愛犬の健康を考える際に、食事の選択は重要な要素の一つです。ヨーグルトに含まれるプロバイオティクスは腸内環境の改善に役立ち、消化吸収を助けるとされています。しかし、与える際には注意も必要です。適切な量や成分の把握はもちろん、全ての犬に合うわけではないため、その特性を理解することが大切です。ここでは、犬にヨーグルトを与える健康効果とその注意点について詳しく解説します。
ヨーグルトが持つ驚異的な効能
適温に戻したヨーグルトなら、犬に与えても大丈夫です。ヨーグルトは発酵食品であり、乳酸菌やビフィズス菌といった腸内を整える善玉菌を含んでいます。これらは便秘の解消にも役立つことから、人にもおすすめです。また、ヨーグルトにはタンパク質、ビタミン、カルシウム、脂質など、多くの栄養素が含まれており、乳酸菌がこれらを分解するため、消化吸収がしやすいと言われています。
ただし、市販のヨーグルトには脂質が多いものもあるため、犬には脂肪分や糖分が控えめのものを選ぶと良いでしょう。
犬にヨーグルトを与えることで期待できる効果として、整腸作用、免疫力の向上、口臭予防、アレルギーの抑制や改善があります。
犬の腸内環境を整えるには、ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌が役立ちます。たくさんの免疫細胞が存在する腸を健康に保つことは、犬の健康維持にもつながります。
特にシニア犬では乳酸菌が減少する傾向があるため、ヨーグルトを定期的に与えることで、健康をサポートできるかもしれません。このため、ヨーグルトは犬が簡単に食べられる食品としておすすめです。
愛犬に適したヨーグルトの選び方とその与え方
犬にヨーグルトを与えるなら、無糖で低脂質のプレーンヨーグルトを選ぶことが大切です。カロリーを気にしつつ、適量を与えることも重要です。
日常の食事に混ぜて与えることも良い方法ですし、そのままおやつとして与えるのもいいでしょう。ただし、食べ過ぎは下痢の原因になる可能性があるため注意が必要です。
犬に与える量は1日の総カロリーの10%以下を目安としてください。必要なカロリーは犬の体型や活動量によって異なるため、愛犬に合ったカロリーを確認しておきましょう。
ヨーグルトによってはラクトフェリンが含まれているものもあります。この成分は免疫調節作用や抗菌作用、抗ウイルス作用、腸内細菌の改善に効果があるとされています。
便秘だけでなく、犬の歯周病や口臭などの問題が気になる際には、ラクトフェリンを含むヨーグルトがおすすめです。
愛犬に与えるヨーグルトの選び方と与え方
・無糖で低脂質のプレーンヨーグルト
・日々の食事やおやつとして与える
・1日のカロリーの最大10%を目安にする
・口内のトラブルにはラクトフェリン入りのヨーグルトが特におすすめ
犬にヨーグルトを与える最適な時期
犬にヨーグルトを与える際のタイミングによって、その効果は若干異なることがあります。
ヨーグルトを与えるタイミング
ヨーグルトは健康に良い食べ物として知られており、様々な面で研究が進められています。例えば、人間では夜にヨーグルトを摂取することで、カルシウムの吸収率が向上し、筋肉維持に役立つとされています。このことから、愛犬に夜の食事の前後にヨーグルトを与えると良いでしょう。
さらに、ヨーグルトにフルーツや少量のてんさい糖、オリゴ糖、はちみつなどを加えることで、腸内の善玉菌を増やす効果も期待できます。お好みに応じて、さまざまな組み合わせを試してみてください。
愛犬向け市販ヨーグルトの選び方
犬に与えるヨーグルトは、カスピ海やブルガリアなどの市販のヨーグルトでも問題ありません。
ただし、砂糖が加えられているものや、みかんやいちごなどの果物が入ったヨーグルトは糖分が多すぎるため避けることが望ましいです。
適切なヨーグルト摂取量
愛犬に与える一日のヨーグルト量は、カロリーの約10%を目安にし、スナックやトッピングとして与えるのが理想的です。
ヨーグルトの重さの目安
・小さじ1杯…5g・大さじ1杯…15g
ヨーグルトには脂肪分が多い種類もあり、上限量を厳守すると肥満のリスクが高まるので気を付けてください。
カロリーに加えて、ヨーグルト摂取後の犬の体調や排便具合だけでなく、犬の体型、活動レベル、ライフステージ、そして胃腸の状態を観察しつつ、適切な量を与えることが求められます。
さらに、ヨーグルト以外のスナックやトッピングを加える際は、総量のカロリーも含めて10%程度(最大でも20%以内)になるよう注意が必要です。

犬にヨーグルトを与える際の留意点
ヨーグルトは栄養価が高く、健康維持に役立つ食品ですが、犬に与える際には注意が必要です。
ここで、犬にヨーグルトを与えるときに気をつけるべきポイントを5つご紹介します。
犬にヨーグルトを与える際の注意ポイント5つ
・アレルギー反応に注意する
・乳糖不耐性がある場合は少量を試す
・常温に戻してから与える
・脂肪分が高いため過剰に与えない
・腎臓疾患がある犬は獣医に相談する
食物アレルギーについて
新しい食品を犬に与える際は慎重さが求められます。まずは少量を試し、食後48時間は注意深く観察することが大切です。
動物にアレルギーがある場合、摂取後30分から48時間の間に以下の症状が現れることがあります。
犬のアレルギーに伴う一般的な症状
・皮膚の赤み
・目や口、耳周辺のかゆみ
・毛が抜ける
・足や皮膚をしきりに舐めたりかじる
・下痢や軟便
・嘔吐
症状の現れ方は犬によって異なることがあります。もしこれらの症状が確認されたら、専門家である獣医師に相談することをお勧めします。
乳糖不耐症について
過去に牛乳でお腹を壊した犬には、最初は少しずつ与えて観察することが大切です。
ヨーグルトは乳糖が乳酸に変わる発酵過程を経るため牛乳に比べて乳糖の量が減り、乳酸菌が乳糖の分解を助けるとされています。このため通常は心配無用ですが、それでも犬の体質によっては下痢を引き起こす場合があります。
最初はヨーグルトを指先に少しつけて舐めさせたり、水で薄めた量を少し与え、問題がなければ徐々に量を増やしていきましょう。
常温に戻す
犬にヨーグルトを与える際は、冷蔵庫から出してすぐではなく、少し時間を置いて温度を調整してから与えると良いでしょう。
冷たすぎるとお腹を冷やしてしまい、下痢をする可能性があるため、常温程度にして与えることをおすすめします。お腹に優しくするための工夫です。
適量を守る
一部のヨーグルトは脂肪や糖質が豊富で栄養価が高いため、過剰に与えると肥満につながる可能性があります。
液体状であるため、つい過剰に与えてしまうことがありますが、おやつやトッピングとして適量を意識しましょう。
腎臓病の犬について
成分にたんぱく質やカリウムを含むヨーグルトは、腎臓病で栄養制限がある犬に与える前に、必ず獣医師に相談しましょう。
また、腎臓病以外でも、たんぱく質や脂質、カリウム制限が求められる疾患を持つ犬にも、獣医師の確認を得てから与えることが重要です。