鮮やかな赤色と独特の甘みが魅力のビーツ。「食べる輸血」と呼ばれることもあるほど、鉄分をはじめとするミネラルが豊富なことで知られています。普段使い慣れない食材だけに、保存方法に悩む方もいるのではないでしょうか。せっかく手に入れたビーツを無駄にしないよう、この記事では冷蔵・冷凍それぞれの保存方法を徹底解説します。鮮度を保つための下処理のコツや、色鮮やかな赤色をキープするポイントもご紹介。これらの保存方法を活用すれば、ビーツを長持ちさせ、様々な料理でその美味しさを存分に楽しめます。
生ビーツの冷蔵保存
生のビーツは、適切な保存方法を実践することで、比較的長期間鮮度を保つことが可能です。特に、葉付きのビーツの場合は、保存方法に注意が必要です。ビーツの根と葉は、それぞれ栄養を消費する仕組みが異なるため、一緒に保存すると根の鮮度が早く低下してしまいます。したがって、葉付きのビーツの場合は、葉と根を切り分けて保存することが重要です。それぞれの部位に適した方法で保存することで、ビーツ全体をより長く美味しく保つことができます。
具体的な保存方法は以下の通りです。
- 根の部分を軽く水で湿らせたキッチンペーパーで丁寧にくるみます。キッチンペーパーがビーツの乾燥を防ぎ、適切な湿度を保ちます。
- キッチンペーパーで包んだビーツをビニール袋に入れます。ビニール袋に入れることで、ビーツが外気に触れるのを防ぎ、鮮度を維持するための密閉空間を作ります。
- 袋の中の空気を軽く抜き、口をしっかり閉じたら、冷蔵庫の野菜室で保存してください。
水で軽く湿らせたキッチンペーパーでくるみ、ビニール袋に入れていただいてから冷蔵庫に保存していただければ、状態にもよりますが、約1か月ほどは日持ちします。切り離した葉の部分は、軽く湿らせたキッチンペーパーで包んでからビニール袋に入れ、同様に冷蔵庫で保存すれば、数日間は美味しくいただけます。
ビーツの下処理:甘みを最大限に引き出し、土臭さを和らげる
ビーツは生のままでも食べられますが、下処理として加熱することで、その美味しさが飛躍的に向上します。加熱によってビーツ本来の甘みが引き出され、特有の土臭さが軽減されるため、より多くの方が美味しく味わえるようになります。特に、大量に購入した場合や、すぐに使い切れない場合には、下処理をしてから保存するのがおすすめです。下処理済みのビーツは、生のまま保存するよりも日持ちが良く、調理時の手間も省けるため、忙しい毎日でも手軽にビーツ料理を楽しむことができます。
下処理の方法は、主に「ゆでる」と「オーブンで焼く」の2種類があり、それぞれ保存期間や風味に違いがあります。どちらの方法でも、加熱することで皮がむきやすくなるというメリットがあります。加熱後、粗熱を取ってから手で簡単に皮をむくことができるため、生のまま調理するよりも準備が楽になります。下処理をしておくことで、サラダ、スープ、スムージーなど、様々な料理にすぐに活用でき、ビーツの使い道が広がります。例えば、下処理済みのビーツをスライスしてサラダに加えたり、細かく刻んでポタージュの具材にしたりと、アイデア次第で様々な楽しみ方ができます。適切に下処理をして保存することで、ビーツをより美味しく、そして無駄なく活用することができるでしょう。
ゆでビーツの冷蔵保存
ビーツの下処理として一般的な方法の一つが「ゆでる」ことです。この方法では、ビーツの鮮やかな色を保ちながら、甘みを引き出し、土臭さを和らげることができます。ゆでる際は、皮付きのまま加熱するのがポイントです。皮をむかずにゆでることで、ビーツの色素が水中に溶け出すのを最小限に抑えることができます。まず、ビーツを丁寧に洗い、根と葉の付け根を少しだけ切り落としますが、完全に切り離さないようにします。こうすることで、色素の流出を防ぐ効果が期待できます。その後、鍋にたっぷりの水とビーツを入れ、水から約40分ほどゆでます。ビーツの大きさによってゆで時間は調整してください。竹串を刺して、すっと通るくらいが目安です。
さらに、ゆでる際に水100mlあたり小さじ1杯のお酢、またはレモン汁を加えることで、ビーツの美しい赤紫色をより鮮やかに保つことができます。酸性の環境が、ビーツの色素であるベタシアニンを安定させる効果があるためです。ゆで上がったら、ビーツを冷水にさらし、粗熱が取れたら手で簡単に皮をむくことができます。皮をむいたビーツは、用途に合わせて薄切り、角切り、すりおろしなど、好きな形にカットします。カットしたビーツは、清潔な保存容器に入れ、ゆで汁も一緒に入れて冷蔵保存します。ゆで汁に浸しておくことで、ビーツの乾燥を防ぎ、風味を保つことができます。この方法で冷蔵保存した場合、約1週間程度美味しく保存可能です。サラダの彩りやスープの具材、ピクルスなど、様々な料理に活用できます。
オーブン焼きビーツの冷凍保存
ビーツの下処理方法としておすすめなのが、オーブンでじっくりと焼き上げる調理法です。オーブンで焼くと、ビーツ本来の甘みが凝縮され、香ばしさが加わることで、茹でた時とは一味違う、奥深い味わいを楽しむことができます。このオーブン焼きビーツは冷凍保存にも適しています。調理する際は、まずビーツを丁寧に洗い、皮がついたまま、アルミホイルで一つずつ丁寧に包み込みます。アルミホイルで包むことで、ビーツ全体に均一に熱が伝わり、水分が過度に蒸発するのを防ぎ、しっとりとした仕上がりになります。オーブンを120℃~140℃に予熱し、アルミホイルで包んだビーツを入れ、約60分間焼きます。ビーツのサイズやオーブンの性能によって加熱時間は変わるので、様子を見ながら調整してください。竹串などを刺してみて、スムーズに刺されば焼き上がりです。 焼き上がったビーツは、粗熱を取って冷まします。加熱によって柔らかくなったビーツは、手で簡単に皮を剥くことができます。皮を剥いた後、用途に合わせて、スライス、角切り、ペースト状など、使いやすい大きさにカットします。カットしたビーツは、酸化と乾燥を防ぐため、ラップでしっかりと包み、ジップ付きの保存袋に入れて冷凍します。保存袋に入れる際には、できる限り空気を抜き、密閉してから冷凍庫で保存することで、冷凍焼けを最小限に抑え、品質を長く保つことができます。根の部分は、「茹でる」または「オーブンで焼く」などの方法で火を通した後、皮をむいてスライスしたり角切りにした状態でラップに小分けに包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します
ビーツの葉の保存と活用術
ビーツは、根の部分だけでなく、鮮やかな緑色の葉も美味しく食べられる食材です。ビーツの葉は、ほうれん草や小松菜に似た風味を持ち、炒め物、おひたし、スープの具材としてなど、様々な料理に活用できます。葉付きのビーツを購入した場合、葉は根よりも傷みやすく、特に根についた状態だと、根の栄養を吸い上げてしまい、根の鮮度を損なう原因になります。そのため、ビーツを保存する際は、まず根と葉を切り分けて保存することが大切です。葉を切り分けることで、根と葉それぞれに適した方法で保存でき、より長く美味しく保つことができます。 切り分けたビーツの葉は、乾燥を防ぐことが鮮度維持のポイントです。まず、葉を丁寧に水洗いし、キッチンペーパーなどでしっかりと水気を拭き取ります。水気が残っていると傷みの原因になるため、念入りに拭き取ってください。次に、乾燥を防ぐため、軽く湿らせたキッチンペーパーで葉を包み、ビニール袋や密閉容器に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。この状態で保存すれば、数日間はシャキシャキとした食感を保つことができます。すぐに使い切れない場合は、軽く塩茹でしてから水気を絞り、小分けにして冷凍保存することも可能です。冷凍した葉は、凍ったままスープや炒め物に入れることで、手軽に栄養をプラスできます。ビーツの葉は必須栄養素が豊富であり、ビタミンA、C、K、マグネシウム、鉄などのミネラルの豊富な源となっています。
まとめ
ビーツは、鮮やかな色合いとほのかな甘み、そして豊富な栄養価が魅力的な野菜です。葉付きのビーツは、根と葉を別々に保存し、それぞれを有効活用しましょう。これらの保存方法と下処理のコツを参考に、ビーツを日々の食卓に取り入れ、その豊かな風味と栄養を存分にお楽しみください。
生のビーツは冷蔵庫でどれくらい保存できますか?
生のビーツは、葉を切り落とし、軽く水で湿らせたキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存することで、約1ヶ月程度保存可能です。乾燥を防ぐために、袋に入れることが重要です。ただし、保存状態によって日持ちは異なります。
ビーツを茹でる時、色をきれいに保つには?
ビーツを茹でる際、鮮やかな色を保つ秘訣は、皮ごと茹でることです。加えて、お湯100mlに対し小さじ1杯のお酢、またはレモン汁を加えるのがおすすめです。こうすることで、ビーツ特有の赤紫色の色素が流れ出るのを抑え、見た目も美しい仕上がりになります。
ビーツは必ず下処理が必要?生のまま食べても大丈夫?
ビーツは生のままでも食べられます。しかし、下処理として加熱することで、甘みが増し、土臭さが和らぎ、より美味しく味わえます。また、下処理後に保存することで保存期間が延び、調理時の手間も省けます。













