グルテン過敏症 セルフ チェック

グルテン過敏症は、小麦や大麦、ライ麦に含まれるグルテンに反応する体質のことです。近年、この症状に悩む人が増えています。ただし、自覚症状があってもすぐに診断できるわけではありません。本記事では、グルテン過敏症かもしれない兆候をセルフチェックし、専門家の診断を受ける必要があるかどうかを確認する方法をご紹介します。

グルテン過敏症のセルフチェック6つのサイン

グルテン過敏症の症状は多岐にわたり、人それぞれ異なる症状が現れます。主な症状として、腹痛、下痢や便秘、かゆみや発疹、貧血や体重減少、頭痛や集中力の低下、関節痛や筋肉痛などがあげられます。 これらの症状があれば、グルテン過敏症の可能性がありますので、専門医への受診を検討する必要があります。適切な診断を受けた上で、グルテン除去食への切り替えなど、症状に合わせた対処が重要になってきます。 日常生活において、小麦食品を食べた後に体調不良を感じたり、肌荒れが治らない場合など、グルテンが原因かもしれません。免疫力の低下や体重減少、集中力の低下、慢性的な疲労感などの症状も、グルテン過敏症の合図となり得ます。 食生活の記録を付けることで、自分の体への影響を把握しやすくなります。グルテンが体に合わないサインがあれば、早めに対策を立てることが大切です。

グルテン過敏症以外の疾患

グルテン過敏症以外にも、グルテンが原因で発症する疾患があります。 ・セリアック病 ・小麦アレルギー グルテン摂取後に体調に変化があった場合、いずれかに該当している可能性があります。それぞれの特徴を把握しておきましょう。 ◆セリアック病 セリアック病は、グルテンに対する異常な免疫反応により、小腸粘膜を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患です。欧米では有病率が1%程度ですが、日本などのアジア諸国では0.05%程度と極めて稀です。幼児期から発症する場合もありますが、青年期から中高年期の発症が多くなります。主な症状は腹痛と慢性的な下痢で、重症化すると倦怠感や貧血も現れます。 ◆小麦アレルギー 小麦アレルギーの症状は様々で、蕁麻疹や痒み、腹痛や下痢、嘔吐、呼吸困難、アナフィラキシーショックを引き起こすことがあります。摂取するだけでなく、製品に触れただけでも発症する可能性があり、注意が必要です。アナフィラキシーショックとは、アレルゲンの侵入により複数臓器に全身性のアレルギー症状が生じ、血圧低下や意識障害を伴う重篤な状態を指します。

まとめ

グルテンに含まれるタンパク質が原因で引き起こされるグルテン過敏症。その症状には腹痛、下痢、便秘、吐き気などの消化器症状、倦怠感、頭痛などがあり、重症化すれば栄養失調に陥る恐れもあります。自分がグルテン過敏症かどうかを確かめるには、2週間以上グルテンを完全に控えた除去食を試し、症状が改善されたら一旦グルテンを摂取して変化を観察する必要があります。症状が再発した場合は、グルテン過敏症の可能性が高まります。しかし、自己判断は避け、医師による問診、検査を受けて確定診断を受けましょう。グルテン過敏症と診断されれば、グルテンを一生抜きにした食事療法が欠かせません。一方で、グルテン過敏症を疑う症状がみられた場合、小麦アレルギーやセリアック病の可能性も考えられます。これらに対処するには、グルテンフリーの食生活を心がけることが重要となります。

よくある質問

グルテンが合わない人の症状は?

グルテンが合わない人の症状には、セリアック病やグルテン過敏症、小麦アレルギーなどが関連しています。それぞれ異なるメカニズムで体に影響を及ぼしますが、共通して消化器系や皮膚、全身の不調を引き起こすことがあります。

セリアック病は遺伝性の自己免疫疾患であり、小腸の粘膜がグルテンに反応して炎症を起こし、栄養吸収に問題を生じます。主な症状として、腹痛、下痢、便秘、体重減少、疲労感、貧血などが挙げられます。また、ビタミンDやカルシウム不足による骨粗鬆症や骨減少症も見られることがあります。さらに、女性では月経停止や妊孕性の低下といった影響も報告されています。

グルテン過敏症はセリアック病とは異なり、自己免疫反応を伴わないものの、小麦食品を摂取した際に腹痛、吐き気、肌荒れ、集中力低下、慢性的な疲労感などの症状が現れることがあります。この状態では腸内環境が乱れ、「リーキーガット」と呼ばれる腸壁のバリア機能低下が起こりやすくなり、免疫力の低下やアレルギー反応を引き起こす可能性があります。

小麦アレルギーの場合は免疫系が小麦に含まれるタンパク質に過剰反応し、消化器系(腹痛、吐き気)、呼吸器系(喘鳴や呼吸困難)、皮膚(蕁麻疹や湿疹)など幅広い症状を引き起こします。重度の場合にはアナフィラキシーショックという命に関わる状態になることもあります。

これらの症状を改善するためには、小麦やグルテンを含む食品を避ける「グルテンフリー」の食生活が有効です。例えば、小麦粉の代わりに米粉やタピオカ粉を使用することで、安全に食事を楽しむことができます。また、自分の体調に異変を感じた場合は専門医による診断と適切な治療を受けることが重要です。

日本人はグルテン不耐性が多い?

日本人のグルテン不耐性に関する議論は、近年注目を集めています。一部の情報源では、約7~8割の日本人がグルテン不耐症(過敏症)の可能性があると言われていますが、この数字の信頼性については慎重に検討する必要があります。

グルテン不耐性には、セリアック病、非セリアックグルテン過敏症、小麦アレルギーなどが含まれます。セリアック病は、グルテンに対する自己免疫反応により小腸の粘膜が損傷される遺伝性疾患です。欧米では人口の約1%がセリアック病と診断されていますが、日本を含むアジアでの発症率は極めて低いとされています。

信州大学の調査によると、約700名の日本人を対象にした研究で、約1%の人がセリアック病の可能性があると報告されています。一方、島根大学の研究では、健康な日本人の有病率は0.05%と、さらに低い数値が示されています。

非セリアックグルテン過敏症は、セリアック病とは異なり、グルテンを摂取すると消化器症状や全身症状が現れますが、小腸の粘膜損傷は見られません。この症状の有病率は日本ではまだ明確ではありません。

小麦アレルギーは、小麦に含まれるタンパク質に対する免疫反応で、即時型のアレルギー症状を引き起こします。日本人の成人における食物アレルギーの有病率は約1%程度とされています。

グルテンフリー食の必要性については議論が分かれています。セリアック病や小麦アレルギーの診断を受けた人にとっては不可欠ですが、それ以外の人々にとってのメリットは明確ではありません。むしろ、不必要なグルテンフリー食は栄養バランスを崩す可能性があります。

結論として、日本人全体でグルテン不耐性が特に多いという明確な科学的証拠はありません。しかし、個人によってはグルテンに対する感受性が高い場合があり、症状が気になる場合は医療機関での適切な診断と指導を受けることが重要です。グルテンフリー生活を始める前に、専門家のアドバイスを求めることをおすすめします。

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