魅惑のフランススイーツ:甘美な美食の世界へようこそ

フランスのスイーツは、どれも見た目にも美しく、その味わいは一口ごとに新たな発見をもたらします。パティスリーのショーケースに並ぶマカロンやエクレア、タルトは、まさに芸術品。この甘美な美食の世界は、訪れる人々に甘い誘惑を提供し、忘れられない体験を約束します。フランスのデザート文化は食材へのこだわりと確かな技術によって洗練されており、その魅力は歴史と共に進化し続けています。さあ、この優雅なスイーツの世界へ足を踏み入れましょう。

1.フィナンシェ

このフランス焼き菓子は、グランエスト地方にルーツを持ち、“金融家”や“裕福な人”を象徴するものとして広く人気があります。外はカリッとしながら中はしっとりした食感で、香ばしいバターとアーモンドの風味が特徴です。主な材料は焦がしバター、小麦粉、砂糖、卵白、アーモンドプードルで、オーブンで丁寧に焼き上げられます。

 

2. マドレーヌ

丸みを帯びた貝殻型の型で焼かれる小さなケーキで、そのしっとりした食感と優しい甘さが魅力的です。この菓子は、ロレーヌ地方(現グランエスト地方)に起源があるとされています。フィナンシェに比べ、外側も内側もより柔らかく、ふんわりしています。主な材料はバター、薄力粉、砂糖、全卵、ベーキングパウダー、バニラエッセンスなどが含まれ、バターは焦がさずに使用されます。マドレーヌは、多くの日本家庭に馴染み深い洋菓子の一つですね。

3.マカロン

卵白、アーモンドパウダー、砂糖を使ったカラフルな生地の間にクリームを挟んだ、可愛らしく甘いお菓子です。ピンクや黄緑の生地はとてもポップで目を引きます。起源はイタリアのマッケンローネで、ヴァロワ王朝期にカトリーヌ・ド・メディシスがアンリ2世の元に嫁いできた際に伝わったとされています。

日本では2005年頃にブームになりました。今では日本でも定番のスイーツになりました。

4.ラングドシャクッキー

フランスのノルマンディー地方で生まれた繊細なクッキーが特徴です。アーモンドが入った薄焼き菓子で、そのパリッとした食感が魅力的です。フランス語で「猫の舌」という意味を持ち、バターと卵白を混ぜ合わせた生地によって、甘くコクのある味わいを楽しめます。

基本的には平らな形をしていますが、棒状に巻いたり、ミニサイズに仕立てたり、チョコレートでコーティングしたりと、さまざまなバリエーションを楽しむことができます。スーパーマーケットでも似たようなお菓子がよく見られ、非常に美味しいです。

5. フロランタン

サクサクのサブレ生地の上に、甘いキャラメルでコーティングされたスライスアーモンドが乗った焼き菓子があります。

これもまたマカロンと同様に、イタリア出身のカトリーヌ・ド・メディシスがフランスに持ち込んだお菓子で、「フロランタン」という名前は「フィレンツェの」という意味のフランス語から来ています。彼女の出身地にちなんでいるとの説もあるようです。(※諸説あり)

6.ダックワーズ

アーモンドの風味が漂うメレンゲを使用した焼き菓子です。生地の間に挟まれたクリームが特徴で、軽やかなメレンゲの食感が魅力です。外側はパリッと、中はふんわりとした独特の口当たりで、フランスではケーキのベースとしても親しまれています。名前の由来はフランス南東部の都市、ダックスからきています。

この菓子の基になったのは、19世紀にダックスで作られていた「アンリ4世」と呼ばれるお菓子でした。そのスポンジ生地が改良され、ダックワーズが誕生したと言われています。日本の福岡にある「パリ16区」という洋菓子店のオーナーシェフが考案した小判形が発表され、現在ではフランスでもこの形のダックワーズを見かけます。

やややこしいですが、前述のマカロンの話に登場するカトリーヌ・ド・メディシスの夫はアンリ2世であり、アンリ4世はその娘婿にあたります。

7. アップサイドダウンアップルパイ

フランスの伝統的なアップルパイ、タルトタタン。

その誕生は19世紀、フランスのサントルヴァルロワール地方に位置するラモットブーヴロンという小さな町での出来事です。タタン姉妹がりんごのタルトを作る際に、誤ってタルト生地を敷かずにリンゴを調理してしまい、急遽タルト生地を上にかぶせて焼き上げました。焼きあがったタルトをひっくり返すと、思いがけず美味しいデザートが完成したのです。

8. クイニーアマン

ブルターニュ地方の名物である焼き菓子には、デニッシュのような生地がキャラメリゼされたものがあります。このお菓子は、パリパリとした食感とリッチなバターの風味が魅力です。

1860年、ブルターニュで小麦粉が不足していた時期に、あるパン屋が斬新な配分でパン生地を作りました。小麦粉400g、バター300g、砂糖300gを用いた生地を焼き上げたことで、非常に美味しいクイニーアマンというお菓子が誕生しました。このように、材料が限られる状況で生まれた新たな味の発見だったのです。ちなみに、有名な「パンがなければお菓子を食べればいい」という言葉に登場するお菓子は、実のところブリオッシュとのことです。

デニッシュは層状の生地が特徴でサクサクした食感ですが、ブリオッシュはバターや卵を使ってふんわりと焼かれたリッチなパンです。フランスではどちらもパン屋や菓子屋で親しまれています。

日本ではパン屋でよく見かけるクイニーアマンですが、カロリーが非常に高いので、クロワッサンよりも摂取には気を付けた方が良いかもしれません。

9.クグロフ

アルザス地方はフランス北部に位置し、ドイツやスイスの国境に接する地域で、ここで生まれた伝統的なお菓子があります。小麦粉、バター、卵、砂糖などを使った生地を発酵させて作り、パンのような風味が特長です。このお菓子は王冠に似た形をしており、クリスマスのお祝いに欠かせない存在です。また、洋酒で漬けたドライフルーツがふんだんに使われ、フランス国内のみならずオーストリアやスイスでも親しまれています。

この美味しい菓子は、マリー・アントワネットがオーストリアからフランスに嫁ぐ際に持ち込まれたと言われています。彼女はその菓子を特に好んでいたそうです。実際にはアルザスの郷土菓子で、彼女の父がアルザス出身であったため、ウィーンを経由してベルサイユで人気を博し、逆輸入的に伝わったという背景があります。アルザス地方は、国境に位置するため、歴史的にフランスとドイツの間を行き来することが多かった地域でもあります。

日本ではパン屋で見つけることができるでしょう。

10. カヌレ

ラム酒が入ったスイーツ。外は香ばしくカリッとした食感ですが、中はしっとりとしています。

16世紀頃にフランス・ボルドーの修道院で生まれたと言われ、ワイン製造の副産物である卵黄を活用するためのお菓子だったようです。

近頃、カヌレが大人気です!どこを見てもカヌレがたくさん。カヌレには、コーヒーや紅茶だけでなく、ワインと合わせても抜群ですよ。

11.ガトーバスク

スペイン国境近くのバスク地方で作られる伝統的な焼き菓子には、アーモンドを練り込んだクッキー生地にカスタードクリームやアーモンドクリーム、ジャムなどを入れたものがあります。このお菓子は18世紀の漁師たちの保存食であったビスコチャフから19世紀に変化したものとされています。ただし、バスクチーズケーキとは違うものです。

12.クッキー

クッキーが広まった国はどこでしょう?実は、それはアメリカです。英国から広がったのがビスケットなら、フランスからは「サブレ」が知られています。

クッキーとビスケットの違いは、本質的にはアメリカ英語とイギリス英語による言葉の違いに過ぎないようです。対して、サブレはクッキーやビスケットの一種で、特にバターの香りが豊かでサクサクとした食感が特徴となっています。言い換えれば、サクサクしたクッキーとも言えるでしょう。

一般的なサブレにはショートニングやバターが使われ、ベーキングパウダーは不使用なため、軽いサクサク感が生まれます。この食感が砂に似ていることから、フランス語で「砂」を意味する「sable(サブル)」に由来するとされています。また一説には、17世紀にサブレ伯爵夫人のレシピがフランスで人気を博し、そこから広まったとも言われています。

13.スノーボールクッキー

フランス語で「雪玉」を意味するこの名前は、英語では「スノーボール」として知られています。卵を使わずにバター、砂糖、そして粉類から作られたクッキーで、表面に粉砂糖がかかっています。その愛らしい白く丸い姿と、口の中で優しく崩れる食感は人気を集めています。

スペイン・アンダルシア地方にある伝統菓子「ポルボロン」が起源とされていますが、異なる作り方と食感を持っているようです。

14.ガレット・デ・ロワ

フランスの伝統的なお菓子で、アーモンドクリーム入りのパイが一般的です。そしてその上には王冠を載せます。中には「フェーブ」と呼ばれる小さな陶器の人形が入っているため、誤飲に注意が必要です。このお菓子は1月6日、東方の三博士がキリストを訪ねた日を祝うために家族で分けて食べられます。フェーブの入ったパイを当てた人は、王冠をかぶり、1年間の幸運が訪れるとされています。これはフランス各地で親しまれています。

この陶器の人形がパイに入るようになったのはなぜでしょうか。元々はそら豆が使われていましたが、19世紀に陶磁器が流行し、パリの菓子職人がドイツ・マイセン製の陶器人形を使い始めたのが始まりとされています。当初、フェーヴはキリストの赤ちゃんの姿をしていたそうですが、今では様々な可愛らしいフェーヴが存在し、どんなデザインが出てくるか楽しみになりますね。

日本ではガレット・デ・ロワのフェーヴが飲み込まれないように、パイの中ではなく別で提供されることが多いです。

15.ガレット・ブルトンヌ

フランスのブルターニュ地方はモンサンミッシェルでよく知られています。この地域の名物は、バターをたっぷり使用した厚焼きのサブレーです。そのザクザクとした歯ごたえとバターの豊かな香りが絶妙です。「ブルトンヌ」という言葉は「ブルターニュ風の」という意味を持ちます。

ブルターニュはイギリス海峡に位置する島で、過去にケルト人がイギリスからこの地に移住した際に、イギリスのショートブレットと呼ばれる伝統的なお菓子を持ち込み、現地の有塩バターを使用して作られるようになったのが始まりと言われています。

スイーツ