家庭菜園の定番、キャベツ。春・夏・秋まきと栽培時期を選べるのが魅力ですが、「いつ種をまけば良いの?」「うまく育てるコツは?」と悩む方もいるのではないでしょうか。この記事では、それぞれのまき時に適した品種や、栽培を成功させるためのポイントを徹底解説!初心者さんでも安心して美味しいキャベツを収穫できるよう、土作りから収穫まで、丁寧にステップごとにご紹介します。この記事を読めば、あなたもキャベツ栽培名人に!
キャベツとは
キャベツは、パリッとした歯ごたえが魅力的なアブラナ科の葉物野菜で、世界中で広く親しまれています。栽培時期は、春、夏、秋の3つのタイプがあり、収穫できる時期や葉の質感、風味に違いがあります。大きく丸く結球したキャベツは、時期が来ると愛らしい黄色の花を咲かせます。家庭菜園でも人気が高く、畑はもちろん、プランターでも手軽に栽培できます。ただし、生育期間が比較的長いため、ある程度の知識と丁寧な管理が求められます。暑さにはデリケートで、涼しい気候を好みます。寒さには比較的強いものの、結球が始まると耐寒性はやや低下します。また、多湿に弱い性質があるため、水はけの良い土壌で栽培することが成功の鍵となります。
栽培環境:太陽光と土作り

キャベツは、たっぷりの太陽光と爽やかな風が通る場所を好みます。日照不足は生育の妨げになるため、年間を通して十分な日光が当たる場所を選びましょう。特に、真夏の強い日差しは避け、遮光ネットなどを利用して日陰を作ると良いでしょう。土壌は、栄養豊富で水はけと保水性のバランスが取れた土壌が理想的です。酸性の土壌を嫌うため、pHの目安としては、6.0~6.5程度になるように調整すると良いでしょう。
種まき:最適な時期と方法
キャベツの種まきに適した時期は、春まき(3月下旬~4月上旬)と秋まき(8月下旬~9月上旬)の2回あります。初めて栽培する方には、比較的育てやすい秋まきがおすすめです。育苗トレイやポットで育苗する場合は、深さ1cm程度の穴を空け、3~4粒の種を丁寧にまき、土を薄く被せてから、たっぷりと水を与えます。プランターや畑に直接種をまく場合は、深さ1cm程度の溝を作り、1cm間隔で種を点まきにします。夏に種まきをする場合は、強い日差しを遮るために寒冷紗や日よけシートなどで覆うなどの高温対策が不可欠です。春に種まきをする場合は、加温・保温することで発芽率を高めることができます。
育苗管理:発芽から植え付けまで
種まき後、通常3~5日程度で発芽が始まります。箱まきの場合は、葉が密集しないように間引きを行い、本葉が2枚程度になったらポットに移植します。ポットまきの場合は、発芽して双葉が開いた頃に生育の良いものを2~3本残し、本葉が2枚程度になった時点で最も生育の良い1本を残して1本立ちにします。水やりは、土の表面が乾燥したらたっぷりと与えますが、水の与えすぎには注意が必要です。夕方には土の表面が乾いている状態を目指し、丈夫な苗を育てましょう。定植時期が近づいてきたら、苗を屋外の環境に慣れさせるために、少しずつ日光に当てる時間を増やしていきます。育苗期間の目安は、夏まきの場合は35日程度(本葉5~6枚)、秋・春まきの場合は40~45日程度(本葉7~8枚)です。
畑の準備:植え付け前の土壌改良
苗を植える2週間以上前に、畑全体に苦土石灰を均一に撒き、丁寧に耕します。苦土石灰の量は、1平方メートルあたり約100gが目安です。植え付け1週間前には、堆肥と元肥を施し、再度耕耘します。完熟堆肥は約2kg、元肥は化成肥料(窒素:リン酸:カリウム=8:8:8)を1平方メートルあたり約100gを目安とします。深く耕すことで、キャベツの根がしっかりと広がり、生育が向上します。畝を作る場合は、幅60~70cm、高さ10~15cm程度にすると、水はけが良くなります。
定植:苗の植え方のコツ
本葉が5~6枚になった苗を、株間を30~40cm程度空けて植え付けます。苗を深く植えすぎないように注意し、根を傷つけないように丁寧に植えましょう。植え付け後は、たっぷりと水をかけて、苗がしっかりと根付くように促します。定植してからしばらくの間は、防虫ネットなどで保護して、害虫から守るのがおすすめです。苗がまだ小さくて不安定な場合は、支柱を立てて倒れないように支えてあげると良いでしょう。
水やり:乾燥させすぎず、過湿にも注意
キャベツは、水の与えすぎに弱い性質があります。植え付け直後を除いて、土の表面が乾いたのを確認してから水を与える程度で十分です。特に、結球が始まる時期には、水やりを控えめにすることで、実が割れるのを防ぐ効果があります。乾燥した状態が続く場合は、朝や夕方の涼しい時間帯に水やりを行いましょう。プランターで栽培している場合は、畑よりも乾燥しやすいため、こまめに土の状態をチェックすることが大切です。
追肥:生育状況を見ながら肥料を追加
キャベツは肥料を必要とする野菜です。苗を植え付けてから2週間ほど経過したら、1回目の追肥を行います。その後、結球が始まる頃に2回目の追肥を行うと、生育が促進されます。追肥には、窒素、リン酸、カリウムがバランス良く含まれた化成肥料を使用します。1平方メートルあたり、1回の追肥につき約50g(片手で軽く1杯程度)の化成肥料を目安に施します。追肥と同時に、土を軽く耕し、株元に土を寄せることで、肥料の効果を高め、株を安定させることができます。秋に種をまいて春に収穫する栽培方法の場合は、年内の追肥は行わず、春になって新しい葉が出始めたら1回目、結球が始まる頃に2回目の追肥を行います。
病害虫対策:早期発見と予防
キャベツは比較的丈夫な野菜ですが、アオムシ、ヨトウムシ、コナガといった害虫が発生しやすい傾向があります。これらの害虫は葉を食べてしまうため、生育不良の原因となります。害虫対策としては、防虫ネットで株全体を覆う、見つけ次第捕獲する、必要に応じて殺虫剤を使用するなどの方法が有効です。特に、シンクイムシは夏まきキャベツの生育初期に発生しやすく、株の中心部を食害するため注意が必要です。病気に関しては、黒腐病、萎黄病、菌核病、根こぶ病などが考えられます。病気が発生した場合は、速やかに患部を取り除き、必要に応じて適切な薬剤を使用しましょう。連作を避け、水はけの良い土壌で栽培することも、病害虫の予防につながります。
冬越し:寒さ対策
秋に種をまいたキャベツは、比較的寒さに強い品種が多いものの、気温が著しく低下すると冬越しが必要となります。寒さ対策としては、不織布でトンネルを作り、キャベツを覆う方法が手軽でおすすめです。1.2〜1.5m間隔で支柱を立て、その上から不織布を被せるだけで、簡単に寒さから守ることができます。適切に冬越しさせることで、より甘みが増した美味しいキャベツを収穫することができるでしょう。
収穫:適期を見極める
キャベツの収穫時期は、春に種をまいた場合は6月~8月頃、夏に種をまいた場合は11月~12月頃、秋に種をまいた場合は翌年の6月~8月頃が目安です(結球してから約2ヶ月後が目安となります)。キャベツの玉がしっかりと締まり、表面につやがある状態になったら収穫のタイミングです。収穫が遅れると玉が割れてしまうことがあるため、適期を逃さないように注意しましょう。収穫する際は、キャベツの玉を手で横方向に軽く押し倒し、球と株元にある外葉の間にある芯を包丁で丁寧に切り取ると良いでしょう。収穫後の根は、病害虫の発生源となったり、次の作物の生育を妨げたりすることがあるため、畑から抜き取り、堆肥にする場合は細かく刻むか、自治体のルールに従って処分しましょう。

プランター栽培:手軽に家庭菜園
キャベツはプランターでも手軽に育てることができます。プランター栽培であれば、ベランダなどの限られたスペースでも栽培が可能で、移動も容易なため便利です。プランターは、深さと幅が共に30cm以上のものを選ぶようにしましょう。株間は30cm以上空けるようにしてください。大型プランターの場合は2株、小型プランターの場合は1株を目安に植え付けると良いでしょう。水やりや肥料の与え方は、畑で栽培する場合と同様に行います。
品種選び:栽培時期と個人の趣向を考慮して
多種多様な品種が存在するキャベツは、栽培を始める時期や、食感・風味といった個人の好みに合わせて選択することが可能です。春に種をまく場合は、生育期間の短い早生品種がおすすめです。夏の栽培には、高温多湿に耐性のある品種を選ぶと良いでしょう。秋まきの場合は、寒さに強い品種が適しています。葉の色や形状、食べた時の印象も品種によって大きく異なるため、ご自身の好みに合うものを選んで栽培を楽しみましょう。
連作障害:同一場所での反復栽培は避ける
キャベツは連作障害が発生しやすい野菜として知られています。同じ場所で繰り返し栽培を行うと、生育不良や病害虫の発生リスクが高まります。連作障害を回避するためには、少なくとも4~5年は間隔を空けるか、キャベツとは異なる種類の野菜を栽培することを推奨します。計画的に輪作を行うことで、土壌の栄養バランスを良好に保ち、病害虫の発生を抑制する効果が期待できます。
収穫後の保存:新鮮さを維持するための工夫
収穫したキャベツは、新聞紙で丁寧に包み、冷蔵庫で保管することで鮮度を長く保つことができます。カットしたキャベツの場合は、切り口をしっかりとラップで覆い、冷蔵庫で保存するのがおすすめです。また、冷凍保存も有効な手段です。冷凍保存する際は、使いやすい大きさにカットし、軽く茹でてから冷凍することで、解凍後も美味しくいただくことができます。
栽培の注意点:抽苔(とう立ち)を防ぐために
秋に種をまくキャベツは、ある程度の大きさに成長した株が、一定期間低温にさらされると花芽を形成し、春先に抽苔(とう立ち)を起こすことがあります。抽苔を防ぐためには、種まきの時期が早すぎないように注意し、適切な時期に種をまくことが大切です。特に寒冷地においては、防寒対策を徹底することで、抽苔を抑制することが可能です。
まとめ
キャベツ栽培は、ちょっとした知識と愛情があれば、誰でも気軽に始められる家庭菜園です。この記事を参考に、ぜひキャベツ栽培にチャレンジしてみてください。みずみずしく美味しいキャベツを収穫し、食卓をさらに豊かに彩りましょう。
質問1
キャベツ栽培は種と苗、どちらから始めるのが良いのでしょう?
どちらの方法でも栽培可能ですが、特に初心者の方には苗からの栽培をおすすめします。苗からの方が、比較的容易に収穫まで進むことができます。種から育てる場合は、発芽や育苗に関する知識や技術が求められます。
質問2
キャベツにアオムシが発生して困っています。農薬を使わずに駆除する方法はありますか?
アオムシ対策として最も有効なのは、見つけ次第捕まえて除去することです。また、防虫ネットを使用することで、物理的にアオムシの侵入を防ぐことができます。その他、希釈した木酢液を散布したり、コンパニオンプランツ(例:マリーゴールド)を植えることによって、アオムシによる被害を抑制することも可能です。
質問3
キャベツがうまく結球しません。原因として何が考えられますか?
結球しない原因としては、肥料の不足、日照時間の不足、水分不足、または高温などが考えられます。適切な肥料を施し、十分な日光を確保し、土壌が乾燥したら水を与え、高温対策を講じることが重要です。また、品種によっては結球しにくいものもあるため、品種選択も考慮しましょう。
質問4
秋に種をまいたキャベツを育てています。冬の間の管理で気をつけることはありますか?
秋まきのキャベツは耐寒性のある品種が多いですが、霜や雪にさらされると傷むことがあります。不織布やビニールなどで覆い、防寒対策を施しましょう。また、冬の間は成長が緩やかになるため、水やりは控えめにします。追肥も、春になって新葉が出始めるまでは控えるようにしましょう。