フランス南西部の街、ボルドー発祥のカヌレは、薄くてカリッとした外側とふんわり柔らかい内側が絶妙なハーモニーを奏でるお菓子です。こんがり焼けた外側の香ばしい香りと、中のしっとりした食感が魅力の一品。本場の味わいを自宅で再現するため、正しい焼き方を理解することがポイントになります。
カヌレを綺麗に焼き上げるポイントはふたつ
カヌレは、ボルドー地方の名物として世界的に有名なお菓子です。外はカリッと香ばしく、内側はなめらかでコクがあり、ラム酒の芳醇な香りが楽しめます。しかし、このような絶品のカヌレを家庭で再現するのは簡単ではありません。外はこんがり、中はふわもちっとした食感を実現するには、2つのポイントがあります。 ひとつ目は、オーブンの温度管理です。カヌレは高温で焼成しますが、焼き色が付きすぎると外側が硬くなりすぎてしまいます。そこで、焼き上がりの10分前に温度を下げることで、外側をカリカリに、内側をなめらかにすることができます。 もうひとつのポイントは、型の選び方です。カヌレには特徴的な縦じわがありますが、これを出すために型に溝が掘られています。この溝が浅すぎると縦じわが出にくく、深すぎると生地が溶けてしまう恐れがあるため、適切な型を選ぶことが重要です。型の溝の深さが、カヌレの見た目の良し悪しに影響するのです。 温度調節と型選びの2点を意識すれば、香り高く味わい深い上に、見た目にも映えるカヌレを焼き上げることができるでしょう。
仕込みは24時間前から始まっている
カヌレの作り方は意外とシンプルですが、上手に焼き上げるためには液体の温度や混ぜ方に気をつけることが大切です。また、生地を寝かせる時間も成功の鍵です。
カヌレのレシピ
フッ素加工のカヌレ型10個分(1つ90g)
卵黄:2個分
グラニュー糖:260g
薄力粉:180g
牛乳:280g
生クリーム(35%):280g
バニラビーンズ:1本
ラム酒:20g
カヌレ生地は、冷蔵庫で24時間寝かせるのがポイントです。これによって生地が安定し、焼くときに膨らみすぎたり、型から溢れるといった失敗が減ります。
カヌレを仕込む前にやっておくべきこと
カヌレを作る際は、仕込みから焼き上がりまで一気にノンストップで作業を進めることがおすすめです。そのための重要な事前準備として、牛乳と生クリームにバニラの種子と皮、砂糖の半量を加え、中火で一度沸騰させた後、冷ましておきます。この際、泡立てすぎないよう木べらで優しく混ぜ、なるべく膜が張らないようにします。卵黄に加えても固まらない60度前後が適温です。また、薄力粉は振るっておくと良いでしょう。事前の下準備を怠らずに行えば、カヌレ作りはスムーズに進められます。
失敗しないカヌレの作り方
フランス南西部ボルドー地方の伝統焼き菓子、カヌレ。正円形のカップ状で、外側はカリッと焼き上げられ、中はしっとりとした贅沢な味わいが特徴的です。しかし、作り方を誤ると失敗してしまいがちなのも事実。 カヌレ作りのポイントは3つ。第一は、卵と砂糖をしっかりと泡立てること。空気を十分に含ませることで、外カリ内しっとりの食感が生まれます。第二は、バターの適量使用。過剰は生地が流れ、過少はカリッとした食感が損なわれます。レシピ通りの分量を守りましょう。最後に、型の下準備を怠らないこと。型内側をバターで湿らせ、こびりつきを防ぎます。きれいな形で抜けるはずです。 慣れれば、事前準備が整えば以下の手順で比較的簡単においしいカヌレを作ることができます。
【作り方】 ①卵黄に砂糖の半量を入れ混ぜる→②粗熱をとった液体類をゆっくり混ぜ込み、ラム酒も加える→③振るった薄力粉を二回に分けて入れる→④濾して混ぜすぎや泡立てすぎを防ぐ→⑤密着ラップをし12~24時間冷蔵庫で休ませる
焼く前は30分前には常温に
冷たいままのカヌレ生地をすぐに焼くと、オーブンや天板をしっかり予熱しても生地に熱が伝わるまで時間がかかってしまいます。その結果、生地が型から溢れ出したり、頭の部分だけが焼けずに色ムラができてしまうこともあります。
焼く前の重要な準備
型に溶かしたバターを薄く塗る
オーブンは天板ごと250度に予熱する
生地を入れるボウルを室温に戻しておく
さらに、生地を型に入れる前にゴムベラで泡立てないよう優しく混ぜることが大切です。
カヌレの焼き方と温度
カヌレの焼き方と温度
予熱:天板ごと250度に予熱します。高温でのスタートがポイントです。
焼成プロセス:
250度でオーブンの上段に置き、10分間焼きます。
240度に下げ、さらに上段で10分焼きます。
カヌレの向きを変え、220度に下げて下段で15分焼きます。
アルミホイルをかぶせて、200度に下げ、さらに10~15分焼きます。
焼き方のポイント
最初に高温で焼くことで、生地を素早く沸騰状態にすることが重要です。これはカヌレをふんわり仕上げる秘訣で、プリンとは逆に内部に気泡(ス)が入るようにする焼き方です。
まとめ
カヌレを焼く際は、高温で15~20分焼いた後、温度を下げてさらに20分ほど焼き続けることが大切です。この二段階焼成により、外側をカリッと中はしっとりと仕上がります。焼き型にバターを塗り、粉糖をまぶすことで香ばしさと甘みが生まれ、生地に卵黄やラムを加えることでなめらかな食感になります。本場の味を再現するコツを抑えれば、自宅で本格的なカヌレが作れるはずです。