グアバ:熱帯のリンゴ、その栄養と魅力

「熱帯のリンゴ」とも呼ばれるグアバは、南国を代表するトロピカルフルーツです。原産地は熱帯アメリカで、現在では世界各地の熱帯・亜熱帯地域で栽培されています。ビタミンや食物繊維、ポリフェノールを豊富に含み、美容と健康をサポートする魅力的な果物です。本記事では、グアバの栄養価や特徴、その魅力に迫ります。

グアバとはどんな果物?【特徴・旬・産地】

グアバは、熱帯地域原産のフトモモ科の植物で、バンジロウ属に分類されます。原産地は中南米と考えられ、メキシコ南部からコロンビア、チリにかけての地域が有力です。現在では、ブラジル、ハワイ、インド、台湾など、世界中の温暖な地域で栽培されています。日本国内では、沖縄県や鹿児島県などで生産されています。グアバはビタミン、食物繊維、ポリフェノールといった栄養素を豊富に含んでおり、「熱帯のリンゴ」とも呼ばれる人気のトロピカルフルーツです。収穫のピークは通常9月から10月ですが、熱帯地域では一年を通して実をつけるため、比較的入手しやすい果物です。非常に生命力の強い植物であり厳しい環境下でも生育が確認されています。日本で流通しているグアバの多くは沖縄県産で、旬は8月から10月にかけてです。生のグアバは国内ではあまり見かけないため、この時期に沖縄を訪れる際は、ぜひ探してみてください。

グアバの驚くべき栄養価と健康効果

グアバは、その優れた栄養価から「スーパーフード」と称されることもあります。特に注目されるのはビタミンCの含有量で、グアバ100gあたり約200mgものビタミンCが含まれており、これは果物の中でもトップクラスです。ビタミンCは強力な抗酸化作用を持ち、体を酸化から保護し、免疫力の向上をサポートします。また、肌の健康に欠かせないコラーゲンの生成と維持にも重要な役割を果たします。さらに、抗酸化作用のあるビタミンEも豊富で、血管の細胞膜を保護し、血管の健康維持に貢献するほか、美容にも良い影響を与えます。「代謝のビタミン」と呼ばれるビタミンB群は、糖質、脂質、タンパク質の代謝をサポートし、疲労回復や倦怠感の軽減に役立ちます。赤肉種のグアバに多く含まれるβ-カロテンは、体内で必要な量だけビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康を保ち、健康維持をサポートします。加えて、グアバには水溶性食物繊維であるペクチンと、不溶性食物繊維(石細胞)の2種類の食物繊維が豊富に含まれています。水溶性食物繊維はコレステロールの排出を助け、血糖値の急激な上昇を抑制する効果があり、不溶性食物繊維は腸内環境を整え、便秘の解消を促します。グアバ茶として利用される葉には、タンニンやケルセチンといったポリフェノールが含まれており、血糖値の上昇を抑制する効果が期待できます。これらの多様な栄養素が、グアバを美容と健康を支える優れた食材にしています。

グアバの独特な味わいと香りの魅力

グアバの味は、トロピカルフルーツらしい独特の風味があり、桃やリンゴなど、様々な果物をミックスしたような甘さに、さわやかな酸味が加わった味が特徴です。特に暑い季節には、その爽やかな口当たりが心地よく感じられます。品種によって味は異なり、一般的に赤い果肉のグアバは、とろけるような食感で甘みが強く、白い果肉のグアバは、シャキシャキとした食感でさっぱりとした味わいです。グアバの大きな特徴の一つは、その芳醇な香りです。熟すにつれて、ムスクのような甘い香りが広がり、南国を思わせる雰囲気を楽しめます。この香りは、グアバが食べ頃になったサインでもあります。未熟なグアバはほとんど香りがなく、果肉も非常に硬いため、そのままでは美味しく食べられません。購入後は、香りが強くなり、果実全体が柔らかく、弾力のある状態になるまで追熟させることが大切です。洋ナシの追熟と同様に、食べ頃を見極めることで、グアバ本来の美味しさを最大限に引き出すことができます。

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品種紹介:美味しい食べ方も

代表的なグアバの品種と美味しい食べ方をご紹介します。

グアバ(バンジロウ)

果皮は緑色または黄色のものが多く、果肉の色は大きく分けて赤肉種と白肉種があります。梨と同様に「石細胞」を含むため、シャリシャリとした食感が特徴ですが、果肉の色によって食感が異なり、赤肉種はねっとりとしており、白肉種はシャキシャキとしています。また、赤肉種と白肉種の中間であるピンク色の果肉を持つ品種も存在します。

ストロベリーグアバ(照葉蕃石榴)

果実の外皮も果肉も鮮やかな赤色を呈し、熟すとまるでイチゴのような甘美な香りを放ちます。一般的にはグアバの一種として認識されていますが、厳密にはグアバとは異なる植物です。果実の大きさは直径3~5センチ程度で、卵のような形をしています。葉が肉厚で光沢があることから、日本ではテリハバンジロウという名前で親しまれています。

イエローストロベリーグアバ(黄実蕃石榴)

ストロベリーグアバの変種とされ、果皮と果肉が共に黄色く、熟すとストロベリーを思わせる芳醇な香りが特徴です。ストロベリーグアバに比べて酸味が少なく、よりマイルドで上品な風味を持っています。

フェイジョア

グアバとは別の種類の植物ですが、別名パイナップルグアバとも呼ばれ、グアバの仲間として紹介されることが多いです。果皮は緑色で、果肉はクリーム色をしています。中心部はゼリー状でとろりとした食感です。パイナップル、イチゴ、バナナ、リンゴなどが混ざり合ったような複雑で甘美な香りが魅力です。

グアバを生で味わう:皮と種の上手な食べ方

十分に熟したグアバは、皮ごとそのまま美味しくいただけます。特に皮の近くにはビタミンCが豊富に含まれているため、栄養を効率的に摂取したい場合は、皮ごと食べるのがおすすめです。しかし、皮の食感や風味が気になる場合は、薄く皮を剥いて食べるのも良いでしょう。グアバの種も食べられますが、多量に摂取すると消化器官に負担がかかる可能性があるため、食べ過ぎには注意が必要です。種が気になる場合は、スプーンなどで果肉だけをくり抜いて食べるのがおすすめです。ただし、種を取り囲む中心部分は、グアバの中で最も甘みが凝縮された場所です。この甘い部分を捨てるのはもったいないので、種ごとザルで濾してジュースにしたり、ピューレとして活用するなど、工夫次第でさらに美味しく楽しむことができます。

簡単グアバジュースの作り方

【材料(2~3杯分)】

  • グアバ…3~4個(約400g)
  • 水…350mlお好みで
  • 砂糖または蜂蜜…大さじ2

【作り方】

  1. グアバの皮を剥き、一口サイズにカットします。
  2. 全ての材料をミキサーに入れ、撹拌します。
  3. ミキサーにかけたものを濾し、種を取り除けば完成です。

基本のレシピに、水の量を200mlに調整し、氷を加えて冷たいスムージーとして味わうのもおすすめです。また、冷凍バナナやベリーを加えることで、風味と栄養価がアップします。グアバの甘さや好みに合わせて、砂糖や蜂蜜の量を調整してください。手軽に作れて、トロピカルな風味を堪能できるドリンクです。

自家製グアバジャムのレシピ

【材料(作りやすい量)】

  • グアバ…10個程度
  • 砂糖…1
  • カップレモン汁…大さじ2

【作り方】

  1. グアバの皮を剥いて一口大にカットし、レモン汁と共にミキサーにかけます。その後、種を濾して取り除きます。この工程で種を取り除くことで、口当たりの良い滑らかなジャムに仕上がります。
  2. 鍋に濾したグアバと砂糖を入れ、火にかけます。沸騰したら弱火にし、焦げ付かないように時々かき混ぜながら、40~50分程度煮詰めます。
  3. ジャムが程よい固さになったら火を止め、熱いうちに清潔な保存瓶に移し替えます。。

冷めると固まるので、少し柔らかい状態で火を止めるのがコツです。トーストに塗ったり、ヨーグルトに混ぜたりと、色々な楽しみ方ができます

手作りグアバゼリーのレシピ

【材料(作りやすい分量)】

  • グアバ…5個程度
  • 砂糖…大さじ2
  • ゼラチン…2g
  • 水…適量
  • レモン汁…大さじ1

【作り方】

  1. グアバの皮を剥き、一口大にカットします。鍋に入れ、グアバが浸るくらいの水を加えてミキサーにかけ、種を濾します。滑らかな食感にするため、ここで丁寧に種を取り除くのがポイントです。
  2.  濾したグアバ液を鍋で温め、砂糖、ゼラチン、レモン汁を加えて良く混ぜ、ゼラチンを完全に溶かします。沸騰させないように注意しましょう。
  3. ゼラチン液を型に流し込み、粗熱を取ってから冷蔵庫で冷やし固めます。

ひんやりとしたデザートは、食後のデザートや来客時のおもてなしにもぴったりです。トロピカルな香りと優しい甘さのゼリーをお楽しみください。

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グアバの保存方法と熟成のコツ

グアバは、購入時の状態によって適した保存方法が異なります。まだ皮が緑色で硬い場合は、常温で追熟させましょう。直射日光を避け、風通しの良い場所で保管し、香りが強くなり、実が柔らかくなったら食べ頃です。洋梨の追熟を参考にすると分かりやすいでしょう。完熟したグアバは、乾燥を防ぐために新聞紙などで包み、冷蔵庫の野菜室で保存します。グアバは熱帯の果物なので、冷えすぎると品質が劣化する可能性があります。冷蔵保存は2~3日を目安に、早めに食べきるようにしましょう。生のまま冷凍保存することは推奨しません。長期保存したい場合は、ピューレ状にしたり、ジャムやゼリーに加工してから冷凍保存すると、風味を損なわずに保存できます。

まとめ

エキゾチックな香りと甘酸っぱさが特徴のグアバは、ジュースやジャム、アイスクリームなど、様々な形で楽しまれている人気の果物です。しかし、グアバの魅力は味だけではありません。美容と健康に欠かせないビタミンC、ビタミンE、食物繊維、ポリフェノールといった栄養成分をたっぷり含んでおり、「スーパーフルーツ」と呼ぶに相応しい存在です。豊富に含まれるビタミンCの抗酸化作用は美容の維持に、また食物繊維は腸内環境を整えるのに役立つなど、含まれる栄養素によって様々な働きが期待できます。本記事で紹介したグアバの選び方や保存方法、レシピなどを参考に、ぜひ日々の食生活にグアバを取り入れて、内側から輝く美しさと健康を手に入れましょう。

グアバは皮も食べられますか?

熟したグアバは、皮ごと食べることができます。特に皮の近くにはビタミンCが豊富に含まれているため、効率的に栄養を摂取したい場合は、皮ごと食べるのがおすすめです。ただし、皮の食感や風味が気になる場合は、薄く剥いてから食べることもできます。

グアバの種は食べても問題ないですか?

グアバの種は食べられますが、一度にたくさん食べると消化の妨げになる可能性があるため、食べ過ぎには注意が必要です。気になる場合は、スプーンなどで取り除いて食べると良いでしょう。しかし、種がある中心部分は最も甘みが凝縮されているため、ジュースやスムージーなどに加工して利用するのもおすすめです。

グアバの収穫時期は?

グアバは温暖な気候で育つ果物で、一年を通して実をつけます。国内では沖縄県が主な産地であり、その生産量の大部分を占めています。沖縄県産のグアバは、特に8月から10月にかけてが最も美味しい時期とされています。中でも、9月と10月が収穫のピークです。

グアバの熟成方法は?

果皮がまだ緑色で硬いグアバは、常温で熟成させるのがおすすめです。熟すと香りがより一層強くなり、果実全体が柔らかく、押すと少し弾力を感じるようになります。これが食べ頃のサインです。洋梨を追熟させるのと同じように、グアバも適切な状態になるまで待つことで、本来の甘さと芳醇な香りを存分に味わうことができます。

グアバ