家庭菜園で手軽に楽しめる地這いキュウリ。支柱を使わず、地面を這うように育つ姿は、自然を感じさせてくれます。栽培は比較的簡単で、初心者にもおすすめ。夏の強い日差しにも強く、プランターでも育てられるのが魅力です。この記事では、地這いキュウリの基本的な育て方から、美味しい実を収穫するためのコツまでを詳しく解説します。ぜひ、地這いキュウリ栽培に挑戦して、自家製キュウリのフレッシュな味わいを満喫してください。
地這きゅうり栽培の基礎知識と魅力
地這きゅうりは、ウリ科に属する野菜で、支柱を使わず地面に這わせて栽培されるのが特徴です。現代の農業では、収穫時の姿勢や果実の形状の問題から支柱栽培が一般的ですが、家庭菜園においては、手軽さと夏の暑さに強いことから人気があります。発芽には20~30℃、生育には15~25℃が適温とされています。栽培の際は、連作障害を避けるため、ウリ科植物の連作は避けましょう。また、乾燥と過湿に弱いため、水管理が重要です。収穫は遅れないように早めに収穫し、生育期間中は追肥を忘れずに行いましょう。「青長地這い」や「霜不知」といった品種が地這い栽培に適しています。これらの点に注意すれば、家庭菜園でも美味しい地這きゅうりを収穫できます。
豊作のための畑準備と土作り
地這きゅうりの栽培を成功させるには、畑の準備と土作りが不可欠です。植え付けの2週間以上前に、1㎡あたり150gの苦土石灰を畑に散布し、深く耕して土と混ぜます。これにより、土壌のpHを調整し、きゅうりの生育に適した土壌にします。苦土石灰の代わりに、効果が穏やかなカキ殻石灰を使用することも可能です。植え付けの1週間前には、完熟たい肥を1㎡あたり2~3kg、チッソ・リン酸・カリを各成分8~10%含む化成肥料を1㎡あたり100~150g施し、土と混ぜてから幅60~70cmの畝を作ります。水はけが悪い場合は、畝を高くすると根腐れを防げます。畝を平らにならした後、黒ポリマルチを張ると、雑草抑制、土壌水分の保持、病気予防などの効果が期待できます。黒ポリマルチは、雨の翌日など、土が湿った状態で張るのがおすすめです。地這きゅうりの株間は約50cm、畦間は約2mに設定します。種を直播きする場合は、1株あたり完熟堆肥を4~5握り、有機配合肥料を大さじ3杯程度、種から少し離れた場所に施し、その上から15cmほど土を被せます。これは、株元が乾燥したり、モグラの被害を防ぐためです。
丈夫な苗を育てる種まきと育苗
地這きゅうりの栽培において、種まきと育苗は重要なステップです。苗を育ててから植え付ける方法が一般的ですが、温暖な地域では6月以降に畑へ直接種をまくことも可能です。地這きゅうりは暑さに強いため、7月中旬ごろまで種まきが可能で、遅れても収穫が見込めます。直播きの場合は、株間に3~4粒ずつ種を点まきし、生育を見ながら元気な苗を1本に間引きます。育苗する場合は、市販の種まき用培養土を育苗箱またはポットに詰めます。各ポットに1粒ずつ種を置き、深さ約1cmまで押し込みます。周りの土をつまむようにして種の上に寄せ、軽く押さえます。本葉が2~3枚になるまで育てると、畑への定植に適した苗になります。
苗の植え付け方法と注意点
地這きゅうりの苗を畑に植え付ける際には、生育を順調に進めるために、いくつかのポイントがあります。まず、植え付け当日の朝、苗にたっぷりと水を与えます。バケツに水を張り、ポリポットごと苗を浸し、気泡が出なくなるまで待ちます。その後、日陰で水切りをします。畝に約90cm間隔で、苗の根鉢が入るくらいの植え穴を掘り、穴に水を注ぎ、水が引くのを待ちます。苗を取り出す際は、根元を指で挟み、ポットを逆さにして底を押すと取り出しやすくなります。根鉢を崩さないように注意しましょう。苗を植え穴に置き、根鉢と周囲の土が密着するように土を寄せ、株元が少し盛り上がる程度に植え付けます。深植えや浅植えは避けましょう。植え付け後すぐに水やりはせず、根が深く伸びるのを促します。また、植え付け後はアブラムシが発生しやすいため、早期発見と防除が大切です。
生育を促すための工夫:敷きわらと摘心
地這いキュウリを栽培する上で、株を健康に保ち、収穫量を増やすためには、いくつかの管理作業が重要になります。その中でも特に効果的なのが「敷きわら」です。もし可能であれば、わらや乾燥した草などを株元だけでなく、つるの先端部分にも敷いてあげてください。敷きわらは、土の乾燥を防ぐだけでなく、雨による泥はねを抑える効果も期待できます。泥はねは、病気の原因となる菌が葉や茎に付着するのを防ぎ、病気のリスクを減らしてくれます。また、生育を調整する「摘心」も大切です。摘心とは、植物の生長点をカットすることで、わき芽の成長を促進し、栄養を調整する作業です。地這いキュウリの場合、主につるが伸びて本葉が7~8枚になったら、先端を摘み取ります。こうすることで、養分がわき芽に集中し、勢いのある子づるが3~4本四方に伸びるように促します。これにより、実がつきやすい子づるや孫づるの成長が促進され、つる同士が密集するのを防ぎ、結果的に収穫量の増加につながると考えられます。ただし、種まきの時期によって摘心を行うかどうかを判断する必要があります。6月下旬以降に種をまく場合は、摘心せずに早くつるを伸ばした方が、暑い時期の収穫量の減少を抑えられます。これは、暑い時期は株が弱りやすいため、摘心による負担を避けるためです。
成長段階に合わせた追肥と収穫時期
地這いキュウリでたくさん収穫するためには、適切な追肥と収穫のタイミングを見極めることが大切です。追肥は、成長段階に応じて適切な量を与えることが重要です。まず、つるが20~30cmほどに伸びてきたら、株の周りに化成肥料を少量まき、軽く土と混ぜ合わせます。さらに、つるが50~60cmに伸びてきたら、つるの先端あたりに一株あたり化成肥料を大さじ2~3杯程度まき、軽く土に混ぜます。収穫が始まったら、株の栄養が不足しやすくなるため、定期的に追肥を行いましょう。2週間に1回を目安に追肥を行うと良いでしょう。肥料は、窒素・リン酸・カリウムの成分が均等に含まれている化成肥料(8-8-8など)がおすすめです。肥料の量は、1平方メートルあたり30gを目安に、株元ではなく通路に均等に撒くようにします。こうすることで、根が肥料を効率よく吸収し、株の成長を維持することができます。収穫のタイミングは、キュウリの長さが20cm前後になったらを目安にします。キュウリは成長が早いので、できるだけ早く収穫することを心がけましょう。地這いキュウリは、実が葉っぱの下に隠れて見えにくいことがあるため、見落とさないように注意深く収穫してください。収穫が遅れると、実が大きくなりすぎて硬くなり、味が落ちてしまいます。また、株にも負担がかかり、収穫量が減ってしまう原因にもなります。もし、水分や肥料が足りないと、キュウリの形が悪くなったり、成長が止まってしまうことがあります。このような場合は、すぐに水やりと追肥を行い、株の回復を促しましょう。
まとめ
地這いキュウリの栽培は、土作りから始まり、種まき、苗の植え付け、そして日々の管理が大切です。連作障害を防ぎ、乾燥や多湿に注意し、早めの収穫を心がけ、成長に合わせて肥料を与えることで、丈夫な株を育て、たくさんの収穫につなげることができます。畑の準備では、苦土石灰で土の酸度を調整し、堆肥や化成肥料で栄養を補給することが重要です。畝を作ったり、黒いマルチを敷いたりすることで、生育環境を整えることも効果的です。種まきは、苗を育ててから植える方法と、直接畑に種をまく方法があります。地這い栽培では、7月中旬までの遅い時期でも種まきが可能で、直接種をまく場合は、株の間隔や肥料の与え方を工夫しましょう。苗を植える際には、事前に水をやり、適切な大きさの植え穴を用意し、根を傷つけないように丁寧に作業します。植え付け後に水を控えることで、根がしっかりと張るように促します。生育中は、敷きわらを敷くことで土を守り、病気を予防できます。本葉が7~8枚になったら摘心を行い、わき芽の成長を促し、収穫量を増やしましょう。ただし、遅い時期に種をまいた場合は、摘心しない方が良い場合もあります。追肥は、つるの伸び具合や収穫の開始時期に合わせて、数回に分けて計画的に行います。キュウリが20cm前後になったら、葉の下に隠れているものも含めて早めに収穫することで、品質と収穫量を維持できます。これらの工程を丁寧に行うことで、家庭菜園でも美味しい地這いキュウリをたくさん収穫することができるでしょう。
地這きゅうりを栽培する上で、連作障害が起こる原因は何ですか?
連作障害とは、同じ場所で同じ作物を続けて栽培することで起こる様々な問題のことです。地這いキュウリのようなウリ科の植物は、同じ場所で作り続けると、つる割れ病や半身萎凋病といった病気が発生しやすくなります。これは、同じ作物を栽培することで、その作物に特有の病原菌や害虫が土の中で増えやすくなるためです。また、特定の栄養分ばかりが消費されたり、根から出る有害な物質が土に溜まってしまうことも原因となります。これらの問題を避けるためには、ウリ科以外の作物と交互に栽培するなどの対策が必要です。
黒マルチは必須?その効果とは?
黒マルチは必ずしも必要ではありませんが、地這いキュウリ栽培を有利に進めるための様々な利点があります。特に、雑草の抑制効果は大きく、除草作業の負担を軽減できます。また、マルチが土壌からの水分の蒸発を抑えるため、乾燥しやすい時期でも適切な水分量を維持しやすくなります。さらに、雨による土の跳ね返りを防ぎ、葉や茎への病原菌の付着を減らすことで、病気のリスクを低減することも期待できます。地温の安定化にも貢献し、特に初期の生育段階で地温を確保したい場合に役立ちます。
植え付け後、水やりを控える理由
地這いキュウリの苗を植え付けた直後に水やりを控えるのは、根を深く張らせるためです。植え付け直後にたっぷりと水を与えると、根は表面近くの水分だけで満足し、深く伸びようとしません。しかし、土壌がやや乾燥気味の状態だと、苗は水分を求めて地中深くまで根を伸ばそうとします。その結果、しっかりと根を張った丈夫な株となり、その後の乾燥や強風に対する抵抗力が高まります。ただし、完全に乾燥させるのではなく、適度な湿り気を保ちつつ、根が深く伸びるように管理することが大切です。
遅まきでも栽培可能?いつまで?
はい、地這いキュウリは夏の暑さに比較的強いため、遅まきでも栽培できます。一般的には、温暖な地域であれば6月以降に畑に直接種をまくことができ、7月中旬頃まで種まきが可能です。遅まきでも比較的安定した収穫が見込めるため、家庭菜園で夏に収穫を楽しみたい場合に適した栽培方法の一つです。
摘心を省略できるケースとは?
地這いキュウリの摘心は、通常、主枝の先端を摘み取ることで側枝の発生を促し、収穫量を増やす目的で行われます。しかし、6月下旬以降に種まきを行う遅まき栽培の場合、摘心をせずに早めにツルを伸ばした方が、高温による収量低下を抑えられる場合があります。これは、高温期には株がストレスを受けやすいため、摘心による負担を避け、株全体の勢いを維持するためです。
地這いキュウリの元肥、効果的な施し方とは?
地這いキュウリ栽培の成功は、土作りの段階で決まると言っても過言ではありません。畑全体に良質な完熟堆肥と化成肥料をバランス良く施しましょう。種を直接蒔く場合は、株間を50cm程度空け、各株に対して完熟堆肥を4~5握り、有機配合肥料を大さじ3杯程度を目安に施します。ただし、肥料が種の直下に当たらないように、少し場所をずらして施肥し、その上から15cmほど土を被せてください。こうすることで、発芽後の株元乾燥や、モグラなどの害虫被害を軽減できます。
地這いキュウリの追肥、最適な時期と量は?
地這いキュウリは、生育に合わせて追肥を行うことで、収穫量を大きく左右できます。最初の追肥は、つるが20~30cmほどに伸び始めた頃が目安です。株の周囲に化成肥料を軽くばら撒きましょう。次に、つるが50~60cm程度に成長したら、つるの先端付近に一株あたり大さじ2~3杯程度の化成肥料を施し、軽く土と混ぜ合わせます。収穫が始まった後は、キュウリの生育に必要な養分が急速に失われるため、2週間に一度を目安に追肥を行います。窒素・リン酸・カリウムが均等に含まれた化成肥料(例:8-8-8)を、1平方メートルあたり30g程度、通路に均一に散布してください。適切な追肥により、肥料切れを防ぎ、株の活力を維持することで、安定した収穫へと繋がります。













