「フルーツの王様」とも呼ばれるキウイフルーツ。健康や美容に良い栄養がたっぷり含まれているため、自家栽培できたら嬉しいですよね。糖度が高い果物は栽培が難しいイメージがありますが、キウイフルーツは比較的育てやすい果物です。表面の産毛が害虫や雨から果実を守ってくれるため、家庭菜園でも減農薬・無農薬栽培に挑戦できます。剪定などの手入れは必要ですが、初心者でも育てやすいキウイフルーツを、ぜひご自宅で育ててみませんか?
キウイフルーツの基礎知識:ルーツ、特徴、栄養価
キウイフルーツは、もともと中国原産の「チャイニーズグーズベリー」や「サルナシ」といった野生種が、1904年にニュージーランドへ持ち込まれ、品種改良を経て生まれた果樹です。名前の由来は、果実の見た目や質感が、ニュージーランドの固有種であり、飛べない鳥として知られる「キウイ」に似ていることにちなんでいます。日本では一般的に「キウイ」と呼ばれています。キウイの花は5~6月に咲き、淡い黄色の美しい花を咲かせます。収穫時期は11月から1月頃で、収穫後すぐに食べるのではなく、冷暗所で2週間ほど追熟させることで、より美味しく味わうことができます。追熟によって、キウイフルーツならではの甘みと酸味のバランスが良くなり、最適な食感になります。
植物分類と生育特性
キウイフルーツは、マタタビ科マタタビ属に分類される落葉性のつる植物です。漢字では「獼猴桃」と表記され、古くは「シナサルナシ」や「トウサルナシ」、あるいは「オニマタタビ」や「シマサルナシ」などの名でも呼ばれていました。学名はActinidia chinensisです。キウイは成長が早く、つる性であるため、棚仕立てなどで栽培されるのが一般的です。生長すると3mを超えることもあり、成熟した株は5~6mに達します。移植は可能ですが、大きく育った株を移植するのは困難です。果実を収穫する果樹としてだけでなく、庭の棚やパーゴラを覆う緑としても楽しまれています。苗木の価格は、品種や大きさによって異なりますが、およそ1200円程度から販売されています。
注目の栄養価と効果
キウイフルーツは美容と健康に良いとされる栄養素を豊富に含んでおり、中国では昔から「果物の中の王様」として重宝されてきました。特にビタミンCが豊富で、その他にもビタミンE、カリウム、食物繊維、葉酸、ポリフェノールなど、非常に栄養価が高い果物です。これらの栄養素は、免疫力アップ、美肌効果、消化促進、生活習慣病の予防など、様々な健康効果をもたらすと期待されています。また、キウイフルーツを食べた時に舌がピリピリするのは、「アクチニジン」というタンパク質分解酵素が含まれているためです。アクチニジンは、肉類の消化吸収を助ける働きがあると言われています。
家庭栽培の魅力と適応性
キウイフルーツの木は、その強靭な性質から、比較的容易に家庭で栽培できる果樹として人気を集めています。耐暑性、耐寒性を兼ね備えており、-10℃程度の寒冷地でも栽培が可能です。特に、温暖な気候を好むため、関東以西の地域では、露地栽培で一年を通して育てることができます。また、鉢植えでの栽培も可能なため、ベランダやテラスなど、限られたスペースでもキウイ栽培を楽しむことができます。結実までの期間は、苗木から育てた場合、通常1~2年程度、種から育てた場合は、3~8年程度が目安となります。以前は、安定的な収穫は温暖な地域に限られていましたが、品種改良や栽培技術の向上により、東北地方や北陸地方などの寒冷地でも栽培に成功する事例が増えています。キウイのつるは生育旺盛で、放置するとすぐに伸び放題になってしまいます。過剰なつるの繁茂は、日照不足や風通しの悪化を招き、果実の成熟を妨げ、品質低下の原因となります。そのため、剪定などの適切な管理を行い、樹勢をコントロールすることが重要です。近年、野生化したキウイが各地で確認されており、その強い繁殖力が在来の生態系に悪影響を及ぼす可能性が指摘され、環境問題として注目されています。
キウイフルーツの主要品種とその特徴
世界中で栽培されているキウイフルーツは、果肉の色によって、緑肉系、黄肉系、赤肉系に大きく分類できます。それぞれの品種は、甘さ、酸味、香り、栽培特性などが異なり、栽培地の気候条件や栽培目的に合わせて最適な品種を選ぶことが大切です。
品種選びのポイント
キウイフルーツは雌雄異株の植物であるため、実を収穫するには、オス木とメス木をセットで植える必要があります。特に重要なのは、オス木とメス木の開花時期が一致していることです。開花時期がずれると受粉がうまくいかず、結実しません。苗木を選ぶ際には、開花時期の相性を考慮することが成功の秘訣です。自然界では昆虫による受粉が一般的ですが、より確実に、より多くの収穫を目指すには、人工授粉を行うことをおすすめします。
緑肉系の代表品種:ヘイワード
「ヘイワード」は、緑色の果肉を持つ、世界で最もポピュラーなキウイフルーツの品種です。果実が大きいことと、貯蔵性が高いことが特徴です。収穫後、追熟させずに冷蔵庫で保管すれば、約6ヶ月間も保存が可能だと言われています。甘味と酸味のバランスが良く、病害虫にも強いため、初心者の方にも育てやすい品種としておすすめです。メス木のヘイワードには、オス木の「トリム」が相性が良く、育てやすい組み合わせとして広く知られています。
黄肉系の人気品種:ゴールデンキング
「ゴールデンキング」は、鮮やかな黄色の果肉が特徴で、糖度は約16度と、甘さと酸味の絶妙なバランスが人気の品種です。一般の店舗ではあまり見かけないため、家庭菜園での栽培に特に選ばれています。その魅力は、熟すにつれて豊かになる芳醇な香り。一本の木から約100個もの実が収穫できる、実り豊かな性質も持ち合わせています。メス木のゴールデンイエロー(黄肉系キウイの総称、または特定の品種名)には、オス木の「孫悟空」や「ロッキー」などが受粉樹として推奨されます。
赤肉系の希少品種:レインボーレッド(紅妃:こうひ)
「レインボーレッド」(別名:紅妃)は、鮮烈な赤色の果肉を持つ、生産量が限られた貴重な品種です。静岡県富士市でキウイフルーツ栽培家の小林利夫氏によって開発され、現在は主に静岡県と福岡県で栽培されています。一般的なキウイフルーツよりも小ぶりで、表面に産毛がないのが特徴です。糖度は約17度と非常に高く、酸味が少ないため、お子様にも好まれています。レインボーレッドは開花時期が早いため、受粉樹としては極早生のオス木「雄木」が適しています。
キウイフルーツ栽培の基礎知識:最適な環境と準備
キウイフルーツは生育が旺盛で、比較的病害虫の被害を受けにくい、育てやすい果物です。高品質な果実を収穫するためには、栽培に適した環境を整え、入念な準備を行うことが大切です。
栽培環境と温度管理
キウイフルーツは日光を好む「陽樹」です。庭植えにする場所や鉢植えを置く場所は、日当たりが良く、風通しの良い場所を選びましょう。用土は水はけの良いものであれば特に種類は問いませんが、土壌のpHは弱酸性から中性が適しています。キウイフルーツの栽培に適した温度は、-7℃以上を保てる環境です。耐暑性と耐寒性を兼ね備えているため、日本の多くの地域で一年を通して栽培が可能です。ただし、-7℃を下回るような寒冷地で、強い風や霜にさらされると、生育に影響が出る可能性があるので注意が必要です。特に若い木は、凍害によって幹が枯れたり、ひび割れたりする危険性があるため、冬を越すまでは幹を藁などで覆い、防寒対策を施すと安心です。

栽培適地の拡大と寒冷地対策
かつては、キウイフルーツの安定的な収穫は、温暖な気候の関東以南の地域に限られていました。しかし、近年における品種改良や栽培技術の向上により、東北や北陸といった比較的冷涼な地域でも栽培が可能となりました。ただし、寒冷地においては、幼木の凍害を防ぐため、冬季には幹を藁などで覆う防寒対策が重要となります。
適切な土壌作り
キウイフルーツは、水はけが良く、有機物を豊富に含んだ肥沃な砂質壌土を好みます。乾燥に弱いため、株の根元に堆肥や藁を厚く敷き詰めるマルチングを行い、土壌の適度な湿り気を保つことが重要です。市販の果樹用土や園芸培養土を利用すれば、手軽に栽培を始められます。地植えの場合は、苗を植え付ける2週間ほど前から土壌改良を始めましょう。
地植えの土作り
畑や庭に地植えを行う際は、植え付けの2週間前に土壌改良を行います。まず、耕した土壌1平方メートルあたりに苦土石灰200gを混ぜ込み、土壌のpH調整を行い、2週間ほど寝かせます。植え付け時には、腐葉土と堆肥を混ぜ込み、さらに元肥として、約2年間効果が持続する緩効性肥料を土に混ぜ込むことで、土壌改良は完了です。これにより、初期生育に必要な栄養が供給され、最適な土壌環境が整います。
鉢植えの土作り
鉢植えの場合は、水はけの良い用土であれば特に問題ありません。市販の果樹用土や園芸培養土を使用すると簡単です。自分でブレンドする場合は、赤玉土小粒と腐葉土を7:3の割合で混ぜて使用してください。地植えと同様に、植え付けの際には元肥として、約2年間効果が持続する緩効性肥料を土に混ぜ込むことをおすすめします。
キウイフルーツの年間管理:植え付けから誘引、水やり、施肥、手入れ、収穫まで
キウイフルーツ栽培で実り豊かな収穫を目指すには、年間を通じた周到な管理が欠かせません。ここでは、苗木の植え付けから日々の水やり、肥料の与え方、生育をサポートする誘引や剪定、良質な果実を育てるための丁寧な手入れ、最適な収穫時期と方法までを詳しく解説します。
苗木の植え付け方法
キウイフルーツの植え付けに適した時期は、一般的に10月から12月頃です。ただし、寒さが厳しい地域では、霜害を防ぐために4月以降に植え付けるのがおすすめです。キウイフルーツは雌雄異株であるため、通常はオス木とメス木をセットで植える必要があります。それぞれの木が十分に成長できるスペースを確保して植え付けましょう。
地植えの植え付け方法
地植えの場合、オス木とメス木の間隔は3mから10m程度が目安です。必ずしも隣り合わせに植える必要はありませんが、間隔が10mを超えると、昆虫などによる自然受粉が難しくなることがあります。適切な間隔を保つことで、受粉を促進し、安定した収穫につながります。
鉢植えの植え付け方法
鉢植えで栽培する場合は、オス木とメス木を別々の鉢に植えるのが基本です。受粉を考慮して、それぞれの鉢を3mから10mの範囲内に配置することが大切です。鉢のサイズは、キウイフルーツの成長に合わせて徐々に大きくしていくと良いでしょう。最初は小さめの鉢で育て、根詰まりを起こす前に、一回り大きな鉢に植え替えるようにしましょう。
誘引と仕立て方
キウイフルーツはつる性の植物なので、つるの生育方向を定め、支柱に固定する誘引作業が欠かせません。誘引とは、つるや枝を紐などで支柱に結びつけ、固定することです。地植え、鉢植えに関わらず、苗を植え付けた後に誘引を行い、理想的な樹形に整えることで、日光と風通しを良くし、果実の品質向上と収穫量増加に貢献します。
地植えの仕立て方
地植えの場合は、伸びたつるや枝を誘引し、棚仕立てにするのが一般的です。まず、主となる枝と第二主枝を棚に沿って水平方向に伸ばし、そこから新たな結果枝を育てます。棚仕立てに誘引した後、棚の下から生えてくる不要な枝は根元から切り落とします。これは、栄養を棚上の結果枝に集中させるためです。生育が進むにつれて棚全体が密集してくるため、風通しを維持できるよう適宜剪定を行い、棚全体に均等に太陽光が当たるように管理しましょう。
鉢植えの仕立て方
鉢植えの場合は、最初に設置した仮支柱を取り外し、あんどん仕立て用のリング支柱に取り替えるのがおすすめです。支柱を交換する時期は、植え付けの翌年の3月頃を目安にすると良いでしょう。あんどん仕立ては、場所を取らず効率的に栽培できる方法で、ベランダのような限られたスペースでの栽培に適しています。
適切な水やり
キウイフルーツは乾燥に弱い性質を持つため、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えることが、栽培において非常に重要です。水不足は樹の勢いを弱め、果実の品質にも悪影響を及ぼすため、土の状態を常に確認するようにしましょう。
地植えでの水やりのコツ
庭植えの場合、キウイフルーツの木は一度しっかりと根を張ると、地中の水分を自力で吸収できるようになるため、基本的に水やりの手間はかかりません。ただし、雨が降らず乾燥した状態が長く続く場合や、土の乾き具合が著しい場合は、必要に応じて水を与えてください。葉の状態をよく観察し、新しい枝が元気がなく下向きになっているようであれば、水不足のサインかもしれません。
鉢植えでの水やりのコツ
鉢植えでキウイフルーツを育てる場合は、土の表面が乾いたタイミングで、鉢の底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えましょう。特に夏場は土が乾燥しやすいため、朝夕2回程度の水やりが必要となることもあります。日中の暑い時間帯に水やりをすると、鉢の中の土の温度が急上昇し、根を傷めてしまう可能性があるため、気温が低い時間帯に水を与えるようにしましょう。
肥料の効果的な与え方
キウイフルーツに肥料を与えるタイミングは、庭植えと鉢植えで少し違いがあります。それぞれの栽培方法に合った時期に適切な肥料を与えることで、キウイフルーツの木は健康に育ち、たくさんの実をつけてくれるでしょう。
地植えの場合の肥料
キウイフルーツを庭に植えている場合は、冬の12月から2月頃に、寒肥として堆肥などの有機肥料を与えましょう。堆肥と肥料の成分が一緒になっている有機肥料は、肥料としての効果はもちろんのこと、土壌中の微生物の活動を活発にし、土を豊かにする効果もあります。土を軽く耕しながら肥料を混ぜ込み、土と肥料がしっかりと混ざり合うようにしましょう。追肥は7月と9月に行い、即効性のある成分と緩効性の有機質を配合した有機肥料を与えてください。これにより、約1~2ヶ月間安定した肥料効果が持続し、果実の成長をしっかりとサポートします。
鉢植えへの施肥
鉢植えでキウイフルーツを育てる場合、生育期である2月から6月中旬にかけて、植物の活力が不足しているようであれば、緩効性肥料を元肥として土に混ぜ込みます。さらに、9月下旬から10月中旬には、速効性のある液体肥料や置き肥を追肥として与えましょう。鉢植えは土の量が限られているため、生育に必要な養分を定期的に補給することが、特に重要になります。

剪定と樹形の手入れ
キウイフルーツはつる性の植物であり、旺盛に成長するため、適切な剪定と仕立ては欠かせません。その成長力は非常に強く、一年で5~6メートルもつるが伸びることがあります。手入れを怠ると、棚全体がつるで覆い尽くされ、内部への採光不足や風通しの悪化を引き起こし、果実の成熟遅延や品質低下につながる可能性があります。枝が密集していたり、徒長枝(細長く伸びすぎた枝)が見られる場合は、積極的に剪定を行いましょう。剪定によって、伸びすぎたつるを抑制し、棚全体の日当たりと風通しを改善することで、高品質な果実の収穫を促します。
剪定の基本
剪定の最適な時期は、主に1月から2月頃の休眠期です。徒長した枝や、他の枝への日当たりを遮っている枝を選んで剪定します。また、枝が込み合っている場所では、風通しを良くするために「間引き剪定」を行いましょう。剪定後の目安としては、棚の横から木漏れ日が差し込む程度になるように調整します。夏には、不要な芽を取り除く「芽かき」を行うことで、樹勢をさらにコントロールし、栄養を果実に集中させることができます。
地植えにおける仕立てと剪定
地植えの場合、伸びたつるや枝を誘引して「棚仕立て」にします。棚仕立てに誘引した後、主枝と第二主枝から新たな枝が伸びてきます。棚の下から生えてくる不要な枝は、すべて根元から切り取ってください。これは、養分を棚上の結果枝に集中させるための重要な作業です。成長が進むにつれて棚全体が混み合ってくるため、風通しを確保するために適宜剪定を行い、棚全体に均等に日光が当たるように管理しましょう。
鉢植えでの仕立てと剪定
鉢植えで栽培し、あんどん仕立てにしている場合は、つるをリング支柱に沿わせて誘引し、コンパクトな樹形を維持しましょう。苗を植え付けた際に使用した仮支柱を取り外し、翌年の3月頃にリング支柱に交換するのがおすすめです。鉢植えは地植えに比べて根を張るスペースが限られているため、樹形を整える剪定が特に重要になります。伸びすぎた枝は適宜カットし、株全体のバランスを考慮して剪定を行いましょう。
特別なお手入れ
美味しいキウイフルーツを収穫するためには、花や果実に栄養を集中させることが重要です。そのため、年間を通して適切なお手入れを行いましょう。ここでは、果実の品質と収量を向上させるための具体的な作業について解説します。
摘芯
キウイフルーツは枝やつるが旺盛に成長するため、摘芯を行うことで栄養を効率的に花や果実に分配することができます。摘芯の方法は、1つの枝に対して15節程度を残し、それより先の部分を切り詰めます。込み合っている箇所や、無駄に伸びている徒長枝があれば、一緒に切り取っておくと後の剪定作業が楽になります。
人工授粉
キウイフルーツは通常5月頃に開花を迎えます。確実に結実させるために、人工授粉を行いましょう。雌花が開花してから3日間が受粉に適した期間となるため、その間に雄花から花粉を採取し、絵筆などを用いて雌花の柱頭に丁寧に塗布します。もし、メス木とオス木の開花時期がずれてしまった場合は、市販されているキウイフルーツ専用の受粉用花粉を使用することも可能です。
摘果・摘蕾
キウイフルーツは、自然に果実が落ちるのが少ない植物です。そのため、そのまま育ててしまうと、小さい実ばかりになってしまうことがあります。そうならないように、蕾の段階で摘蕾を行い、一本の枝につける蕾の数を2〜4個程度に減らしましょう。キウイフルーツは開花後、急速に実が大きくなるため、実を減らすには摘果よりも摘蕾が効果的です。果実が成長し始めたら、生育の悪いものや傷のあるものを取り除く摘果を行います。目安として、一本の枝に1〜3個程度まで絞り、残った果実をしっかりと育てていきましょう。
収穫時期と収穫方法
キウイフルーツの収穫に適した時期は、11月中旬頃です。12月に入ると霜が降りる可能性もあるため、なるべく11月中に収穫を終えるようにしましょう。収穫する際は、果実を傷つけないように注意し、ハサミなどを使って茎から丁寧に切り取ってください。果実に傷がつくと、そこから熟成が進み、長期保存が難しくなってしまいます。
キウイフルーツの追熟方法
キウイフルーツは、収穫してすぐに美味しく食べられるわけではありません。収穫後、しばらくの間、追熟という作業が必要です。果実が木に付いたままの状態だと、熟成が終わる前に水分が失われてしまうことがあるため、収穫後に追熟を行いましょう。追熟の方法は簡単で、ビニール袋の中にキウイフルーツとリンゴやバナナを一緒に入れ、袋の口を閉じておきます。リンゴやバナナは、果物の熟成を促進するエチレンガスを多く放出するため、キウイフルーツの追熟に非常に効果的です。キウイフルーツ10個に対し、リンゴまたはバナナを1個入れるのが目安で、1〜2週間かけて追熟させます。キウイフルーツを触ってみて、少し柔らかくなってきたら食べ頃です。
キウイフルーツの増やし方
キウイフルーツは、挿し木という方法で増やすことができます。挿し木は、親株の性質を受け継いだ苗を比較的簡単に作ることができるため、家庭菜園でも手軽に挑戦できる増やし方です。生育が旺盛で健康な枝を選び、適当な長さに切り取って、育苗トレイなどで丁寧に育てていきましょう。
挿し木による増やし方
キウイフルーツの挿し木には、大きく分けて二つの方法があります。一つは、前年に成長し、休眠状態に入った枝を使う「休眠枝挿し」。もう一つは、その年に新しく伸びた緑色の枝を使う「緑枝挿し」です。一般的には、緑枝挿しの方が成功しやすいと言われていますので、初めてキウイフルーツの挿し木に挑戦する方には、緑枝挿しから始めることをおすすめします。
キウイフルーツの病害虫対策
キウイフルーツの果実には細かな毛が生えているため、比較的害虫の被害を受けにくいとされています。しかし、葉が害虫に汁を吸われると、生育に影響が出てしまう可能性があります。病害虫を発見した場合は、速やかに駆除するようにしましょう。
カメムシ
カメムシは、独特の悪臭を放つことで知られており、植物の汁を吸って被害を与える害虫です。キウイフルーツの新芽がカメムシに吸汁されると、茎や葉が正常に育たなくなることがあります。また、果実が吸汁されると、形が変形したり、落下したりする危険性もあるため、見つけたらすぐに捕殺することが重要です。カメムシの姿が見えなくても、軽く木を揺らすことで、落ちてくることがあります。
カイガラムシ
カイガラムシは、植物の汁を吸い、生育に悪影響を与える害虫です。カイガラムシが大量に発生すると、キウイフルーツが枯れてしまうこともあるため、見つけ次第、迅速に駆除してください。ただし、カイガラムシは硬い殻に覆われているため、一般的な殺虫剤が効きにくい場合があります。歯ブラシなどでこすり落とすなど、物理的な方法で確実に除去するのが効果的です。
まとめ
「フルーツの王様」とも呼ばれるキウイフルーツは、もともと中国が原産で、ニュージーランドで品種改良が行われた果樹です。その魅力は、ビタミンCやビタミンE、カリウム、食物繊維、葉酸、ポリフェノールといった、健康や美容に良いとされる豊富な栄養素にあります。中でも、アクチニジンという酵素によるタンパク質分解作用は、消化を促進する効果が期待できます。キウイフルーツは表面の細かな毛によって害虫や雨から身を守り、さらに耐暑性・耐寒性にも優れているため、適切な管理をすれば初心者でも家庭で比較的容易に栽培できます。栽培の際には、品種が雌雄異株であることを考慮し、開花時期が同じオス木とメス木を組み合わせて植えることが重要です。地植え、鉢植えどちらでも栽培可能で、適切な土壌、時期に合わせた水やりや肥料、棚仕立てやあんどん仕立てに適した剪定と誘引を行うことで、美味しい実を収穫できる可能性が高まります。さらに、摘芯や人工授粉、摘果・摘蕾といった丁寧な作業を行い、適切なタイミングで収穫し、追熟させることで、より一層美味しくキウイフルーツを味わうことができます。比較的、病害虫の被害は少ないですが、カメムシやカイガラムシには注意が必要です。ぜひご家庭でキウイフルーツ栽培に挑戦し、その豊かな恵みを存分に楽しんでみてください。

キウイフルーツはどこが原産ですか?
キウイフルーツのルーツは中国にあり、当時はチャイニーズ・グーズベリー、またはサルナシとして親しまれていました。その後、1904年にニュージーランドへ持ち込まれ、品種改良を経て、現在のキウイフルーツとして広く知られるようになりました。
キウイフルーツの名前の由来は何ですか?
キウイフルーツの名前は、果実の見た目や質感が、ニュージーランドの固有種である飛べない鳥「キウイ」に似ていることに由来します。キウイは、その愛らしい姿でニュージーランドの象徴となっています。
キウイフルーツを美味しく食べるにはどうすれば良いですか?
収穫したてのキウイフルーツも美味しいですが、より甘みと酸味のバランスがとれた味わいを楽しむためには、収穫後、日の当たらない場所で約2週間ほど追熟させるのがおすすめです。
キウイフルーツは日本のどこで育てられているの?
以前は、関東地方より南の温暖な地域が栽培に適していると考えられていましたが、品種改良や栽培方法の進歩によって、東北地方や北陸地方といった比較的涼しい場所でも栽培できるようになりました。寒さには比較的強く、-10℃まで耐えることができます。
キウイフルーツを育てる上で一番大切なことは何?
キウイフルーツは、実をつけるために雄株と雌株が必要な植物です。そのため、実を収穫するためには、両方の木を植える必要があります。さらに、それぞれの木の開花時期が合うように品種を選ぶことも重要です。また、つるがどんどん伸びていくので、冬の剪定や夏の芽摘みなど、適切な手入れをしないと、実の成熟や品質が悪くなることがあります。
キウイフルーツの苗木はいつ植えればいいの?
キウイフルーツの苗木を植える時期は、通常10月から12月頃が良いとされています。ただし、寒さが厳しい地域では、霜による被害を防ぐために、4月以降に植えるのがおすすめです。
キウイフルーツはどんな土壌で育てるのが良いの?
キウイフルーツは、水はけが良く、有機物がたくさん含まれた肥えた砂壌土を好みます。土壌の酸度は、弱酸性から中性が適しています。庭に直接植える場合は、苦土石灰でpHを調整し、腐葉土や堆肥を混ぜて土壌を改良しましょう。
キウイフルーツは、実をつけるまでにどれくらいの時間が必要ですか?
キウイフルーツが収穫できるようになるまでの期間は、苗木から栽培を始めた場合、通常1~2年程度です。種から育てる場合は、3年から8年程度かかるのが一般的です。
キウイフルーツの受粉は、人の手で行う必要がありますか?
キウイフルーツは、雄株と雌株が別々の木であるため、自然に受粉も行われます。しかし、より確実に、そしてたくさんの実を収穫したい場合は、人工授粉を行うことをおすすめします。雌花が開花してから3日間ほどが受粉に最適な時期です。雄花から採取した花粉を、筆などを使って丁寧に雌花のめしべにつけてください。もし開花時期がずれてしまった場合は、市販されている受粉用の花粉を利用することも可能です。
キウイフルーツの収穫に適した時期はいつですか?
キウイフルーツの収穫時期として最適なのは、11月中旬頃です。12月に入ると霜が降りる可能性も出てくるため、遅くとも11月中に収穫を終えるように心がけましょう。
収穫したキウイフルーツは、すぐに食べられますか?
いいえ、キウイフルーツは収穫してすぐに食べるのではなく、追熟という作業が必要です。収穫したキウイフルーツをビニール袋に入れ、リンゴやバナナなど、エチレンガスを放出する果物と一緒に1~2週間ほど置いてください。こうすることで甘みが増し、果肉が柔らかくなり、より美味しく食べられるようになります。
キウイフルーツを蝕む害虫とは?
キウイフルーツは表面の細かな毛によって、ある程度の害虫から守られています。しかし、カメムシやカイガラムシには注意が必要です。カメムシは果汁を吸い取ることで果実の形を歪め、最悪の場合、落果を引き起こします。カイガラムシが大量に発生すると、樹全体が弱り、枯れてしまうこともあります。これらの害虫を見つけたら、手で捕まえたり、ブラシでこすり落としたりするなど、物理的な方法で早めに駆除することが大切です。
キウイフルーツの摘芯と摘果のコツは?
キウイフルーツは生育が旺盛で枝やツルがどんどん伸びるため、摘芯は重要な作業です。これは、花や果実に栄養を集中させるために行います。目安として、1本の枝に15節ほどを残し、先端を切り落とします。また、摘果も欠かせません。養分を分散させず、大きく美味しい果実を収穫するために、蕾の段階で摘蕾を行い、1本の枝につける実の数を2〜4個程度に絞ります。果実が成長し始めたら、生育の悪いものや傷ついたものを取り除き、最終的には1本の枝に1〜3個程度になるように摘果します。