ゲイシャ コーヒー
ゲイシャ種のコーヒーとは
「ゲイシャ」とは、エキゾチックなコーヒー豆を指すトレンディな名称です。一部のコーヒー愛好家がこのコーヒー豆を絶賛しており、今話題のスペシャルティコーヒーの一つとなっています。
このゲイシャ種はアラビカ種の一つで、生産量の大半を占めるアラビカ種は、その繊細な風味からグルメコーヒーとして高い評価を受けています。アラビカ種は更に細かな品種に分類され、ゲイシャ種はその中でも一際特異な存在と言えるでしょう。このゲイシャ種は突然変異によって生まれたとされており、その原型を忠実に保っています。
ゲイシャ種の起源はエチオピアで、その名前はエチオピアのゲシャ地域から来ています。但し、その名前には他の説もあり、一部では日本の芸者にちなんで名づけられたとする説も存在します。ゲイシャ種の特徴として、病害に弱く、栽培が困難である点が挙げられます。そのため、長らくコーヒー農園からは敬遠されてきました。
しかし、その難易度に反比例するように、ゲイシャ種のコーヒー豆から醸し出されるコーヒーは、フルーティな風味と甘い蜂蜜の風味が特徴で、その幅広い風味が鑑賞価値高く、一度で何通りもの味わいを楽しむことができると評価されています。
このゲイシャ種のコーヒーは、一度は味わってみるべき豪華な一杯で、その味わい深い香りと風味は、真剣なコーヒーラバーを満足させること間違いなしです。
ゲイシャ種の歴史と人気の理由
ゲイシャ種のコーヒー豆は、その歴史は浅いものの、ユニークな背景を持っています。1931年にエチオピアで発見されたゲイシャ種は、1950年代にはさび病対策として南米のコスタリカに持ち込まれ、1960年代には中米のパナマへと伝わりました。
しかし、収穫量が少なく採算が合わないことから、ゲイシャ種はコーヒー農園で広く栽培されることはなく、徐々に忘れられていきました。その美味しさは一部で知られていたものの、経済的な理由から普及することはありませんでした。
エスメラルダ農園の努力
そんな中、ゲイシャ種の栽培を続けた数少ない農園の一つが、パナマのエスメラルダ農園です。この農園は標高1,600mに位置し、豊かな自然環境と適度な降雨量に恵まれています。エスメラルダ農園は無農薬や手摘み収穫など、品質にこだわった生産方法を取り入れています。
ゲイシャ種は1,500~1,700mの高地を好むため、エスメラルダ農園はその栽培に最適な環境でした。農園のスタッフの努力と情熱が、ゲイシャ種の安定した収穫を可能にしました。
世界が驚いたゲイシャショック
ゲイシャ種が再び注目を浴びるきっかけとなったのは、2004年のコーヒーの国際品評会でした。エスメラルダ農園が出品したゲイシャ種が、これまでにない高値で落札されて優勝し、世界中にその名が知れ渡ることとなりました。この出来事は「ゲイシャショック」と呼ばれ、ゲイシャ種は一躍、世界で最も有名なコーヒー豆となりました。
その後もエスメラルダ農園のゲイシャ種は品評会で毎年優勝を重ね、2008年にはゲイシャ部門が設けられるまでになりました。その年、カルレイダ農園のゲイシャ種がコロンビアへと持ち込まれ、栽培地がさらに広がりました。
ゲイシャ種の高級化
2010年にはエスメラルダ農園のゲイシャ種が1ポンドあたり170ドルという高値を記録し、ゲイシャショックは続いています。こうしてゲイシャ種は、その独特の風味と品質から、世界でもっとも高級なコーヒーとして注目を集めるようになりました。
エスメラルダ農園や他のゲイシャ種を栽培する農園の努力が、ゲイシャ種の価値を高め、コーヒー業界全体に大きな影響を与えました。これからもその人気は続き、さらなる発展が期待されています。
ゲイシャコーヒーの特長
上質なコーヒーとして知られるゲイシャコーヒー。価格が高いだけあり、その風味や香りはどのようなものなのでしょう。
何といってもゲイシャコーヒーの特徴はそのユニークなフレーバーと魅惑的な香り。甘くて上品な風味が口中に広がり、エクレアのような微細な甘さと複雑な風味が絡み合っています。味については、フローラルな香りと柑橘系の鮮やかな余韻が特徴的。ジャスミンやバラ、ベルガモットを思わせる微妙な香りの余韻が残ります。さらに、そのクリスタルのようにクリアな口当たりと爽やかな酸味がゲイシャコーヒーの大きな魅力を引き立てます。
ゲイシャコーヒー豆は焙煎温度と時間を適切に管理することで、その深味とコクを最大限に引き出すことができます。このやり方がゲイシャコーヒーのリッチで複雑な風味を生む要因でしょう。
コーヒー愛好家や美味しいものを追求するグルメたちにとって、ゲイシャコーヒー1杯は至極の喜びと満足感を提供します。それはまさに、屈託のない芸術作品を味わうような経験となるのです。
さて、ゲイシャコーヒーが高価に設定されるにはいくつかの理由があります。
まず、この種のコーヒー豆はパナマの特定の農園でしか育てることができないこと。このことから、この豆は非常に希少で、その品質に対する評価も非常に高いです。ゲイシャコーヒーはその珍しさと高品質を認識して、“コーヒー界のダイヤモンド”とも称されています。この希少さが、ゲイシャコーヒーの価格設定に大きな影響を及ぼしています。
ゲイシャコーヒーの楽しみ方
ゲイシャコーヒーと名高い高級コーヒーに舌鼓を打つのなら、その独特な風味は十二分に堪能したいところです。
そのためには、ゲイシャコーヒーを存分に楽しむテクニックを把握しておく事が必要です。
素晴らしい淹れ方
ゲイシャコーヒーの亜麻色の香りと微細な味わいを体感したいのなら、ロースト過程を見極めることが重要です。シナモンローストからミディアムローストぐらいの浅い焙煎にする事で、ゲイシャコーヒー特有の風情を味わうことができます。
コーヒーを淹れる際の水の温度は約92~96℃が理想的とされます。その温度であれば、酸味や甘さを感じやすく、味のバランスが整います。また、焦らずにゆっくりと注ぐことで、繊細な味わいを堪能できます。プレミアム品質の豆なので少々ためらいがちかもしれませんが、適量の豆を使うことを忘れずに。
コーヒー豆が放つ甘さは上質なものですので、初めは砂糖やミルクなどは加えず、そのままブラックで試してみてください。
入手方法
希少性と高品質さが一体となったゲイシャ種のコーヒー豆ですが、現在では専門的なカフェはもちろんのこと、通信販売でも比較的簡単に購入することが可能です。ゲイシャ品種にも様々な種類があるので、色んなものを試してみるのもお勧めです。
ゲイシャコーヒーをメニューに取り扱っているお店はまだまだ珍しいですが、大手コーヒーチェーンでも限定販売されることがあります。また、スペシャルティコーヒーを提供している店舗では、多種多様なゲイシャコーヒー豆を取り扱っています。
まとめ
ゲイシャ コーヒーは、鋭い酸味とフルーツのような甘さ、花々の香りが高揚する一杯です。このコーヒーは、経験豊富な生産者の手によって丁寧に育てられ、選ばれた豆だけが精製されます。ゲイシャコーヒーの奥深さと繊細さを楽しむためには、そのストーリーや製造過程を理解することが重要です。一度味わえばその唯一無二の風味に魅了され、コーヒーへの新たな可能性を感じることでしょう。