冬の風物詩として親しまれるみかん。寒い季節にコタツに入りながら、つい手が伸びてしまうことも多いのではないでしょうか。しかし、みかんを楽しむ際に気になるのが「手が黄色くなる」という現象です。実際に、みかんを食べ過ぎた際に手が黄色く変色した経験がある人もいるでしょう。この不思議な現象の背後には、どのようなメカニズムが働いているのでしょうか。本記事では、みかんを食べ過ぎることで手が黄色くなる理由や、体に与える影響について詳しく解説します。
みかんの過剰摂取が手を黄色くする理由
みかんを大量に摂取すると、手が黄色くなる現象は柑皮症(かんぴしょう)と呼ばれています。この症状は、みかんなどに含まれるカロテン色素が身体に溜まることで発生します。カロテンは特に手のひらや足の裏などの角質層が厚い部分に沈着しやすく、これが原因でこれらの部分が黄色く染まります。
特に温州みかんには、βクリプトキサンチンというカロテンが豊富に含まれているため、取りすぎると柑皮症になるかもしれません。
βクリプトキサンチン以外にも、みかんには多くの健康成分が含まれています。
柑皮症に悪影響はある?
柑皮症の原因を解明したところで、健康への影響が気になりますよね。結論から言うと、心配はありません。
手が黄色くなる要因であるβクリプトキサンチンは「プロビタミンA」の一つです。プロビタミンAとは、ビタミンAの前駆体として働く成分で、その他にαカロテンやβカロテンといったものがあります。体内でビタミンAが不足したときに、プロビタミンAから必要な分が生成されます。多く摂取して体内に蓄積されたとしても、過剰摂取にはつながりません。
ビタミンAは、油に溶けやすい性質をもつ脂溶性ビタミンの1つで、皮膚や粘膜を健康に保つ役割があります。脂肪に溶けやすいため体に蓄積されやすく、多量に摂取すると健康にリスクがありますが、プロビタミンAであるβクリプトキサンチンは、多量に摂っても重大な有害作用は起こりません。そのため、手が黄色くなっても気にせずみかんを楽しめます。
健康には問題がなくても、甘いみかんの食べすぎで太るのでは?と考える方、実はみかんはダイエット中にも適した食材です。
柑皮症の対処法
果物の摂取で引き起こされる柑皮症には、どのように対処すれば良いのでしょうか?柑皮症を治すためにはβ-カロテンを摂り過ぎないことが鍵のようです。この成分はみかんだけでなく、にんじんやカボチャ、パセリ、オクラ、ブロッコリー、紫蘇の葉にも含まれています。これらの食材や関連した飲料の頻度を抑えることで、1〜3ヶ月程度で肌の色が元に戻ることが期待されます。従って、柑皮症(手足が黄色く目は白い状態)に気づいたら、それはβ-カロテンの過剰摂取が原因である可能性が高いので、摂取量を調整するよう留意しましょう。