卵アレルギーのある方にとって、パン選びは時に難しいものです。卵は多くのパンレシピで使用される一般的な材料ですが、そのために美味しいパンを諦める必要はありません。卵なしでもしっかりとした食感と風味を持たせる工夫を凝らしたパンで、日常の食卓に新たな楽しみを加えてみませんか?
卵アレルギーについて
卵白に含まれる「オボアルブミン」や「オボムコイド」というタンパク質が主なアレルゲンです。
皮膚炎、じんましん、消化不良や呼吸器系の問題などが一般的な症状として表れます。
重篤な場合、アナフィラキシーショックを引き起こす危険性もあります。
抗原に対する反応は人によって異なり、「オボアルブミン」または「オボムコイド」に特に敏感な場合があります。
「オボアルブミン」は約60℃で変性する一方、「オボムコイド」は100度での加熱にも耐えると言われています。
完熟のゆで卵は大丈夫でも、半熟の場合アレルギーを起こすなら、「オボアルブミン」への反応が考えられます。
卵アレルギーの発症要因
国立成育医療研究センターが公表した研究結果によれば、94世帯の家庭環境を調査したところ、全ての家庭で寝具から採取したチリに卵アレルゲンが含まれていることが確認されました。
注目すべきは、卵アレルゲンの濃度がダニアレルゲンのそれを2倍以上上回っていた点です。
卵アレルギーの発生メカニズムはまだ完全には理解されていませんが、現在の考え方では、口から摂取する前に皮膚を通じてアレルゲンが体内に入り、アレルギー反応を引き起こす可能性があるとされています。
皮膚からの侵入?と不思議に思うかもしれませんが、卵由来の食品の微細なかけらが赤ちゃんの肌に触れることで、卵アレルゲンが体内に取り込まれる可能性があると考えられます。
卵を一度も口にしたことがない赤ちゃんが卵アレルギーを発症する理由が、これによって説明できるかもしれません。
卵アレルギーは改善する?
卵アレルギーは、大人よりも乳幼児に多く見られ、成長と共にその頻度は減少します。
多くの場合、小学校に入学するまでに90%の子供が改善すると言われています。
アレルギー対応のパン屋を営む中で、卵アレルギーの子供に多く接してきましたが、小学校入学前後にこのアレルギーを克服するケースが多いようです。
治療法として、「経口減感作療法」が存在します。この方法は、医師の監督の下でアレルギーの原因となる食品を少量ずつ摂取することで、体がアレルゲンに対する耐性をつけ、症状を軽減することを目的としています。
まだ発展途上の治療法であるため、万人に適用できるわけではありませんが、有望な結果が報告されています。この治療は慎重を要し、個人での判断は危険です。
わずかでも摂取し、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があります。担当の医師と相談の上、「経口減感作療法」を行っているクリニックを紹介してもらうことをお勧めします。
鶏肉や魚の卵は食べられる?
卵アレルギーであっても、鶏肉を食べることは可能です。
「卵」という名前が共通しているものの、魚卵アレルギーとは異なる性質を持っています。卵は栄養豊富な食品ですが、その栄養素は卵以外の食品からでも摂取できます。
肉や魚、大豆などをバランスよく摂取することで、卵を避けても必要な栄養を確保できると思います。
パン作りにおける卵の重要な役割
クッキーやビスケットにはしばしば卵が多く含まれており、その風味がしっかりと感じられます。パンの上に載せられるクッキー生地やメロンパンの表面には、卵の味わいが際立っています。
クッキーやメロンパンの生地には、小麦粉、砂糖、卵、そして油脂(バターやマーガリン)が基本的な材料として使われます。
さらに、多くの惣菜パンにはマヨネーズがトッピングされています。
食パンは卵を使用しないことがありますが、菓子パンや惣菜パンで卵を使わないレシピを見つけるのは容易ではありません。
卵を使った生地は鮮やかな黄色になり、ツヤも増します。焼き上げたときの艶やかな見た目が、菓子パンや惣菜パンをより一層食欲をそそるものにします。
パン生地に卵を加えたらどうなる?
卵を加えるとパン生地は鮮やかな黄色となり、見た目に美味しそうな輝きを持ちます。
また、つなぎとしての役割を果たすため、パンはよりよく膨らみ、ボリューム感が増します。
さらに、卵黄に含まれるレシチンは乳化剤として働き、生地が固くなるのを防ぎます。
ただし、卵の配合量には限りがあるため、強い卵風味のパンにすることはできません。
水分をすべて卵で代用しても、わずかに卵の香りが漂う程度です。ふんわりとしてしっとりしたパンを作りたい場合、卵を加えることが一般的です。
卵や乳製品を使わずに作られたパンはどこで買える?
卵や乳製品を使わないパンは、少し探せば近所でも手に入るかもしれません。それぞれの特性やポイントを把握し、自分に合った方法で購入を心掛けましょう。
オンラインショッピング
卵や乳を使わないパンを探しているなら、オンライン購入も良い選択肢です。有名メーカーや人気のパン屋が運営する数多くのオンラインショップがあり、豊富な種類から選ぶ楽しみがあります。
また、多くの商品が原材料を詳しく表示しており、「卵不使用」といった条件で簡単に検索できますので、目的のパンを見つけやすいのも魅力です。
ただし、少量購入が難しかったり、冷凍で届く商品もあるため、保存方法や食べ方を考慮して購入するようにしましょう。
ベーカリーショップ
卵や乳製品を使わないパンは、パン作りに熱心なパン屋さんであれば手に入れることができるでしょう。
しかし、大量生産の袋入りパンとは異なり、原材料の詳細が表示されていないことが多いため、卵が含まれていないかどうかが分かりにくい場合もあります。
パン屋で卵・乳製品不使用のパンを購入する際には、スタッフにそれらの材料が使われているかを確認することをおすすめします。