化によってメロンの単価は上がりますが、一方で消費者の選択肢が狭まる側面もあります。多様なニーズに応えるため、産地間の連携が課題となっています。メロンのブランド戦略は、日本の果物業界に新たな風を吹き込む可能性を秘めています。

まとめ

メロンの糖度は、旨味や甘みを左右する重要な指標です。熟度が進むほど高くなりますが、品種や気候、栽培方法によっても大きく左右されます。例えば、日照時間の長い夏場に育てば糖度が高まります。また、収穫時期を遅らせたり、根を絞ったりする栽培法もあります。産地や品種を意識して、新鮮で香り高い高糖度のメロンを選ぶことがおいしく味わう秘訣です。