焼き芋に使われるさつまいもの種類とその魅力

甘く濃厚な焼き芋は、寒い季節に多くの人々を魅了する日本の秋冬の風物詩です。しかし、一口に焼き芋と言っても、その風味や食感は使われるさつまいもの種類によって大きく異なります。現在、市場には数多くのさつまいもが存在し、それぞれ独自の個性を持っています。この記事では、焼き芋作りにぴったりなさつまいもの種類と、その魅力について詳しくご紹介します。焼き芋の奥深い世界へ、一緒に旅してみませんか。

焼き芋の風味はさつまいもの品種による

焼き芋の味わいは、さつまいもの品種によって大きく異なります。異なる品種はそれぞれ甘さや食感、水分量に特色があり、焼き上がるとその違いが顕著になります。

品種により、糖度、でんぷんの特性、繊維量が異なるため、甘みの強さやほくほく感、しっとり感にもバリエーションが生まれます。品種ごとに独特の香りや風味があり、それが焼き芋の味に多大な影響を与えます。

さらに、同一品種でも育て方や収穫時期の違いによって味に変化が生じるため、非常に多彩な味わいが楽しめます。したがって、自分の好みに合った味や食感を楽しむには、品種選びが大切です。

焼き芋に適したさつまいもの品種

焼き芋に使用されるさつまいもは多様な品種が存在し、それぞれ独自の風味と質感を持っています。

この記事では、特に人気のある5つの品種に焦点を当て、それぞれの特徴、栽培されている地域、さらに焼き芋にした際の特性について詳しく解説していきます。

紅はるか

紅はるかは、2010年に誕生した比較的新しいサツマイモの品種です。

主に茨城県や千葉県で栽培され、その人気から全国的にも広がっています。

この品種は特に糖度が高く、焼き芋にすると非常に甘みが増します。生でも甘く、加熱するとさらに甘くなります。

しっとりした食感が特徴的で、口当たりはねっとりしています。

焼き芋に仕上げると、皮は濃い紫色になり、中は明るいオレンジ色に変わります。

また、保存性に優れ、時間が経つほど甘みが増すのも魅力の一つです。

その甘さだけでなく、食感と香りのバランスが取れており、多くの人々に愛されています。

鳴門金時

鳴門金時は、徳島県鳴門市を起源とする名高いさつまいもの品種です。

明治時代から培われてきた歴史豊かなもので、日本の代表的なさつまいもの一つに数えられます。

この品種の特徴として、赤紫色の皮と黄金色の中身が挙げられます。

甘さは控えめながら、上品でほっくりとした味わいが特徴で、でんぷん質が多く、焼き芋に適しています。

焼き芋にすると、皮がカリッとし、中身がホクホクとした食感となります。

甘味は控え目ですが、さつまいもの自然な風味を強く感じることができ、素朴で自然な味わいを楽しめます。

また、栗のような食感が魅力で、焼き芋の他にも様々な料理やスイーツに利用されています。

シルクスイート

シルクスイートは2018年に登録された新たな品種で、茨城県や千葉県を中心に生産されています。

その名が示す通り、シルクのように滑らかな質感が際立っています。

甘みが強く、調理するとさらに甘さが引き立つのが特徴で、特筆すべきはそのユニークな食感です。

繊維が少なく、クリーミーで滑らかな食感が楽しめる上、水分が豊富でしっとりとした口当たりです。

焼き芋にすると、薄い皮とクリーム色から淡いオレンジ色の中身になります。

焼くことによって甘さが増し、スイートポテトのような風味を堪能できます。

優れた口どけととろける食感が特徴で、特に女性や子供に支持されています。

安納芋

安納芋は、原産地が鹿児島県の種子島という品種です。

この品種は1998年に登録される以前から地元で育てられていました。

非常に甘いため「さつまいもの王様」と称されることもあり、糖度が高いのが特徴です。

水分を多く含み、しっとりとした食感があり、栽培が難しいため収量が少なく、価格もやや高めです。

焼き芋にすると、皮は黄色がかった茶色になり、内部は鮮やかな黄色に変わります。

加熱することで甘みがさらに増し、まるでスイートポテトのような風味を楽しめます。

とろけるような食感と濃厚な甘味が特徴で、デザートのように味わうことができ、時間が経過するごとに糖度が増すため、保存するほど美味しくなる品種です。

紅あずま

紅あずまは1985年に登録された品種で、茨城県や千葉県といった関東地方で広く栽培されています。

この品種の特徴は、でんぷんが多くてほくほくとした食感であり、甘さが控えめなのでさつまいもの素朴な味を楽しめる点にあります。

外皮は赤紫色で、中身は淡黄色をしています。

焼き芋にすると、皮がパリッとし、中はホクホクに焼きあがります。

甘みはほかの品種と比較すると控えめですが、じっくりと焼くことで自然な甘さが引き出されます。

昔ながらの焼き芋の味を楽しみたい人に好まれ、煮物やお菓子作りにも適しているため、非常に汎用性の高い品種です。

パープルスイートロード

千葉県発の紫芋であり、2004年に登場したユニークな品種です。多くの紫芋は甘さが控えめで菓子類に利用されがちですが、5種類のサツマイモを掛け合わせたパープルスイートロードは、焼いて食べることで適度な甘みを楽しむことができます。食感は『芋らしさ』がありながら、きめ細かく、後味はさわやかです。

自宅で美味しい甘い焼き芋を楽しむ作り方

自宅で甘い焼き芋を作るには、いくつかの工夫が必要で、少し手間と時間がかかります。

はじめに、甘みが強い品種(例えば紅はるか)を選ぶことが大切です。焼くときは、でんぷんを糖に変えるために、低温(おおよそ150℃)でじっくりと2時間かけて焼くのがおすすめです。

アルミホイルで包んで焼き、焼き上がった後には少なくとも30分ほど蒸らすことで、さらに甘さが増します。

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