セロリ育てかた
独特の香りとシャキシャキした食感が魅力のセロリ。実はプランターでも手軽に育てられるんです!この記事では、初心者さんでも安心してセロリ栽培を始められるよう、種まきから収穫までの全ステップを丁寧に解説します。日当たりや水やり、肥料の与え方など、栽培のコツを掴めば、ベランダやお庭で新鮮なセロリを収穫する喜びを味わえます。さあ、あなたもプランターでセロリ栽培に挑戦してみませんか?
セロリとは
セロリ(学名:*Apium graveolens* L.)は、セリ科の植物で、もともとはヨーロッパが原産です。特有の爽やかな香りとシャキッとした歯ごたえが魅力で、サラダはもちろん、スープや炒め物など、幅広い料理で活躍します。「セロリー」とも呼ばれますが、これは英語名「celery」が語源とされています。特に生産者の間では、「セルリー」という呼び名が一般的です。
セロリの栄養と健康効果
セロリの最大の特徴はその香り。この香りの主成分であるアピインには、心を落ち着かせ、安眠を促す効果があると言われています。また、ビタミン類、ミネラル、鉄分、食物繊維、β-カロテン、カリウムといった栄養素が豊富に含まれており、特に葉の部分には多くの栄養が凝縮されています。古くから漢方薬としても用いられ、血液の浄化、血行促進、血圧を下げる効果、冷え性の改善などが期待されています。
家庭菜園でセロリを育てる
セロリは、プランターを使ったベランダ菜園でも比較的簡単に育てられるため、家庭菜園にチャレンジしたい方にもおすすめです。栽培のコツさえ掴めば、みずみずしく新鮮なセロリを自分の手で収穫できます。種から育てる場合は少し時間がかかりますが、自分で育てたセロリを好きな時に収穫できるのは、家庭菜園ならではの醍醐味です。
セロリの栽培時期
セロリの栽培適期は、地域や品種によって多少異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
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種まき:4月~5月(春まき)、8月~9月(秋まき)
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苗の植え付け:7月~8月(春まき)、10月~11月(秋まき)
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収穫:10月~12月(春まき)、3月~5月(秋まき)
上記の時期はあくまでも目安であり、近年の異常気象により、予想外の高温や大雨に見舞われることもあります。そのため、天候の変化に注意し、必要に応じて栽培時期を調整したり、気候に合った品種を選ぶなどの対策が重要です。一般的には、春に種をまいて秋に収穫する栽培方法が、家庭菜園では取り組みやすいでしょう。
セロリ栽培に適した環境
セロリが生育しやすいのは、およそ15℃から20℃の間です。暑さや寒さには弱い性質を持つため、栽培時期を見極めることが大切です。ベランダで栽培する場合は、夏が来るまでは日当たりの良い場所に置き、気温が25℃を超えるようであれば、日陰になる涼しい場所へ移動させましょう。苗を育てている期間は、夜間だけ室内に取り込むなどして、温度を保つ工夫をすると良いでしょう。畑に直接植える際は、水はけの良いように畝を作り、風通しを良くすること、さらにマルチを張るなどの対策をすることで、病害虫の発生を抑える効果が期待できます。
種まきと苗の選び方
セロリは種からも苗からも育てることが可能です。種から育てる場合は、苗ができるまでに時間がかかり、管理もやや難しくなるため、初心者の方には市販の苗から育てる方法がおすすめです。苗を選ぶ際には、以下の点に注意して選びましょう。
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葉がしおれていたり、黄色く変色していないか確認する
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茎や葉の色が鮮やかな薄緑色で、しっかりとしているものを選ぶ
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病害虫による被害がないかを確認する
セロリは根がまっすぐ伸びる性質があり、根に傷がつくと生育に影響が出ることがあります。苗を植え付ける際は、根を傷つけないように丁寧に扱いましょう。
土作り
セロリは、有機物を豊富に含み、適度な湿り気がある肥沃な土壌で良く育ちます。畑に直接植える場合は、まず土壌の酸度を確認しましょう。日本の土壌は酸性に傾きがちなので、植え付けの2週間前までに、苦土石灰を1平方メートルあたり100g~150gを目安に撒き、良く耕します。さらに1週間前までに、完熟堆肥を1平方メートルあたり2kg~3kg、化成肥料(NPK成分が8-8-8など)を約100g~150gを撒いて良く耕し、高さ10cm程度の畝を立てます。※これらはあくまで目安です。土壌の状態や肥料の種類によって適宜調整してください。プランターで栽培する場合は、市販の野菜用培養土を使用するか、赤玉土7、腐葉土2、バーミキュライト1の割合で混ぜ合わせた土を使用すると良いでしょう。自分で土を作る場合は、植え付けの2週間前までに苦土石灰と化成肥料を混ぜ込んでおきましょう。
植え付け
本葉が7~8枚程度に成長した苗を、株間を30cm~40cm空けて植え付けます。セロリの苗は浅めに植えるのがポイントなので、根元の部分が少しだけ見えるくらいの深さに植え穴を掘ります。植え付け後は、たっぷりと水を与え、根がしっかりと根付くまでは土が乾燥しないように水やりを続けましょう。生育を促進するために、穴あきマルチシートを畝に張るのも効果的です。プランター栽培の場合は、深さが60cm程度の深型プランターを用意し、大きく育てる場合は2株、小さめの株の場合は3株を目安に植え付けます。
水やり
セロリは水分を多く必要とするため、土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えてください。特にプランターで栽培している場合は、乾燥しやすいので注意が必要です。ただし、常に湿った状態だと病気になりやすいため、水はけの良い土を選び、風通しを良くすることが大切です。夏場は、気温の高い時間帯を避け、朝や夕方の涼しい時間に水やりをしましょう。収穫前は水やりを控えめにすることで、病気の予防につながります。
肥料
セロリは肥料を好むため、植え付け前にしっかりと元肥を施し、その後も定期的に追肥を行いましょう。追肥は、植え付けから1週間~20日後を目安に始め、月に2回程度、株元に化成肥料を施します。プランター栽培の場合は、化成肥料または液体肥料を10日に1回程度与えるのがおすすめです。肥料が不足すると、茎が硬くなるなど、生育に悪影響が出る可能性があるため、注意が必要です。
わき芽かき・摘葉
セロリは、育苗中はゆっくりと成長しますが、植え付け後30日ほど経つと、生育が活発になります。下葉が伸び、株元が太くなり、わき芽も出てきます。わき芽や枯れた下葉をそのままにしておくと、株全体に養分が行き渡らず、風通しも悪くなり、病気の原因となることがあります。晴れた日を選んで、わき芽や枯れた下葉を取り除くようにしましょう。取り除いたわき芽や下葉は、スープなどの料理に活用できます。
遮光(軟白栽培)
お店でよく見かける白いセロリは、軟白栽培という方法で育てられたものです。軟白栽培とは、日光を遮って茎を白く、柔らかくする方法です。草丈が15cm程度になったら、株元を新聞紙や段ボールなどで覆い、光を遮断します。約1ヶ月ほどで茎が白くなってきます。軟白栽培を行うことで、セロリ独特の香りが穏やかになりますが、一般的に緑色のセロリの方が栄養価が高いと言われています。
収穫
セロリの収穫時期は、草丈が30cmから40cm程度に成長した頃が目安となります。通常、10月から12月にかけて収穫できますが、霜に当たると品質が低下する可能性があるため、早めの収穫を心がけましょう。収穫方法には、株ごと収穫する方法と、外側の葉を必要な分だけ摘み取る方法があります。株ごと収穫する場合は、株元をまとめて、ナイフや包丁などで切り取ります。外葉を摘み取る場合は、必要な量だけを収穫することで、長期間にわたって収穫を楽しむことができます。外葉を収穫した後は、残りの葉の成長を促すために、肥料を追加しましょう。
病害虫対策
セロリは比較的、病害虫の被害を受けにくい野菜ですが、アブラムシ、キアゲハ、ヨトウムシといった害虫や、軟腐病、葉枯病などの病気に注意が必要です。
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アブラムシ:3月から5月頃にかけて発生しやすく、新芽や茎に群生して栄養を吸い取ります。見つけ次第、手で取り除くのが基本です。大量に発生した場合は、お使いの野菜(セロリ)に登録のある家庭菜園用の薬剤を、説明書に記載された用法・用量を必ず守って使用してください。防虫ネットを使用することで、発生を予防できます。
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キアゲハ:幼虫がセロリの葉や茎を食べて成長します。防虫ネットを張って侵入を防ぎ、幼虫を見つけた場合は、速やかに捕殺します。
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ヨトウムシ:夜間に活動する害虫で、セロリの葉や茎を食害します。防虫ネットで成虫の飛来を阻止し、葉の裏側に卵がないか定期的に確認し、早期に対策を講じましょう。
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軟腐病:高温多湿な環境で発生しやすい病気で、株の地際や根元が腐敗し、悪臭を放ちます。感染した株は速やかに取り除き、処分しましょう。高畝で栽培したり、マルチングをして泥はねを防ぐことが有効です。
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葉枯病:葉に褐色の斑点が現れ、次第に葉全体が枯れてしまう病気です。感染した葉は取り除きましょう。
その他のトラブル
セロリを栽培中に、若い葉が黒く変色したり、枯れてしまう現象が見られることがあります。これは、芯腐れ症と呼ばれる生理障害で、カルシウム不足が原因で起こります。このような症状が見られた場合は、肥料を控え、カルシウムを補給できる液体肥料を与えるようにしましょう。
連作障害
セロリは連作障害を起こしやすい野菜として知られています。同じ場所で繰り返し栽培すると、生育が悪くなったり、病気が発生しやすくなります。連作障害を避けるために、少なくとも2~3年は間隔を空けて栽培するようにしましょう。
コンパニオンプランツ
コンパニオンプランツとは、異なる種類の植物を隣り合わせに植えることで、互いの成長を助け合ったり、病気や害虫から守り合ったりする効果が期待できる組み合わせのことです。セロリと特に相性が良いとされる植物には、以下のようなものがあります。
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トマト:互いの生育を促進し、特定の害虫を寄せ付けない効果があると言われています。
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ネギ:セロリにとって有害なアブラムシを遠ざける効果が期待できます。
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キャベツ:セロリの成長を助ける効果があると考えられています。
セロリの増やし方
セロリは主に種から育てます。自家採取する場合は、収穫せずに残しておいた株から種を収穫します。気温が下がり始めると、セロリは花を咲かせ、その後、種をつけます。花や茎が茶色く変化してきたら、種を採取するタイミングです。
採取した種は、翌年以降の栽培に使用できます。ただし、セロリは連作障害を起こしやすい性質があるため、同じ場所での栽培は避け、異なる土壌や畑を選んで育てるようにしましょう。
まとめ
セロリは、独特の香りと食感が魅力的な野菜です。自家栽培することで、新鮮で風味豊かなセロリをいつでも味わうことができます。基本的な栽培方法を理解すれば、初心者の方でも比較的容易に育てることができます。ぜひ、ご自宅の庭やプランターでセロリ栽培に挑戦してみてください。
よくある質問
質問1:セロリの種は発芽が難しいと聞きましたが、発芽率を高めるにはどうすれば良いですか?
セロリの種は光を好む性質(好光性種子)を持っているので、種をまいた後に土を厚く被せないように注意してください。また、発芽には十分な水分が不可欠です。種まき後は乾燥させないようにこまめに水やりを行い、発芽するまでは直射日光を避け、明るい日陰で管理しましょう。種をまく前に一晩水に浸けておくのも有効な手段です。
質問2:セロリの葉が黄色くなるのはなぜ?
セロリの葉が黄色くなる要因は様々です。例えば、水分が足りていない、栄養が不足している、日光が十分に当たっていない、または病気や害虫の影響などが考えられます。まずは土の状態を確かめ、適切な水やりと肥料を与えるようにしましょう。また、日当たりの良い場所へ移動することも有効です。もし病害虫が発生しているようであれば、速やかに対応しましょう。
質問3:プランターでセロリを育てる時の注意点は?
プランターで栽培する場合は、水切れと肥料不足に特に注意しましょう。土の表面が乾いたら、しっかりと水を与えてください。追肥も定期的に行うことが大切です。強い日差しは葉を硬くしてしまうため、夏場は日陰になる場所で管理すると良いでしょう。深めのプランターを選び、水はけの良い土を使うこともポイントです。