生クリームとフレッシュの違いとは?選び方から使い分けまで徹底解説



生クリームとは?

生クリームは、牛乳や生乳を分離して脂肪分を濃縮したものです。遠心分離によってクリームと脱脂乳に分け、その後、殺菌や均質化といった処理を行い、さらに熟成させることで作られます。特長は、牛乳本来の豊かな風味と、とろけるようななめらかな舌触り。お菓子作りだけでなく、料理にも幅広く使われる人気の乳製品です。製品表示では「クリーム」と記載され、「純生クリーム」や「フレッシュクリーム」と呼ばれることもあります。
食品衛生法に基づく乳等省令では、クリームは「生乳、牛乳または特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去し、乳脂肪分が18.0%以上」と規定されています。つまり、生クリームと表示できるものは、植物性脂肪や添加物を使用していないものに限られます。

生クリームとフレッシュの違い

生クリームとフレッシュは、どちらも乳製品ですが、乳脂肪分の含有量と製造方法に違いがあります。生クリームは牛乳から分離した乳脂肪分を濃縮したもので、乳脂肪分が18%以上のものを指します。一方、フレッシュは植物性油脂などを主原料とし、乳脂肪分はほとんど含まれていないか、ごく少量しか含まれていません。そのため、生クリームはコクがあり濃厚な風味を持ち、ホイップしたり、料理やお菓子に風味とコクを加えるために使用されます。フレッシュは、比較的あっさりとした味わいで、コーヒーや紅茶に入れたり、料理の彩りとして使われることが多いです。

生クリームとホイップクリームの違い

生クリームが牛乳や生乳を原料とするのに対し、ホイップクリームは、作業性や日持ちを良くするために、植物性油脂や乳化剤、安定剤などの添加物を加えて作られます。食品表示上は「乳等を主要原料とする食品」に分類され、原材料の違いによってさらに細かく分類されます。「ホイップ」という言葉には「泡立てる」という意味があるため、泡立てたクリーム全般をホイップクリームと呼ぶこともありますが、ここでいうホイップクリームは、植物性油脂や添加物などを加えたものを指します。

クリームの種類と選び方

クリームには様々な種類があり、用途や作りたいもの、好みに合わせて選ぶことが大切です。ここでは、クリームの種類、乳脂肪分の違い、サイズという3つのポイントから、クリームの選び方をご紹介します。

クリームの種類で選ぶ

クリームは大きく分けて、動物性クリーム(生クリーム、純乳脂肪クリーム)、コンパウンドクリーム、植物性クリームの3種類があります。それぞれの特性を理解し、用途に最適なクリームを選びましょう。

生クリーム(動物性クリーム)

濃厚なミルクの風味とコクを存分に味わいたい方や、できるだけ添加物の少ないものを選びたいという方には、乳脂肪のみで作られた生クリームがおすすめです。原料となる生乳や牛乳の種類によって色味が異なり、わずかに黄みがかった白色をしているのが特徴です。乳脂肪分の高い生クリームはデリケートで分離しやすい傾向があるため、泡立てに不慣れな場合は注意が必要です。
ホイップクリームは、泡立てて使用することを前提として作られています。そのため、泡立てる手間を省きたい料理に使用する場合は、ダイレクトにミルクの風味やコクをプラスできる生クリームが適しています。また、植物性クリームは加熱によって分離しやすい性質を持つため、グラタンや煮込み料理など、加熱調理には生クリームの使用がおすすめです。

純乳脂クリーム(動物性クリーム)

生クリーム本来の美味しさを保ちつつ、より扱いやすいクリームをお探しの方には、植物性脂肪を一切含まない純乳脂クリームが最適です。乳化剤や安定剤の働きにより、一般的な生クリームと比較して分離しにくく、安定性や保形性に優れている点が特徴です。

コンパウンドクリーム(動物性クリーム+植物性クリーム)

純乳脂クリームよりもさらに作業効率が良いのが、クリームに植物性脂肪を加えたコンパウンドクリームです。製品によって乳脂肪と植物性脂肪の割合は異なり、乳脂肪の割合が多いほど生クリームに近い風味になり、植物性脂肪の割合が多いほど植物性クリームの特徴が際立ちます。生乳100%の生クリームに比べると風味はやや劣りますが、口当たりの軽さが特徴で、比較的安価に入手できます。

植物性クリーム

動物性クリームに比べると風味や口溶けは劣りますが、軽やかでさっぱりとした仕上がりを求める場合は、植物性クリームがおすすめです。泡立てるのにやや時間がかかるものの、分離しにくく、泡立て後の状態も安定しています。また、生クリーム特有の黄みが少ないため、白さを際立たせたいスイーツにも適しています。植物性クリームの主な原料は、パーム油やヤシ油などです。

乳脂肪分の違いに着目

お店で生クリームを選ぶ際、パッケージに「36%」「45%」といった数字が書かれているのを目にするでしょう。これは乳脂肪分の割合を示しており、数値が高いほど濃厚でコクのある味わい、低いほどさっぱりとして軽い口当たりになります。

18~30%:コーヒー用クリーム

主にコーヒー、紅茶、ココアなどの飲み物に加えることを想定したクリームです。ホイップするには乳脂肪分が不足しているため、泡立てには適していません。

35~50%:ホイップに適したクリーム

軽い食感のムースなどには35~38%程度の低脂肪クリーム、ケーキのデコレーションには40%以上のものがおすすめです。乳脂肪分が高いほど泡立ちやすい反面、泡立てすぎると分離してしまうことがあるので注意が必要です。
乳脂肪分の違いによって、泡立てや絞りにどのような差が出るのでしょうか?乳脂肪分36%と45%の生クリームを例に比較してみました。
泡立ちの違い
  • 乳脂肪分36%:泡立つまでにやや時間がかかります。脂肪分が少ない分、空気を含みやすく、ふんわりと軽い仕上がりになります。
  • 乳脂肪分45%:比較的早く泡立ち、しっかりとした硬さが出ます。泡立てすぎると分離しやすいので注意が必要です。
絞りの違い
  • 乳脂肪分36%:クリームが柔らかく、絞った形が崩れやすい傾向があります。
  • 乳脂肪分45%:クリームの形状を保つ力が強く、絞りのラインも綺麗に出ます。

容量で考える

生クリームは賞味期限が短く、開封後はなるべく早く使い切るのが理想です。そのため、購入する際は使用目的や頻度に合わせて適切なサイズを選ぶことが大切です。少量だけ使いたい場合や、ドリンク、料理に使う場合は200mlタイプ、お菓子作りなどでたくさん使う場合は1000mlタイプを選ぶと良いでしょう。
例えば、スポンジケーキを2枚にスライスして、サンドとデコレーションをする際に必要な生クリームの量はおおよそ以下の通りです。(乳脂肪分や泡立て方、デコレーションによって異なりますので、あくまで目安としてください。)

生クリームの保存方法

生クリームは非常にデリケートで、温度変化や振動に弱い性質を持っています。冷蔵庫(5℃程度)での保管が必須であり、温度変化の激しいドアポケットや、冷蔵庫の冷風が直接当たる場所は避けるようにしましょう。一度冷凍してしまうと、本来の泡立てるという用途で使用できなくなるため、注意が必要です。
もし生クリームが余ってしまった場合は、液体のまま冷凍すると分離してしまう可能性が高いため、泡立ててから冷凍保存することを推奨します。例えば、バットに少量ずつ絞り出し、冷凍庫で完全に凍らせた後、保存袋に入れて冷凍庫で保管します。凍った生クリームは、コーヒーやココアに加えることで、贅沢なドリンクとして楽しむことができます。

フレッシュの保存方法

フレッシュは、未開封であれば常温で保存できますが、開封後は必ず冷蔵庫で保存し、できるだけ早く使い切るようにしてください。開封後のコーヒーフレッシュは、品質が劣化しやすいため、冷蔵庫での保存であっても、数日以内に使い切るのが理想的です。また、直射日光や高温多湿を避け、清潔な状態で保管することが大切です。

まとめ

生クリームは、その種類や乳脂肪分の違いによって、お菓子作りや料理の出来栄えに大きな影響を与えます。この記事を参考に、様々な生クリームを試してみて、ご自身にとって最適なものを見つけてみてください。また、ご紹介したレシピを参考に、生クリームの新たな可能性を広げてみましょう。

質問:生クリームとフレッシュクリームの違いは何ですか?

回答:生クリームとフレッシュクリームは、基本的に同じものを指します。乳脂肪分が18%以上であり、乳化剤や安定剤などの添加物が加えられていないものを、一般的にそのように呼びます。

質問:生クリームを泡立てる際のコツはありますか?

回答:生クリームを泡立てる際には、事前に冷蔵庫でしっかりと冷やしてから使用し、ボウルや泡立て器も冷やしておくと、よりスムーズに泡立てることができます。一般的に、乳脂肪分の高いものほど泡立ちやすい傾向にありますが、泡立てすぎると分離してしまう可能性があるため、注意が必要です。

質問:生クリームとフレッシュクリームの違いは何ですか?

回答:生クリームとフレッシュクリームは、乳脂肪分の割合によって区別されます。日本では、乳脂肪分が18%以上のものを生クリームと呼び、それ以下のものをフレッシュクリームと呼ぶのが一般的です。風味や用途にわずかな違いがあり、お好みやレシピに合わせて使い分けるのがおすすめです。
フレッシュ生クリーム