ドイツ クリスマス
クリスマスと言えば、世界中にさまざまな伝統や習慣があります。その中でも、ドイツのクリスマスは特に賑やかで華やかな雰囲気に包まれます。温かなキャンドルの炎がきらめく市場や、芳香があふれるお菓子の香り、そして見事な装飾が施された街並みは、まるでおとぎ話の世界のようです。長い歴史に培われた伝統的な祝い方は、ドイツ人にとって欠かせない大切なものとなっています。
日本とは少し違った、ドイツのクリスマス
ドイツのクリスマスは、光に包まれた祝祭感と家族との絆を深める伝統的な慣習があふれています。街は煌めく光りに彩られ、クリスマスマーケットではグリューワインの香りが漂い、手作りの雑貨が並びます。人々は歓声を上げながらこの祝典を満喫しています。
クリスマスの主役はザンタクロースではなく、天使のようなキンデルベッヒャーです。子供たちはキンデルベッヒャーにプレゼントをねだる手紙を書きます。家族で集まり、クリスマスツリーを飾り付けるのが大切な習わしで、アヒルのロースト料理も味わう楽しみのひとつです。
このように、ドイツのクリスマスは光に包まれた雰囲気と、家族との絆を重んじる風習が色濃く残されています。異国情緒あふれる祭典は、日本のクリスマスとは違った魅力を醸し出しています。
【12月1日~】アドヴェント(待降節)がやってきた!
アドヴェントシーズンが到来し、クリスマスへのカウントダウンが始まります。ドイツでは、アドヴェンツカレンダーやアドヴェンツクランツなど、様々な風習を通してこの時期を楽しみます。
アドヴェンツカレンダーは、12月1日から24日までの窓が開け、中にチョコレートやプレゼントが入っています。1日1回、新しい驚きと出合えるのが魅力です。一方、アドヴェンツクランツは4本のろうそくが立てられたリース。アドヴェントの日曜日ごとに1本ずつろうそくに火がともされ、クリスマスが近づくのを実感できます。
さらに、この時期にはクリスマスマーケットが開催されます。ここではオーナメントや伝統的なお菓子、グリューワインなどが売られ、買い物を楽しみながらクリスマス気分を高められます。12月24日にはマーケットが閉まるため、その前に必要な物はそろえておきたいものです。ドイツの風習に触れ、クリスマスへの期待を高めましょう。
【12月6日~】わくわくが高まっていく日々♪
ひと息つきながら、至福のときを過ごす。クリスマスの喜びと新年の期待に胸を躍らせる、この季節ならではの高揚感。華やかなイルミネーションに彩られた街並みを眺め、幼い頃の思い出がよみがえる。
プレゼントを選ぶ楽しみ、大掃除を済ませて新たな1年を迎える準備。気分一新の良い機会にもなる習慣です。そして、新年を迎えれば、更なる幸せを願う新しい目標に向かって気持ちを燃やします。わくわくした高ぶりが、目の前の世界さえ華やかに染め上げるようです。前向きな心で、この貴重な時期を心行くまでお楽しみください。
ドイツでは、聖ニコラウスの日に子どもたちが最初のプレゼントを受け取る風習があります。12月6日、白い長いひげを生やした聖ニコラウスが、いい子には小さなお菓子を、悪い子にはしつけの杖を投げかけるのだとか。そして、24日のクリスマスイヴにいよいよ本命のプレゼントがもらえるというわけです。
また、家族でひと年ので最高の木を選び、24日までその外に待たせておく習わしも。イヴの日になってようやく家の中に招き入れ、華やかに飾り付けをするのです。こうした独自の風習が、ドイツのクリスマスを一層印象深いものにしているのでしょう。
【12月24日】待ちに待ったクリスマス・イヴ!
クリスマス・イヴの朝、街は華やかな装いを纏っていました。デパートの食品売り場は、ケーキやオードブル類の商品で溢れかえり、大勢のファミリーでにぎわっていました。子どもたちはサンタクロースに会えることを心待ちにしているのでしょう。一方で若者たちは、夜のクリスマスパーティーに備え、カップルでお酒やおつまみを求めて買い物をしていました。
夜になるとレストランやホテルでは、華やかなディナーパーティーが開かれます。大人は美酒に酔い、子どもたちはプレゼントの開封を楽しみにしているはずです。クリスマス・イヴにしか味わえない、そんな特別な雰囲気に包まれた1日がやってきました。家族や恋人、友人と過ごす素晴らしい夜に、きっと何かが始まるでしょう。
いよいよ12月24日を迎え、クリスマスの中でも最も華やかな日が始まります。まずは買っておいた生のモミの木を家に運び入れ、クリスマスツリーの飾りつけから始めましょう。ドイツでは伝統的に、人形や楽器、果物などをかたどった木製や藁製のオーナメントを使います。職人の手で作られた伝統工芸品なので、本格的なものは高価です。そのため、毎年1つずつ購入を重ねていく人もいるそうです。
ツリーの飾りつけが終わったら、その根元にプレゼントを積み上げます。しかし、まだ開封してはいけません。プレゼントを開けるのは夜になってからです。
夕方には最後の買い物を済ませ、教会でお祈りをすませてから、夕食の支度を始めます。24日の夕食は、ソーセージやジャガイモなど、普段と変わらないメニューが多いそうです。この日のメインイベントはプレゼントなのです。
12月6日に聖ニコラスがプレゼントを持ってきましたが、24日は誰がプレゼントを持ってくるのでしょうか。それは天使の羽を付けた「クリスト・キント(幼いキリスト)」なのです。クリスマスはキリストの誕生を祝う日なので、サンタクロースではなく、天使の姿の幼いキリストがプレゼントを運んでくれるのです。ただし、地域によっては「ヴァイナハツマン(ドイツ語のサンタクロース)」がやってくると言われることもあり、様々な言い伝えが残されています。
プレゼントを開ける時間は家庭によって異なりますが、多くの家庭では夕食後、子どもたちがクリスマスの歌を歌ったり本を朗読したりした後に開けるそうです。日本とは違い、ドイツではお父さん、お母さん、子ども、おじいちゃん、おばあちゃんなど、家族全員に対して一人ひとりにプレゼントが用意されています。山のようにプレゼントが積まれた中から、「誰からだろう」「何が入っているのだろう」と考えながら開けるプレゼントは特別な思い出となるでしょう。
【12月25日・26日】家族との時間を過ごす、クリスマスの日
クリスマスは家族や恋人と過ごす特別な日となり、日本でも定着しつつあります。イブには教会に行ったりデートを楽しんだりするカップル、本番の12月25日には家族で一緒に過ごすことが多くなっています。
朝からプレゼント開けの喜びを味わった後は、レジャー施設へ家族旅行に出かける家庭もありますし、自宅でゆっくりとくつろぎながら、クリスマス映画やゲームを楽しむ家族も。食事は、ターキーやケーキなど洋風の料理を用意する家庭と、普段通りの食事を楽しむ家庭に分かれるでしょう。
ドイツでは、メインディッシュは地域や家庭によって異なります。七面鳥やガチョウ、鶏、鯉、牛豚肉のステーキなど様々です。お菓子はスパイスやドライフルーツ、ナッツを使った伝統的なものが多く、シュトレン、レープクーヘン、プレッツヒェン、シュペクラティウスなどが代表的です。
家族団らんを大切にする点は日本と同じですが、クリスマス料理や過ごし方は国や地域によって様々な違いがあり、その多様性も楽しみの一つとなっているようです。
【12月27日~1月6日】新しい年を迎えよう
日本の年越し習慣は、古くから受け継がれた伝統と深い意味を持っています。12月28日から1月4日まではお正月準備の時期で、大掃除をして新年を清々しく迎えます。そして、1月1日の元旦には、初詣で新年の無事と幸せを祈願し、家族で集まり祝福を交わします。年が明けると、初夢や福笑いなど、吉兆のある行事に親しむことで、より良い一年を過ごせるよう願いを込めます。このように、日本の年越しは、旧年を無事に過ごせたことへの感謝と、新たな年への期待に満ちた、心温まる風習なのです。
まとめ
ドイツのクリスマスは、世代を超えて大切にされてきた文化的遺産です。豊かな歴史と伝統に裏打ちされた祝い方は、地域によって微妙に異なりますが、どこを訪れても温かな雰囲気と夢心地な情景に包まれることでしょう。クリスマスマーケットを楽しみ、アドベントの時期をゆっくりと味わうドイツのクリスマス文化は、多くの人々を魅了し続けています。