エキゾチックな香りに包まれた、魅惑の果実フェイジョア。その名前に聞き覚えがなくとも、一度味わえば忘れられない独特の風味は、あなたを虜にするかもしれません。南米原産のフェイジョアは、バナナやパイナップルを思わせる甘美な香りが特徴で、近年日本でも栽培する人が増えています。この記事では、フェイジョアの知られざる魅力に迫り、特徴や美味しい食べ方、そしてご家庭で育てるためのポイントを徹底解説。さあ、フェイジョアの世界へ足を踏み入れてみましょう。
フェイジョアの基本情報
フェイジョアは、その独特な魅力から近年人気が高まっている果物です。ここでは、フェイジョアのルーツ、植物としての特徴、主な種類、そして旬の時期について詳しく解説します。
フェイジョアの起源と特徴
フェイジョアは、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル南部などの南米を原産地とするフトモモ科の常緑果樹です。グァバと同じ仲間で、「パイナップルグァバ」という別名もあります。この名前は、その強い香りと、熟していない実の梨のような食感に由来すると言われています。フェイジョアは19世紀の終わりにヨーロッパに渡り、その後ニュージーランドやオーストラリアで栽培が広まりました。特にニュージーランドやオーストラリアでは一般的な果物として広く親しまれています。日本には昭和初期に伝わりましたが、当初はあまり知られていませんでした。しかし近年、その独特の甘い香りとトロピカルな風味が見直され、家庭果樹や観賞用として人気が高まっています。現在では、香川県、福岡県、福島県、神奈川県など、日本各地で栽培されており、少しずつ身近な果物になりつつあります。フェイジョアの木は1.5mから3mほどに成長し、一年を通して緑色の葉を保つため、庭のシンボルツリーとしても人気があります。また、エキゾチックな白い花は肉厚で、苦味やえぐみがほとんどなく、ほんのりとした優しい甘さが特徴で、食べることもできます。実だけでなく花も楽しめるのが、フェイジョアの大きな魅力の一つです。さらに、フェイジョアは比較的寒さに強く、マイナス10度程度まで耐えることができ、病害虫にも強いため、果樹栽培の初心者にも育てやすいとされています。これらの特徴から、フェイジョアは食と観賞の両方を楽しめる、非常に価値のある果樹と言えるでしょう。
フェイジョアの主な品種
フェイジョアには様々な品種があり、それぞれ異なる特徴を持っています。実の大きさ、形、味、収穫時期、そして自家結実性(一本の木で実がなるかどうか)など、様々な違いがあります。例えば、実が大きく甘みが強い品種、香りが特に豊かな品種、育てやすい品種などがあります。栽培方法で詳しく解説しますが、フェイジョアは「自家不和合性」が強い、つまり自分の花粉では実を結びにくい性質を持つ品種が多いため、確実に実を収穫するためには、異なる品種を近くに植えて互いに受粉させる「混植」が推奨されます。そのため、苗を購入する際には、品種が明確に表示されているものを選び、収穫したい実の種類に合わせて、複数の品種を組み合わせることを検討することが大切です。品種選びはフェイジョア栽培の成功の鍵となります。具体的な品種名としては、アポロ、クーリッジ、トライアンフ、ジェミニなどが知られていますが、購入する際にはお店で確認し、それぞれの特徴を理解した上で選ぶようにしましょう。
フェイジョアの旬の時期と主な産地
フェイジョアが最も美味しくなるのは、秋が深まる10月中旬から11月下旬にかけてです。この時期に収穫が行われますが、収穫したての果実は硬く、酸味が強いため、そのまま食べるには適していません。収穫後、およそ10日から2週間ほど時間をかけて追熟させることで、果肉は柔らかくなり、フェイジョア特有の甘い香りと濃厚な甘さが際立ちます。食べ頃となるのは、11月上旬から12月中旬頃です。自然に地面に落ちたフェイジョアは、完熟に近い状態であることが多く、収穫時期の目安となります。国内では、香川県、福岡県、福島県、神奈川県などが主な産地として知られており、各地で栽培が盛んに行われています。海外では、原産地の南米に加え、ニュージーランドやオーストラリア、アメリカなどで広く栽培されており、特にニュージーランドやオーストラリアでは、非常に人気のある果物です。これらの地域では、フェイジョアを使ったさまざまな食品や飲料が製造され、日常的に楽しまれています。日本ではまだ生産量が少ないため、一般的なスーパーマーケットではあまり見かけませんが、産地直売所やオンラインショップなどで購入することができます。
フェイジョアの選び方と味、食べ方
フェイジョアを最大限に楽しむためには、適切な選び方、独特の風味の理解、そして様々な食べ方を試すことが大切です。ここでは、フェイジョアの選び方から、果実や花の具体的な食べ方まで詳しくご紹介します。
食べ頃のフェイジョアの選び方
美味しいフェイジョアを選ぶためには、いくつかのポイントがあります。まず、果実の表面に傷や変色がなく、きれいな状態のものを選びましょう。見た目の良いものは、品質も良いことが多いです。次に、果実を軽く指で押してみて、わずかにへこむ程度の柔らかさがあるか確認します。硬すぎる場合はまだ熟しておらず、柔らかすぎる場合は熟れすぎている可能性があります。適度な弾力があり、少し柔らかいものが理想的です。そして、フェイジョアの大きな魅力である香りも重要な判断基準となります。熟したフェイジョアは、バナナやパイナップルのような、甘く強い独特の香りを放ちます。香りが強いものほど、食べ頃に近いサインです。もし購入時にまだ硬く、香りが弱い場合は、常温で数日から1週間程度追熟させることで、より美味しくなります。長持ちさせたい場合は、あえて硬めのものを選んで自宅で追熟させるのがおすすめです。また、フェイジョアは熟すと自然に木から落ちる性質があります。地面に落ちた果実は、食べ頃を迎えていることが多いので、収穫の目安にすると良いでしょう。
フェイジョアの果実の味と特徴
フェイジョアの果実は、鶏卵くらいの大きさで、卵型または楕円形をしており、濃い緑色の厚い皮に覆われています。この皮は硬めなので、通常は剥いて、またはスプーンで果肉をすくって食べます。果肉は乳白色からオレンジ色に変化し、中央部分はゼリー状で、断面が花のような形をしているのが特徴です。ゼリー状の部分には小さな種が含まれていますが、ほとんど気にならずに食べられます。フェイジョアは追熟の度合いによって、味と食感が大きく変化します。未熟なものは酸味が強く、梨のようなシャリシャリとした食感が特徴です。これはこれで爽やかな風味として楽しめますが、フェイジョア本来の美味しさを味わうには、追熟が欠かせません。十分に追熟が進み食べ頃を迎えると、果肉は非常に柔らかくなり、とろけるような口当たりに変わります。そして、特筆すべきはその芳醇な香りです。バナナやパイナップル、洋梨、さらにミントのような爽やかさを併せ持つ複雑で強い香りが生まれ、甘さも増します。このトロピカルで甘酸っぱい独特の風味が、フェイジョアの最大の魅力であり、一度食べたら忘れられない個性的な味わいです。
フェイジョアの多彩な味わい方
フェイジョアは、そのまま食べても美味しく、また様々な料理やスイーツに利用できる、魅力的な果物です。その個性を最大限に引き出す食べ方で、フェイジョアの美味しさを心ゆくまで堪能しましょう。
生のまま味わう
フェイジョア本来の、バナナやパイナップルを思わせる芳醇な香りと甘さをシンプルに味わうには、生で食べるのが一番です。食べ方は簡単で、キウイのように半分にカットし、スプーンで果肉をすくって食べるのが一般的です。皮は硬めで、渋みを感じることもあるため、通常は食べません。完熟したフェイジョアは、果肉がとろけるように柔らかく、豊かな香りが口の中に広がります。冷やして食べると、より一層爽やかな風味を楽しめます。
スイーツの材料として楽しむ
フェイジョアは、その独特の香りと甘酸っぱさから、多種多様なスイーツの材料としても最適です。代表的な活用法の一つが、ジャム作りです。フェイジョアの果肉と砂糖を鍋で煮詰めるだけで、香り高いトロピカルなジャムが手軽に作れます。パンに塗ったり、ヨーグルトに添えたりと、様々な楽しみ方が可能です。また、パウンドケーキやマフィン、タルト、ホットケーキなどの焼き菓子に加えるのもおすすめです。フェイジョアの風味が生地に溶け込み、しっとりとした食感と爽やかな香りがアクセントになり、普段とは違う特別な味わいのスイーツになります。細かく切って、アイスクリームやシャーベットのトッピングにするのも良いでしょう。
花びらも味わう
フェイジョアの魅力は、果実だけではありません。実は、美しい花びらも食べることができます。フェイジョアの白い花びらは肉厚で、ほんのりとした甘みがあり、苦味やえぐみなどのクセはほとんどありません。そのため、生のままサラダに散らしたり、ヨーグルトやアイスクリームのトッピングとして使用すると、見た目も美しく、ほのかな甘さがデザートの風味をより一層引き立てます。また、お菓子のデコレーションに利用するのも良いでしょう。ただし、注意点として、食べられるのは白い肉厚な花びらの部分のみです。花の中心にある赤い部分は、苦味があるため食用には適していません。花を摘む際は、花びらだけを丁寧に摘み取るようにしましょう。花も実も楽しめるフェイジョアは、庭に植えることで、春にはエキゾチックな花を観賞し、その花を食し、秋には甘い果実を収穫するという、一度で二度美味しい体験をもたらしてくれます。
フェイジョアの育て方:初心者向け10の秘訣
フェイジョアは耐寒性や耐病害虫性に優れており、園芸初心者にも比較的取り組みやすい果樹です。しかし、より多くの実を収穫するためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、フェイジョアを丈夫に育て、美味しい実をたくさんつけるための10個の栽培管理のコツを詳しく解説します。
1. 植える場所の選定
フェイジョアは日光を好むため、一年を通して日当たりの良い場所を選ぶことが成功の秘訣です。日照不足は生育を妨げるだけでなく、開花や果実の質にも影響を及ぼします。庭植えの場合は、特に夏の強い西日が当たり過ぎず、冬でも十分な日差しを確保できる場所を選びましょう。鉢植えの場合は、季節や天候に合わせて移動できるよう、置き場所を工夫すると良いでしょう。フェイジョアはある程度の寒さに耐えられますが、寒冷地や冬の冷たい風が直接当たる場所では落葉することがあります。寒冷地で栽培する場合や、風当たりの強い場所では、冬場は軒下に移したり、不織布などで株全体を覆うなど、防寒対策を施しましょう。これにより、寒さによるダメージを防ぎ、春からの成長を促進できます。
2. 水やりのコツ
フェイジョアは乾燥に弱い性質があるため、適切な水管理が欠かせません。特に鉢植えの場合、土の乾燥は根に大きな負担をかけ、生育不良の原因となります。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えましょう。鉢皿に溜まった水は根腐れの原因になるので、必ず捨てるようにしてください。夏の暑い時期は土が乾きやすいため、朝夕の涼しい時間帯に1日2回水やりを行うと良いでしょう。一方、地植えのフェイジョアは、根が深く張るため、自然の雨で十分な水分が供給されることがほとんどです。雨が降らない日が続く場合を除き、基本的に水やりは不要です。ただし、植え付け直後や、極端に乾燥する時期には、根の定着を促すために適度な水やりが必要です。
3. 肥料の与え方
フェイジョアの健全な成長と豊かな実りのためには、適切なタイミングで肥料を与えることが重要です。春に新芽が伸び始める頃に液体肥料を与え、新葉や枝の成長を促しましょう。また、収穫後にも液体肥料を与えることで、株の体力を回復させ、翌年の生育に備えることができます。鉢植えで栽培している場合は、3月、7月、10月の年3回、有機肥料を与えるのが理想的です。これにより、年間を通して必要な栄養をバランス良く供給し、生育をサポートできます。もし、生育が停滞していると感じたら、速効性のある液体肥料を水やりの際に与えてみましょう。地植えの場合は、鉢植えほど頻繁な施肥は必要ありませんが、3月と10月の年2回、有機肥料を与えることで、土壌の栄養を補給し、木の活力を維持することができます。肥料を与える際は、根に直接触れないように、株元から少し離れた場所に施すように心がけましょう。
4. 理想的な土壌条件
フェイジョア栽培において、良好な水はけは不可欠です。過剰な湿気は根腐れを引き起こし、生育を阻害する原因となります。したがって、土壌が常に湿った状態にならないよう注意が必要です。鉢植え栽培を行う場合も、水はけの良さを最優先に考慮して用土を選定してください。基本用土として赤玉土を使用することで、フェイジョアに適した環境を比較的容易に作ることができます。赤玉土は適度な保水性と排水性を兼ね備えており、根の健全な発達をサポートします。赤玉土と腐葉土を混合する場合は、7:3の割合がおすすめです。この配合により、土壌の物理性が向上し、根がより生育しやすい環境が実現します。腐葉土は有機物を供給し、土壌の肥沃度を高めるとともに、団粒構造を促進して水持ちと通気性のバランスを改善します。市販の果樹用培養土を利用する際は、配合されている用土の種類を確認し、水はけが良いものを選びましょう。
5. 植え付けの時期と方法
フェイジョアの結実には、自家不和合性という性質が深く関わっています。これは、同一品種の花粉では受粉しにくい性質を指し、一本の木だけでは実がなりにくい原因となります。確実に収穫を目指すのであれば、異なる品種を2本以上、近くに植える「混植」を行うことが重要です。植え付けの適期は、フェイジョアが活動を開始する直前の3月中旬から4月中旬にかけてです。この時期に植え付けることで、根がしっかりと新しい環境に馴染み、生育期に向けて順調に成長することができます。植え付け場所は、日当たりが良く、水はけの良い場所を選びましょう。また、強風が直接当たらない場所を選ぶことも大切です。植え付けの手順としては、まず直径と深さが50cm程度の穴を掘り、掘り出した土に腐葉土、赤玉土、粒状肥料を混ぜて穴に戻します。苗木の根鉢を軽くほぐし、根を広げるように丁寧に植え付け、混合した用土でしっかりと覆い、固定します。植え付け後、樹高の半分程度の高さで切り戻し剪定を行い、支柱を立てて苗木を支え、たっぷりと水を与えます。切り戻しは、株の生育バランスを整え、新たな枝の発生を促すために行います。これらの手順を丁寧に行うことで、フェイジョアは順調に生育し、豊かな実りをもたらしてくれるでしょう。
6. 効果的な剪定方法
フェイジョアの剪定は、樹木の健康を維持し、理想的な樹形を形成し、果実の品質と収穫量を向上させるために欠かせない作業です。剪定の最適な時期は、休眠から目覚め、新芽が動き出す前の3月から4月頃です。この時期に剪定を行うことで、フェイジョアは新しい成長にエネルギーを集中させることができ、剪定による傷の回復も早まります。フェイジョアは生長が旺盛なため、剪定をせずに放置すると枝が過密になり、日当たりや風通しが悪化しやすくなります。そのため、6月頃には新梢の葉を10枚程度残して先端を摘心しましょう。この摘心作業によって、枝の分岐が促進され、花芽の形成が促されます。その後も、伸びてきた新梢に対して同様の摘心を行い、樹形を整えます。間引き剪定では、株元から生えてくる不要なひこばえや、内部で密集している細い枝、枯れた枝などを取り除き、樹木の構造を整理します。これにより、風通しと日当たりが改善され、病害虫の発生リスクを低減できます。また、果実に十分な日光が当たることで、高品質な果実の育成を促進します。樹高が目標の高さに達した後は、樹勢を維持するために、古い枝を新しい枝と入れ替えるように更新剪定を行うことも重要です。適切な剪定は、フェイジョアが毎年安定して実をつけるために不可欠な作業と言えるでしょう。
7. 良質な果実を得るための摘蕾
フェイジョアは、植え付けから4~5年が経過し、十分に生育すると、たくさんの花をつけるようになります。しかし、すべての蕾を残してしまうと、枝の先端に咲く花から小さな果実ができやすくなり、成熟にも時間がかかってしまうことがあります。これは、木が持つ養分が多くの果実に分散されてしまうためです。そこで、大きく、品質の良い果実を効率的に収穫するためには、「摘蕾」という作業が重要になります。摘蕾は、春に新梢が伸び始め、蕾が見え始めたら、できるだけ早く行いましょう。具体的には、枝の基部付近にある、形が良い元気な花芽を2つ程度残し、先端にある蕾は摘み取ります。摘蕾を行うことで、木は限られた養分を、残された少数の花に集中させることができます。その結果、養分が凝縮された、大きく、品質の良い果実を育てることが可能になります。摘蕾は手間のかかる作業ではありますが、美味しいフェイジョアを収穫するためには欠かせない作業の一つです。
8. 結実を促すための人工授粉
多くのフェイジョアの品種は、一本の木だけでは実を結びにくい「自家不結実性」という性質を持っています。そのため、確実に実を収穫するには、異なる品種を近くに植える「混植」が不可欠です。混植を行ったとしても、ミツバチなどの昆虫による自然受粉でいくらか実はなりますが、より安定した収穫量を目指すには人工授粉が非常に有効です。人工授粉は、フェイジョアの花が咲き始めた頃に行います。別の品種から、毛ばたきや柔らかい筆などを使い、丁寧に花粉を採取します。採取した花粉を、受粉させたい品種の開花した雌しべに優しく擦り付けるようにして受粉させます。開花期間中にこの作業を何度か繰り返すことで、受粉の成功率を高めることができます。フェイジョアの中には「自家結実性」を持つ品種も存在し、一本の木でも実がなることがありますが、異なる品種と人工授粉を行うことで、より多くの実がなり、収穫量や品質の向上に繋がります。人工授粉は少し手間のかかる作業ではありますが、フェイジョア栽培の醍醐味である豊かな収穫を味わうためには、ぜひ取り組んでいただきたい重要な作業の一つです。
9. フェイジョアの増やし方
フェイジョアを増やす方法としては、主に「挿し木」「取り木」「種まき」の3種類があります。それぞれに特徴があり、目的によって最適な方法を選ぶことができます。「挿し木」は、親株の性質を受け継いだ株を増やせる、最も一般的な方法です。元気な枝を切り取り、適切な用土に挿して発根を促します。品種の特性を維持したい場合や、比較的簡単に増やしたい場合に適しています。「取り木」は、枝の一部を剥ぎ、その部分を湿った用土などで覆って発根させる方法です。挿し木に比べると手間はかかりますが、成功率が高いのが特徴です。大きめの株を増やしたい場合や、挿し木では発根しにくい品種に用いられることがあります。「種まき」は、果実から種を取り出し、土にまく方法です。この方法で育った苗は、親株とは異なる性質を持つ可能性があり、実がなるまでに時間もかかります。そのため、新しい品種を作りたい場合や、趣味で色々な株を育てたい場合に利用されます。商業栽培では、品種の均一性を保つために、挿し木や接ぎ木が主流です。どの方法を選ぶ場合でも、適切な時期と手順を守ることが成功へのカギとなります。
10. 注意すべき病害虫と対策
フェイジョアは比較的病害虫に強いとされていますが、注意すべき害虫も存在します。特に注意が必要なのは「コウモリガ」です。コウモリガは幹の中に侵入し、内部を食害するため、木の生育に大きな影響を与えます。特に幼木が被害を受けると、生育に致命的なダメージを受けることもあります。コウモリガは、株元に雑草が生い茂るなど、やや湿った環境を好む傾向があります。そのため、株元を清潔に保ち、雑草をこまめに除去することが、コウモリガの予防として非常に効果的です。定期的に幹や枝を観察し、コウモリガの糞や木くずがないか確認することも重要です。もし侵入を確認した場合は、早めに適切な殺虫剤を注入するなどの対策を行いましょう。また、フェイジョアに見られる害虫として「カイガラムシ」も挙げられます。カイガラムシは、枝や葉に付着して樹液を吸い、木の活力を奪います。ただし、カイガラムシによる被害は比較的少ないとされており、早期発見できれば、歯ブラシなどで擦り落とすなどの物理的な除去や、適切な殺虫剤の散布で対処できます。日頃から植物の状態をよく観察し、早期発見と早期対策を心がけることが、病害虫による被害を最小限に抑えるための最も有効な手段です。
まとめ
フェイジョアは、南米のウルグアイ、パラグアイ、ブラジル南部を原産とするフトモモ科の果樹で、そのエキゾチックな魅力から近年注目を集めています。「パイナップルグアバ」とも呼ばれ、バナナやパイナップルのような甘い香りが特徴的な果肉は、生で食べるのはもちろん、ジャムやパウンドケーキなどの材料としても広く利用されています。さらに、美しい花びらも食べられるという珍しい特徴も持っています。フェイジョアは、マイナス10度程度までの寒さに耐えることができ、病害虫にも強いため、初心者でも育てやすい果樹と言えるでしょう。ただし、豊かな収穫を得るためには、自家不和合性の品種が多いため、異なる品種を2種類以上植えて受粉を促すこと、日当たりの良い場所を選ぶこと、水はけの良い土壌を使用すること、適切な剪定や摘蕾、肥料管理を行うことが重要です。特に、果実が熟す時期である10月下旬から11月頃に収穫し、10日から2週間程度の追熟期間を経て、11月上旬から12月中旬に食べ頃を迎えるというサイクルを理解しておくことで、フェイジョアの風味を最大限に楽しむことができます。選び方としては、表面に傷がなく、軽く押すと少しへこみ、強い香りがするものを選ぶと良いでしょう。この記事でご紹介した栽培のポイントや食べ方を参考に、ぜひフェイジョアを育てて、美しい花と美味しい果実を味わってみてください。その独特な風味と育てやすさで、あなたのガーデニングライフに新たな喜びをもたらしてくれるはずです。
フェイジョアってどんな味ですか?
フェイジョアは、エキゾチックな香りが特徴的なフルーツです。その香りは、バナナやパイナップル、そして洋梨をミックスしたかのように、甘く濃厚なトロピカルさを感じさせます。熟した果肉は非常に柔らかく、とろけるような舌触りとなり、芳醇な甘さと爽やかな酸味が絶妙なバランスで楽しめます。まだ熟していないものは酸味が際立ち、少しザラザラとした梨のような食感がありますが、熟成が進むにつれて風味が豊かになり、より奥深い味わいへと変化していきます。
フェイジョアはいつ頃食べられますか?
フェイジョアの旬は、秋が深まる10月下旬から11月にかけてです。ただし、収穫してすぐはまだ果実が硬く、十分に熟していません。収穫後、室温で10日~2週間程度、追熟させることで、果肉が柔らかさを増し、独特の香りと甘みが引き出されます。美味しく食べられる時期は、おおよそ11月上旬から12月中旬頃まで。自然に地面に落ちた果実は、十分に熟しているサインなので、食べ頃の目安になります。
フェイジョアの花は食べられますか?
はい、フェイジョアの花は食用として楽しむことができます。特に、白い肉厚な花びらは、ほのかな甘みがあり、気になるような苦味やエグみはほとんどありません。ヨーグルトやアイスクリームに添えたり、サラダの彩りとして、またお菓子のデコレーションなどに利用すると、見た目も華やかになり、上品な甘さをプラスできます。ただし、花の中心にある赤い部分は苦味があるため、取り除いてから食べるようにしましょう。
フェイジョアの苗を購入する際の注意点は?
フェイジョアは、多くの品種が存在し、そのほとんどが「自家不和合性」という性質を持っています。これは、一本の木だけでは実を結びにくいという特徴です。もし、フェイジョアの収穫を目的とするのであれば、異なる品種の苗木を二本以上購入し、互いに近くに植える「混植」を行う必要があります。苗木を選ぶ際には、品種名が明確に記載されているものを選び、ご自身の目的に合った品種の組み合わせを慎重に検討することが大切です。
フェイジョアが実を結ばないのはなぜ?主な原因を解説
フェイジョアが実をつけない原因として最も多いのは、「受粉樹の不足」です。これは自家不和合性という性質によるもので、異なる品種を近くに植えないと受粉がスムーズに進まず、実がなりにくいのです。また、「剪定のタイミング」も重要です。フェイジョアは前年の枝に花芽をつけるため、剪定は春先の3月から4月に行い、花芽を切りすぎないように注意しましょう。適切な時期に剪定を行うことで、結実の可能性が高まります。
フェイジョアの故郷はどこ?気になる和名もご紹介
フェイジョアは南米のウルグアイ、パラグアイ、ブラジル南部などが原産地です。日本では、その独特な香りがパイナップルに似ていることから、「パイナップルグァバ」という親しみやすい名前で呼ばれています。
フェイジョア栽培は簡単?初心者でも挑戦できる?
はい、フェイジョアは比較的育てやすい果樹として知られています。耐寒性があり(-10℃程度まで)、病害虫にも強いため、初心者の方でも安心して栽培に挑戦できます。ただし、確実に実を収穫するためには、異なる品種を混植すること、日当たりや水やり、肥料、剪定といった基本的な管理をしっかりと行うことが大切です。