生菓子 和菓子

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生菓子 和菓子

日本の四季折々の風物詩を色鮮やかに映し出す和菓子。その中でも、生菓子は職人の手造りにより、旬の食材の味と香りを最大限に活かした逸品です。見た目の美しさと口に含んだ瞬間の繊細な味わいは、日本人の心に響く贅沢な味覚体験。今回は、伝統の技と風味が凝縮された生菓子の魅力に迫ります。

生菓子の定義や意味とは?

生菓子(なまがし)とは、水分量が30%を超える菓子の総称です。和菓子だけでなく洋菓子も生菓子に含まれます。厚生労働省の定義では、1.出来立て水分40%以上のもの、2.餡、クリーム、ジャム、寒天などを使い水分30%以上のものが生菓子と規定されています。

生菓子は古代の日本に起源があり、当初は果物や木の実を「果子」と呼んでいました。奈良時代に渡来した「唐菓子」の影響で小麦粉や蜜を使った菓子が発展し、鎌倉~室町時代には中国から羊羹、ポルトガルからカステラが伝わりました。

上等な生菓子は「上生菓子」と呼ばれ、季節感や花鳥風月をモチーフにした一つ一つ丁寧に作られた菓子です。代表的な上生菓子に「練り切り」があり、色付けした生地で花や葉を形作る繊細な技法が特徴です。

生菓子の特徴について

日本の伝統に根付く生菓子は、水分を豊富に含んだお菓子です。加熱工程を経ずに作られるため、素材本来の風味や食感をそのままに生かすことができます。砂糖、小豆、あん、くり粉などの素朴な材料から作られ、優しい甘さと上品な味わいが特長です。季節ごとに旬の素材を使い分けることで、よもぎや抹茶、栗などの香りを楽しむことができます。

一方で、高い水分量が生菓子の魅力でもあり、欠点でもあります。新鮮でみずみずしい食感を味わえる反面、干菓子や半生菓子に比べて日持ちが短いのが難点です。しかし、その分いつでも新鮮な味わいを堪能できるのが生菓子の醍醐味なのです。

職人による手作りにこだわり、日本人の心遣いと季節を愛でる心が込められた生菓子は、長い歴史に培われた日本の味覚文化を体現しています。
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生菓子の種類【和菓子】

生菓子の主な種類についてご紹介します。

おはぎは、もち米やうるち米を潰して丸め、あんこで包んだ和菓子です。春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」と呼ばれ、季節によって呼び名が変わります。

どら焼きは、円盤状の2枚のカステラにあんこを挟んだ人気のお菓子です。「どら」の名前は打楽器の銅鑼の形状に由来するとされています。中身はあんこ以外にも、芋あん、カスタードクリーム、生クリーム、栗などさまざまな具材が使われています。

羊羹には、寒天の量で「練り羊羹」と「水羊羹」に分けられます。練り羊羹は寒天が多くねっとりとした食感、水羊羹は寒天が少なくツルリとした味わいが特徴です。

練り切りは、白あんとつなぎを混ぜ合わせた茶道でおなじみの和菓子です。梅や桜、紅葉などをモチーフにしたデザインが美しく、上質な生菓子として扱われています。

生菓子の種類【洋菓子】

洋菓子の多様な魅力は、その種類の豊富さと素材や製法の違いによる味わいの違いにあります。代表的なものとしてケーキ、タルト、プリン、ムース、パフェなどが挙げられます。

ケーキは、スポンジ生地を基本に、バタークリームやフルーツ、チョコレートなどを組み合わせてデコレーションされています。例えばショートケーキは、スポンジ生地と生クリーム、スライスしたいちごを重ね、表面を生クリームでコーティングし、上にいちごを並べたケーキです。生クリームやフルーツ類の水分量が多いため、ショートケーキを含むフルーツケーキは生菓子に分類されます。

一方、タルトはパイ生地の上にカスタードクリームやフルーツを盛り付けた洋風の焼き菓子です。シュークリームは、シュー生地の中に生クリームやカスタードクリームを詰めたフランス菓子で、ふんわり膨らんだ形状がキャベツに見えることから名付けられました。パイも生菓子に分類され、折りパイと練りパイの2種類があります。折りパイは生地とバターの油脂層から作られ、サクサク食感が特徴的です。一方、練りパイは生地にバターを練りこんで作られ、さっくりとした食感が楽しめます。

プリンやムースは卵や生クリームを主な素材とし、滑らかな食感が魅力です。パフェはグラスに様々な生菓子を重ねた贅沢な一品で、目でも味わえる魅力があります。このように洋菓子には多彩な種類がありますが、共通しているのは高級な素材を使い、丁寧に作られていることです。手間暇をかけて作られた逸品は、食する人に至福の時間をもたらしてくれるでしょう。
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生菓子でよくある質問

日本の伝統的なお菓子、生菓子は風味豊かで上品な味わいが人気の理由です。しかし、生地を使うため保存が難しく、特有の注意点があります。

生菓子は開封後、冷蔵状態で2、3日が賞味期限の目安です。乾燥に弱いため、なるべく早めに食べるのがおすすめです。主に砂糖、小麦粉、卵で作られるため、カロリーは決して低くありません。上品な味わいを堪能するなら、適量を意識することが肝心でしょう。

生菓子には、羊羹、豆乳飴、資生堂羊羹、田楽羊羹など多彩な種類があります。食べ慣れた味から珍しい味まで、お好みに合わせて選ぶのが生菓子の醍醐味です。保存方法や賞味期限は種類によって異なるため、商品の表示をよく確認しましょう。

まとめ

旬の味覚を余すことなく味わえる生菓子は、日本人の心に寄り添う上品な味わいです。生菓子には年中行事や風物詩が映し出され、職人の技が光ります。一口に含んだ瞬間、繊細な味と香りが口中に広がり、心を癒やされます。日本の四季を堪能できる生菓子は、日本文化の粋を味わえる至高の逸品です。伝統の技に培われた風味に、日本人の心が息づいています。

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