ハード パンとは

ハード パンとは

ハード パンとは

天然酵母と丁寧な発酵により生まれる香ばしい焼き色、中はしっかりとした食感と深い味わいを持ち、一度味わうとその魅力に引き込まれること間違いなしのハードパン。しかし、その名称を聞いたことがあるとはいえ、実際にどのようなパンであるのか、その特徴とは何なのか、具体的に知る方は少ないかもしれません。本記事では、ハードパンの魅力を詳しく紐解いていきます。

ハード系パンとは

ハード系パンには2つの大きな特徴があります。まず、その名の通り固くて噛み応えがあり、しっかりとした歯ごたえが魅力的です。基本的な材料は小麦粉、酵母、塩、水の4つで構成されており、砂糖や油脂といった生地を柔らかくする成分は含まれていません。そのため、焼き上がりの際にクラスト(外皮)がパリッとし、中身のクラムはもっちりとした対照的な食感が生まれます。


さらに、材料が非常にシンプルな分、小麦の旨味や香りを最大限に楽しむことができます。これがハード系パンの最大の特徴であり、魅力と言えるでしょう。ハード系パンは単体で楽しむこともできますが、食事と一緒に味わうことが一般的です。


ちなみに、パンの硬さは大きくハード系、セミハード系、ソフト系の3種類に分けられます。例えば、食パンは材料がシンプルですが、セミハード系またはソフト系に分類されることが多いです。また、あんパンや調理パンなどは明らかにソフト系に該当します。

ハード系パンに分類されるパン

バゲット

ハード系パンを代表する存在といえば、やはりバゲットでしょう。同時にフランスパンの代名詞とも言える存在で、細長い形状が特徴的です。バゲットはフランスの家庭で最も一般的に食べられており、シンプルな材料で作られるため、小麦本来の風味を存分に楽しむことができます。

また、バゲットに似たパンとしてバタールやパリジャンが挙げられます。これらは見た目や食感に微妙な違いがあり、バゲットが細くて長いのに対し、バタールはやや太く短い形状で、クラムの部分が多いのが特徴です。一方、パリジャンはさらに太い形状をしており、クラストのパリッとした食感を存分に味わいたい方におすすめです。

ブール

ブールはフランス語で“ボール”を意味し、その名前の通り丸い形が特徴のパンです。バゲットのように細長く成形するのではなく、丸く形作ることで、クラムの部分が多くなり、ハード系パンの中では比較的柔らかい食感となります。

このパンは厚めにスライスしてそのまま食べたり、丸い形を活かして中身をくり抜き、シチューを入れて特別な一品として提供することもあります。特に、チーズを練り込んだチーズブールはコクのある風味が楽しめ、食べ応えがある一品です。

シャンピニオン

シャンピニオンは、フランス語で“きのこ”を意味し、帽子をかぶったような独特の形が特徴です。この形状には理由があり、上部のかさの部分と下部で異なる食感を楽しむために作られています。

生地自体はハード系パンで共通ですが、一方は丸く成形し、もう一方は麺棒で伸ばして形作ることで、ふわふわとカリカリの二つの食感を同時に楽しむことができます。シャンピニオンはそのユニークな見た目と食感で、特別感のあるパンとして親しまれています。

カンパーニュ

カンパーニュは、フランス語で“田舎”を意味します。フランスの田舎で誕生した素朴なパンであり、全粒粉やライ麦粉が使われることが多く、どこか懐かしい風味と安心感を持つ見た目が特徴です。

また、発酵の際にカゴを使って模様を付けることで、しま模様の表面が印象的です。この模様は視覚的にも魅力的で、カンパーニュのシンボルとも言えます。自宅でカゴなしで作ることも可能なので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

エピ

エピはフランス語で“麦の穂”を意味し、その名の通り穂を模した形が特徴です。細長く成形した生地に切り込みを入れ、穂が開いたように見せる技法で作られます。切り込みの入れ方や形状は作る人によって異なり、その分味わいや食感にも個性が生まれます。

エピの中でも定番なのはベーコンエピですが、ウインナーを入れたものや甘いチョコエピなども近年では人気です。穂の部分を手でちぎりながら食べるスタイルが特徴的で、シェアにも適したパンです。

ライ麦パン

ライ麦パンはフランスではなく、ドイツを発祥の地とするパンです。小麦粉の栽培が難しかった地域でライ麦を主原料に使うことが一般的となり、現在ではドイツのみならず、オーストリアやロシアなどでも親しまれています。

ライ麦パンの特徴は、そのどっしりとした食感と酸味にあります。これは、ライ麦に含まれるグルテンが少ないことや、発酵にサワー種が使われることに由来します。ライ麦100%で作られたものから、小麦粉をブレンドして食べやすくしたものまで種類はさまざまです。

初心者には、ライ麦比率が50%程度の“ミッシュブロート”から試すことをおすすめします。

フランスパンの基本レシピとアレンジレシピ

フランスパンは、シンプルな材料で作られる奥深い味わいのパンです。外はカリッと香ばしく、中はもっちりとした食感が特徴です。


【基本のフランスパンレシピ】

材料

強力粉 300g

水 180ml

塩 5g

ドライイースト 3g


作り方

こねる: ボウルに強力粉、塩、ドライイーストを入れ、水を少しずつ加えながら手でこねます。生地がまとまってきたら、台に移して10分程度こねます。

一次発酵: ボウルに戻し、ラップをかけて暖かい場所で約1時間発酵させます。

ガス抜き・分割: 発酵した生地を軽く叩いてガス抜きをし、2等分します。

ベンチタイム: 分割した生地を丸めて、濡れ布巾をかけて15分休ませます。

成形: 生地を麺棒で長方形に伸ばし、上下を折りたたんでさらに伸ばします。これを数回繰り返して、表面を滑らかにします。

二次発酵: オーブンシートを敷いた天板に生地を並べ、クープ(切り込み)を入れ、暖かい場所で約40分二次発酵させます。

焼く: オーブンを230℃に予熱し、スチームを出しながら20分焼きます。その後、スチームを切って10分焼き色をつけます。


ポイント

水温: 水はぬるま湯を使うと発酵が促進されます。

こね方: 生地がなめらかになるまでしっかりこねることが大切です。

発酵: 発酵時間は室温によって異なります。

クープ: クープの入れ方によって、焼きあがりの見た目が変わります。


【アレンジレシピ】

全粒粉のフランスパン

強力粉の一部を全粒粉に置き換えることで、風味豊かなパンになります。

食物繊維も豊富になり、健康にも良いです。


オリーブオイルフランスパン

生地をこねる際に、オリーブオイルを少し加えると、風味と香りが豊かになります。


チーズフランスパン

生地の中にチーズを混ぜ込むか、焼き上がりにチーズをトッピングすると、風味が増します。


ハーブフランスパン

ローリエ、ローズマリーなどのハーブを生地に混ぜ込むと、香りが楽しめます。


まとめ

ベーカリーやパン専門店で主力商品となっているハード系パンは、外側のパリッとした食感と、中のもっちりとした食感が魅力ですね。多くの国で日常の食事や特別なシーンで愛される、バゲットやフォカッチャ、サンドイッチ等、多種多様なバリエーションが存在します。食べ応えのあるその食感は満足感も得られますし、温めることによって更に香ばしさが増し美味しさが引き立ちます。ナッツやチーズ、ハーブを混ぜ込んだり、フルーツをトッピングしたりするなど、アレンジ次第で様々な楽しみ方が広がります。まだまだ語り尽くせないハード系パンの魅力をぜひ、皆さんも自身の舌で体感してみてください。