フランスの菓子文化には長い歴史と豊かな伝統があり、世界中の人々を魅了してきました。その中でもシュークリームは、軽やかなシュー生地となめらかなクリームの絶妙な調和が人気の秘密です。さまざまな風味やデコレーションを施された個性的なシュークリームは、フランス菓子の代表格として世界中で愛されています。
シュークリームとは?
シュークリームは世界中で親しまれているスイーツですが、その名称には注意が必要です。この言葉は和製英語であり、海外では正しく伝わりません。英語ならば"クリーム・パフ"、フランス語では"シュー・ア・ラ・クレーム"と呼ばれます。 この菓子の名前の由来は、フランス語の"シュー(chou:キャベツなどの意味)"と"クレーム(crème:クリームの意味)"を組み合わせたものです。日本では食べ応えのある一品として人気がありますが、その素朴な味わいと上品な甘さ、そして絶妙な食感の調和が魅力です。 一方で、日本ではサイズや詰め物のバリエーションが豊富です。中にはカスタードクリームや生クリーム、両方を詰めたものもあり、喫茶店やコンビニでも手軽に購入できます。日本人のおやつタイムに欠かせない存在となっている人気スイーツなのです。
シュークリームの起源
シュークリームは長い歴史と伝統を誇る菓子です。その起源には諸説ありますが、シュー生地がフランスに伝わったのは16世紀、カトリーヌ・ド・メディシスの連れ添うお抱え菓子職人ポプリーヌによるとされています。当初はポプリン(Popelin)と呼ばれていましたが、パリのパティシエジャン・アヴィスによって現在の生地に進化。見た目がキャベツに似ていたことから、パト・ア・シュー(pâte à chou)の名が付きました。 この頃は生地をシチューなどに浸して食べるものでしたが、18世紀後半、アントナン・カレームによって甘いクリームを詰めた現代的な形に変わりました。カレームはジャン・アヴィスの下で修業しており、師弟の手によってシュークリームは完成を見たと言えるでしょう。 長い年月を経て進化を遂げたシュークリームは、サクサクの食感となめらかなクリームの絶妙な味わいで、今なお世界中の人々に愛されています。
フランスのシュークリーム
フランスを代表する菓子といえば、口当たりの柔らかな生地となめらかなクリームが織り成す絶妙のハーモニーを持つシュークリームが挙げられます。しかし、日本で見かけるような伝統的なシュークリームは、フランスの菓子店や高級レストランではあまり見受けられません。 実際、フランス国内では「シュー・ア・ロンシエンヌ(chou à l'ancienne)」と呼ばれ、昔ながらの家庭的なお菓子として捉えられています。菓子職人によって改良されたとはいえ、フランス人の間では手軽に家庭で作れる菓子として位置付けられているのが実情です。 一方で、フランスの菓子文化は進化を重ね、現代風のシュークリームには季節の果物を使った斬新な味わいが加えられるなど、常に新しい試みが加えられています。フランス人の上品な味覚が反映された菓子はフランス文化の一部となり、世界中から高い評価を受けているのです。
シュークリームの仲間
甘くてふわふわのシュークリームは、誰もが親しむ人気のスイーツです。しかし、日本では形や素材こそ異なれ、シュー生地を使った様々な魅力的なスイーツが生み出されています。 フランス発祥の「エクレア」は、チョコレートコーティングに加え、コーヒーやバニラ風味のものも人気です。自転車レースに由来する「パリ・ブレスト」は、リング状のシュー生地にクリームを挟んだ斬新な形状が特徴的です。 一方で「プロフィトロール」は、小ぶりなシュークリームを指し、レストランではアツアツのチョコレートソースが掛けられた姿で提供されます。同様に小さなサイズの「シューケット」は、パールシュガーをまぶした可愛らしい一品です。 ボリューム満点の「クロカンブッシュ」は、積み重ねたシュー生地でつくられた大きなケーキです。一方のブルゴーニュ地方の「グジェール」は、チーズを練り込んだシンプルな味わいが魅力です。 このように日本では、シュークリームから派生した素晴らしいスイーツの数々が生まれています。食文化の違いを感じながら、バリエーション豊かなラインナップをお楽しみいただけます。
日本でのシュークリームの始まり
シュークリームは、明治維新後の西洋文化開放の流れの中で日本に上陸しました。当初は一部の富裕層にしか手が届かない高級洋菓子でしたが、やがて都市部を中心に洋菓子店が増え、一般庶民にも広く普及していきました。大正時代に入ると、シュークリームは日本人の味覚に完全に溶け込んだ菓子へと成長を遂げ、各地の老舗洋菓子店が自慢の品を競うほどブームとなりました。時代とともに変化を重ねながらも、シュークリームの本質的な魅力は色あせることなく、長きに渡り日本人に愛され続けてきました。
シュークリームは派生スイーツがいっぱい!
シュークリームは生地にカスタードクリームを詰めたスイーツですが、その可愛らしい姿から想像できないほど、様々な派生スイーツが日本には存在しています。例えばカカオの香り豊かな「チョコシュー」、コーヒー風味の「コーヒーシュー」、チーズクリームを詰めた「チーズシュー」、あずきを使った「あずきシュー」など、プレーンなシュークリームでは物足りなくなった方は、ユニークな商品を試してみるのがおすすめです。きっと新しい魅力に出会えるはずです。 一方、フランス国内のお店ではこうしたシュークリームの派生品はあまり見かけません。しかしエクレアやプロフィトロールなど、同じくシュー生地を使った定番スイーツは存在します。フランスを訪れた際は、こうした本場のシュー菓子を堪能してみてはいかがでしょうか。
まとめ
フランス菓子の至宝であるシュークリームは、軽やかなシュー生地となめらかなクリームの芳醇な味わいが楽しめます。シュークリームから派生したスイーツも豊富な種類がありますので、ぜひ味わってみて下さい。