清見タンゴール:柑橘界のサラブレッド誕生秘話と美味しさの秘密
柑橘界に燦然と輝く「清見タンゴール」。その誕生は、日本の柑橘栽培史における画期的な出来事でした。温州みかんの甘さとオレンジの香りを併せ持つ、他に類を見ない味わいは、どのようにして生まれたのでしょうか?この記事では、清見タンゴールが「柑橘界のサラブレッド」と呼ばれるまでの道のりを紐解き、その美味しさの秘密に迫ります。開発秘話から栽培の苦労、そして味わいを最大限に引き出す方法まで、清見タンゴールの魅力を余すところなくお届けします。

清見タンゴールとは?その誕生と歴史的背景

清見タンゴールは、日本の代表的な温州みかん「宮川早生」と、アメリカ・カリフォルニア原産の「トロビタオレンジ」を交配して生まれた、日本初のタンゴール品種です。その品質の高さと優れた特性から、多くの新品種の基礎となった非常に優秀な柑橘として知られています。タンゴールという名前は、みかんの英名であるタンジェリン(tangerine)とオレンジ(orange)の頭文字を組み合わせたもので、みかん類とオレンジ類を掛け合わせた品種の総称として使われます。清見タンゴールは、「清見オレンジ」とも呼ばれ、温州みかんよりも少し大きく、種がほとんどないため食べやすいのが特徴です。アメリカのオレンジのボリューム感と、温州みかんの優しい甘さや瑞々しさが合わさることで、糖度、酸味、香りのバランスが良く、深みのある味わいの柑橘となっています。清見タンゴールの育成は、昭和12年(1937年)に当時の園芸試験場(現在の国立研究開発法人 農業・食品産業総合研究機構 果樹研究所 カンキツ研究興津拠点)で、栽培しやすく品質の良い新品種を作るための研究として始まりました。

この研究は、日本の柑橘栽培に新しい可能性をもたらしました。特に、温州みかんの持つ甘みと食べやすさに加え、オレンジ類の優れた香りと果肉の質を併せ持つ品種を目指して開発が進められました。新しい柑橘の品種改良への取り組みは戦前からありましたが、本格化したのは戦後です。海外に比べて新品種の育成が遅れていることに危機感を感じた研究者たちは、海外から多くの品種を取り寄せ、交配(品種改良)を開始しました。清見が誕生するきっかけとなった温州みかんと他の柑橘との交配は、昭和24年(1949年)頃に行われました。静岡県静岡市清水区興津にある旧農林水産省園芸試験場東海支場(現:独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点)で、数千例以上の交配が試されました。この多くの交配の結果、有望な新品種は数十本しか得られませんでしたが、その中に系統番号「№6781」、後に「興津21号」と名付けられる非常に有望な個体が含まれていました。

この個体は、日本の宮川早生という温州みかんと、アメリカ・カリフォルニア生まれのトロビタオレンジを親に持ち、昭和38年(1963年)に初めて実をつけました。その後、昭和40年代(1960年代)には全国各地で栽培試験が行われ、その結果、優秀な新品種であることが確認されました。そして、昭和54年(1979年)6月29日、「興津21号」は農林水産省育成の新品種「タンゴール農林1号」として登録され、生まれた場所である静岡県興津の試験場近くに広がる景勝地「清見潟」にちなんで「清見(きよみ)」と命名され、発表されました。清見は、甘くて果汁が多く、オレンジの香りと風味で注目を集めましたが、その魅力を最大限に引き出し、安定して消費者に届けるまでには、全国の産地が試行錯誤を繰り返すことになります。優れた品種であっても、その特性がどこでも発揮されるわけではなく、栽培する場所を選び、農家や技術指導者の工夫によって初めて商品としての価値が確立されるのです。この誕生と初期の課題は、清見タンゴールが後に「柑橘界のサラブレッド」と呼ばれるようになるまでの長い道のりの始まりでした。

清見タンゴールの特徴と魅力:とろける果肉とジューシーな果汁

清見タンゴールの最大の魅力は、独特の食感と豊かな風味です。温州みかんから優しい甘さを、トロビタオレンジから爽やかな香りととろけるような柔らかい果肉を受け継いでおり、非常に食べやすい品種として高く評価されています。果肉はプルプルとしており、ナイフを入れると果汁が溢れ出すほどジューシーです。また、酸味が少ないため、口に入れた瞬間に広がるのは、心地よく上品な甘みです。この絶妙な甘さと酸味、とろけるような舌触りが、清見タンゴールならではの美味しさを際立たせています。現在人気の「せとか」や「デコポン」をはじめ、「はれひめ」「西之香」「たまみ」「天草」など多くの品種の先駆けとして、これらの親にもなった清見タンゴールは、日本の柑橘の歴史に残る重要な品種です。その深い味わいは、瀬戸内の豊かな自然環境と、長年の生産者の努力によって支えられています。天然の低温貯蔵に近い環境でゆっくりと樹上で熟成させることで、収穫される果実は瑞々しさを保ちながら、コク深く、旨みのある味わいへと高まります。さらに、農家が一つ一つ丁寧に袋掛けを行い、樹上で冬を越させてから十分に色づいたところで収穫します。これにより、きめ細やかで繊細な果肉が、果汁をたっぷりと含み、はち切れんばかりに実るのです。ナイフで丁寧にカットされた清見タンゴールの果肉からは、栽培にかける人々の愛情と、柑橘本来の深い味わいが感じられるでしょう。

柑橘界の「祖」として:多くの新品種を生み出した清見タンゴールとその生物学的特性

清見タンゴールは、育成地の静岡県興津の試験場近くにある景勝地「清見潟」にちなんで「清見」と名付けられました。この品種は、美味しいだけでなく、日本の柑橘の品種改良において非常に重要な役割を果たしてきました。清見タンゴールは、多くの新品種の親となっており、「柑橘界のサラブレッド」とも呼ばれることがあります。日本の様々な柑橘のルーツを辿ると、多くの場合、清見タンゴールに行き当たると言われています。例えば、第一世代(子供)としては、せとみ、陽香、はるき、津之輝、たまみ、津之望、あまか、南風、春峰、果のしずくなどが挙げられます。さらに第二世代(孫)にはあすみ、あすき、津之輝などが、第三世代(曾孫)にはみはやが、そして第四世代(玄孫)へと、その遺伝子は受け継がれ、新しい魅力的な品種を生み出し続けています。清見の誕生が農家だけでなく、新品種を育成する果樹関係の試験研究機関にとっても喜ばしい出来事だったのは、柑橘では珍しい「単胚性」という性質を清見が持っていたからです。自然条件下で親と全く違う新品種が発見されることは稀であり、現在の多くの新品種は、国や県の果樹試験場が交配によって誕生させています。通常、農作物で新品種を作るには、母親とは異なる品種の花粉を受粉させる「交配」を行います。その結果得られた果実は、両親の交雑種となり、親とは違う新しい性質を持つことになります。しかし、柑橘類ではこの交配がうまくいかないという課題がありました。受精によって種の中に交雑した胚ができる一方で、「珠心胚(しゅしんはい)」と呼ばれる、受精なしでできる胚をいくつも作り上げる性質があるためです。これを「多胚性」と呼びます。珠心胚には父親の遺伝子は全く入っていないため、珠心胚から出た芽は、母親と同じ品種になってしまいます。多胚性の品種では、多い場合50前後もの珠心胚ができ、唯一の交雑胚の生育を抑制してしまうため、多胚性品種を母親に使うと、新品種育成が失敗する可能性が高かったのです。一方、単胚性品種から出た芽は確実に交雑種となります。そのため、交配による新品種育成においては、母親に多胚性の品種を使わないのが一般的でした。しかし、単胚性の品種は非常に少なく、実際に交配に使える品種は限られていました。そこに、温州みかんの優れた血を引く清見が単胚性品種として加わったことで、みかんの良さを受け継いだ新品種を開発する上で、非常に重要な役割を担うことが期待されたのです。ちなみに、清見の母親は多胚性でしたが、この時に得られた交雑種(新品種)は、交配した数千本のうちわずか数十本だったと言われています。しかも、当時は現代のようなDNA鑑定技術がなかったため、樹が成長してから、見た目で交雑種かどうかを判断したとされています。清見は、想像もつかないような苦労と長い時間を経て生まれた、まさに待望の新品種だったのです。清見のこの生物学的特性が、その後の日本の柑橘の品種改良を大きく加速させる原動力となりました。

清見タンゴールの産地と旬:美味しさを最大限に引き出す工夫

清見タンゴールは、その美味しさを最大限に引き出すために、丁寧な栽培管理が行われています。主な産地は、愛媛県が全国1位、和歌山県が2位であり、この二県で全体の約80%を生産しています。清見タンゴールの旬は春で、一般的には3月から6月下旬頃まで収穫されます。一つ一つの果実を大切に育むため、袋掛けをして丁寧に育てられる「越冬収穫」という方法がとられることがあります。この袋掛けは、寒さや鳥からの保護だけでなく、果実の品質を均一に保つ効果もあります。収穫は3月まで樹上で冬を越させてから行われ、これにより果実の糖度と風味が凝縮され、濃厚な味わいが生まれます。十分に色づいたところで収穫された果実は、果汁が瑞々しくまろやかな甘みを持つようになります。収穫後も適切な貯蔵管理を行うことで、その瑞々しさを保ちながら、6月頃まで長く市場に出回ることが可能です。のま果樹園のような生産者では、さらに最新の低温貯蔵設備を活用し、じっくりと熟成させることで、清見タンゴール本来の瑞々しさを維持しつつ、よりコク深く、旨みの濃い味わいへと高めてから出荷するというこだわりを持っています。これは、天然の低温貯蔵に近い状態でゆっくりと樹上で熟成させることで、果実が持つ潜在的な美味しさを最大限に引き出すための工夫と言えます。

三崎地区における清見導入と初期の苦労

清見の苗木が三崎地区に初めて持ち込まれたのは、1970年代半ばのことでした。一人の農家が個人的な興味から、九州地方からわずかな苗を仕入れたのが始まりです。しかし、当時の三崎地区は甘夏みかんが主流の産地であり、高糖度の柑橘栽培の経験が浅かったため、清見に関心を寄せる農家は少数でした。その後、甘夏みかんに代わる将来の地域を支える新たな品種を検討する中で、農協の営農指導部長から「清見の導入を検討してはどうか」という提案があり、候補の一つとして検討されることになります。伊予柑やネーブルオレンジと共に試験栽培が行われ、栽培上の課題や果実の品質に関する調査が開始されました。しかし、試験栽培の結果、味が良くないという理由から、清見導入に否定的な意見が多くを占めることになります。その主な原因は、収穫時期を早めてしまったことにありました。試験場は清見の成熟期を3月中旬から下旬頃と発表していましたが、その時期まで樹上で冬を越させると、寒害や鳥による食害で全滅する危険性があったため、厳冬期に入る前に収穫することを前提として試験栽培が行われていたのです。美味しく将来性のある品種と紹介されても、共同選果として農家に栽培を推奨する以上、経済的に見合うものでなければなりません。まともに収穫できない可能性が高いことを前提に栽培を勧めることはできず、これは避けられない判断でした。

樹上完熟への挑戦と露地栽培技術の確立

清見の産地化は難しいと考える人が多かったものの、試験栽培を行った農家はすぐに木を伐採することはありませんでした。せっかく購入し育てた木であるため、もう少し様子を見たいという気持ちや、様々な試行錯誤から予想外の発見があるかもしれないという熱意が、産地化への原動力となっていきます。そして、ついに清見が本来の美味しさを発揮する時が来ます。誰が最初に発見したかは定かではありませんが、春先まで樹に残っていた清見を試食したところ、非常に美味しく、当時流通していた柑橘とは明らかに異なる、甘くてオレンジの香りが際立つ絶品だったのです。すぐにいくつかの果実を収穫して取引のある青果市場に送ったところ、「面白いからぜひ栽培してほしい」という好意的な反応があり、清見が魅力的な商品になるという確信を得ることができました。しかし、産地化には解決すべき多くの課題がありました。技術指導員や共同選果の運営を決定する中心的な農家の間で、清見に取り組むべきかどうか激しい議論が交わされましたが、最終的には清見の魅力に心を奪われた農家の意見が採用され、試験的ながらも産地化に取り組むことが決定しました。当時、既に清見の栽培を始めていた産地は九州などにありましたが、越冬後に収穫するという特性から、温室栽培用の品種として扱われることがありました。しかし、三崎地区は細長い半島特有の急斜面と、強い風が吹き付ける気候のため、温室を設置することは困難でした。幸いにも、愛媛県内でも降雪や霜の被害が少ない地域であったため、露地栽培を可能にする技術を確立し、産地化を目指すことにしました。まず、凍霜害を防ぐため、清見の栽培は標高100m以下の畑に限定することを取り決めました。これはそれまでの試験栽培の結果や経験から得られた重要な数値でした。さらに、寒さや鳥から果実を守るために、全ての果実に一つずつ袋をかけることを決定しました。試験場の研究データによれば、この袋掛けによって外気よりも約1度高い保温効果が期待できるとされていました。現在では、厳冬期に収穫を迎える品種が多くなり、柑橘に袋をかけることは一般的になりましたが、当時は収穫作業以外で全ての果実に手を触れるというのは考えられないほどの重労働であり、清見導入にあたって最大のハードルとなっていました。しかし、本来の美味しさを発揮した清見の非常に魅力的な味わいが、農家たちにこの困難な作業を乗り越える決意をさせたのです(※枝や木全体を布で覆う方法も検討されましたが、光合成が阻害され果実の品質が明らかに低下したため、採用されませんでした)。

品質安定化と商品化への工夫

新品種である清見は、木の育て方がまだ確立されていなかったため、毎年様々な研究を重ねる必要がありましたが、一方で収穫後についても解決しなければならない課題が山積していました。その一つが品質のばらつきです。清見は品質にばらつきが出やすい品種であったため、農家が個別に選別を行う方法では、市場が求める商品の基準に達することは困難でした。その後、生産量が増加し、共同選別が可能になったことで、ある程度の改善は見られましたが、更なる研究の結果、畑の標高や環境条件と成熟期に相関関係があることが判明しました。これを受けて、地域区分を設け、収穫開始日を調整する制度を導入し、品質の安定化を図りました。現在では光センサー付き選果機により、一個一個の果実の糖度や酸味を正確に測定することができ、確実に品質を揃えることが可能です。しかし、この地域区分による制度は、導入当初から出荷する商品が高い評価を得ていたため、現在でも収穫時期を見極める上で重要な指標として活用されています。また、清見は食べ方を提案する必要がある品種でもありました。試験場は温州みかんのように皮がむきやすいオレンジの開発を目指していましたが、温州みかんに比べるとややむきにくい品種として誕生しました。そこで、カットフルーツとして切って食べる方法を提案し、その方法を記載したチラシを箱に同封して出荷するようにしました。日本では手でむいて食べる習慣が根強いですが、カットして食べることで果汁や香りが手に付きにくくなるため、清見に限らずおすすめです。三崎に清見が導入されてから約10年が経過した1980年代後半、ようやく樹上で完熟させた清見を安定して提供できるようになり、かつて「酸っぱい」と酷評されていた三崎産の清見タンゴールは、多くの皆様が出荷を心待ちにする商品へと成長を遂げました。その後、1990年代に入る頃から本格的な生産が始まり、現在に至っています。しかし、導入当時に懸念されていた鳥獣害や寒害の問題は未だ解決していません。また、時代と共に清見タンゴールに対する消費者の要望も大きく変化してきています。現在も品質をさらに向上させるためのマルチ栽培を導入するなど、いかに安定した高品質の商品を毎年提供できるか、たゆまぬ努力を続けています。今後とも清見タンゴールをはじめ、三崎共選の柑橘に変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

《新しい技術 その1》光センサー付き選果機

光センサー付き選果機は、味(糖度と酸度)を調べるために、従来は果実を搾って果汁を得る必要があったという課題を解決しました。この選果機は、果実に傷をつけることなく測定を行うことができるため、出荷する全ての果実を検査することが可能になりました。これにより、均一な品質の果実を選別できるだけでなく、味の良い果実だけを選りすぐるという贅沢も実現可能となったのです。

《新しい技術 その2》マルチ栽培

マルチ栽培とは、果樹園の土壌表面を特殊なシートで覆う栽培方法です。このシート、すなわちマルチは、雨水の過剰な浸透を抑制し、それによって果実の糖度を高める効果が期待されます。加えて、マルチが太陽光を反射することにより、樹木の低い位置まで光が届きやすくなり、果実の着色を促進する効果も見込まれます。三崎共選では、選ばれた特定の農園でこのマルチ栽培を積極的に採用し、より高品質で風味豊かな清見タンゴールを、できるだけ早くお客様にお届けすることを目指しています。

清見タンゴールの栄養価と健康効果

清見タンゴールは、優れた栄養価を持つ果物です。可食部100gあたりのカロリーは約45kcal、糖質は9.7gと比較的控えめでありながら、様々な栄養成分を含んでいます。特にビタミンCは42mgと、温州みかんよりも豊富に含まれており、皮膚や粘膜の健康維持をサポートし、抗酸化作用も期待できます。また、β-クリプトキサンチンという、柑橘類やパプリカに多く含まれる色素も690μg含有しています。このβ-クリプトキサンチンは、体内でビタミンAに変換され、健康維持に貢献するカロテノイドの一種として注目されています。さらに、食物繊維も含まれており、腸内環境の改善や生活習慣病の予防に役立つと考えられています。これらの要素が、清見タンゴールを単に美味しいだけでなく、日々の健康を支える果物として位置づけています。

清見タンゴールの選び方:美味しい果実を見分けるポイント

美味しい清見タンゴールを選ぶ際には、主に2つのポイントに着目しましょう。まず、果実全体の色合いを確認します。鮮やかな濃い橙色をしており、特にヘタの周辺にわずかに緑色が残っているものが、新鮮で良質なサインです。収穫から時間が経過すると、ヘタの緑色が薄れ、黄色や茶色に変色することがあるため注意が必要です。次に、果実の重さを確かめます。手に取った際に、見た目以上にずっしりとした重みを感じられるものが、果汁をたっぷりと含んでおり、よりジューシーで美味しい可能性が高いです。反対に、サイズが大きくても軽いものは、果汁が少なく、果肉がパサついていることがあるため、避けることをおすすめします。

清見タンゴールの保存方法

清見タンゴールは、適切な方法で保存することで、その美味しさをより長く楽しむことができます。保存方法には、常温での保存、冷蔵庫での保存、そして冷凍保存があり、カット後の果実の保存方法も考慮する必要があります。一般的には、直射日光を避け、風通しの良い冷暗所での常温保存が基本となりますが、より長期間鮮度を維持したい場合は冷蔵保存が適しています。冷凍保存は、長期保存やジュース、スムージーなどの加工用途に適しています。より詳細な保存方法については、専門のレシピサイトなどを参照することで、清見タンゴールの風味と鮮度を最大限に保つことができます。

清見タンゴールの、とっておきの食べ方

清見タンゴールは、ジューシーでフレッシュな味わいをダイレクトに楽しめる生食が一番のおすすめです。外側の皮は比較的しっかりしているため、みかんのように手で簡単に剥くのは少し難しいかもしれません。そのため、ナイフを使ってカットするのが一般的です。中でも、八つ切り、またはスマイルカットやくし形カットにすると、より美味しくいただけます。果肉の食感をより楽しむには、横ではなく縦にカットするのがポイント。こうすることで、果汁を逃さず、プリプリとした食感を最大限に味わえます。また、内側の薄皮は非常に薄いので、そのまま食べてもほとんど気になりません。果汁がたっぷりなので、半分にカットしてスプーンで食べるのもおすすめです。手軽に、ジューシーな美味しさを満喫できます。搾ってフレッシュジュースにすれば、清見タンゴールならではの爽やかな香りと甘酸っぱさを余すところなく味わえます。お料理のアクセントとしても活躍します。例えば、清見タンゴールの風味を活かしたラムチョップのグリルは、食欲をそそる一品として、パーティーのメニューにもぴったりです。どんな食べ方でも、とろけるような果肉と豊かな果汁が口いっぱいに広がり、清見タンゴールならではの特別な美味しさを堪能できます。

用途に合わせた清見タンゴールの選び方:豊富なサイズ展開

清見タンゴールは、お客様の多様なニーズにお応えできるよう、様々な規格で販売されています。ギフトとして贈るなら、味・大きさ・形を厳選した最高品質の「【贈答用】」がおすすめです。丁寧に手作業で詰められており、特別な贈り物に最適です。ご自宅用や、親しい方へのちょっとしたプレゼントには、贈答用より少し小ぶりの「【家庭用】」がぴったり。バラ詰めなので、気兼ねなく楽しめます。見た目に多少の傷があったり、大きさが均一でなかったりしても、味は変わらない「【ワケあり】」は、ご自宅で気軽に楽しむのに経済的です。また、小さめのサイズが好きな方には「【小粒っこ】」や、さらに小さい「【ぷち】」といった規格もご用意。お子様にもおすすめです。センサー選別を行わず、味・大きさ・形・キズの有無が様々な「【無選別】」や、見た目に少し難があるものを含む「【お得用】」は、お買い得感があります。このように、豊富な規格の中から、用途や好みに合わせて最適な清見タンゴールをお選びいただけます。

まとめ

清見タンゴールは、日本の温州みかんとアメリカのトロビタオレンジを交配させて生まれた、日本で最初のタンゴールです。高品質な新品種を生み出すため、国の試験場が長年かけて開発しました。特に注目すべきは「単胚性」という特徴です。この特性のおかげで、デコポン、せとか、はるみなど、現代人に愛される数々の人気柑橘の親となり、日本の柑橘品種改良の歴史に大きく貢献しました。みかんの優しい甘さとオレンジの爽やかな香りを持ち合わせ、とろけるような果肉とたっぷりの果汁が特徴です。その美味しさを最大限に引き出すため、三崎地区などの産地では、寒さや鳥獣害から守り、樹上で長く熟成させ、一つ一つ丁寧に袋掛けをするなど、手間暇をかけて栽培されています。さらに、光センサー選果機やマルチ栽培といった最新技術も導入し、品質の安定と向上に努めています。その結果、以前は「酸っぱい」と言われた三崎産の清見タンゴールも、今では誰もが出荷を待ち望むほどの絶品へと進化しました。清見の原木が大切に保存されていることからも、その歴史的な価値や、研究者たちの先見の明、高い志が伝わってきます。生産者、研究者、そして関係機関の努力によって、清見タンゴールは私たちに豊かな食の喜びを与え続けているのです。その深い歴史と、進化を続ける栽培技術に支えられた清見タンゴールは、これからも日本の柑橘文化を豊かに彩っていくでしょう。

質問:清見タンゴールが「柑橘界の祖」と呼ばれるのはなぜ?

回答:清見タンゴールは、温州みかんとトロビタオレンジを交配して作られた日本初のタンゴールであるだけでなく、デコポンやせとか、はるみといった人気の柑橘類の親品種であるため、「柑橘界の祖」と呼ばれています。特に、柑橘類では珍しい「単胚性」という性質が、品種改良において重要な役割を果たしました。単胚性であることで、交配によって新しい特性を持つ品種を確実に生み出すことができ、その後の品種開発の基礎となったのです。

質問:清見タンゴールはどのようにして生まれたのですか?

回答:清見タンゴールは、昭和24年(1949年)頃に、静岡県興津にあった農林水産省の園芸試験場(現在の場所とは異なります)で生まれました。日本の温州みかんの一種である宮川早生と、アメリカ・カリフォルニア原産のトロビタオレンジを掛け合わせることで開発されました。数多くの交配試験の中から、特に優れた個体「興津21号」が選抜され、昭和54年(1979年)に「タンゴール農林1号」として正式に登録されました。その際、清見潟の名前にちなんで「清見」と名付けられました。この品種は、戦後の日本における新品種育成への強い思いから、長い年月と多くの努力を費やして生み出されたものです。

質問:清見タンゴールの旬はいつですか?

回答:清見タンゴールは、その風味を最大限に高めるため、通常3月頃まで木になった状態で冬を越させ、その後収穫されます。この期間に甘みと香りが凝縮されます。収穫後も、適切な温度管理のもとで貯蔵することで、水分を保持しながら6月頃まで市場に出荷することができます。したがって、一般的には3月から6月下旬頃までが最も美味しい旬の時期とされています。
タンゴール