いちじく 選び方
いちじくは栄養価が高く、風味豊かな果物として人気がありますが、新鮮で美味しいいちじくを選ぶには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。適切な時期に収穫されたいちじくを選び、適切な保存方法を知っておけば、いちじくの美味しさを存分に楽しむことができます。本記事では、いちじくの選び方のコツと、旬な食べ頃の見分け方をご紹介します。
いちじくは花を咲かせない?
いちじくは一般には無花果と呼ばれ、目に見える花を咲かせずに実をつける珍しい植物として知られています。しかし、実際にはユニークな構造を持ち、内部に無数の小さな花を宿しているのです。
いちじくの実と思われている部分は、実は咽頭花序と呼ばれる特殊な花の集合体なのです。一つのいちじくの実の中には、驚くべきことに約2000個もの小さな花が詰まっているとされています。
この不思議な構造のおかげで、いちじくは独自の小さな世界を内包しています。その世界では、いちじく蜜蜂が重要な役割を担っています。いちじく蜜蜂は花の受粉を行うため、いちじくの実の内部に入り込むのです。
つまり、いちじくは外見上は花を持たないように見えますが、実のなかに多数の小さな花を秘めた珍しい植物なのです。私たちが食べるいちじくの実は、実は無数の花の集まりだったのです。目に見えなくとも、いちじくには確かに花が存在するのです。
いちじくは大きく分けて3種類
いちじくは歴史ある果実で、100種類を超える品種があり、そのほとんどが西日本で栽培されています。現在国内で栽培されている主な3種類は以下の通りです。
■いちじく(桝井ドーフィン)
国内で流通しているいちじくの8割を占める代表的な品種です。果皮が茶色で固く、輸送に適しているのが特徴です。9月から10月が主な収穫時期で、生で食べるほか、ジャムやパンなどの加工品にも使われています。
※『桝井ド-フィン』は「有限会社キ―・エンタ―プライズ」の登録商標又は商標です。
■白いちじく
果皮が黄緑色に色付く品種で、代表的なものは「バナーネ」や「キング」です。酸味がほとんどなく、ねっとりと濃厚な甘味が特徴的です。10月下旬から12月にかけて収穫され、ドライフルーツにするのに適しています。
■黒いちじく
果皮が濃紫色で極甘な味わいが特徴の品種です。生産量は少ないながら、佐渡島で「ビオレソリエス」という品種が栽培されています。6月下旬から8月にかけて収穫でき、生食のほかワインの原料にも使われています。
このように、いちじくには様々な品種があり、それぞれ特有の色合いや甘味、食感を持ち、料理や加工品に多彩な風味を与えてくれる魅力的な果物なのです。
いちじくの主要な栄養価
いちじくは古より愛される栄養価の高い伝統果実です。1個約50gに含まれる主な栄養素は、たんぱく質0.5g、食物繊維約3gに加え、ビタミンKをはじめとするビタミン類、カルシウムや鉄などのミネラル分も豊富です。腸活性の良い食物繊維や、血液凝固・骨代謝に役立つビタミンK、赤血球形成に欠かせない鉄分など、バランスの取れた栄養素を凝縮。健康的なおやつや料理の素材として重宝される、古くから親しまれた実り豊かな果物なのです。
注目の栄養素!フィシンや植物性エストロゲン
近年、健康志向が高まる中で、フィシンや植物性エストロゲンなどの特定の栄養素が注目を集めています。フィシンは血管の健康維持に貢献し、動脈硬化の予防につながると考えられています。この栄養素は動物性たんぱく質に多く含まれており、特に魚介類から摂取することができます。一方、植物性エストロゲンは女性ホルモン様の働きを持つ成分で、大豆や亜麻仁に含まれています。更年期障害の緩和や骨粗しょう症リスクの低減が期待されますが、過剰摂取には注意が必要です。このように、フィシンと植物性エストロゲンは健康的な生活に役立つ可能性がある栄養素です。栄養バランスを意識しながら、適量のこれらの摂取を心がけましょう。
いちじくを調理する際のポイント
いちじくは実に豊かな風味と甘みを持つ贅沢な果実ですが、その魅力を最大限に引き出すには適切な調理方法が重要です。
まず、いちじくはデリケートな果実なので、扱いには細心の注意を払う必要があります。洗浄や皮むきの際は丁寧に手作業で行い、特に熟しているいちじくほど慎重に取り扱うことが賢明でしょう。
次に、生で食べるのが一般的ですが、焼いたり煮たりすることで風味がより深みを増します。焼く場合はオーブンで180度前後、10分程度加熱するのが適切です。煮る際は赤ワインやバルサミコ酢、はちみつなどの風味が合う調味料と共に、いちじくの美味しさを最大限に引き立てられます。
さらに、いちじくはチーズ、ナッツ、生ハムなどとの相性が抜群です。サラダやデザート、前菜に取り入れれば、洗練された一品に仕上がるでしょう。プロの手さばきで、いちじくの魅力的な味わいを最大限に生かすことができます。
新鮮でおいしいいちじくの選び方
いちじくの旬が訪れ、香り高く栄養たっぷりのこの実を愉しむ季節がやってまいりました。しかし、おいしいいちじくを手に入れるには、生産者の方々の深い知識と経験から学ぶべきポイントがございます。
まずは外観から。しっかりとしたハリのある実で、しわくちゃになっておらず、つぶれていないものを選びましょう。カビの生えた実や、茎から白い液体が出ているものは避ける必要があります。
次に香りを確かめるのが大切です。いちじくらしい濃厚な甘い香りが漂うものを吟味しましょう。香りが弱ければ、味に欠ける可能性が高くなります。
さらに色合いも手掛かりとなります。薄紫やグリーン系は収穫されたばかりの新鮮さを物語り、一方で濃い紫色は熟しすぎの危険もあります。
そしてぷくぷくとした実は、果汁がたっぷりで味わい深いはずです。重量感のあるものを選べば、旨味に満ちているに違いありません。
こうした細やかな気付きを持ち、丁寧に選び抜くことで、いちじくの真の美味しさが堪能できるでしょう。
まとめ
いちじくの選び方は、外観、におい、手触りを総合的に見ることが大切です。外観では、全体に均一な紫がかったピンク色で、つやがあり、しわや傷がないものを選びましょう。においは、芳香があり、新鮮な香りがするものがよいでしょう。手触りは、しっかりとしていて、適度な柔らかさがあるものを選びます。旬のいちじくは、6月から10月頃が最盛期です。このようにして選べば、甘みと香りに富んだ美味しいいちじくを楽しめます。