エキゾチックな香りと独特の風味が魅力のフェイジョア。その果実を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、今回は、あまり知られていないフェイジョアの花に焦点を当ててみましょう。赤と白のコントラストが美しい花は、まるで芸術作品のよう。観賞用としても価値があり、庭を華やかに彩ります。しかし、フェイジョアの花の魅力は見た目だけではありません。実は、その花びらも美味しく食べられるのです。この記事では、フェイジョアの花の知られざる美しさと、その活用法について詳しくご紹介します。
フェイジョアの基礎知識:ルーツ、特徴、そして風味の魅力
フェイジョアは、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル南部など南米を原産地とするフトモモ科の植物で、グァバの仲間です。「パイナップルグァバ」という別名からも想像できるように、エキゾチックな香りが特徴です。特筆すべきは、果実だけでなく花も食べられること。肉厚な白い花びらは、クセがなく、ほんのりとした甘みが楽しめます。花と実の両方を味わえることから、家庭菜園でも人気が高まっています。フェイジョアは19世紀末にヨーロッパに渡り、その後ニュージーランドやオーストラリアで栽培が広がりました。日本には昭和初期に伝来しましたが、広く知られるようになったのは比較的最近のことです。近年、その芳醇な香りと独特の風味が注目を集め、家庭での栽培や観賞用としての人気も高まり、各地で栽培が試みられています。果実は鶏卵ほどの大きさで、卵型または楕円形をしており、濃い緑色の皮に覆われています。果肉は乳白色からオレンジ色で、中心部分がゼリー状になっているのが特徴的で、切ると花のような美しい断面が現れます。未熟なものは酸味が強く、梨のようなざらつきがありますが、熟すとバナナやパイナップルのような甘い香りが強くなり、果肉も柔らかくなります。
しかし、完熟した果肉にも、梨の芯のような、わずかなザラザラ感や粒々感が残ることがあり、それが苦手と感じる方もいます。私も複数の品種を試食した結果、この食感が生食に向かないと感じる理由の一つだと感じました。このように、フェイジョアは生育段階によって異なる風味を持ち、多様な楽しみ方ができる果物です。生食が苦手な場合でも、加工することでその魅力を最大限に引き出すことができます。

フェイジョアの旬と主な産地について
フェイジョアの収穫時期は、一般的に10月中旬から11月下旬にかけてです。収穫後、10日から2週間ほど追熟させることで、11月から12月中旬にかけてが最も美味しい時期となります。国内では、香川県、福岡県、福島県、神奈川県などが主な産地として知られています。海外では、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカなどで広く栽培されており、特にニュージーランドやオーストラリアでは、非常に一般的な果物として親しまれています。日本でも、近年人気が高まっていることから、栽培地域は徐々に拡大しています。
美味しいフェイジョアの選び方と食べ頃の見分け方
フェイジョアを選ぶ際は、まず表面に傷がないか確認しましょう。食べ頃の見分け方としては、軽く押さえた時に少しへこむ程度の柔らかさがあり、甘く強い香りが漂っているものがおすすめです。すぐに食べない場合は、少し硬めのものを選ぶと日持ちします。フェイジョアは追熟によって風味が変化するため、購入後に好みの熟度になるまで待つのも良いでしょう。
フェイジョアの多様な楽しみ方:生食、加工、そして花の活用法
フェイジョアは、その独特の風味と食感を活かして、様々な味わい方があります。シンプルに果実そのものの味を堪能したいなら、生のまま食べるのが一番です。キウイのように半分に切り、スプーンで果肉をすくって食べるのがおすすめです。完熟したフェイジョアの芳醇な香りと甘みが口いっぱいに広がり、トロピカルな気分を味わえます。しかし、以前にも触れたように、特有のザラザラした食感が苦手で、生食では魅力を感じにくいという人もいます。そういった人にもフェイジョアを美味しく味わってもらうために、様々な調理法やレシピが存在します。フェイジョアのポテンシャルは、あの独特な香りを活かした加工品にこそあると言えるでしょう。

フェイジョアの加工における挑戦:生食の壁と解決策
フェイジョアを美味しく食べるために避けて通れないのが、あの独特な食感です。多くの人が、熟したフェイジョアのバナナやパイナップルを思わせる甘い香りに惹かれますが、実際に口にすると、梨の芯に近い部分のようなザラザラ、あるいはブツブツした舌触りが好き嫌いを分けます。私も、丹精込めて育てたフェイジョアをそのまま食べた時、この食感が気になり、「これは生食は厳しいかもしれない」と感じました。そこで、この食感を克服し、フェイジョアの素晴らしい香りと甘さを最大限に引き出すための加工方法を模索しました。果肉の食感が苦手な場合でも、豊かな香りと果汁を活かすことで、全く違う、そして非常に魅力的な味覚体験を生み出すことができるのです。
意外な落とし穴?フェイジョアジャムの試練
フェイジョアのレシピをネットで検索すると、よく見かけるのが「フェイジョアジャム」です。確かにフェイジョアの果実は良い香りを持っているので、「煮詰めたらあの気になるつぶつぶ感も消えるのでは?」と期待するのも当然かもしれません。しかし、実際にジャムを作ってみると、期待外れに終わることもあります。煮込んでも、あのつぶつぶ感が強烈に残り、せっかくの香りが損なわれたように感じる人もいます。もし、あの独特な食感が苦手な場合は、ジャムにする際に裏ごしするなど、滑らかにする工夫が必要です。一方で、梨の芯の周辺の食感が好きな人にとっては、あの食感が気にならず、美味しくジャムを楽しめる可能性もあります。この例は、フェイジョアの特性を理解し、適切な調理方法を選ぶことの重要性を示しています。
おすすめレシピ1:誰もが夢中になるフェイジョアシロップ
フェイジョアの果肉の食感が気になるなら、その香りと果汁を最大限に活かすのが、最高の楽しみ方の一つです。その代表が「フェイジョアシロップ」で、これを作るためにフェイジョアを育てていると言っても良いほど、とても美味しいと評判です。シロップは子供にも大人気で、一度味わった友達が遊びに来るたびに「あのジュースが飲みたい!」と、フェイジョアシロップの炭酸水割りをリクエストされるほどです。まだまだ知られていないフェイジョアですが、最初は警戒していた果実のシロップが、今では大人気になる面白さも持ち合わせています。フェイジョアシロップは、水や炭酸水で割ってジュースとして楽しむだけでなく、焼酎やブランデーなどで割れば大人なカクテルにもなります。作り方も簡単で、フェイジョアを洗い、水気を拭き取って輪切りにします。カットしたフェイジョアと砂糖を1:1の割合で瓶に入れ、漬け込むだけです。カビを防ぐため、毎日瓶を振って混ぜることが大切です。砂糖の種類を変えることで、より奥深い味わいを楽しめます。例えば、氷砂糖、きび砂糖、てんさい糖を混ぜて使うのもおすすめです。特に氷砂糖を3割程度加えると、溶けやすく失敗しにくいでしょう。果実シロップは本当に美味しくて万能なので、フェイジョアがたくさん手に入った際は、ぜひシロップ作りに挑戦してみてください。当園でも実証済みの、自信を持っておすすめできる果実シロップです。
おすすめレシピ2:カレーを格上げするフェイジョアチャツネ
フェイジョアをさらに楽しむ方法として、「チャツネ」作りはいかがでしょうか。チャツネは、インド料理で欠かせない存在のペースト状の万能調味料。フルーツや野菜、スパイス、ハーブなどを細かくして煮詰めたものです。フェイジョアでチャツネを作る際、特有のザラザラとした舌触りが最初は気になるかもしれません。しかし、このチャツネが真価を発揮するのはカレーに加えた時です。少量加えるだけで、カレーの味がぐっと深みを増し、複雑で豊かな風味に変わります。そして、不思議なことに、あの気になるザラザラ感も全く気にならなくなるのです。家族からも大好評で、我が家では大成功のレシピとなりました。一度に使う量は少ないため、長期保存のために冷凍保存するのがおすすめです。フェイジョアチャツネのレシピは日本のサイトでは少ないため、海外のレシピを参考にしました。基本的な材料を揃え、焦げ付かないように時々混ぜながら弱火でじっくりと3時間ほど煮込みます。全体にとろみが出て、濃い茶色になったら、熱いうちに消毒済みの瓶に詰めて完成です。チャツネの材料には、フェイジョアの他にモルトビネガーなどが使われます。モルトビネガーは、カルディや成城石井などの輸入食品店で見つけることができます。
おすすめレシピ3:食卓を彩るフェイジョアの花びらサラダ

フェイジョアの魅力は、果実だけではありません。5月から6月にかけて咲く美しい花は、「女王の耳飾り」と呼ばれるフクシアに似た豪華な姿で、美味しく食べられます。果実とは異なり、花びらには独特のザラザラ感がありません。甘く爽やかな香りと、肉厚で柔らかい食感を楽しめます。さらに、フェイジョアの花びらには、ポリフェノールやフラボノイドなどの抗酸化物質が豊富に含まれており、体の酸化を防ぐ効果が期待できる、注目のエディブルフラワーです。サラダに散らすだけで食卓が華やかになるので、特におすすめです。海外では、肉料理に添えたり、ヨーグルトやアイスクリームのトッピング、お菓子の飾り付けにも使われています。ただし、花びらの中心にある赤い部分は苦味があるため、取り除いてから食べるようにしましょう。
まとめ
フェイジョアは、日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、花も果実も楽しめる、南米原産の魅力的な果物です。「パイナップルグァバ」という別名が示すように、強い香りと、熟した時の甘さが特徴です。生で食べるとザラザラとした食感が気になる方もいるかもしれませんが、シロップやチャツネ、花びらを使ったサラダなど、色々なレシピを試すことで、その美味しさを最大限に引き出すことができます。もし、フェイジョアの果実を生で食べて「思っていた味と違う…」と感じたことがある方や、果実の活用方法に困って伐採を考えている方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、これらのアレンジレシピを試してみてください。きっとフェイジョアに対する印象が変わり、その独特な風味と香りの虜になるはずです。スーパーで見かけることは少ないかもしれませんが、市場や農産物直売所で見つけた際には、ぜひ色々な食べ方を試してみてください。
フェイジョアとはどんな果物?
フェイジョアは、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル南部など、南米が原産のフトモモ科の植物で、和名では「パイナップルグァバ」と呼ばれています。果実だけでなく、花も食べられるのが特徴です。収穫時期は10月中旬から11月下旬で、熟すと甘く濃厚な香りを放ちます。近年では、その個性的な風味と育てやすさから、家庭菜園でも人気が高まっています。
フェイジョアの果実の味の特徴は何ですか?
完熟したフェイジョアの果実は、エキゾチックな香りが特徴で、バナナやパイナップルを思わせる甘美な香りを放ちます。果肉は乳白色からオレンジ色へと変化し、中心部分はゼリーのように柔らかく、とろけるような口当たりです。ただし、熟していない場合は酸味が強く、熟していても、梨の芯に近い部分のような独特のざらつきを感じる人もいます。この食感が、好みが分かれる理由の一つかもしれません。
美味しいフェイジョアを選ぶコツと、食べ頃を見分けるポイントは?
美味しいフェイジョアを選ぶには、まず果皮に傷がないか丁寧に確認しましょう。食べ頃のサインとしては、軽く押さえるとわずかにへこむ程度の柔らかさがあり、甘く芳醇な香りが漂ってくることが挙げられます。すぐに食べない場合は、少し硬めのものを選ぶと日持ちします。フェイジョアは追熟することで風味がより豊かになるため、購入後に好みの熟度まで追熟させるのもおすすめです。
フェイジョアの独特な食感が苦手な場合、おすすめの食べ方はありますか?
フェイジョアを生で食べる際の食感が気になる方には、加工して楽しむ方法が最適です。特に、フェイジョアの豊かな香りを最大限に活かした自家製シロップは絶品です。水や炭酸水で割って爽やかなドリンクとして楽しむのはもちろん、カクテルに加えても美味しくいただけます。また、意外なところでは、インド料理のチャツネにするのもおすすめです。カレーに少量加えることで、風味に奥行きが生まれ、フェイジョアの食感も気にならなくなります。
フェイジョアの花は食べられますか?どのように利用できますか?
はい、フェイジョアの花びらは食用として楽しむことができます。5月から6月にかけて開花するフェイジョアの花は、甘く爽やかな香りを持ち、肉厚で柔らかな食感が特徴です。果実のようなざらつきもないため、より食べやすいでしょう。サラダに散らして彩りを添えたり、ヨーグルトやアイスクリームのトッピング、ケーキなどのデコレーションにも最適です。さらに、ポリフェノールやフラボノイドなどの抗酸化成分も豊富で、健康的なエディブルフラワーとしても注目されています。ただし、花の中央にある赤い部分は苦味があるので、取り除いてからお召し上がりください。